荒木淳子(2008)「職場を越境する社会人学習のための理論的基盤の検討 ―ワークプレイスラーニング研究の類型化と再考―」『経営行動科学』21(2),119-128
- ワークプレイスラーニング:主に仕事での活動と文脈において生じる人間の変化と成長。2つの立場
- インフオーマルで偶発的な学習を強調する立場=自律的な学習,ネットワーキング,コーチング,メンタリング(⇔研修等のフォーマルな学習)
- 業績との関係を強調する立場(フォーマル・インフォーマルを問わない)
- WPL研究の依拠する4つの学習観:(1)学習転移モデル,(2)経験学習モデル,(3)批判的学習モデル,(4)正統的周辺参加モデル(長岡 2006)
- 学習転移モデル:研修など教育プログラム内で習得した知識やスキルを,職場に転移し応用するモデル
- 経験学習モデル:人が自らの経験から独自の知見(マイセオリー)を紡ぎだすことを学習と捉えるモデル
- 批判的学習モデル:学習者自身が「あるべき姿」を描くプロセスを重視し,自分自身の状況を意識的に省察することを通じて,現状に対する問題意識を育むことを学習と捉えるモデル(=以上3つ,経験による内省学習観)
- 正統的周辺参加モデル:学習を,個人の経験というより,ある社会的活動への参加と捉える(=参加学習観)
- 経験からの内省学習観の基礎となるのは,Deweyの「反省的思考」概念
- WPL研究の4類型
- 職場経験アプローチ:経験による内省という学習観に基づき,個人の熟達化を促すための経験を,職場での仕事に着目して明らかにしようとする立場
- 職場参加アプローチ:参加による学習という学習観に立ち,そのような学習を促す環境を,主に個人が所属する職場に着目して分析する研究
- 越境参加アプローチ:参加による学習という学習観に立ち,そのような学習を促す環境を,職場やそれ以外の共同体への参加に着目して分析する
- 越境経験アプローチ:経験による内省という学習観に立ち,そのような学習を促す環境を,職場やそれ以外の共同体への参加に着目して分析する
- メンタリング・コーチング・仕事経験に関する研究:職場経験アプローチに分類される。
- 職場を越境した学習や経験を含めて分析する研究はほとんどない。
- 職場や職場を越境する学習の場についての研究蓄積=参加アプローチの研究
- 職場や職場を越境する実践共同体への参加の実態を明らかにしようとするものであり,仕事のための学習を効果的に行うためには,どのような介入が望まれるかといった視点での研究は非常に少ない。
- 今後「越境経験アプローチ」による実証的研究の進展が望まれる。