2016/01/11

渡邊俊輔(2001)「組織学習における情報システムの役割:組織記憶の手段としての適用業務システム」『経済研究』(明治学院大学)121,91-102


  • ITの役割を情報の共有に限る見方は狭すぎる。すでに組織の価値連鎖を構成する様々な業務に深く浸透していて,多くの業務が情報システムなしでは遂行できない。知識の獲得・蓄積とITの関係はより多面的に検討されるべきである。
  • 組織学習論から見ると,情報システムは組織記憶の手段としての役割が大きい。
  • 組織の行動能力は組織ルーチンに依存する。よって,組織学習は組織ルーチンの変化と定義される。
  • ルーチンを機械に埋め込むことの利点は,強制力が高まること。教育やマニュアルで伝達されても,忘れられたり無視されたりする。
  • 組織学習の観点からは,自社で情報システムを開発することが有利。(自社の業務手続きやノウハウが優れていることが条件,パッケージの想定する手続きの方が優れているならパッケージ導入がよい。)
  • システム開発には,業務に豊富は経験と知識を持つユーザが参加することが望ましい。その場合は,プロトタイピングが有効(⇔ ウォーターフォール=開発を構造化して一段階ずつ終了していく)。
  • システム開発のアプローチ
    • データ中心アプローチ:対象業務で扱われる実体の種類と属性を分析してデータモデルを構築した後に,データを加工するものとしてプログラムを記述する。
    • プロセス中心アプローチ:システムの機能を定義した上で,機能を実現するためのプロセスを検討して,システムを設計する(従来型アプローチ)。