- 合理性と合理的行為
- 合理:意識的に行われる行為
- 形式合理性(道具合理的行為):手段に関わる合理性
- 実質合理性(価値合理的行為):目的に関わる合理性
- 合理的行為の4類型
- 4カ国の作文の構造
- 4領域の価値観
2025/07/29
2025/07/28
ジェレミー・ブレーデン, ロジャー・グッドマン(2021)『日本の私立大学はなぜ生き残るのか』中央公論新社
- 私立大学の40%が同族経営
- 大学を閉じる=親族の持つ主要な事業を危機に陥れたり、評判に傷をつけることになる=家業を自分の代で潰したくない
- 高等教育の状況を公立・私立セクターで分類する
- ゲイガー(1986)
- 大衆化した私立セクター:日本、フィリピン
- 公立と並列する私立セクター:オランダ、ベルギー
- 周縁化された私立セクター:フランス、スウェーデン、イギリス
- アメリカ的私立セクター
- リーヴァイ(1986)
- 国家主導型:民間資金の大学がほとんどない(西欧州)
- 公立自律型:民間資金の大学がほとんどない(オーストラリア、イギリス)
- 公立・私立均質型:資金獲得が異なる2セクターがあり、私立セクターも公的資金を受け取る(ベルギー、カナダ、オランダ)
- 公立・私立明確分離型・私立少数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の1〜5割が私立(ラテンアメリカ諸国)
- 公立・私立明確分離型・私立多数型:私立は民間資金、公立は公的資金、学生の5割以上が私立(日本、インド、ブラジル、フィリピン)
- 公立大学をモデルにした認証評価など、政府が規制を押しつける方針は、私立セクターの存続に脅威
- 大学が自分のポジションを測る方法:規模、キャンパス立地、創立年
- 私立大学のガバナンス=二元構造
- 学長付託型:理事会が大学の自治を尊重、学長が一番の権限を持つ
- 経営・教学分離型:学長の責任が教育研究に限定、多くの非学術面は理事会
- 学長・理事長兼任型:理事長が学長を兼任、ワンマン、オーナー経営、全体の22%
- 助成と規制
- 1970年代に始まった政府の私大助成金システム
- 国が私立への助成をする=人口増や高スキル労働力需要へ対応しながら、在籍者数を厳しく管理できるようになった
- 大学設置が厳しく管理される=既存大学は独占市場=需要が増える中、顧客を失わず学費を上げられる→家計も大学は私的利益と考えて許容
- 日本の特徴は、受験の選抜度による明確なヒエラルキーや高校卒業生への高い依存度
- 奨学金は、ヒエラルキーの仮想大学で受給割合が高く、債務不履行の割合も低ランク層で高い
- 7年ごとの認証評価サイクルは長すぎる、本当に絶望的な大学を見つけるには、評価プロセスの仕組みが効果的にできていない
- 日本では、同族経営組織にネガティブなイメージがある、当事者も注目を集めたくないという2点で研究が欠けている
- 世界では、私立セクター拡大が言語的・宗教的文化の不均質性への対応、日本では、高需要に政府が対応しないコトへの対応(税金を高等教育システムに投入することを避けるために、私立大学の経営に大幅な自由を認めた
- 家族メンバー間の信頼関係が同族経営の強み、経済が下降傾向時に力を発揮する
- 同族ビジネスの原則
- いい時も悪い時も節約に努める
- 設備投資のハードルの高さを維持する
- 借金がほとんどない
- 企業買収が少なく、規模も小さい
- 驚くほどの多様性を見せる
- 国際性を持っている
- 人材を確保している
- 同族経営が普及している理由:少人数のメンバーが組織を継続的にコントロールでき、外からの介入や詮索を阻むことができるため
- 問いではなく謎(puzzle)を提示せよ
- 同族経営の特徴は、近代性と非近代性の巧みな折衷
2025/07/27
竹中亨(2024)『大学改革』中央公論新社
- 国立大学法人評価は複雑
- 大学を見る個別評価に、他大学を入れた比較評価を掛け合わせる仕組みだから
- ドイツとの比較
- 国立大学が高等教育の主柱、大学は国家が公教育という社会的要請を受けて接地したもの
- ドイツの評価の簡素化
- 数値指標:教育=修了者数、研究=外部資金額
- 研究業績に関する指標が見られない
- 新たに収集するコストがない
- イギリスのTEF:アンケートでの学生満足度が主たる評価材料の1つ→成績インフレに
- ドイツの教員待遇は日本と似ている
- 待遇で研究者を動かすのは研究者をホモ・エコノミクス視する短絡思考
- 社会インパクト論
- 政府側にニーズがあるのはわかるが、それで評価するのは拙速(インパクトは社会側の受け取り方にも左右される:mRNAワクチンの例)
- つまり、生み出そうとして生み出せない
- だったら、地域貢献の方がわかりやすい
- ドイツの大学への基盤的交付金の構造
- 大学改革=統制強化という考えは、主要国の中では例外
- ドイツでは、大学の法人格と経営的自律は無関係
- 法人格を与えるか否かと予算の減額は別問題のはず
- イギリスではもともと部局自治の伝統だったが、今は大学としての一体的行動が求められるようになり、学長などの経営陣の発言力が強まり、全学的な経営管理が強化された
- → 政府から大学への権限委譲・学内での経営管理的統制の強化・競争の促進(直接統制から間接コントロールへ)
- NPM:現場の裁量拡大+大学の統制は目標管理で行う
- 達成の手段は問わない(終わりよければすべてよし)
- 現場組織を市場競争的な環境に置く
- 執行部に企業風のマネジメントを導入する(上意下達色の強い意志決定構造・内部統制の仕組みを設ける)
- つまり、規制緩和であり、市場メカニズムを使った分権化
- 日本では成功したとは言えない:規制緩和的な施策が十分に実施されなかったため
- ドイツでは、学位プログラムの新設は大学の権限、質保証は事後の大学認証のみ
- 大学はインプット・アウトプットに機械的な相関がない
- 時間をかければ教育・研究の質が高まるわけではない
- 個々のユニットの独立性が高くなる、結びつきはフラットで緩やか、構造が斉一的な企業とかなり異なるのに、同様の体制を求めてもうまくいかない→事業部制の方があてはまる
- ドイツは目標管理という点ではおなじなのに、大学へのコントロールが違う
- 大学は4年単位で戦略計画を策定し、政府と業績協定を結ぶ
- 業績協定に記されるのは、大まかな指針のみ
- 業績協定の目標には質的なものが多い(○○を実現する、○○を目指す)=方向性を幅広に表現する
- 協定には目標しか記載しない(取り組み方は問わない)
- 協定は選択的=大学が重要と見なす目標だけを対象とする ⇔ 日本は全ての活動を書く
- 厳密な検証ができない以上、厳密な応報はできない
- 自由と規制の矛盾を解決する方法は自己規律しかない(専門家集団に適したコントロールのあり方)
- ドイツでは自己認証、自らの学位プログラムの質を壬生から審査する
- 学内に独立色の強い審査部門を設ける ⇔ 学長室に質保証の専門家チームを置いて自己認証の業務を進める
- お手盛りを防ぐため、システム認証、自己認証がきちんと作動しているかの審査がある
- 大学コンロロールの類型化
- クラークの三角形:国家統制(許認可・行政指導)、市場メカニズム(顧客獲得)、教授自治(合議的意思決定)
- イコライザー論:大学コントロールを5要素に分解し、その強弱の組み合わせで記述する(国家規制・教授自治・外部統制・経営管理的統制・競争の5つ)
- 今の日本の特徴
- 法人化の規制緩和が不徹底に終わり、国家規制が強い
- 大学のアクター化に向けて経営陣の権限を強化したため、経営管理的要素が強い
- この反動で、教授団の合議的意思決定は交代
- 外部ステークホルダによる統制は、経営管理的統制の陰で強くならない
- 高等教育で市場競争が生じるという想定自体に無理がある
- 競争自体は大きな役割を果たすべき
- 競争環境なしに大学の自律を拡大するのは無意味、競争に対応するための自律を与えずに大学間競争を促しても意味がない
- 今の競争は、公的資源を巡る競争
- 競争は多元的にであるべき=優劣を定める物差しが複数あり、それぞれの物差しで複数の評価が並立する競争
- 大学自らの意思で、選択と集中を行うことが大事
- 多元的な競争の中で、大学は独自性を強め、選択と集中は大学間ではなく、大学内部で行われる
2025/07/26
船津昌平(2023)『制度複雑性のマネジメント』白桃書房
- 協働する組織には、それぞれに正統で合理的な論III!があり、だからこそコンフリクトが生じる
- 単体では正統で合理的な組織同士が、協働すると整合性をとれなくなる
- 中心テーマ=組織が制度複雑性に対処すること
- あまりに当然祝された規範に従い、自身の意思決定と行動に「正しさ」を感じている
- 分業は単なる分業にとどまらず、分化していく → 分業を担う部門に権力が生じる → 社会文化的な特徴の違いに発展する(川上 2009)
- 織的に高度化し、分業が進展するから分化し、個人への内面化が起きる
- これは、従来、統合によって解決すべきと考えられてきた
- 制度複雑性:論瑚の対立によってコンフリクトが引き起こされる状態
- 制度ロジック:制度(超個人的・組織的に存在する規範や行動パターン)に関してそれらを運用する論理のこと
- 複数の制度ロジックがコンフリクトを生じさせている状態が制度複雑性
- 分化された組織において、複数の部門を越境することのできる人材の存在が、橘波しを可能にする
- イノベーションマネジメント論と経営組織論を架橋する立場の研究
- 制度ロジック多元性:logic multiplicity(Besharov & Smith 2014)
- 組織外部から影響を受けるオープンシステム下にある前提
- 制度とは?
- 組織を取り巻く文化的環境(佐藤・山田 2004:5)
- 当然視されるもの(Mutch 2018)
- 複合的な社会規範の体系で、慣習・習律・法を含む
- → ①慣習・習律・法などを複合した規範の体系であり、②社会的、つまり佃人や組織の固有性を超えて観測される、超仙人/超組織的なものであり、③個人や組織にとって意識・無意識に参照され、④行動を再生産するもの
- 制度セクター:制度の分類
- 西欧で特筆すべき典型的制度セクター:資本主義市場、官僚主義的国家、民主主義、核家族、キリスト教(Thoronton & Ocasio 2008)
- 制度ロジック前の制度論
- 同型化論:組織が重視するのは、効率性でも合理性でもなく、組織が正統性を得られるか(=社会的・文化的なシステムの中で認められるか)
- 制度合理性(Lounsbury 2008):主体がどの制度を参照しているかによって合理性の測定指標が異なる
- 制度的企業家(Institutional Entrepreneur)(Greenwood & Suddaby 2006):制度を変革する主体が登場することで、一様な状況が打破され、変化がもたらされる(=脱制度的なヒロイックな主体)→ 制度的企業家は、制度や社会の影響を低く見積もりすぎているという批判あり
- 結局、制度論は、社会科過剰(非合理的なのに同化する)と社会化過小(制度にかかわらず変革するヒーロー)という両極端で揺れてきた
- 制度ロジックは、これを克服した
- Thoronton & Ocasio(1999):出版業界という制度の中で、組織が運用する主要なロジックが変化したので、制度に埋め込まれた組織の行動も変化した
- 学術的に価値のある本を出すべき→売れる本を出すべきへの変移
- 制度をどの粒度でカテゴライズするかで、制度ロジックの意味が変わる
- キリスト教でくくるか、宗教(キリスト教のロジックと仏教のロジックがある)でくくるか
- ロジックという表現
- 特定のロジックに沿って行動することを、受動にも能動にも使える点がポイント
- 組織は制度を参照し、自らの主導的な論理を形成する、このときの制度と組織・個人をつなぐものが、制度ロジック(=制度化で行動を基礎づけ、主体の行動を導く論理)
- 制度ロジック多元性を構成するロジックは、社会性と事業の2つのロジックが中心
- Besharov & Smith(2014)の制度ロジック多元性下の対応:中心性と両立性
- 中心性:被数の制度ロジックが組織の機能に等しく有効となる、または、関連があるとみなされる程度
- 両立性:複数の制度ロジックの実体化が、組織の行動に合致する・強化する程度
- マクロとメゾ
- 組織レベルの精度ロジックは、マクロ単位における制度セクターから生じる(マクロレベルに還元可能である=制度と組織・個人のインタラクションを重視する制度論における理論的基盤)
- 組織を分析単位とする研究では、行動パターンをアドホックに説明する制度ロジックを用いるので、還元できる制度セクターが想定されず、一貫性を欠く。(組織が置かれる制度的環境との関係を記述せずに制度ロジックを用いることは、制度論の理論的背景を看過する。)
- 一旦整理
- 制度ロジック:ある制度において、行為主体によって運用される論理
- 制度ロジック多元性:個人や組織は、通常、複数の制度ロジックの影響を受ける状態
- 制度複雑性:制度に多元性が生じ、組織に両立しがたいコンフリクトを及ぼしている状況(複数の制度ロジックそのものがコンフリクトを起こすのではなく、組織が二枚舌を使うために生じる)
- 制度複雑性はアイデンティティや規範に関わるので、十分な資源があれば解決できるものではない
- 解釈主義の2つの意味
- 調査対象者による事実への一次的解釈
- 研究差による二次的解釈
- ジオイア法では、一次、二次、具体的データの連関を図表化して表現
- 事業ロジックと科学ロジックの例
- 事業ロジックは自明→科学ロジックは新奇なもの→十分に理解する必要がある→まず科学ロジックを理解して実践に組み込む必要が生じる(つまり二項対立ではなく、新たなロジックを取り込むことで、既存ロジックが顕在化・析出した)
- 第3ロジックの例
- 科学ロジックにも事業ロジックにも由来しない、国家プロジェクトというロジック(双方に強く影響できるロジック)を道具的に活用することで、2つのロジックに起因するコンフリクトを解決するロジックを使った(ハイブリッドしたわけでも、どちらかのロジックに一元化したわけでもない)
- 第3・第4のロジックは、元のロジックと親和性があることで、道具的に活用してもコンフリクトにならない点がポイント
- イノベーションのモデル
- リニアモデル:研究→開発→生産→マーケティングの一方向で進行するプロセス
- 連鎖モデル:絶え間ない失敗からの学習、コミュニケーション、調整の結果としてイノベーションが生まれる
- 産学連携のイノベーションモデル
- アカデミック・キャピタリズム
- 学術成果を収益化し、大学に商業成果をもたらそうとするモデル
- TLOオフィスによる知財ビジネス
- シーズ・ニーズ・モデル
- 大学でシーズを産み、企業が持つニーズと結びつける
- 基礎・応用区分問題が避けられない
- アカデミック・エンゲージメント・モデル
- 知識移転ではなく知識共創(複数の組織で七期を共創)
- 学術成果か商業成果かの二者択一を超え、教育にも効果があるとする
- 場の概念(space、place)
- space:座標的な区域、外敵を入れないようにする縄張り(=物理空間)
- place:縄張り内の価値を含む(どこが安心でき発揮できる場所か)(=価値空間)
- 精読不雑性に対応する際に注目する側面:組織の構造、認知、採用されるイノベーションモデル、それを包摂するスキームの4つ
- 制度は、時代・国によって意味内容が変動・変化する
- それなのに理念型として端的に描き、複数の制度を対立構図に置いて単純化すること自体が問題
- 現象に対して境界を引き、理念型を指定するのは、研究者による恣意
- マクロな文脈を無視して切り取った組織を対象に、安直な二項対立構図をあてはめて研究を量産するべきでない
- 分断は二者が明確な線引きで別れた時に生じる、自らを正答と見なして相手の批正統制を喧伝する時に分断が生じる。
- 人間は対立構図を用いて説明する癖がある
- 組織は制度のなかに蝿め込まれるからこそ安定する。安定は分化を生み,分化された組織や部門は、区分化されて先鋭化する
2025/07/25
金間大介(2022)『先生、どうか皆の前でほめないで下さい』東洋経済新報社
- 人前でほめないでほしい2つの背景
- 自己肯定感が低い:基本的に自分はダメ、その心理状態のまま人前でほめられると、ダメな自分への大きなプレッシャーになる
- ほめられたことを聞いた他人の中の自分像が変化したり、自分の印象が強くなるのを怖がる
- 自分や他人に不利益な結果を与えられると、自ら選択したことを後悔したり、選択そのものを避ける心理作用が働く
- 恐怖は瞬間的に唐突に訪れるので、とても強く、反射的に自分を支配し、長く確実にその後の人生を支配する
- 自分が属する狭いコミュニティの人達に目立つことが恐怖
- 若者は社会情勢を見て行動を決めているのではなく、昨日今日の自分の周りの空気感が全て
- 就活で好まれる安定した会社=安定したメンタルで働けるという意味
- 若者にとっての社会貢献=貢献する舞台を整えてもらった上での貢献
- 責任を取る誰かがおり、調整や意思決定をしてくれ、その上で自分らしさを発揮するお膳立てをしてもらってからするのが社会貢献、最後に君がいてくれて本当に良かったと言ってもらうもの。
- つまり、社会貢献は、身近な人達からの承認欲求の向かう先
- 他人と比較して自分は何点だと思うか(-5〜+5で評価)
- 実際にはそれほど思いやりがあるとは思えない、それほどリーダーシップがないとも思えない
- (常に上との競争をしてきた帰結か?)
- 支援者と被支援者の関係性がすぐに分かる支援:自分を中心とした、自分のやりがい、そのわかりやすい関係性を求めている
- 頼まれたらやる自分をしっているから、自分は人より優しいという自己評価になる
- 日本の大学生:自分に関する不足感が大きい(ビジネス知識がない、経験がないなど)
- 自分に自信がない・自己肯定感が低いゆえに作動する欲求が、貢献欲求(承認欲求の一種)
- ただ乗り問題
- 日米比較の調査
- 日本人はフリーライド傾向がある
- それを見た他の人は、自分の損を顧みずに報復行為をとる(スパイト行動)
- 協力しないことが怖いことを学習する
- 結果的に日本人は、比較的協力的な行動をとる(本当?)
- モチベーションの源泉には報酬がある(内的と外的)
- アメリカ人=人は与えてもらう時よりも与える時の方が、より強く幸福を感じる
- 日本人=公共財の負担は義務、または、何らかの形で決められたシステムの一種
- 日本人は、ポジティブな共助が苦手
- アメリカ人は、内的報酬を満たすための共助、日本人は他人・隣人が怖いために共助ではなく公助に頼る
- 日本人は見知らぬ人とコミュニケーションを取ることが極端に少ない
- 徹底した自己責任主義が、極端な内向き思考と他者への恐怖心を生んでいる
- 集団の規模が大きいほど、不確実で挑戦的な課題に直面した際、集団の愚に陥りやすい
- いい子の症候群:教わったもの・与えられたものは自分のものではないという認識
- どんなに重要なことを学んでも自分のものではない→就活PRがバイトとサークルになる、これでは自己肯定感は一生上がらない
2025/07/24
矢野眞和(2023)『今に生きる学生時代の学びとは』玉川大学出版部
- 教育効果を論じる4つの窓
- 大卒ホワイトカラーが一人前になるのは、どの国でも30歳ぐらいの年数が必要だと考えられている
- 大学卒業から30歳までの期間が長い日本では、短い国と比較して、卒業直後には大学知識の有用性が低いけれども、その後の経験を通して有用性が高まる
- 大学の選抜度を問わず、個別の大学を取り上げれば、その範囲で学び習慣仮説が成り立っている
- 政策科学では、内部システム(教育システム)の最終結果(出力)がアウトプットであり、そのアウトプットが外部システム(教育の外にある社会経済システム)に与える影響の総体をアウトカムという
- 個人レベルでは、教育システム内で身についた学力や規範がアウトプット、そのアウトプットが外部システムである卒業後の人生(働き方、所得、仕事の満足度、健康など)に与える影響がアウトカム(ラーニングアウトカム批判)
- Gritで使われたやり抜く力の測定法:情熱の5因子と粘り強さの5因子
- 私は挫折してもめげない。簡単にはあきらめない
- わたしは努力家だ
- いちど始めたことは、かならずやり遂げる
- わたしは勤勉だ。絶対にあきらめない
- 重要な課題を克服するために、挫折を乗り越えた経験がある
- 5件法で回答、あまり考え込まずに、同僚や友や家族とくらべてどうか、または、たいていの人とくらべてどうか、と考えて回答
- KJ法での分類:既成概念にとらわれずに現場の声を吸い上げてグルーピングする方法
- 既成概念で分類するなら、何のために言葉を収集したのかわからない
- 経済学と社会政策の対立思考
- 経済学=価格を媒介にして、お金を支払ってでも手にいれたい欲望(=需要)に資源を配分する市場メカニズムを理論化
- 社会政策=価格ではなく選挙による立法府を媒介にして、好ましい社会の必要(social needs)に資源を割り当てる官僚的ルールを設計するプロセスを理論化
- 市場と政府の二つの社会装置に私的ニーズを充たす社会的ネットワーク(家族・コミュニティ・非営利組織)を加えれば、社会問題の所在を理解しやすくなる
2025/07/23
佐藤郁哉(2024)『リサーチ・クエスチョンとは何か?』ちくま新書
- リサーチクエスチョンの定義:社会科学系の実証研究のさまざまな段階で設定される研究上の問いを疑問文形式の簡潔な文章で表現したもの
- 実証研究のための問い、疑問文形式、簡潔な表現、研究のさまざまな段階で設定される問いという4点
- 調査という言葉自体に、調査する側・される側という不均等な関係を暗示する意味が含まれる→慎重に配慮する
- 日本語のリサーチには、調べ物に近い意味がある
- →ここでは、調査研究において設定される、資料やデータの分析を通して、一定の答えを求めることができる問いに絞る
- 社会調査における2W
- 実態を明らかにする問い(What):どうなっているのか、事実関係・物事の記述に関する問い
- 因果関係を解明する問い(Why):なぜそうなっているのか、因果・物事の説明に関する問い
- つまり、記述の問いと説明の問い
- ただし、Whyは曖昧な問いになりやすい:方向性と明確さが欠けているため
- → Who、When、Where、What、Howなどによって言い換える
- 書くことで調べる
- 調査は数人のインタビューが終わった段階で原稿を書く
- ストーリー性のある原稿を各作業が、リサーチ・クエスチョンの大幅な見直しにつながることが多い
- 良い問いの3条件:意義、実証可能性、実行可能性
- 調べる価値や意義があり、データによって答えを求めることができ、かつ、調査を行う者の身の丈にあった問い
- 調査研究には、事例について知ること、事例を通して知ることの両要素が含まれている
- 統計調査も、時間・空間を限定した特定の対象から得た情報にもとづく意味では事例研究
2025/07/22
阿部幸大(2024)『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』光文社
- 英語圏のAW教育に見るアーギュメントの強さ
- 強い動詞を使え:他動詞モデルでは、動詞の強さとアーギュメントの強さは表裏一体
- 受動態を避けろ:誰が誰を排除するのかが文法的に避けられない(ないがしろにされている→排除する)
- Iの積極的使用:自分の主張を出し、その論証に責任を負う
- 先行文献を引用する=他人の意見を引用しない限り、自分のアーギュメントにアカデミックな価値があることを示すことが構造的に不可能
- 論文は常に一種の反論として書かれるため
- 否定と主張のセットがアカデミックな価値を創る上での必須条件
- 人文学の機能の1つは、常識を刷新すること
- 同性愛者は変態→変態理論(Queer理論)問うこと我を使って反撃→常識を覆す
- 論文とは、イントロで飛躍したアーギュメントを提示し、本文の論理的なパラグラフでその飛躍を埋める文章
- 人文系の論文が長い理由=アーギュメントが大きな飛躍を伴うから
- 1パラグラフ・1トピックの法則=本文全体でパラグラフ数とトピック数は一致する
- → パラグラフを作るには、まずトピックから育てる
- ただし、初学者にはトピック(単発のアイディア)をパラグラフに構築するところが難しい
- 1パラグラフで論証可能な規模のトピックであれば、パラグラフになる
- 飛躍のないものは、ファクトとロジック
- パラグラフには、小さな飛躍を伴うトピックセンテンスが書かれ、他の文章は事実と論理だけを書く
- 文献を読んで調べた情報をパラグラフで使う
- 細部を記録しておくことが必要
- 初学者の文章がスカスカになる原因
- パラグラフに使える可能性のあるデータは片っ端からメモする
- パラフレーズは、文章作成の最重要技法
- アーギュメントの提示には、アーギュメントを詳述するパラグラフを1つ用意する
- アーギュメントの真意を伝えるための必要十分な周辺情報・文脈を入れる
- 週ちょうどや視点を変えながら、アーギュメントを何度かパラフレーズする
- 先行研究と違うことを示すのではなく、アーギュメントに価値があることを伝える
- 先行研究の整理に1パラグラフを使い、複数の先行研究が同じことを言っていると述べる
- 複数の先行研究が暗黙のうちに共有している前提を見出し、そこに介入すると宣言する
2025/07/21
河村茂雄(2025)『ピアフィードバックのゼロ段階』図書文化社
- ピアフィードバックには対話が必要
- 会話=価値観を共有する仲間との交流(不安の強い現代は会話の形成も困難)
- 対話=他者との相互理解を目指して行う交流
- なぜ表面的なピアフィードバックになるのか?
- 評価する力量の形成不足
- 学習者に事前に評価の方法を学ばせ、練習が必要
- 指導者がまずやって見せ、学習者に練習課題を評価してもらい、それにフィードバックする
- 人間関係の問題
- 不安が強い、人間関係が悪い
- グループの人間関係状態
- 1:対立や軋礫が頻発し‘協働どころか一緒にいること自体が不快な状態
- 2:他者と関わりたいと思えず,相互に無関心でかかわりもない状態
- 3:グループという意識がもてず,気の合う人とだけ個で関わっている状態
- 4:事務的に所属しており,やらされる形で一緒に活動している状態
- 5:同じ価値観を有し気心が知れた「仲間」が形成され,この良好さを維持するために,互いに相手を肯定的に評価し合う「会話」で交流している状態
- 6:互いに高め合うために,「仲間」以外の相手とも,批判的な思考に基づく「対話」ができる状態
- 7:価値観も宗教も多様な人たちと,共通の目的を達成するために‘みんなと批判的な思考に基づく「対話」ができる状態
- 1・2=ピアフィードバック以前、協働活動もできない
- 3・4=形だけの協働活動
- 5=人間関係がよい状態
- 6・7=対話にはこの段階が必要
- 学習には、受容・発見と有意味・機械的の2次元がある(Ausubel)
- 受容・発見軸:学習内容がどう学習者に伝達されるか
- 発見=学習者が自らの仮説を立てて検証することを通して学習が進む
- 受容=学習内容が完成された形で指導者から示され、それを受容するよう学習が進む
- 有意味・機械的軸:学習内容が学習者にどう受け入れられるか
- 有意味=新しい知識が学習者の既有知識構造と関連付けられるよう学習を進める
- 機械的=新しい知識を構造化できない
- 教えて考えさせる授業が有意味発見学習
- SBIフィードバック:振り返りを結果に対する反省ではなく、プロセスに対する認め合いにする
- ○○さんは、今日の司会で
- 状況:みんなをリードしていた
- 行動:積極的に流れを創る発言をしていたから
- 影響:みんなの話す量が増えました
- 同一化傾向の集団:安定度高×活性度高
- 何をするか:率直に自己開示する機会を増やす
- どうするか:正解のないテーマの学習に取り組む
- ピアフィードバック:KPT型(Keep=継続すべきこと、Problem=課題、Try=改善点)で考える
- 形骸化傾向の集団:安定度高×活性度中
- 何をするか:受容的なフィードバック機会を増やす(認め合い、励ましを多くもらう)
- どうするか:プロセスに対する認め合いを促す(SBIフィードバック)
- ピアフィードバック:リーダーだけでなく、全メンバーにSBIFB
- 空洞化傾向の集団:安定度中×活性度中
- 何をするか:適応行動に価値があることを知る(安易な同調や安全行動ではなく)、適応行動を伴う課題を指導者が与え、係や班の目的を説明し、行動のひな形をつくり、役割交流を中心に活動する
- どうするか:ピアフィードバックのひな形を用意し、細かく構成して取り組む
- ピアフィードバック:活動の進み具合・様子、活動でよくなったこと、頑張ったメンバーの様子の3点を発表
- 無気力化傾向の集団:安定度中×活性度低
- 何をするか:自己中心的な安全行動の定着を壊し、適応行動の価値や達成感を少しずつ味わう
- どうするか:まず個人行動→ソーシャルスキル+小グループ活動、緩やかに・短く・低いハードルの関わり方を積み重ねる
- ピアフィードバック:できた適応行動に、教師が意味づけをする
- 防衛的風土の集団:安定度低×活性度低
- 何をするか:集団活動への抵抗感を減らす、頑張る人を否定する行動に対応する
- どうするか:あえて個人活動に取り組む、その際に枠を用い、枠の中で活動させる
- フィードバック:教員が、進み具合、よくなったこと、求める支援について話す
2025/07/20
山川修・早川公(2023)『ディープ・アクティブラーニングのはじめ方』春風社
- ディープ・アクティブラーニング:3つの要素
- 深いアプローチ:概念を自分で理解しようとする学習(浅い=授業で与えられたことを満たす)
- 深い理解:転移可能な理解
- 深い関与:目の前の学習に興味を持って取り組む
- 3つを満たす学習モデル=円ゲストロームの拡張的学習
- 探究的学習の6ステップ(エンゲストローム 2010)

- 地域PBLでの6ステップ
- どうやって問いを立てるか?→ひな形をデザイン思考に沿って提供
- (1)なぜ?(着眼)のコツ:一歩下がる(知っている感覚を脇に置く)、他の人が何を見失っているかに気をつける、前提条件を疑う、今抱いている疑問を疑う
- (2)もし〜だったら?(発散)のコツ:通常組み合わせないものを組み合わせる、わざと間違える、様々な視点から考えたあとしばらく放置して熟成、散歩で考えることを意識せず考える
- (3)どうすれば?(収斂)のコツ:まず試してフィードバックをもらう(思考ではない)
- 質問ワーク:(1)メンバー間の信頼関係を高める、(2)問いの投げかけを通じて課題の本質を探究する
- 人数:3〜6人
- 時間:1人20分×人数
- 準備物:なし
- 進め方
- (1)まず1人1分で、自分が解決したい課題に関して話す(全員が話す)
- (2)誰(フォーカスパーソン: FP)の課題に関して取り扱うかを決める(1分)
- (3) FPが、自分の課題に関して再度説明する(1分)
- (4)サポートパーソン(SP)が質問を行い、それに対して誰かが答える形でワークを進める(10分)
- 5)メンバー全員が質問ワーク中にキャッチした課題の本質に関して手短に述べる。ただし、FPはSPの話を聴いた後で最後に話す(3分)
- (6)質問ワークをして何を発見したかを話しあう(5分)
- (7)時間がある場合、(2)に戻り次のメンバーの課題に向きあう。
- 地域PBLは5日間の集中講義
- SBIフィードバック:状況(Situation)、行動(Behavior)、影響(Impact)
- メンバー間の信頼関係を創るため、1日の始めに、リーダーシップの3要素のどこを自分で意識するかを宣言する
- 1日の最後に、SBIの観点で、他のメンバーにフィードバックする(どういう状況で、どういう言動が、私に影響を与えたかを伝える)
- URシート(U-Reflectionシート):U理論をベースにシート記入
- 今日の活動中で、驚き・興味・不満・不安・違和感を感じたか?
- それらの経験から何が分かるか?どういう意味を持つか?(発見)
- 発見を生かすために考えられることはあるか?
- 今日の感想を自由に書いて
- デザイン思考はコトづくり ⇔ 従来思考はモノづくり
- デザイン思考の5段階
- 共感:相手の立場に身を置く、フィールドワークをする、
- 問題定義:さまざまなデータをもとに真の問題を設定する、共感をアイディアにするため、共感マップで整理する(ユーザの言っていること、考えていると思われること、やっていること、感じていると考えられることの4つで分類する)
- アイディア化:3つのアンラーニング(社会的に正しいこと、実現可能なこと、価値のあることを発想しないといけないという前提を捨てる)
- プロトタイピング:作り込みすぎず、この程度で十分 & 数を出す
- テスト:ユーザに体験してもらう
- PBLのスケジュール
- 発表は2分のストーリーテリング
- PPTで落とされがちな、感情や心情を表現するのに適している
- 4つのツールキット
- プロット:起承転結、行動・葛藤・解決策、ピクサーピッチ(むかしむかしあるところに、毎日、ある日、それによって、またそれによって、最後には)のどれかの枠で考える
- 構造:プロットを支える設定
- 役割・役柄:配役を決める
- 関係性:親子を、社会的属性で捉えるか、どう接していいか分からないととらえるか
2025/07/19
森口佑介(2024)『つくられる子どもの性差』光文社新書
- 親が子どもをつかんだりたたいたりする関わり方をすると、子どもの攻撃背が高まる
- 身体的な管理・体罰を子育ての手段としては絶対にするべきではない
- 幼児期までに育ってほしい10の姿:健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活との関わり、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量・図形・標識・文字への関心と感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現
- 実際の成績では男女で読解力は同じ、親は女子は読解が高いと考える、親の思い込みが興味を持つ分野に大きな影響を与える
- 一次感情と二次感情:
- 一次=基本感情:文化圏に関係なく持つ、喜び、驚き、悲しみ、怒り、嫌悪、恐れの6つ
- 二次=高次感情:文化によって異なることがある、自分という意識が必要な感情
- 共感(empathy)と同情(sympathy)は違う
- 共感=他者と同じ感情を経験すること(自分と他者の区別なし)
- 同情=他者に対して表出する哀れみに近い感情(自分から他者へ向けた感情)
- 2〜3際ごろに自分を女の子・男の子と見なすようになる。その時の周囲の人の期待・働きかけで、○○らしい行動や選択をしてしまう→ジェンダーステレオを形成する
- 親や教師が子どもへの関わり方を男女で変えている、その結果子どもも心の性差をつくっている。それは無自覚に行われている。
2025/07/18
マッツ・アルヴェッソン, ヨルゲン・サンドバーグ(佐藤郁哉 訳)(2023)『面白くて刺激的な論文のためのリサーチ・クエスチョンの作り方と育て方』白桃書房
- 読者がそれまで当然視していた各種の前提に対して挑戦を突きつけるようなものでなければ、広範な関心を集めて大きな影響を及ぼしていく可能性は低い
- ギャップ・スポッティング方式でリサーチ・クエスチョンを作成すると、先行研究の根底にある理論的前提の大部分を特に問題視しない
- ギャップ・スポッティング=問題を過小評価 ⇔ 社会構築主義・ポストモダニズム・フェミニズム・批判理論=問題を過度に強調(=実証主義的な経営科学の基盤に対して衝撃を与え、その安定性を揺るがすことができていない)
- リサーチクエスチョンの構築:先行文献の根底にある前提を再検討することによる問題化
- リサーチクエスチョンのタイプ
- 記述的:何らかの現象を構成する要素について明らかにする(=本質・機能・根拠)(オンライン環境において学生の学習はどのようになされるか?)
- 比較的:複数の現象間の関係に関する知識を生む問い(=相違・同等)(福祉サービス受給者の間で、男女間にはどのような類似点と相違点があるか?)
- 説明的:複数の現象とその属性の間に存在する相互関係に関する知識を生む問い(=相関・条件)、属性間の比較に関す津知識を前提とする
- 規範的:物事がどのように行われるべきかに関する知識を生む問い(同性愛への敵を持つ集団における、受容態度の改善)
- ギャップ・スポッティングの基本形
- 混乱:先行文献の中から対立点を見つける
- 軽視・無視:先行文献で軽視・無視されている点を明らかにする(見落とし、不十分、実証データの裏付け不足、特定の側面の検討不足)
- 適用:理論や概念の新しい適用可能性を明らかにする(先行文献の拡張と補完)
- これらの組み合わせもあり
- 組織のバッファリング:現場レベルの業務から脱連結された正当化榊造を榊築し、それによって現場の業務は制度的プレッシャーから「免れて」、従来どおりに実施されることも多い
- 面白い研究:紛れもなく自明の事実のように見えることが実際には事実ではないことを示す
- 組織化:特定の現象が組織化されていると思われているのに、実は無秩序であると指摘する
- 抽象化:個人レベルの特徴・傾向という前提や通念に挑戦し、実際にはそれが社会全体レベルにおける現象である(あるいはその逆)ことを指摘する
- 相互関係:相互にに無関係であると想定されてきた対象同士のあいだに実際には何らかの関連があると示す
- 因果関係:原因と結果の関係にあると考えられているものの中で、それ自体が独立して成立している現象(独立変数)と考えられていたものが,実際には何か他の現象によって引き起こされて従属的に生じる現象であることを示す
- 理論は何もない真空状態の中にそれ自体が独立して浮かんでいるような言|リlではなく、常に当面の研究テーマに関して研究者が抱いている前提にもとづいており,またそれに制約されている
- RQを生むには、研究テーマに関する既存の理論の根底にある前提に光をあてて,それに対して挑戦する
- 反帰納(counter-induction):異なる理論的立場に含まれている,互いに矛盾する前提を相互に比較してみること.なじみの理論的立場の前提を、それとは矛盾する前提と比較する
- 例:ゴミ箱モデル=意思決定の合理性という通念を否定、「組織化された偽善」というアイデアでは、組織において、組織逆営の柔軟性を維持するため、話し合い・決定・実践という3つのプロセスが相互に脱連結される傾向がある
- 例:ジェンダー実践=ジェンダーを生物学的・固定的なものでなく、日常の相互作用の中で持続的になされる社会的行為を通して実現されるものとして概念化
- ギャップ・スポッティングなロジックを強化する学者の規範
- 蓄積規範:学術的な知識は、特定の分野内での漸進主義的な蓄積を通じて前進していくということを想定
- 言及規範:他の研究者の基礎の上に立脚し、それらの研究を引用することの必要性を強調
- ヒューリスティクス:「既に語られていることに対して疑問を投げかけ、それを新しいアイデアや見解に変えていくための」ツール(Abbott 2004)
- 問題化の骨子=研究活動の根底にあって,当然視され不問にされることが多い各種の前提を問い直していくこと。その上で.代替的な前提基盤を作り上げ,それを踏まえた新たな問いを生み出し定式化して新たなアプローチによる研究と議論の出発点にしていくこと。
2025/07/17
溝上慎一(2023)『インサイドアウト思考』東信堂
- インサイドアウト思考:思考の初発プロセスに焦点を当てた思考
- 自由にいろいろ考えてみよう、考えを作っていこう、の思考様式
- 原初的な創造的思考
- 創造的思考は、価値観が多様化した現代社会において、人々の個性化する人生を構築するために必要な思考
- ああらしい考えなら、どんなものでも立派な創造的思考
- アウトサイドイン思考:論理的・批判的思考
- 思考した結果を受けてその思考がどのようなものであったかを吟味する思考様式
- 思考とは:情報処理を推し進めて、ある状態を作り出す働き、または、それに向かうプロセス
- 創造的思考:社会的評価、アハ体験、心的飛躍の要因を取り除き、情報処理の初発プロセスに移動させる必要がある
- 外化:認知的な情報処理プロセスを内と措定した時の、外への出力を指す(認知的な情報処理プロセスの内部を通って外に出力されること
- アクティブラーニングは自分の考えや理解を外化すること
- リフレクションは、変えられない過去を反省するのではなく、未来に向けた思考を行うことに意味がある(=アウトサイドイン思考とインサイドアウト思考が相補的に組み合わされたもの)
- 自分とは何者かの定義は、個人が自由に行うもの
- それを心の底からこれでいいのだと感じるには、重要な他者や社会から是認される必要がある(エリクソンのアイデンティティ問題)
- デュルケムの近代的個人化:社会の単位が家族や近隣関係などの中間集団から個人へ移行し、中間集団との媒介的関係を通して個人化が進んだ(中間集団の伝統や慣習の束縛から解放され、自由や独立を獲得する形で自己定義が可能になった)
- 近代国家の学校教育:生まれ育ったコミュニティや社会の伝統から脱文脈化した、汎用的な知識・技能を基礎・基本として習得する場所
- 汎用的な知識・技能を土台として、個人のライフを構築することが求められるようになった → より高度な知識技能を習得してライフを構築する人が出る(進学者)
- 探究的な学習は、学習パラダイムにウェイトをかけた学習であると同時に、教授パラダイムを求めるもの
2025/07/16
山内祐平・池尻良平・澄川靖信(2024)『EdTechで創る未来の探究学習』明治図書
- 「探究」に共通する要素:学習者が「物事を発見すること」
- 探究学習のフレームワーク
- 本書の探究学習の定義:物事の本質を発見しようとする一連の学習活動
- 想定する探究学習のモデル
- 教師データ=正解がついているデータ
- 歴史の探究:一般にWhy型・How型の問いがよい
- 探究学習では、問いがなぜ大事なのかをていねいに説明する
- 問いの表現がその後の学びに大きな影響を与えることを知っている教員は多い ⇔ この感覚は児童・生徒にはほとんどない
- 受験やテストの影響などで「問いは与えられるもの」という意識を持っている児童・生徒が多く,そこでは常に推敲された問いが用意されているため,問いの持つ影響力を知る機会がないため
- 文献調査の探究は、どの文献を収集対象にするのかを明確に決め,他の人も同じように収集できるように収集方法を公開することが必要
- 誰に発表し、誰と議論するのかという観点から「発表・議論」の場をデザインする
- このフェーズでの学習を高めるだけでなく、螺旋的につながる2度目の探究学習にも大きな影響を与えうる
- 同学年だけで形式的に発表し合う高校よりも、下の学年や外部の人が参加して発表・議論する場をデザインしている高校の方が、主体的に2度目の探究学習をしている生徒が多い
- 問いづくりが難しいのは、それが学習者の興味関心や生活経験にねざしており「問うてみたい」という動機を持っているという個人的な文脈と、探究することによって今までにない新しい知見を他者にもたらすことができるという社会的な文脈を同時に満たす必要があるから
2025/07/15
李在鎬・青山玲二郎(2025)『AIで言語教育は終わるのか?』くろしお出版
- 記号接地:ことばの意味を本当に理解するためには、まるごとの対象について身体的な経験を持たなければならない。
- 記号を別の記号で表現するだけでは、いつまで経ってもことばの対象についての理解は得られない。AIは記号接地をまったくしていない。
- AIの言語が設置していないと本当に言えるか?
- 接地:身体性を有した主体としての言語話者が言語記号を自らの感覚や思考と結びつけることではなく、語彙や文法といったシステムに内在化された、言語表現の背後にある認知主体とその視点の存在を、記号的に「埋め込む」こと
- 大規模言語モデルを用いた今日のAIは、人間にかなり近いレベルでの接地に成功していると言える。
- ここでの「接地」とは、思考の背後にいる主体とその視点を、個々の言語が持つ規則または規範に基づいて記号化し、表現全体の中に埋め込むというプロセスを指す。
2025/07/14
小熊英二(202)『基礎からわかる論文の書き方』講談社現代新書
- アメリカで習うパラグラフ
- いろいろな役割を持つパラグラフの書き方を習い、部品を組み立てるようにして、エッセイを書く(=積み木モデル)
- 基本形式(Opinion essay)
- 最初のパラグラフ:象徴的な物語・ナラティブで読み手の関心を引く
- 本論第1パラグラフ:データで現状を記述する
- 本論第2パラグラフ:他国と比較して問題を明確化する
- 本論第3パラグラフ:原因や影響を分析する
- 最後のパラグラフ:やはり格差の問題だ、こういう対策をすべきだと結論する
- アメリカのライティング教育は、内容以上に形式が評価される(essayの元の意味は試論)
- 日本の国語教育は、主人公はどういう気持ちか、筆者の言いたいことは何かなど、相手に共感する能力を訓練する
- 作文は自分の気持ちを素直に書くことが求められる
- なぜ形式を指導するか?
- 文化の違う相手には、感情や人柄で説得が難しいから→論理で説得する技法が重視される
- 形式で評価する方が、客観的な評価をしやすい
- 論証に使う根拠は文献・調査・実験で調べたものに限る(レポートでは必ず出典を明らかにする)
- レポートにない卒論の特徴
- 自分の研究はどこが新しいのか、これからどういうやり方で研究をするのかの2つを示す
- アメリカ型の論文形式:説得の技法が発展したもの、真理探究の技法ではない
- IMRAD形式と序論・本論・結論形式(ハンバーガーエッセイ形式)
- 論文は全ての過程が公開されている必要がある
- 主題・対象・方法問題
- 対象=目で見たり耳で聞いたりして調査できるもの
- 主題=調査で明らかになったデータをもとにした、論証したいと考えている普遍的な問い
- 小さく絞るのではなく、具体的に調べられる対象から普遍的な真理を探究する
- 大学で教えられている学問
- 経験的に観測できる対象から、観測できない主題を探究する学問
- 主題と対象を意識的に区別すると良い
- 主題は問いの形で立てる、具体的に調べられる対象から問いを探究する、自分が調査可能な対象を設定する
- 方法と方法論
- 方法論はレシピ=個別の方法を組み合わせて1つのシステムになっていること=材料の調達→盛り付けにはいかない、調達→調理→盛り付けという順序が必要
- サンプリング
- 無作為抽出でなくても、極端な例でもいい、なぜその対象を選んだのか、それを調査して何を明らかにするかによる
- ナラティブ分析
- 個別の事実をつないで1つの筋書きにする語り方(同じ体験をしても、その語り方が全く違う=個別の事実をつなぐまとめ方が違う、それを分析するのがナラティブ分析)
2025/07/13
松下佳代・前田秀樹・田中孝平(2022)『対話型論証ですすめる探究ワーク』勁草書房
- 3つの論題:論題=議論の主題
- 事実論題:事実の有無・審議を議論の対象とする(原子力発電所が日本で最も多いのは福井県である)
- 価値論題:価値判断(善、美しさ、重要性)を議論の対象とする(地球温暖化対策として、原子力発電所の活用が大切である)
- 政策論代:行動や政策の是非(ある行動を取るべきか、ある政策を実施すべきか)を議論の対象とする(原子力発電所を廃止すべきである)
- 政策論代の中には、事実論題と価値論題が、多層的に含み込まれた構造になっている
- 問題・課題・問い
- 問題:ある対象や状況についての問題意識やその背景、そこから設定した課題や問いを包含する
- 課題:疑問だ、解決すべきだ、知りたいと思う問題の領域や具体的な事柄
- 問い:課題の粒度を小さくした問い、中でも探究上の問いをリサーチ・クエスチョンという
- 問いづくりのポイント
- 問いをブレイクダウンしてリサーチクエスチョンを立てる
- なぜを問う→どうなっているのかという実態を問う問いを挟む→さらになぜと導く
- 例:なぜ地域によって大学進学率は異なるのか?→直接答えず、日本の大学進学率はどうなっているのか?、と実態を問う→地方において、男子と女子でなぜこれほど大学進学率は違うのか?と問う→地方における女子の進学率が、男子と比べて低い地域にはどのような特徴があるのか?←探究ができる粒度の問い(=リサーチクエスチョン)になった
- 仮説は、事実の観察と、文献から浮かび上がる
- むしろ、問いと仮説を思いつくように文献を読む→文献を読む時に4つを探す
- 目うろこ、激しく同意、納得いかない、激しく反発
- 主張=仮説のうち、根拠や対立する主張への反駁を通じて正当化されたもの
- 事実・論拠・主張
- 事実・データ:個別低・具体的
- 論拠・理由づけ:一般的・抽象的
- 論拠・理由付けのタイプ
- 因果関係:放射線を受ける(原因)と、動植物に奇形が生じる(結果)
- 事実:原発近くで奇形の花があった
- 論拠:放射線を受けると動植物に奇形が生じる
- 主張:この花は原発事故による汚染で生じた
- アナロジー:2つの対象の類似性に基づいて主張を導く
- 事実:Aは性質Pを持つ
- 論拠:AとBは類似している
- 主張:Bも性質Pを持つだろう
- 規範:〜は良い・悪い、〜してもよい・いけない
- 事実:死刑は罪を償う機会を奪う
- 論拠:何人も罪を償う機会を奪ってはならない
- 主張:死刑制度は廃止すべきだ
- 権威:専門家の見解に依拠する
- 事実:XはPと主張している
- 論拠:XはPに関して信頼できる専門家である
- 主張:Pは正しい
- 結論を示す
- 事実論題:XはAである
- 価値論題:Aはよい・重要だ
- 政策論代:Aを行うべきだ
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