- 中世の大学は職業教育機関。この関係は近代で崩れる。職業と大学がそれぞれ独自の論理で発展したため。
- 職業側:高度の知識を要求する職業の拡大=農学・工学=何らかの組織に属して職務遂行,職務に必要となる知識・技能が明確に定義されない+ホワイトカラー=大学で学んだことをそのまま使うのではなく,企業で使う知識・技能を獲得する基礎を期待 ⇔ 医師等は一人で職務遂行
- 大学側:フンボルト理念=大学の教育は学術を基礎とする
- 双方が拡散したため,不可視化し,両者の媒介となる知識・技能のあり方の理念が曖昧になる=大衆化の進む過程
- 日本的特質として,職務に関する知識・技能は,組織に組み込まれて存在=専門知識を持つ大卒者でも独立性が弱くなる。→ 企業間に生産性の格差がある → 学生は生産性の高い企業への就職を求めて競争する → 企業側は職務上必要な知識・技能を明確に定義できない → 大学の入学選抜制に沿った採用
- 大学では戦後も学部縦割り組織が維持されたため,教育は専門性で分割されて実施 → 職業と大学教育の乖離
- 問題の根源は社会と大学の双方にあるが,その責任は大学の側に求められている
- 新しい分野で活躍するには,新しい知識が必要=企業組織にも十分ない → 各自が新しい専門知識を獲得することが新産業形成の条件=サービス分野の活動の拡大。
- アメリカのデパートメントとプログラムの関係が,柔軟な教育を可能とする。それを仕立てる経営力,教員へのインセンティブ,実務家教員活用と,これらを束ねるガバナンスが必要。さらにそのプログラムの質保証メカニズムも必要。
梅崎修「迂回投資としての大学教育」
- 経験学習と教育経済学が接続していない:本来は大学教育×OJT→賃金,しかしOJTが実証上のブラックボックス(大学教育→生産性→賃金で分析してしまうのが現状)
- The Art of the Sale:営業は知識の学習ではなく,態度や技の習得=OJTが中心,大学では教えない。
- Kolbの経験学習=内省力,抽象化力,実験力を高めればOJTの効果も大きくなる。大学教育はこれらを高められる。
- 大学教育で職業訓練を重視すると,短期的な直接効果を過大評価し,迂回効果を過小評価する。
大橋秀雄「工学教育と職業教育」
- 技術に関わる人:Engineer, Technologist, Technicianに分類(国際エンジニアリング連合)
- Engineer=自ら問題を設定して,思考と判断に基づいて最適解を探り,結果を書かれたものとして出力する。修学年数4-5年。行動な数学や理論化学の科目を含む,将来研究・開発設計にあたる。
- Technologist=両者の間を埋めて集団として仕事の流れを円滑・最適化する。修学年数3-4年。建設,製造,製品設計,検査,技術サービス,販売の仕事に就く。数学は三角関数などの実用数学。必要な学習を加えるとマネジャーへ進める。
- Technician=指示に正確に従い,時間的空間的制約のもとで最適の行為を出力する。修学年数2-3年。