2016/04/22

Rothstein, Dan・Santana, Luz(吉田新一郎訳)(2015)『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』新評論


  • 教育の鍵は,知識よりも問いかけること。
  • 発散思考(たくさんアイディアを出し,幅広く考える),収束思考(答えや結論に向けて情報やアイディアを分析・統合),メタ認知思考(自分が学んだことや考えたことを振り返る)を繰り返し練習する。
  • 3つの思考で身につくスキル:(1)21世紀スキル(情報,コミュニケーション,分析,想像,協働など),(2)イノベーター(好奇心,コラボレーション,統合的思考),(3)社会人基礎力。これらは質問づくりで身につく。
  • 質問づくりの手順
    1. 質問の焦点=質問を考え出す起点となる言葉や文章,教師が事前に設定。
    2. 質問づくりの4ルール提示。
    3. ルールを意識しながら短い時間でできるだけたくさん質問を出す。
    4. Closed/Open questionを相互に書き換える練習をする。
    5. 優先順位の高い質問を1〜3選択(質問づくりのハイライト)。
    6. それを使って次にすることを計画する。
    7. これまでの活動を振り返る(学んだことは何か,どのように学んだか,学んだことをどう応用できるか)。
  • 「最も頻繁に起こるマネジメントの問題は,正しい答えを見つけることができなかったということではありません。よい質問が浮かばなかったということです。」(ドラッカー)。
  • 質問づくりの7段階は,45分からはじめる,なれると10-15分でできるようになる。
  • 質問づくりのアート面
    • 質問の焦点を選ぶ:試行錯誤が必要で常に改善が求められる。
    • グループ活動:常にアート,グループの校正と相互のやり取りが成果を決める。
    • 質問づくりとClose-Openの質問変換:練習で上達する。
    • 優先順位の決定:教師の教え方,生徒の興味・関心・知識・好み・やり取りが優先順位の結果に影響する。
  • 質問づくりの科学面
    • 重要なルールの順守:生徒は自分で質問を作る。
    • 質問の焦点の利用:焦点を示すことで生徒の反応が変わる。
    • 質問を出す4ルール:4ルールが連動すると質問が出やすく創造的になる。
    • Close-Open質問に関する知識
    • 振り返り:3つの問い(何を学んだか,どう学んだか,学んだことをどう応用できそうか)は一貫性のある結果をもたらす。
  • 教師自身が発問するのではなく,質問の焦点を示すことで,生徒自身が質問をつくるようにする。
  • 効果的な質問の焦点
    • 明確な焦点を持っている:課題,テーマ,大切にしたいこと。目の進化(生物),比の仕組み(数学),あなたの権利は憲法で守られている(社会)など。
    • 質問ではない
    • 刺激によって新しい思考を誘発する
    • 教師の好みや偏見は表さない
  • 質問の焦点づくりの5段階
    • 目的を明らかにする(興味関心を喚起する,新しい考えが持てるようにする,扱う内容の理解度を高める,生徒の理解状況を把握する)
    • 可能な限りのアイディアを出す(単純さが大切,文章は短くわかりやすい)
    • それぞれの長所短所を出す(上の4つの基準で評価)
    • 4基準評価からベストの焦点を選ぶ
    • 生徒たちが考える質問を想像する
  • 「拷問は正当化できる」(高校社会科),「公害はボストンの住民に害を及ぼしている」(高校理科),「プレート構造は,地理とコミュニティに影響を及ぼしている」(中学理科),「富栄養化」(高校生物),「目の進化」(高校生物)
  • 質問づくりの4つのルール
    • できるだけたくさんの質問をする。
    • 質問について話し合ったり,評価したり,答えたりしない。
    • 質問は発言の通りに書き出す。
    • 意見や主張は疑問文に直す。
  • CloseからOpenへの変換は容易:5W1Hをあてればよい(5W1Hを含まない時はClose)。
    • 例外あり:大統領は誰ですか?⇔誰が資格を持っていますか?,生徒会はいつ集まりますか?⇔生徒会に適した時間帯はいつですか?
    • CloseかOpenかで合意できないときは,その質問がどのような回答をえら得るかを考えたり,なぜ・どのようにを含む(Openが多い)かを見る。
  • 優先順位のつけ方(5分程度)
    • もっとも重要な/興味深い/探求プロジェクトの計画に資する/質問づくりの目的に適した質問を3つ選びなさい。
    • 決める基準を明確にする:次の活動として,作文作成,調査,探求学習,議論,プレゼン,個別学習など。
    • 基本ステップは(1)3つの質問を選ぶ,(2)優先順位の高いものを選ぶ,(3)選んだ理由を述べられるようにする,(4)クラスに報告する(書き換えたCloseとOpen,3つの質問,その理由の3つを報告)。
  • 質問づくりは多様に使える(新入生オリエンテーションなど,前の学校で経験したものと異なる期待や基準を理解する活動など)。
(質問づくりのあとの活動が微妙)振り返りのプロセス
    • 振り返りの活動を考える(生徒から学びたいこと,生徒に考えて欲しいことは何か?)
    • 振り返りの進め方を決める(個人レベル(3分間シート記入),グループレベル(グループで記録,1人が報告),クラスレベル(教師が振り返りのための質問をして全体討論))。
  • 振り返るための質問
    • 知識レベルの変化を問う:何を学びましたか?,質問できるように学ぶことはなぜ大切ですか?,学んでいる内容について何を学びましたか?,どのように学びましたか?
    • 感情レベルの影響を問う:質問する際はどんな感じでしたか?,自分たちが行ったことでよかったことは何ですか?
    • 行動レベルの変化を問う:質問できるようになってそれを今後どう使いますか?
  • 質問づくりでは例を紹介しない。