- 発問の目的:
- 導入のための問いかけ:経験をたずねる
- 動機づけのための問いかけ:前の時間の学習内容をたずねる
- 学習意欲をさかんにする問いかけ:できない生徒にやさしいことをたずねて自身をつける
- 学習管理のための問いかけ:脇見をする生徒に話したばかりのことをたずねる
- 評価のための問いかけ:予備知識があるか,教えたことが理解されたかをつかむ
- 発問は,学習指導上の価値を持つ,文化的な価値を持つものを問う。
- 大勢が答える発問がよい発問とは限らない。
- 発問を通じて考えることが具体的に意識されている必要がある。
- 「今の発表についてどう思うか」
- 発表の形式,態度,内容のどれを問うかがわからない。
- どう思うかは,自分の考えと同じもの・違うもの,聞いて気づいたこと,全体を通して共通することなど多くのことを思うので重点がわからない。
- 指導の目的と内容が具体的に理解できていないと,発問できない。
- 発問を聞いて考えたくなるものである必要がある。それは,考える価値があると生徒が自覚できるような内容を持つ発問である。
- しかし,あるがままの興味や関心に迎合した発問は,学習の水準を維持しない。
- 相手が現に持っている興味・関心を認めて,それを望ましい方向に伸ばす発問とする。
- 教師が生徒の意識について深い洞察力を持ち,指導内容に行き届いた理解をしていることで発問が支えられる。
- その場で考えて応答するのではなく,引き続いて考えを深めていこうとさせる発問とする。
- 考えさせる発問には,次にどういう発問を加えなければならなかったか,連続的な発展関係を見ないとわからない。(生徒が賑やかに応答するだけではわからない。)
- 「何が書いてあるか」「どういうことがわかったか」「どこがちがっているか」など,何やどうの内容を明らかにしない発問が多い。→ つまりはこうだ,という思いもよらない解答を注入されて面喰らうのがおち。
- 発問内容を具体的に意識できるためには,授業の目標・内容が具体的に捉えれれていなければならない。
- かぐやひめ「幻想的な美しさを味わせる」→幻想的な美しさとは何か,それを味わうとどういう状態になるかに答えられない=適切な発問ができない
- つまり,目標だけでなく,教材内容の分析的・具体的な研究が必要。
- 考えるための基礎知識は発問にしない。
- 考えさせる発問は,考える手がかりを含んだものにする。
- 教える内容は,未熟な学ぶ側から見たときにどういうものであるかを十分検討する必要がある。
- 考える手がかりはそれまでの学習過程にあるため,発問の順序を大切にする。(中核的な発問と補助的な発問で構造化される)。
- 既習事項を能力の中以上の生徒に説明してもらう発問を取り入れる。
- 考え方の筋道を作る意図のもとで発問を用意する。
- 考える目当てをはっきりつかませる:何のために何を考えるのか。
- どこから考え始めたらよいかに気づかせる:はじめから助言して考え始める観点を与えてもよい,考え始め方の重要性に気づかせる。
- 正しい道筋のたどり方をわからせる。
- どういう資料を使うかを助言する。
- 前に経験した考え方を利用させる。
- 常に目当てを見通しながら考えさせる。
2016/04/25
田中久直(1970)『考えさせる発問』明治図書新書60
2016/04/22
Rothstein, Dan・Santana, Luz(吉田新一郎訳)(2015)『たった一つを変えるだけ: クラスも教師も自立する「質問づくり」』新評論
- 教育の鍵は,知識よりも問いかけること。
- 発散思考(たくさんアイディアを出し,幅広く考える),収束思考(答えや結論に向けて情報やアイディアを分析・統合),メタ認知思考(自分が学んだことや考えたことを振り返る)を繰り返し練習する。
- 3つの思考で身につくスキル:(1)21世紀スキル(情報,コミュニケーション,分析,想像,協働など),(2)イノベーター(好奇心,コラボレーション,統合的思考),(3)社会人基礎力。これらは質問づくりで身につく。
- 質問づくりの手順
- 質問の焦点=質問を考え出す起点となる言葉や文章,教師が事前に設定。
- 質問づくりの4ルール提示。
- ルールを意識しながら短い時間でできるだけたくさん質問を出す。
- Closed/Open questionを相互に書き換える練習をする。
- 優先順位の高い質問を1〜3選択(質問づくりのハイライト)。
- それを使って次にすることを計画する。
- これまでの活動を振り返る(学んだことは何か,どのように学んだか,学んだことをどう応用できるか)。
- 「最も頻繁に起こるマネジメントの問題は,正しい答えを見つけることができなかったということではありません。よい質問が浮かばなかったということです。」(ドラッカー)。
- 質問づくりの7段階は,45分からはじめる,なれると10-15分でできるようになる。
- 質問づくりのアート面
- 質問の焦点を選ぶ:試行錯誤が必要で常に改善が求められる。
- グループ活動:常にアート,グループの校正と相互のやり取りが成果を決める。
- 質問づくりとClose-Openの質問変換:練習で上達する。
- 優先順位の決定:教師の教え方,生徒の興味・関心・知識・好み・やり取りが優先順位の結果に影響する。
- 質問づくりの科学面
- 重要なルールの順守:生徒は自分で質問を作る。
- 質問の焦点の利用:焦点を示すことで生徒の反応が変わる。
- 質問を出す4ルール:4ルールが連動すると質問が出やすく創造的になる。
- Close-Open質問に関する知識
- 振り返り:3つの問い(何を学んだか,どう学んだか,学んだことをどう応用できそうか)は一貫性のある結果をもたらす。
- 教師自身が発問するのではなく,質問の焦点を示すことで,生徒自身が質問をつくるようにする。
- 効果的な質問の焦点
- 明確な焦点を持っている:課題,テーマ,大切にしたいこと。目の進化(生物),比の仕組み(数学),あなたの権利は憲法で守られている(社会)など。
- 質問ではない
- 刺激によって新しい思考を誘発する
- 教師の好みや偏見は表さない
- 質問の焦点づくりの5段階
- 目的を明らかにする(興味関心を喚起する,新しい考えが持てるようにする,扱う内容の理解度を高める,生徒の理解状況を把握する)
- 可能な限りのアイディアを出す(単純さが大切,文章は短くわかりやすい)
- それぞれの長所短所を出す(上の4つの基準で評価)
- 4基準評価からベストの焦点を選ぶ
- 生徒たちが考える質問を想像する
- 「拷問は正当化できる」(高校社会科),「公害はボストンの住民に害を及ぼしている」(高校理科),「プレート構造は,地理とコミュニティに影響を及ぼしている」(中学理科),「富栄養化」(高校生物),「目の進化」(高校生物)
- 質問づくりの4つのルール
- できるだけたくさんの質問をする。
- 質問について話し合ったり,評価したり,答えたりしない。
- 質問は発言の通りに書き出す。
- 意見や主張は疑問文に直す。
- CloseからOpenへの変換は容易:5W1Hをあてればよい(5W1Hを含まない時はClose)。
- 例外あり:大統領は誰ですか?⇔誰が資格を持っていますか?,生徒会はいつ集まりますか?⇔生徒会に適した時間帯はいつですか?
- CloseかOpenかで合意できないときは,その質問がどのような回答をえら得るかを考えたり,なぜ・どのようにを含む(Openが多い)かを見る。
- 優先順位のつけ方(5分程度)
- もっとも重要な/興味深い/探求プロジェクトの計画に資する/質問づくりの目的に適した質問を3つ選びなさい。
- 決める基準を明確にする:次の活動として,作文作成,調査,探求学習,議論,プレゼン,個別学習など。
- 基本ステップは(1)3つの質問を選ぶ,(2)優先順位の高いものを選ぶ,(3)選んだ理由を述べられるようにする,(4)クラスに報告する(書き換えたCloseとOpen,3つの質問,その理由の3つを報告)。
- 質問づくりは多様に使える(新入生オリエンテーションなど,前の学校で経験したものと異なる期待や基準を理解する活動など)。
- 振り返りの活動を考える(生徒から学びたいこと,生徒に考えて欲しいことは何か?)
- 振り返りの進め方を決める(個人レベル(3分間シート記入),グループレベル(グループで記録,1人が報告),クラスレベル(教師が振り返りのための質問をして全体討論))。
- 振り返るための質問
- 知識レベルの変化を問う:何を学びましたか?,質問できるように学ぶことはなぜ大切ですか?,学んでいる内容について何を学びましたか?,どのように学びましたか?
- 感情レベルの影響を問う:質問する際はどんな感じでしたか?,自分たちが行ったことでよかったことは何ですか?
- 行動レベルの変化を問う:質問できるようになってそれを今後どう使いますか?
- 質問づくりでは例を紹介しない。
2016/04/21
早田幸政(2015)『大学の質保証とは何か』エイデル研究所
山田礼子「学修成果から見た高等教育の質保証」
- AHELOがモデルにした試験:Collegiate Learning Assessment,多肢選択でない,クリティカルシンキング,分析的理由付け,問題解決,文章表現を包摂した能力評価試験。
- スペリングスレポート:大学4年間の学修成果の指標として,標準テストの導入と測定結果公表が機関のアカウンタビリティであると指摘。
- Institutional Effectiveness:各機関が応じたミッションを定義し,目標を設定し,達成することを推進していくことを示唆するもの。⇔ スペリングスレポートによる明確な学習成果提示要求。
濱名篤「教学マネジメントからの質保証」
- 教学マネジメント(Management of teaching and learning):(1)学長を中心とする副学長・学長補佐・学部長・専門スタッフがチームを構成,(2)DPの下で学生に求める能力を学士課程を通じていかに育成するかを明示,(3)ここの授業科目がどの部分を担うかを共有して,授業科目間を連携させた組織的教育を展開,94)プログラム共通の考え方と尺度に沿った成績評価,(5)その結果を踏まえたプログラム改善。
- アメリカの教学マネジメント:理事会の承認した政策と手続きの範囲内で,大学の効果的な運営・目標達成・資源活用,教育・研究・サービスの最高水準の創造的支援を果たすこと。
- 潮木:教員を外さないと,カリキュラム改革はできない。濱中:社会で求められる知識は学問体系の中で確立したものではなく,職業や生活の場に即した知識生産のための知識。
佐藤浩章「大学教育の質保証を担う大学教員の教育能力の質保証」
- 設置基準14条:「教授となることのできる者は(中略),大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とする。」抽象度が高く,能力が何であるかは,各大学に裁量がある。
- 新潟大学の教育能力基本枠組み:(1)大学・学部の教育理念・目標・社会ニーズに照らした教育プロセスの設計を行う,(2)学生の学習を促進する授業の実践および運営を行う(指導,支援,成績評価,フィードバック,学習環境づくり),(3)学生のがくしゅしゃ教職員間の学習を尊重したコミュニケーションを行う,(4)大学教育の専門職業人として教育改善・自己開発を行う(加藤 2010)。
船戸高樹「職員が大学の質保証にどのように関わるべきか?」
- ラーニングアウトカム(UCLA):(1)Curricular・Academic(授業を通じて習得する学術的な知識),(2)Co-curricular・Academic work(インターンシップ,学外調査など教員の指導のもとで行う学術活動で得る能力),(3)Extra-curricular・Non academic(スポーツ,サークル,ボランティア等を通じて得る能力・スキル)。
齊藤貴浩「大学の質とグローバリゼーション」
- U-Multirank:トウェンテ大学CHEPSが開発。ランキングよりも情報公開。
座談会
- 学部の考え方を変えないといけない。学部で専門教育と一般教育と職業教育を行うのはバランスが取れない。組織自体を見直すべき。
- AHELOのような成果をそのまま測定することは非常に難しいことがわかった。結局そのままでは使い物にならない。大学が何を意図して教育するかが重要。
- 学長のリーダーシップよりも学内の意思決定,執行のメカニズム全体の問題。学長を強調しすぎ。学部と教育プログラムの関係こそが重要。
2016/04/20
「変わる高校と大学改革」『IDE現代の高等教育』No.579,2016.4
東谷保裕「国際バカロレアは日本の教育を変える「黒船」か?」
深堀聡子「米国における高大接続の取組」
大崎仁「大学自治とアカデミック・フリーダム」
- 国際バカロレア:16-19歳対象のディプロマプログラム
- 10の学習者像:探求する人,知識のある人,考える人,コミュニケーションができる人,信念を持つ人,心を開く人,思いやりのある人,挑戦する人,バランスの取れた人,振り返りができる人
- DPカリキュラム
- 6つの知識:言語と文学(母国語),言語習得(外国語),個人と社会,理科,数学,芸術。うち3-4科目を上級レベル(大学初修レベル)で履修。
- 3つの必修(コア):課題論文(英4000語,日8000字),知識の理論(Theory of Knowledge,哲学に似た科目,知とは何かなどの命題に自分なりの解答をみつける),創造性・活動・奉仕(CAS:Creativity,Action,Service,土日放課後の課外活動,ボランティア等)
- IB試験:年2回5月11月世界一斉実施,日本は3年次11月。論述式試験。(歴史:アフリカまたはアジアで21世紀に誕生した国家を1つ選び,その主要な国内問題とそれらがどの程度解決されたかを論ぜよ)。
- 授業手法は,議論,プレゼン中心。
深堀聡子「米国における高大接続の取組」
- アドバンスト・プレイスメント:大学の一般教育科目相当科目を,高校教員が高校生を対象に提供するプログラム。
- 大学教員が高校や大学で高校生を教えるのは,デュアルエンロールメント。
- APは,一般教育科目を通して学生に身につけさせたい知識や能力について,高校教員と大学教員の間の共通理解形成に寄与するため。
- APは,高校教員と大学教員が共同で開発したCourse Descriptionに基づいて,高校教員がシラバス(指導案)を作成する。
- もともとは優秀生徒向け大学先取りプログラム(1955)→ 幅広い優秀生徒向けプログラムへ。
- AP科目:社会科学(9),自然科学(11),芸術(5)言語・文化(8),英語(2)統合学習(2)の37科目構成。高校での開設には,各科目について担当教員が作成したシラバスと審査書類をカレッジボードへ提出して認定を受ける。シラバスは大学教員がレビューして適切な範囲・水準であることを確認。AP教員への研修もある。
- AP履修生とは,5月のAP試験を受験できる。AP履修記録は積極性の証明,AP成績は学力指標として使える。
- AP受験生は,大学での成績が良いという研究が多数ある。
- ほとんどの州立大学で理事の任期をずらし,時の州知事の意向に沿う理事が理事会の多数を占めることを防止している。
- 理事会は大学の代弁者と州政府の代理者の2つの顔を併せ持つもの。
- 日本国憲法の学問の自由(大学自治の根拠)は,アカデミック・フリーダムに由来。これは,19世紀ドイツに確立したドイツ大学の教授の自由に由来する。
- アメリカは1940年のアカデミック・フリーダムとテニュアの原則の声明が節目,大学教員が持つ3つの自由は,研究と研究発表の自由,教室における教科に関する討議の自由・市民として発言し文書を書く自由,制度的検閲や不当な制裁を受けない自由。
- アカデミック・フリーダムの中核は教員の身分保障。
- 大学自治の本質的要素(バダール):スタッフと学生を選び大学に受け入れる条件を決定する自由,カリキュラムの内容と学位の基準を決定する自由,使用できる資金を異なる使途に割り振る自由。
- バダールの2つの自治:実質的自治=大学が団体として自身の目標とプログラムを決定する権限,手続的自治=大学が団体としてその目標とプログラムを遂行する方法を決定する権限。
- Facultyは専門分野ごとに組織されたデパートメントに属する教員集団=教授会。
- 教授集団の意思決定過程への参加なしに,アカデミック・フリーダムの保障は困難。大学自治の主役は教員集団。
2016/04/19
「大学組織と教育組織」『IDE現代の大学教育』No.578,2016,2-3
金子元久「大学組織と教育組織」
徳永保「学位プログラム制の導入提案に至る経緯とその後」
湊長博「大学の組織改革 京都大学の事例」
伊藤眞「筑波大学における学位プログラムと教育改革」
三島良直「東京工業大学における教育改革」
芝田・高橋「九州大学の学府・研究院制度」
田中義郎「「教育最優先」の桜美林大学の仕掛け」
大崎仁「大学運営のメカニズム第2回 大学設置法人」
- 学部は意思決定の基本単位・教員所属・学生所属の三位一体組織。
- 国際的には,大陸欧州の学部型と,英米大学のデパートメント型。
- デパートメントは教員組織,教育はプログラム単位(デパートメント直結でない)
- 日本は自己完結性が強い独自の特徴がある。帝国大学が分化大学で構成されたため。
- 学部型の長所:管理運営の安定(=意思決定の移譲・参加),教育への積極的参加など
- 学部型の短所:学術体系で規定される知識と学生が必要とする能力がずれる。結果として,専門知識が卒業後に意味を持たない=教育目標・教育方法の設定が曖昧になる。教育課程の柔軟な編成が困難→環境・政策・国際学部。
- 社会的な需要を基礎として成り立つべき教育機能が,教員組織が固定化されることで需要に応じられなくなる。→ 教員の帰属組織と学生の帰属組織を固定的・限定的なものから間接的・開放的なものへする必要がある。(教教分離)。
- 教教分離の目的は,3Pに基づく教育プログラムの確立にある。
- 教育プログラムや学位プログラムが多用される割に,正式な用語でなく,長期的に用いられる標準用語の整備が必要。
徳永保「学位プログラム制の導入提案に至る経緯とその後」
- 学位プログラムへの移行が必要な背景は,大学の教育研究体制を学問の進展に応じたものとし,国際的な大学間競争に耐えられるようにするため。
- 設置基準に「一の専攻に限って専任」という規定があった
- 大学が提供する教育の質の保証を効果的・効率的に行うなら,学位プログラム制が最も簡便(なぜ?)。その場合,大学全体の教員数や施設面積を公的に担保する仕組みはあっても,具体的なプログラムに関する条件整備保証は大学の責任に委ねられるべき。→ そこで,教育情報の公表制を導入(=鵜飼作戦)←公的システム(設置基準・認証評価)とともに,学修成果の保証を基本とする教育の質保証を構成する。
湊長博「大学の組織改革 京都大学の事例」
- 京都大も2016.4から教教分離,41学系,4学域(人文・社会,自然科学,医・薬学,学際)+全学教員部
伊藤眞「筑波大学における学位プログラムと教育改革」
- 筑波大は,特別入試(推薦・グローバル)以外に,大括り入試を行う。
三島良直「東京工業大学における教育改革」
- 東工大は教育革新センターを設置,目的は(1)教育の質保証体制の構築,(2)教育能力の開発,(3)教育学習環境の開発
- (1)系・コースのカリキュラム設計,授業の設計,シラバス作成の基準策定,達成度評価手法の確立,海外有力大学との教育ベンチマーク実施
- (2)教員・職員・TA研修,海外大学チーム招聘による英語授業実施方法研修,教育手法開発
- (3)アクティブ学習企画推進,学習スペース企画運営,ICT活用教育,オンライン講義開発,MOOC(edX)開発
- Eberly Center,BerkeleyのCTLが,学生の学修過程の多様なデータを収集・分析して,学生の達成度評価のあり方を検討している。
- 学院長(部局長)は学長指名を2015.4から実現。
芝田・高橋「九州大学の学府・研究院制度」
- 九州大の教教分離は,教育と研究の組織最適化の矛盾がきっかけ。
- H11年の学校教育法改正,大学院に「研究科以外の教育研究上の基本となる組織」を置くことが可能になる。
- 当初は,研究院と学府を1対1でスタート。
田中義郎「「教育最優先」の桜美林大学の仕掛け」
- 今の時代は,大学とは若者が人生を豊かにするための準備の機会,自己実現のための助走の期間,競争に打ち勝つものではない。
- 桜美林は教養教育を担うユニバーシティ・カレッジ,First College(基盤教育)を発想。ユニバーシティ・カレッジでは,あらゆる学びの基盤としての教養を強化するためIntegrated Core(統合的中核)アプローチを具体化したかった。
- それには,教職員の自分たちの職責に対する理解と実践が不可欠だが,多くの人がアメリカ教育を経験していない+実践的(practical)と職業的(vocational)を混同している風潮が阻害。
大崎仁「大学運営のメカニズム第2回 大学設置法人」
- 大学のガバナンスとは大学の管理運営体制のこと。
- Middlehurst(HEQ 2013.6):ガバナンスの定義は,異なった文脈で異なった解釈が自由なので,慎重に取り扱う必要があるが,それらの解釈は通常,大学レベル・システムレベルの意思決定の構造と過程という意味を含んでいる。
- → ガバナンス=意思決定の構造と過程 ← 管理運営よりはよい
- 法人を動かすのは人=法人の機関という概念ができる(=ロボットを動かす装置に対応)。機関は人そものも,機関となった人は,機関の役割・権限の範囲で行動する。意思決定のためには法人を代表する機関も必要。実際はその職につく人(=職員)が法人を実際に動かしている。
- その結果,意思決定・代表・執行・諮問・監査の順に,
- 学校法人:理事会・理事長・理事長と理事・評議員会・監事
- 国立大学法人:学長・学長・学長と理事・経営評議会と教育研究評議会・監事
- 公立大学法人:理事長・理事長・理事長と副理事長と理事・経営審議会と教育研究審議会・監事
- 欧米諸国はほとんどが法人格を有すが2パターン:大学自体が法人(大陸欧州)と,大学の管理機関が法人(英米)。
- ドイツは学長が法人である大学の代表機関,ただし,教授・他の教員・職員・学生の代表で構成される管理機関が学長の選考・学期の制定・予算の決定などの決定権を持つ=遮断としての意思決定構造。
- アメリカは理事会を法人として,大学の管理運営を委託する。
- イギリスはpre92は大学自体に法人格。post92は高等教育法人がそのまま大学を管理する。
- 国立大学法人は,学長が意思決定機関・代表機関・業務執行の統括機関=学長の意思決定と行動を法的に拘束する学内機関は存在しない。
2016/04/18
「2020年への展望」『IDE現代の大学教育』No.577,2016.1
里見進・村田治・常盤豊・金子元久「2020年への展望」
金子元久「2020年までの課題」
浦田広朗「18歳人口の変動と高等教育需要」
豊田義博「大学・大学院で学ぶ社会人が倍増する日」
北村友人「高等教育の国際化と域内連携」
大崎仁「大学運営のメカニズム第1回 大学の管理と大学自治」
- ヨーロッパで主要なコンピテンシー抽出=学習する力,知識を実践に適用する能力,分析と総合の能力の3つ。(松下)。
- 東北大は20%がAO入学,追跡調査でAO入学者の卒業時成績が良い → 制度拡大を検討。
- 高度教養教育・学生支援機構=6つの素養を大学院までの長期スパンで習得するよう,学年ごとの授業内容の明示をした。
- 1点刻みの入試をやめるためには定員に幅が必要なのと,定員管理の厳格化の矛盾問題。
- 卒業判定基準を作る難しさ:九九はOK,50メートル走のタイムは共通の到達点ある?大学の場合は,各大学の見識の中で具体的な卒業基準をつくるしかないのでは。それか,研究者がモデルを示せ。
- 達成度そのものを評価するのは無理ではないか(教科とは違う)。だから,学生の学習時間,授業評価,将来目標などの基本情報の把握が不可欠。
金子元久「2020年までの課題」
- 学習時間増加への具体的方向は明確でない。シラバスなどの小道具+3Pや参照基準などは整備しつつも,それらは大学教育の現実に直接触れるものではない。
- 教育を専門に限定しないための教育プログラム化問題(=組織問題)が未解決。現行設置基準は学部学科を基本単位としているのも一因。
浦田広朗「18歳人口の変動と高等教育需要」
- 18歳人口の減少は不安であるものの,実際に募集停止・廃止に至った大学が広がっているわけではない。学生が減った分,学費をあげることも可能。
- 過去の18歳人口減少は2回:1966-1976の減少(249万→154万)と1992-現在(205万→85万)。
- 2020年までの減少は緩やか,その後は急減。
- 進学率50%:進学率の高い集団と低い集団が存在し,その中間の値を示している(≠18歳人口の半分が進学)。それが意味することは
- (1)地域間格差(35.1%:72.8%東京),その背景に,大学教育の供給量+大学教育費用負担のための所得水準
- (2)男女間格差(2015時点,男55.4%,女47.4%)。背景に同じく経済負担問題。
- (3)年齢間格差
豊田義博「大学・大学院で学ぶ社会人が倍増する日」
- 社会人大学院は,仕事に関する知識を学んだわけでもなく,処遇も変わらない実態の一方で,個人には仕事により生き生きと取り組んだり,自己申告制度で希望する仕事へ移るなどの自己変容(職業人生における主体性の確立)が起こる。→ 大学院はキャリア自律を促す可能性あり。(← 因果が逆だと思われるが。)
北村友人「高等教育の国際化と域内連携」
- 世界中で域内留学が増えている。
- ASEAN+3が学生の移動に関するガイドライン作成(単位互換と質保証の最低基準提示)。
大崎仁「大学運営のメカニズム第1回 大学の管理と大学自治」
- EUAが2011年に,26カ国の大学自治(組織・財政・人事・教学の自治)の得点表を公表。1位はイギリス。
2016/04/15
「女性が活きる大学」『IDE現代の大学教育』No.576,2015.12
濱中
杉谷
- 進学中堅校女子にとって経済的要因は進路選択に影響を与えていない,専門領域の希望と成績が有意な効果を持つ。
- 教育・保育,食物・栄養・調理を考えると短大が選ばれる傾向,医療・看護・保険,食物・栄養・調理を考えると専門学校を選ぶ確率が高まる。
- 進学中堅校女子の成績:大学進学を促す効果,専門領域への強い関心が大学進学を遠のかせる効果がある。労働市場を冷静に見た結果でもある。
杉谷
- ディープアクティブラーニング:学生が他者と関わりながら対象世界を深く学び,これまでの知識や経験と結びつけると同時にこれからの人生につなげていけるような学習。
- アクティブラーニングの問題:知識と活動の乖離,両者の関係づけの困難さ。内化と外化が不可欠。
2016/04/14
「私大経営の展望」『IDE現代の大学教育』No.573,2015.8-9
河田悌一「私学経営の展望と期待」
瀧澤博三「私学に何が求められているか」
近藤治「2015年入試からみえるもの」
- 私大定員問題のポイント
- (1)未充足=経営悪化ではない,歩留まりを謝ることもあるし8割程度でやっている大学もある。
- (2)一度定員割れすると回復に時間がかかる。
- 財務はフローに加えてストックも重要,施設等は全て自前で調達しなければならない=計画的な資金留保が肝要。
- 今後の経営に求められること
- (1)ガバナンス体制の確立,プロによる経営。ダイナミックな改革には力強いリーダーシップが必要なため。(本当か?)理事会は長期ビジョンを教職員に示す責務あり。
- (2)監事機能強化。
- (3)学長のリーダーシップ発揮を支える人材育成(URA,IRer,産学官連携Coorder,AOer,CurrCoer,弁護士・弁理士,広報,翻訳)。
瀧澤博三「私学に何が求められているか」
- ガバナンス改革=改革内容から方法論への問題変化。要するに案はあっても実行力がないとだめ。
近藤治「2015年入試からみえるもの」
- 一般入試の倍率をみると,国公立離れ,私大志願者増が見える。ただし,国立は実数,私立は延数なので,受験機会の複数化積極策の成果でもある。
IDEに登場する早稲田の改革熱と逆に,世間の評判はIDEでほとんど書かれない慶應の方が高いのはなぜ。
2016/04/13
「国立大学法人第3期を考える」『IDE現代の大学教育』No.574,2015.10
佐々木毅「大学と政治の時間軸」
山極壽一「国立大学の将来を考える」
北山禎介「国立大学改革に期待すること」
(学内研究者に限定した基盤A・B科研を作ったらおもしろいはず。)
金子元久「国立大学の活路」
有川節夫「第3期中期目標機関におけるいくつかの課題」
- 組織を考える時に鍵になるのは時間軸,あらゆる組織に時間軸が同居しており,その整理が組織運営上の第一の仕事。政府や政治は単年度予算や解散のために短期志向。大学は長期の時間軸で成り立つ組織。
山極壽一「国立大学の将来を考える」
- 世界の大学の3つの異なる設立歴史:(1)欧州=教養ある貴族・市民を育てる目的(職業訓練は大学と別),(2)北米は個人の能力を高める目的(市民や企業の資金を集めて作り,職業教育もする),(3)アジアは王国に仕える官僚養成が目的(高い教養を求め,大学は狭き門,受験競争あり)。
- 国立大が5教科7科目を課すのは,一定水準以上の学力を持つ学生を総合的に選別し,その能力を高めて洗練された市民として送り出すことを共通の使命としているから。
- 国立大は,欧州のような共通テストで学生負担を減らして受け入れる方向も,米国のような私立主体で自己資金を大きく増やす方向にも進めない。
北山禎介「国立大学改革に期待すること」
- PDCAサイクルを環境変化に対応できるスピードで回すことが重要
- (PDCAを語る際には,技術の曖昧さに注目する必要あり,Doが遅いのは技術確率に試行錯誤が必要なためでは。)
(学内研究者に限定した基盤A・B科研を作ったらおもしろいはず。)
金子元久「国立大学の活路」
- これまでの国立大学の存在意義:(1)先端的な研究・教育,(2)教育機会の均等化,(3)社会の要求の実現(戦後の教員養成,高度成長期の理工系拡大,福祉国家化における地方医大拡充)
- これらは今批判されている:私大との歳が相対化している,国立大の学術的権威の相対化
有川節夫「第3期中期目標機関におけるいくつかの課題」
- 国際共著論文を増やすために,海外のパートナーを訪問する際に大学院生を帯同させ,教員が帰っても院生を残す仕組みができないか。
2016/04/12
「文系の危機」『IDE現代の大学教育』No.575,2015.11
佐和隆光「人文社会系学部の反省と展望」
猪木武徳「大学と産業の距離について」
天野郁夫「国立大学と文系学部」
石井洋二郎「文部科学大臣の通知と人文社会的教養」
野家啓一「文系の危機と教養教育」
竹内洋「反知性主義的空気と大学改革」
永里善彦「企業から見た文系学部」
両角亜希子「文系学部のプロフィール」
- かつての文系学生は,古典の読解に挑戦した。スミス,マルクス,ケインズ,フリードマン,スティグリッツ,ピケティ。マクロ・ミクロ・計量の触りを学ぶだけではほとんど役に立たない。
- 人文系でランキングを上げない限り,世界ランキングは上がらない。ランキング上位校は人社系に重点を置いている。
- オックスフォードの人気学科は歴史学科。若い時に歴史学を徹底的に叩き込んで官僚や外交官になる,まさに大学でしか学べない。経済や法律はOJTでも学べる。
猪木武徳「大学と産業の距離について」
- 大学はその比較優位から考えて,実践的な教育研究ではなく,自由学芸を守ることによってしかその存在価値を維持できなくなる時代がくると考える。
- 100年のスパンで見れば,科学知識や技術情報は,民間研究所など大学以外の場所で生まれる可能性はさらに高まる。
- 大学は,半端な職業教育ではなく,数理的思考と言語表現を核とした教養教育に力を注ぐのが賢明ではないか。
- 社会で直接役に立つ知識や技能は,大学教育によってではなく,実際の仕事を通じて獲得されるものがますます多くなる。
- 教養教育か実践的専門教育かの2択ではなく,バランスのとれた教育(=自由学芸を守るために社会に順応する大学)が必要。そのためには,大学が自律的に目標とビジョンを持つ必要がある。
天野郁夫「国立大学と文系学部」
- 旧制高校はリベラルアーツを重視する英米カレッジに似た教養教育の場という指摘は違う。実際は帝国大学で学ぶための大学予科,外国語の教育に多くの時間を割かざるをえなかった。
- 帝国大学は理系実学人材養成としてスタート,人社系重視が広がり始めた頃に昭和に入り,戦争で再度理系人材重視へ。戦後は米国の指導で文系充実,しかし旧帝大は依然として実質的な理工科大学。
石井洋二郎「文部科学大臣の通知と人文社会的教養」
- 佐和氏の指摘:人文社会系の学識なくして批判精神なし。ゆえに全体主義国家は必ずや人文社会知を排斥するし,人文社会知を軽視する国家はおのずから全体主義国家に成り果てる。
- 通知内容:特に教員養成系学部・大学院,人文社会科学系学部・大学院については,十八歳人口の減少や人材需要,教育研究水準の確保,国立大学としての役割を踏まえた組織見直し計画を策定し,組織の廃止や社会的養成の高い分野への転換に積極的に取り組むものとする。これがゼロ免課程だけを対象としているとは読み取れない。
野家啓一「文系の危機と教養教育」
- 今回の通知を待つまでもなく,文系大学院の再編は必至で,従来の研究者養成カリキュラムでは立ちいかないことは自明。少なくとも修了後に国連や世銀で活躍できる教育システムを導入せねばならない。
- リーディングプログラムのオールラウンド型に採択されたプロジェクトは,例外なく大学院における文理連携型の教養教育を組み込み実施している(思修館・八思教育(京都大),道場教育(東工大))。
竹内洋「反知性主義的空気と大学改革」
- 1879年伊東博文の教育議:高等生徒を訓導するときは,宜しく之を科学に進むへくして,之を政談に誘ふべからず。政談の徒過多なるは,国民の幸福に非ず。師弟たる者をして,高等の学に就かんと欲する者は,専ら実用を期し,面して浮薄激昂の習を暗消せしむへし,蓋し科学は実に政談と消長を相為す者なり。
- 知能(インテリジェント)=物事を処理し適応する頭脳の優秀さ。把握し,処理し,再序列化し,適応する。
- 知性(インテレクト)=頭脳の批判的,創造的,思索的側面。吟味し,熟考し,疑い,理論化し,批判し,創造する。
永里善彦「企業から見た文系学部」
- 文系に専門性は期待していない。大学で学んだ知識ですぐ役立つことを期待していない。
- 求める人材像は,(1)自分で考えて自分で動ける,(2)高い理想と独自の発想力を持ち,その実現に向けて周囲を巻き込みながら自ら変革を起こし,やり抜くことができる。
- 大学で勉強してほしいことは,ものの考え方と方法論。論理的思考力と情報収集力・コミュニケーション能力がないと会社で成長できない。自分の仕事を客観的に評価できる人を求める。
両角亜希子「文系学部のプロフィール」
- 学部名称の多様化の一方で,伝統的な学部が減少したわけではない。順位の入れ替えはあっても,91年から13年までで,経済,文,工,法,経営,看護,医,薬,教育,理が多い。
2016/04/11
「大学の夏休みの活動」『IDE現代の大学教育』No.572,2015.7
吉田文「大学と夏休み」
伊藤公平「4学期制サマープログラム実施に関する工夫」
- 夏休みの起源は,中世ヨーロッパ修道院で,夏季の勤行の省略化。大陸欧州の短い夏に十分に太陽を浴びるための知恵。
- 日本の高温多湿が勉学にそぐわないという説明は後付け。外国人教師が多かった東京開成学校は教師が夏休みを権利として主張した。近代以前の日本には盆休み以外に長期休暇の慣行はなかった。
- 初中等の学年始期の4月統一:会計年度と徴兵制に合わせたため。→ 夏休み中にいかに学習を継続するかが課題=夏休みの宿題は輸入した慣行と日本の制度のズレを埋める策
- 大学の学年始期は長らく9月=休みに休まない策を立てる必要がなかった。
- 官立私立を問わず1学年が10ヶ月で構成されていた。9/1に始まり7/10に終わる(帝国大学)。学費も10ヶ月分。
伊藤公平「4学期制サマープログラム実施に関する工夫」
- 3年生に限定した4学期制自主導入
- 4学期制の導入は留学促進ではなく,3年生全体に対する教育効果向上を目的として合意形成。
- 正規の2学期制に迷惑をかけない=時間割表の2学期維持(前半後半表示),履修人数が同程度の科目同士のペアで週2回利用の教室が適正という納得を得る
- 1年生の必修科目が多い,1年から4学期だと入学から2ヶ月で期末試験などに配慮。
2016/04/08
「大学研究費の危機」『IDE現代の大学教育』No.568,2015.2-3
橋本和仁「イノベーション政策と大学研究費」
金田章裕「人文学の経費と補助金の課題」
- 70年代後半のアメリカで公的研究費が急激に落ち込む。80年代に知的基盤経済を大学の核として乗り切る戦略を立て,大胆な大学改革と研究資金改革を行う。これが現在の国際的に強い米国大学につながる。
- デュアルサポートの方向性:世界水準の大学は競争資金の割合を高める,地域貢献の大学は基盤経費の割合を高める。その際の競争資金の間接経費は,学長裁量経費に位置づけるべき。
金田章裕「人文学の経費と補助金の課題」
- 画一的管理は評価になじみやすいが,多様性を阻害する要因でもある。共通の明示的目的がある場合以外で確率的管理を行うと,定められた目的をめぐる競争しかおこらず,結果的に成熟度の低い成果しか生まない。
2016/04/07
「大学と職業教育」『IDE現代の大学教育』No.570,2015.5
金子元久「大学ー職業リンクの再構築」
梅崎修「迂回投資としての大学教育」
大橋秀雄「工学教育と職業教育」
- 中世の大学は職業教育機関。この関係は近代で崩れる。職業と大学がそれぞれ独自の論理で発展したため。
- 職業側:高度の知識を要求する職業の拡大=農学・工学=何らかの組織に属して職務遂行,職務に必要となる知識・技能が明確に定義されない+ホワイトカラー=大学で学んだことをそのまま使うのではなく,企業で使う知識・技能を獲得する基礎を期待 ⇔ 医師等は一人で職務遂行
- 大学側:フンボルト理念=大学の教育は学術を基礎とする
- 双方が拡散したため,不可視化し,両者の媒介となる知識・技能のあり方の理念が曖昧になる=大衆化の進む過程
- 日本的特質として,職務に関する知識・技能は,組織に組み込まれて存在=専門知識を持つ大卒者でも独立性が弱くなる。→ 企業間に生産性の格差がある → 学生は生産性の高い企業への就職を求めて競争する → 企業側は職務上必要な知識・技能を明確に定義できない → 大学の入学選抜制に沿った採用
- 大学では戦後も学部縦割り組織が維持されたため,教育は専門性で分割されて実施 → 職業と大学教育の乖離
- 問題の根源は社会と大学の双方にあるが,その責任は大学の側に求められている
- 新しい分野で活躍するには,新しい知識が必要=企業組織にも十分ない → 各自が新しい専門知識を獲得することが新産業形成の条件=サービス分野の活動の拡大。
- アメリカのデパートメントとプログラムの関係が,柔軟な教育を可能とする。それを仕立てる経営力,教員へのインセンティブ,実務家教員活用と,これらを束ねるガバナンスが必要。さらにそのプログラムの質保証メカニズムも必要。
梅崎修「迂回投資としての大学教育」
- 経験学習と教育経済学が接続していない:本来は大学教育×OJT→賃金,しかしOJTが実証上のブラックボックス(大学教育→生産性→賃金で分析してしまうのが現状)
- The Art of the Sale:営業は知識の学習ではなく,態度や技の習得=OJTが中心,大学では教えない。
- Kolbの経験学習=内省力,抽象化力,実験力を高めればOJTの効果も大きくなる。大学教育はこれらを高められる。
- 大学教育で職業訓練を重視すると,短期的な直接効果を過大評価し,迂回効果を過小評価する。
大橋秀雄「工学教育と職業教育」
- 技術に関わる人:Engineer, Technologist, Technicianに分類(国際エンジニアリング連合)
- Engineer=自ら問題を設定して,思考と判断に基づいて最適解を探り,結果を書かれたものとして出力する。修学年数4-5年。行動な数学や理論化学の科目を含む,将来研究・開発設計にあたる。
- Technologist=両者の間を埋めて集団として仕事の流れを円滑・最適化する。修学年数3-4年。建設,製造,製品設計,検査,技術サービス,販売の仕事に就く。数学は三角関数などの実用数学。必要な学習を加えるとマネジャーへ進める。
- Technician=指示に正確に従い,時間的空間的制約のもとで最適の行為を出力する。修学年数2-3年。
2016/04/06
中村公一(2010)「専門組織と経営戦略 -戦略策定能力から戦略実行能力の向上へ-」『経営力創成研究』6,73-85
- 専門組織(専門部署):通常のライン部門ではなく,特定の課題に対応するために設置した,より専門性を高めたスタッフ部門
- 専門化の長所
- 複雑な仕事を比較的単純な仕事に分ける=熟練度の低い人でも実行可能
- 特定範囲の仕事に集中,責任の明確化,重複作業解消,能率向上
- 専門化の短所:仕事の単調化,人員の固定化,組織内の対立
- 専門化のプロセス:専門担当者の配置 → 専門チーム化(プロジェクトチーム・委員会) → 専門部署化(それが恒常的に必要と認識した時)
- 研究の焦点は,なぜ経営企画部が設置されるのか。
- (1)不確実性への対応能力の強化
- 組織が適切な行動を展開するには,意思決定の際に十分な情報処理を行う必要がある。
- 環境の不確実性に効果的に対処する際,各部署が特定の部分環境を専門的に対象にする=組織内で分化(部門間で組織メンバーの思考様式や価値観が異なり,部門内の構造や文化の相違が大きくなること)
- → 部門間の統合を専門の職能とする統合担当者や統合部門を設置
- (2)経営者層の意思決定負担の軽減
- 事業の多様化 → 事業部制・分権化 → 部署最適化 → 経営者の戦略策定サポート,全社的視点の調整作業を経営企画部が行う+経営者の負担軽減,より重要な経営課題に集中
- (3)知識・ノウハウの蓄積
- ナレッジマネジメント=戦略関連の暗黙知をミーティングやOJTで共有化
- M&A=頻繁に経験しない特殊な戦略=M&Aに関する知識が存在しない → 専門部署は経営者層・管理者層・一般従業員層へ異なる経営教育的アプローチが求められる。
2016/04/05
山田直(2016)「学生への授業体験アンケート調査」『英国大学事情・2016年第2号』158号
- 授業への満足度;満足87%,期待ほどでない12%
- 期待ほどでない理由:学生自身が授業に打ち込む努力の欠如=学生は自分自身を受動的な「顧客」と見ているという一般的見方への重要な反証。
- 教員への期待:「授業方法の訓練を受けていること」39%,「教育プロフェッショナル,または産業界での経験がある」44%
- 「活発な研究活動を行っていること」はあまり重要度が高くない(54%が3番目に回答)
- 3人に1人は「現在の状況を事前に知らされていたら異なる授業を選択した」(受講開始前に与えられた情報が不明瞭=21%,誤解を与える=10%)
- Higher Education Policy Institute1(HEPI)とHigher Education Academy共同実施の学生アンケート調査(15129フルタイム学士学生回答)
2016/04/04
船守美穂(2014)「反転授業へのアンチテーゼ」『主体的学び』2,3-23
- 反転授業の始まり:カーン・アカデミー → MOOC → 教員リストラ圧力 → 受講生のためのオンライン教材
- MOOC:教育提供手段の効率性向上がポイント(背景に財政難あり)
- 期待を集める背景:初中等=完全習得学習への期待,大学=学士力や社会人基礎力につながるとみられている(生涯主体的に学ぶ)。(?)
- 現状は反転後のクラス活動の設計が雑。
- 「反転授業」自体は授業と宿題の役割を反転させるということ以上の意味はなく,特別の学習効果を期待して開発された教育手法ではない。→ どのような学習効果を期待するのかにフォーカスすることが重要。
2016/04/01
高大接続システム改革会議「最終報告」
- これからの時代に身につけるべき力
- 十分な知識・技能
- それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力
- これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
- (現行学習指導要領にも述べられている)
- 全ての教育活動において学びの「プロセス」の充実を重視して取り組み,それらを多面的に評価する ← そのために高大の教育と接続を改善する。
- 高校:高等学校教育の多様性に対応した「高等学校基礎学力テスト」を導入。
- 大学:三つの方針に基づいて多様な学生が新たな時代の大学教育を受けられるようにする。
- 高大:「知識・技能」を基盤とした「思考力・判断力・表現力」を中心に評価する「大学入学希望者学力評価テスト」を創設。
- 次期高等学校学習指導要領:平成34年度入学生から。
- 平成31〜34年:「高等学校基礎学力テスト」は「試行実施期」=大学入学者選抜や就職には用いない,学習改善に用いる。
- 平成32〜35年:現行学習指導要領下で「大学入学希望者学力評価テスト」
- 高等学校基礎学力テスト
- IRTの活用=CBTの導入
- 絶対評価型試験(目標に準拠した評価)
- 1科目の試験時間は50〜60分,インハウス実施,受験料数千円
- 民間業者活用
- 大学教育
- 多様な学生が主体性を持って双方向的に学び,多量のリーディング・アサインメント等に取り組みつつ「学力の3要素」を十分に育み,より広く深い学修を重ねることのできる環境の整備が課題。
- 大学入試
- 3Pに基づき「学力の3要素」を多面的・総合的に評価するものに改善。
- 具体的な評価方法
- 「大学入学希望者学力評価テスト」の結果
- 自らの考えに基づき論を立てて記述させる評価方法(記述試験,小論文)
- 調査書
- 活動報告書
- 各種大会や顕彰等の記録,資格・検定試験の結果 ・ 推薦書等
- エッセイ
- 大学入学希望理由書,学修計画書
- 面接,ディベート,集団討論,プレゼンテーション
- 総合的な学習の時間などにおける生徒の探究的な学習の成果等に関する資料や面談
- 多様な背景を持つ者を受け入れる。
- 専門高校,帰国者,留学生,特別支援,中退者,社会人,地域貢献意欲,科学芸術の卓越
- 大学入学希望者学力評価テスト
- 条件付記述式が中心。
- 民間事業者活用の採点。CBT活用。
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