- 学識者と専門家は役割が違う:
- 努力の階層差:アメリカは能力主義、しかし能力が生得的なら時代で分布は大きく変わらないはず、時代の変化で階層差が出るのは努力のほうでは?
- 学力格差が階層差を伴っているのに、勉強したくない子はしなくていい、それも個性だといっていいのか
- 教育は国家の機能を良心的にコントロールできる市民を公教育を通じてどう育成するか
- 機械の不平等は後からしかわからない:ならどういう不平等ならみんな納得して受け入れられるかを決めないといけない=能力開発の機会の保障と自己責任のどこに線を引くか、ルールと情報が明確でルールづくりに誰でも参加できないといけない、社会の仕組みの知識は民主主義の基本
- 教育は資源再配分の方法の一つ
- 学力論争は学力をどうとらえるか=測定可能なものに限る
- 同調主義的共同体を残したまま市場化という方向で個人化が進む。学校の同調文化は変わりにくいのに、個人が大事というと個人が肥大化する
- 数学が高校レベルなのに英語が苦手なために中学を卒業できない政策をうけいれられるか?
- 教育行政に全てお任せは、自民党VS日教組のイデオロギー対立から教育の政治的中立性を確保するためにはじまった
- なぜ教科書検定が問題となるのか?教育は神聖、無垢な子供が使う教科書という教育の有効性、神聖性を信じるから
- 小5段階で学力だけでなく総合的学習への意欲でも差がでる
- 学力低下は平均だけでなく家庭的背景の格差を伴った拡大
- 旧来の学力=知識量だけでなく、新しい学力=自ら学び自ら考える学力も階層差がある
- 自己実現は高度な自律性wp備えた職業人=芸術家や知識人に固有の特徴、なのに全ての子供に求めていいのか?
- 個人=社会の1つのユニット、1人1票、職業人の単位
- 自己=文化的・社会的・心理的なもの、自分という存在の見方
- 本当の自分を正しさに根拠を置く教育が、成人後の自立した個人の形成に結びつくとは限らない
- 自分で考える力の教育方法は不明確:価値の教育に踏み込まないと教えられないのでは?
2024/09/29
苅谷剛彦(2003)『なぜ教育論争は不毛なのか』中央公論新社
2024/09/27
中世古貴彦・木村拓也・丸野俊一(2016)「メルボルン・モデルのインパクト」『基幹教育紀』2,11-26
- ワールドクラスの大学=学部教育より大学院教育=PhDプログラムを重視することが求められている→学部教育はどうすればよい?
- メルボルンモデル:96学位プログラム→6分野、学部中心からレイトスペシャリゼーション
- 学位の種類は大括りになったが100近いメジャーから選ぶ
- 学士は3年6セメ、1セメ最大4科目、1科目12.5単位、1セメ50単位・年間100単位・3年300単位で卒業
- 授業の種類:必修科目(学位に応じた科目)、選択科目(メジャーに関連する科目)、広域科目(メジャーを問わず自由に履修)
- 実際は積み上げ科目が75%=学部教育の中心は100近いメジャーに応じた専門教育
- 専門教育を維持するには細分化したメジャーが必要(?)
- 広域科目は教養・一般は求めていない:「幅広さ」の意味
- 大学院の2学位:コースワーク学位(医学、法学、教員、建築、工学、セラピスト等)と研究学位
- 学部の減少分は、コースワーク学位拡大で相殺
- つまり、メルボルンモデルは学部のレイトスペシャリゼーションではなく、研究学位を守りながら大学全体を大学院中心へ移行する構造変革
- 積み上げ専門教育の維持+多くの機能を引き受けるコースワーク学位+不変の研究学位
- モデル導入で学部教育が教養・一般教育にシフトしていない
2024/09/26
Yamamoto, R. (2024) The enigma of collegiality: collegiality frames and institutional logics in US higher education. High Educ
- フレズノ州立大のコミュニティの原則:敬意を払う、親切、協調
- →検閲と順応を正当化するという批判(米国の大学では、教員間のいじめや職務怠慢が深刻な問題になっている)
- 制度論の考え方:個人や組織は、支配的な制度の文脈で意思決定・好み、理解・アイデンティティを形成する(=埋め込まれたエージェンシー)
- 個人や組織の行動・相互作用・解釈の指針となる価値観が制度論、しかも、その価値観は社会的に正当化されたもの
- 制度→行為者の解釈→実行→組織の慣行という変換プロセスを取る
- relational legitimacy:関係的正当性(Tost 2011)
- logic casting:論理の転換:アクターが組織論理を展開し、他者の動機を推論し、組織の政策や慣行の潜在的な結果を評価するプロセス
- なぜこれに注目するのか?
- 同僚性規範=一般には自治の強化と理解される
- → 協調の必要性が、適合への圧力となるなら、自治への侵害と理解されるかも
- 学術ロジック=同僚性の実用的な運用は、実は国によって異なる
- オックスブリッジ:自治権を持つカレッジの連合体、民主的統治
- フランス・ドイツ:学術団体と国家が現実的な交渉をして学術事項への権力を確保(近代大学の設立と国家の利益が密接だった国)
- アメリカ:共同統治としての協議制=教員・行政・理事会の共同責任
- 同僚性は、動機付けられたメンバーによる継続的な積極的な関与が必要
- 当然視された善意の仮定に基づくため、フリーライダー問題への対処能力が低い(Lazega 2005)
- 協調主義文化=個人の自主性を尊重、意見の相違は相互理解と成長機会 ⇔ 集団主義文化
- 同僚性の危機
- 3つのM:Massification、Marketization、Managerialism
- Faculty incivility:教員間のいじめ・非礼行為の増加(特に対女性・非白人)
- だからといって、協調性を強制していいのか?
- 問い:大学人が同僚性を重要と考えるなら、なぜその強要に強い反対がでるのか?
- →クロニクルの記事を質的内容分析 ⇔ 内容分析は量的・質的だが、質的内容分析はテーマ・スキーマ・概念抽出・カテゴリー化を重視する
- 2013〜2022年、10年の記事をcollegiality、collegialで検索、workplace、leadership and governance で絞り込み、114記事抽出
- 結果:6つの同僚性の枠組みを明示
2024/09/17
『教育社会学研究』110, 2022, 特集
宮島喬(2022)「「再生産」50年と日本に於ける受容」『教育社会学研究』110, 5-24
- なぜ学校的成功を勝ちうる者が上層階級の子弟に多いのか?
- 文化的再生産と文化移動
- ブルデュー:家族,親などから遺贈されてくる文化資本
- ディマジオ:本人が自ら経験し,学習し,情報を収集し,つくり上げる知識,信条,ハビトゥス
- 日本の生徒指導哲学=努力主義=自助万能主義
- 本来人間に能力差などなく,アチーヴメントの高い生徒は努力した生徒,低い生徒は努力を怠った生徒,怠け者の生徒
- 「学校的成功」を可能にする文化資本には正統の文化がある
- 古典的・人文的な知の基盤、芸術、西欧文化中心
- ←日本ではそこまで一元化できない=日本文化と西欧文化の二元化
- 有力大学卒業・大企業ホワイトカラー・管理職・専門職な=文化エリート:なぜ日本では文化的平等神話が広がり,文化的再生産は隠蔽されるのか?
- 日本は大衆文化が強いから⇔フランス支配階級は大衆文化になじまないことで卓越かを図る
- 日本は上層階級も文化的雑食性(omunivore)(パチンコ、麻雀、プロ野球)
小澤浩明(2022)「権力と正統性に対抗する文化資本の可能性」『教育社会学研究』110, 25-46
- ハビトゥス=文化資本、経済資本、社会関係資本→なぜ研究関心はハビトゥスでなく文化資本に集中するのか?
- メリトクラシーイデオロギー:社会階層の低い者でも教育さえ受ければ出世できるという民衆の社会移動の欲求と密接に関連していた教育の機会均等や社会移動を支持するイデオロギー
- 階級関係の再生産の問題を諸個人の世代移動の問題に還元してしまう
- 生まれつきの才能のイデオロギー:学校で優秀な成績を収めることができるのは,学生自身の「生まれつきの能力」によるものだと承認させるイデオロギー
- 社会的・文化的差異や不平等を隠蔽する力として作用
荒牧草平(2022)「日本社会における学歴再生産とブルデューの社会学理論」『教育社会学研究』110, 47-67
- 学歴は制度化された文化資本:文化資本概念には含まれない
- →身体化された文化資本の指標=文化的実践に注目する=クラシック音楽、言語能力
- 客体化された文化資本の指標=書籍・文化財の所有
- 学歴再生産過程における文化資本の媒介効果の検証
- 親学歴・階級:O→親文化資本:C1→子文化資本:C2→子学歴:E これが基本の分析枠組
- 2タイプの調査
- 文化資本の相続は何らかの形で行われているが、日本では文化資本と経済資本が密接に結びついて所有される→文化資本のみの相続ではない
- 学歴達成は総資本量の影響を受けるが、本人の成績・教育的地位志向が強く影響する
- 教育地位志向=日本では明確な対象へ向かう性向=偏差値⇔芸術や音楽の趣味のような曖昧で複雑な隠された秩序や価値序列に基づくものではない
- この点でブルデューが考えたハビトゥスが家庭と学校で長い時間をかけて形成される点と違う
磯直樹(2022)「ブルデュー派階級分析の理論と方法」『教育社会学研究』110, 91-113
- 文化資本=支配と不平等に文化がどう関わるかを分析するための概念
- 社会空間が軸となる概念:階級構造に近いが、社会階級は実在せず、社会空間が実在する。差異の空間に諸階級がいる状態。
- ブルデュー自身も時期によって概念の揺れがあるので、各年代のテキストを正確に読むことが必要:完成段階は「ディスタンクシオン」
- 文化資本の三様態:身体化された様態、客体化された様態、制度化された様態
片岡栄美(2022)「文化的オムニボアとハビトゥス,文化資本」『教育社会学研究』110, 137-166
- テイスト=趣味、界=場、高尚=ハイブラウ、低俗=スノッブ、オムニボア=雑食性
- ハビトゥス+場=実践
- ディスタンクシオン:文化実践・テイストによる生活様式空間と階級構造が密接に結びついていることを示した。
- 趣味が社会的地位のマーカーになる
- 基本概念
- テイスト:ある階級が、分類されかつ分類する様々な対象物や慣習行動のある特定の集合を(物質的にかつ/または象徴的に)所有化する傾向および能力のこと、生活様式の根本にある生成方式
- 生活様式:ハビトゥスの体系的産物
- ハビトゥス:行為の生産原理
- 階級と文化の「相同性」は、音楽、美術、スポーツ、食、政治など多くの異なる「界」で現れる
- 何が高尚で何が低俗かは、階級ごとに異なるテイスト・階級のハビトゥスによって社会的位置と結びつき、形成される。
- かつてのフランス支配階級のテイストは、高尚な正統文化→今は文化のヒエラルキーと社会のヒエラルキーが複雑化したため、その関係は疑問視されている。
- →それが文化的雑食性、折衷主義
2024/09/16
Slotnick, R. C., & Boeing, J. Z. (2024). Enhancing qualitative research in higher education assessment through generative AI integration: A path toward meaningful insights and a cautionary tale. New Directions for Teaching and Learning, 1–17.
- AIによる質的データのコーディング:研究者の持つ知識や経験を通じた解釈に限界がある
- 特に、パターン特定の際に有効な微妙なニュアンスを理解する能力に欠ける
- AIを補助に使う分にはよい
- AIの頻度カウントに依存すると、データに埋め込まれた重要なエッジケース、突出事例を見落とす
2024/09/15
DiSabito, D., Hansen, L., Mennella, T., & Rodriguez, J. (2024). Exploring the frontiers of generative AI in assessment: Is there potential for a human-AI partnership? New Directions for Teaching and Learning, 1–16.
- 機関レベルで行う学習評価=サンプリングで授業の目標と学生の成果物を大学が点検
- ウェスタンニューイングランド大学
- 各教員は科目の目標に沿った課題を作成する
- 教員が無作為抽出で成果物を大学へ提出
- 教員チームが成果物を採点
- 結果を学長、評議会、科目担当教員へ報告
- これらの評価を生成AIで自動化できるか?
- LMS上のドキュメントやプレゼン等からテキストを抽出して、匿名化、主観的基準を排したルーブリックを用意してAIで評価
- 機関レベル:学生論文の評価
- 文章の書き方と論文構成の2観点で4段階評価
- 文章の書き方は、人間よりAIの方が高評価
- 論文構成は人間とAIでほぼ同評価
- コースレベル:生物学の実験レポート
- 恒常性と動物行動の2観点評価
- どちらも人間の評価の方が高い
- AIがパフォーマンス課題の評価を行うことは難しい
2024/09/14
Soeun Yang, Ji Soo Choi, Jae Woo Lee, Eun-mee Kim, (2024) Designing an effective fact-checking education program: The complementary relationship between games and lectures in teaching media literacy, Computers & Education, Volume 221, 105136,
- ファクトチェックゲームを組み込んだオンラインメディアリテラシープログラム
- ゲームと講義を組み合わせて対照実験
- DGBL=Digital Game-based Learning
- SPML=self-perceived media literacy:自分はメディア・リテラシーがあり、メディア・コンテンツにアクセスし、分析し、評価することができるという個人の信念
- 誤報を見分ける+メディアの影響力を理解する+メディアの偏見を認識+メディアの経済性を理解する
- SPMLが高い人は低い人に比べて誤情報を内面化しにくい、異質な政治的議論に参加しやすい
- 探偵ゲーム:手がかりを集め、発見された証拠から結論を導く
- 進捗は真偽のメーターの振れ方でわかる
- プロのファクトチェッカーのプロセスを模倣して作られている(初期評価→出典の確認→証拠収集→文書化→相互参照チェック→証拠に基づく判断(所見の報告)→フィードバックを受けて修正)
- 成果の評価の4課題
- 「フェイスブックのニュース」:ソーシャルメディアをナビゲートする際に、より信頼できる情報源を特定できるかどうかを評価
- 「ソーシャルメディアの議論」;相反する主張を提示する投稿の証拠の質を適切に評価できるかどうかを評価
- 「証拠の評価」:疑わしい写真の証拠を批評できるかどうかを評価
- 「記事の分析」:記事の著者の分析を通じて、スポンサー投稿の商業的意図を認識できるかどうかを判断
- 情報検索に5分間使える
2024/09/13
Komljenovic, J., Sellar, S. & Birch, K. (2024) Turning universities into data-driven organisations: seven dimensions of change, High Educ,
- 大学のデータ化は大学組織をどう変えるのか?
- →7つの側面がありそう
- (1)アスピレーション
- データ分析の結果から学ぶことに前向きで、実際に新たな発見もある
- ただし、その持続にはお金がかかる
- 一方で、分析に関わる概念(学生体験、学生成功など)が曖昧で、組織内の共通理解が不足している
- データ化は本当のコスト削減にならない=コミュニケーションは自動化されてコストは下がっても、学生の意欲を高めるのはそれに教員が関与する時、学生の問題が可視化されるほど、対応すべき案件が増える
- 技術統合
- クラウド化が流れ
- ただし、つぎはぎのレガシーシステムが多すぎて統合が課題
- システムを抜け出すのにもお金がかかりすぎる(ただしこれは他分野も同様、銀行など)
- 法的側面
- 報告義務のためのデータ収集は時間がかかる割に価値がない←それこそ自動化では?
- 一方、教職員は義務を厳格に解釈しすぎて、データ利用やアクセス権を限定しすぎる。
- 商業化
- 外部に匿名化データを提供する代わりに利用料を徴収する(そんなことある?)
- 組織変容
- メンバー間でデータに対する目的・価値観は違う、データの生成のあり方、利用のされ方への考え方も多様
- データを収集・分析することと、データに基づいて行動することの間には断絶がある
- イデオロギー
- データを収集・分析すれば問題が解決できると信じられている(データ解決主義)
- 実存性
- 学生や職員が取り組みから排除されている、収集したデータがどう扱われているかを知るすべがない
- データ化は学内に序列化論理を持ち込みやすい
- リソースを教育・研究からITベンダーへ向けやすい
- データを活用するだけでなく、それが実際に価値を持つには(メンバーが有用と思うには)別のリソースが必要(伝道師や議論の促進)
2024/09/12
石橋希・正司豪・尾澤重知(2024)「大学における探究学習を通じた自己探索に関する考察」『日本教育工学会研究報告集』2024(2), 19-26
- 探究学習の共通点:「問いや問題によって刺激されること」「知識を構築することと新たな理解のプロセスに基づくこと」
- 他者との協働における認知的葛藤により自己省察が生じる(Shirouzu et al. 2002)
- 複線径路等至性モデリング:対象者があるひとつの結果(等至点)に至るまでの複数の径路を「必須通過点」や「分岐点」等の概念を用いて、非可逆的な時間の中で表し、対象者の行動や意思決定の過程を記述する方法
- ←課題に取り組む過程で生じた心的事象について詳細を捉えることができる
- 非可逆的時間:心理的・経験的な時間の流れ≠物理的な時間
- 等至点:探究学習を通して、将来につながる自己を確認する
- 分岐点:複数の径路が発生する結節点
- 社会的助勢:等至点へ向かうように働きかける
- 社会的方向づけ:等至点から 遠ざけようとする
- 必須通過点:制度的・慣習的・結果的 に多くの人々が共通して経験する出来事や行動
- 探究キャリア教育に参加した学生を対象に分析
- →等至点=探究学習を通して、将来につながる自己を確認する
- 必須通過点:OPP1:科目履修する、OPP2:プロジェクトに取り組み始める、OPP3:関心を実践できて評価可能な計画に 落とし込む、OPP4:実践を通してデータ収集する、OPP:5取り組みを発表する
- インタビューデータをTEM図にプロット
2024/09/11
三宅祥隆(2023)「改正大学設置基準の概要と問題」『日本の科学者』58(7), 56-59
- 旧基準12条:教員は一の大学に限り専任教員となるものとする、専任教員は専ら前項の大学における教育研究に従事するものとする
- →基幹教員:一年につき8単位以上の当該学部の教育課程に係る授業科目を担当する者
- 設置基準が定める必要最低教員数の1/4までは,他大学や民間企業と兼務する者でよい =必要最低教員の1/4まで非常勤化が可能
- ← 教員が十分に養成されていない成長分野等において,民間企業からの実務家教員の登用や,複数大学等でのクロスアポイントメント等による人材確保を特に期する
- ↑専ら当該大学の教育研究に従事せず、年8単位の授業科目担当で、教育課程の編成や学生の入学・卒業に係る責任を担わせてよいのか?
2024/09/10
Kate O’Connor (2022) Constructivism, curriculum and the knowledge question: tensions and challenges for higher education, Studies in Higher Education, 47:2, 412-422
- 今の大学教育の問題:内容に焦点化しすぎ。学生自身が知識を構築する構成主義アプローチが取られなければならない(アクティブラーニングの誤解)
- 構成主義理論の前提:知識の理解とは、知識が特定の文脈の中で、特定の時間に、人々によって生産され、関与され、構築される方法の理解から切り離すことができない。
- 広く支持されているのに、具体例が乏しすぎる。
- とはいえ、モデルとなる事例は、非同期掲示板議論。
- どういう議論をしているかを知りたいのに。
2024/09/09
上林陽治(2016)「公務労働の公共性,専門性・専門職性に関する試論」『社会政策』8(3), 79-88
- 正規雇用=常勤+無期+直接+職務無限定
- どれかが欠けると非正規雇用になる
- →専門職・資格職は正規雇用されない(正確には余裕がない)→労働市場からスポット調達
2024/09/08
Mandai, K.; Tan, M.J.H.; Padhi, S.; Pang, K.T. (2024) A Cross-Era Discourse on ChatGPT’s Influence in Higher Education through the Lens of John Dewey and Benjamin Bloom. Educ.Sci,14,614.
- 生成AIをどう学習に活用するか
- 長所:学習の個別化、理論学習から実践学習へのシフト、詰め込み型学習評価の脱却(具体例不明)
- 短所:正答への依存、真正性の欠如(具体例不明)
- デューイの省察的実践モデル:情報の健全性を評価することが相対的に難しいという欠点がある
- 困難や予期せぬ問題に直面する
- 問題を分析し定義する
- 状況を見極めて作業仮説を決める
- 仮説を合理化して結果を予想する
- 仮説を検証する
- ブルームタキソノミーで考えると低次の目標ほど生成AIが依存や障害をもたらしやすい
- 生成AIの問題を回避しやすい指導方法:リフレクティブジャーナル、インタビュー(コスト大きくない?)
2024/09/07
Meyer, K. (2003). Face-to-face versus threaded discussions: The role of time and higher-order thinking. Journal of Asynchronous Learning Networks, 7, 55-65.
- 大学院生を対象に、対面での議論とスレッドでの議論の経験を振り返ってまとめた研究。
- スレッドでの議論は、高次の思考を促す可能性がある。
- スレッド議論は、時間を要する=内容を振り返る時間が増える
- 対面議論は、即時性にメリットがある
- →よってどちらの形式にも良さがある=教員は両者をうまく組み合わせて使える
2024/09/06
Five Ways to Engage Students outside of the Online Classroom
- 「もし憲法の権利をひとつ変えられるとしたら、それは何ですか?権利を追加しますか?権利をなくしますか?権利を改正しますか?どのように変え、その結果どうなりますか?」
- 学生は対話をして説明する。掲示板議論も可能。
- 授業内容に関連したゲストに対して学生がインタビューする
- オンラインでサービスラーニング:友人、隣人、同級生に行動を呼びかける内容を作り、3週間で行動させるところまで実行する。
https://www.facultyfocus.com/articles/effective-teaching-strategies/five-ways-to-engage-students-outside-of-the-online-classroom/
2024/09/05
Onozuka, Ryo, Mika Igarashi, and Yoshihiro Hara. (2024) "Concept Collapse of “Active Learning” in Japan: Mixed Analysis of Newspaper Articles." The International Journal of Interdisciplinary Educational Studies 19 (2): 81-102.
- アクティブラーニングを巡る誤用問題
- 溝上:講義を聞く学習を超えるあらゆる活動を伴う学習=書く、話す、発表する+そこで起こる認知過程の外化
- Bonwell and Eison (1991):
- 学習者は聞く以上のことに関与する。
- 情報を伝達することに重点を置かず、学習者の能力を伸ばすことに重点を置く。
- 学習者は高次の思考(分析、総合、評価)に取り組む。
- 学習者は活動(例:読む、議論する、書く)に取り組む。
- 学習者の態度や価値観の探求に重点を置く。
- アクティブ・ラーニングの解釈は拡大するどころか、普及の初期段階から縮小していた。
- 研究者がわかりやすい定義を作ってこなかったため。
- 下位概念化が現場での混乱を招いた。
2024/09/04
de Jong, S., Kantimm, W. (2024) Do professional staff in universities really challenge academic norms? A perspective from the Netherlands. High Educ.
- 専門職員は市場規範が強いのか?特に民間を経験した人ほど強いのか?
- アンケートデータで実証分析、確かに民間経験は多少市場規範を強めるが、一般に専門職員もアカデミック規範が強い
- Professional Staffとは?:学位保持者、学内基盤の維持・更新を専門的に担う者
- 実際、NPM改革は、民間出身者が大学に入れるドライブになっている
- →PSは大学と外部環境をつなぐ仲介者・ゲートキーパーと捉えると、より深い組織変革につながる
- RQ
- (1)専門職員の市場論理は、民間企業での過去の職務経験によってどの程度形成されているのか?
- (2) 専門職員の市場論理は、現在の職務における民間企業との関係によってどの程度形成されているのか?
- (3) 専門職員の (a) 民間企業での過去の職務経験と (b) 民間企業との関係および市場論理は、学術関係者および学術指導者との関係によってどの程度影響を受けているのか?
- 研究の理論的背景は、制度ロジックモデル
- ビジネス開発、研究政策アドバイザー、助成金アドバイザーの3職種を対象に調査
- いずれも民間経験がある、民間経験の強さ、民間とのつながりに差がある(=変数がばらつく)、N=124
- 変数:
2024/09/03
Kallo, J., Välimaa, J. (2024) Anticipatory governance in government: the case of Finnish higher education. High Educ.
- 予期的ガバナンス・予見的ガバナンス;予期は事前に能力を行使するという意味
- 重要な出来事に先駆けて変化を察知して実行する
- もともと技術開発に伴うリスクをシナリオプランニングで管理するためのガバナンス
- 予見的な実践が予見的なガバナンスを支える=偶発的な将来の状態にコンテンツを提供できる←未来を創造するための現在の政策行動
2024/09/02
Elken, M., Borlaug, S.B. (2024) Implementation of ambiguous governance instruments in higher education. High Educ 88, 1111–1126.
- 問い:組織は曖昧な運営手段にどのように対応するのか?
- 政策実施の分析=
- トップダウン:政策目標と実施プロセスの一貫性を重視
- ボトムアップ:実施プロセスにおけるミクロレベルの文脈上の柔軟性の重要性を重視
- 政策プロセスには本質的な曖昧さが含まれており、実施された政策は採択された政策とは異なる
- →曖昧さの度合いが重要な決定要因
- or→曖昧さをどのように管理しているか?を問う
- 欧州の大学組織改革:規制緩和・新たな運営形態・自律性の強化
- →規制緩和と市場依存は成果につながらない
- →現在は2面性=制度の自主性と規制緩和を強調する改革+国家が積極的なプレーヤーとして参入
- 規制緩和=個性の開発を期待→実際は類型化→政府が個性を演出
- 高等教育機関=高度に制度化された組織=根本的変化や急激な変化は困難
- 政策は大学内にどう変化をもたらすのか?
- (1)政策と実践のデカップリング:つまり粉飾決算 ←State?
- (2)翻訳(編集):外部刺激を翻案して内部の実践に接合する ←Dynamics?
- 文書分析とインタビューで、質と差別化、プロフィール、分業、リーダーシップという4つの曖昧な政策への対応を分析。
- 主題分析でコード化:包括的コーディングカテゴリ=省庁との対話および連絡、高等教育機関内での協定の導入、協定と戦略およびその他の運営手段との関係、内部の反応および協定のフォローアップ方法、目標・パラメータ・指標・新しいタイプのデータ/情報の開発ニーズ、多様化および差別化に対する認識効果、ガバナンス・運営に対する認識効果、プロファイリングに対する認識効果
- 目標が総括的だと指標も明確、目標がプロセス志向だと翻訳作業が多くなる
- 政策は、既存の業績ベースの運営システムを保管するに過ぎない=組織自体は変化しない⇔政策が新しさをもたらし、機関がそれを利用して戦略的に行動する
- →実際はこの2つの共存→だから期間ごとに対応がばらつく
2024/09/01
堀口悟郎(2024)「研究室設置義務と学問の自由」『岡山大学法学会雑誌』74(1), 87-106
- 憲法学にお いて,学問の自由は,大学設置者が使用者として有する諸権能からの自由を 含むと解されている。
- 憲法が市民的自由に加えて学問の自由という特別な自由を保障した理由:他人からサラリーをもらって,使用人,公務員として,教育研究に従事せざるをえない立場にある研究者の研究教育を大学設置者の雇主としての諸権能による干渉,統制から守る,というところに主眼がある。
- 一般権力主体としての国家権力からの自由だけでなく大学設置者の諸権能からの自由をも含む。
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