2016/10/26

シャイン,E.(梅津裕良・横山哲夫訳)(2012)『組織文化とリーダーシップ』白桃書房


  • 組織文化:文化人類学,社会学,社会心理学,認知心理学の研究。
    • 文化的な現象が関係する場面では,注意深い観察,グループに対する面接,情報提供者に対する焦点を絞った質問で研究。
  • マクロカルチャー(国・民族・宗教) ⇔ 組織文化 ⇔ サブカルチャー(組織内の職業別グループ) ⇔ マイクロカルチャー(組織内外の特定職業マイクロシステム)
  • 文化とリーダーシップの関係は,組織文化とマイクロカルチャーに明確に現われる
    • 文化は究極的にはリーダーによって創成され,定着が促され,育てられ,最終的には操作されるもの。
  • あるレベルの文化を理解するためには,すべてのレベルの文化についての一定の理解が求められる。
  • 文化は抽象的概念だが,文化が生む力は強力。
    • なぜ,部下は変化に抵抗するのか,なぜリーダーが組織を生産性の高い組織にしようとするのに,部下は非生産的な方法を続けたり,グループ間でコミュニケーションを取らないのか。
    • 職業に就くには,その職業に伴う価値化や規範を身につけることが求められる。
    • 細織やグループで共有されている前提認識を検証し,それらを自分自身の前提認識と比較することから文化の分析が始まる。(これができないと,現場で何が起こっているかが理解できない。)
    • 優れた文化という議論は困難。文化が優れているかは環境との関係で決まるので。
  • 文化の概念は,構造の安定性,深さ,広さ,パターン化と統合化を意味している。
  • 文化の定義:パターン化と統合化。
    • グループが外部への適応,内部の統合化に取り組む過程で,グループによって学習された共有される基本的な前提認識のパターン。
    • このパターンはそれまで騒本的に効果的に機能してきたので適切なものと評価され,その結果新しいメンバーに対しこれらの問題に接して,認識し,思考し,感じ取る際の適切な方法として教えられる。
  • 安定したメンバーと共通の学習経験を備えたグループであれば,どのグループもあるレベルの文化を築いている。
    • メンバーやリーダーの間の数多くの離脱,挑戦を含む出来事を経験してこなかったグループは,共有された前提認識がない可能性。= 人がただ集まるだけでは文化は生まれない。
  • 文化のレベル:文化的現象が観察者に見える程度。← 構造的な記述
    • 基本的前提認識:妥協の余地のないもの。アイデンティティや自己尊厳を促す価値観も定義する。
      • 前提認識が違っている場合は,双方が自分たちの一貫性を守ることができる第3の前提認識を見つけないといけない。
    • 価値観:議論の対象として開かれていて,賛成しても賛成しなくてもよい。
      • 分析する際は,すぐれた業績を導く底を流れる信条と合致したものやその組織の理念や哲学の一部を占めるものと,単に将来に対する言い訳または願望にすぎないものを区別しなければならない(教育が大事と言っているが,実際は研究を評価するなど)。
    • 人工物:認識しやすいが,解釈も難しい。それだけでは理解できない。まして,人工物から前提認識を推論することは危険。長時間所属すると,人工物の意味が次第に明確になる。
    • グループの文化を理解するには,共有された基本的な前提認識にたどりつくように努力し,その基本的前提認識が形作られる学習プロセスを理解することに努めるべき。
  • サブカルチャーを生む源泉
    • その組織内の機能組織ユニットで形成されることが多い。← 部署横断的なプロジェクトチームをまとめる難しさの源泉。各自が自分の文化を持ち込むため。(ex. 入試改革という言葉の各部署の意味は?)
    • 共通の(成功)経験を反映して形成される文化。
    • 職業別のコミュニティ。(ex. 学長コミュニティ,国立大学コミュニティ)。
  • 現場の前提認識
    • 自分たちは不可欠の存在,実際に動かしている存在,組織の成功は自分たちにかかっている。
    • 求められる知識・スキルは現場にある,そのために学習が必要,自分たちは協調的なチームを作り,オープンで相互信頼でコミットメントが必要。
    • そのために必要な資源の提供をマネジメントに期待している。
  • エンジニアの前提認識
    • 理想的な世界は,人間の介在なしにプロセスが正確・完璧に機能する世界。
    • 人間は間違いを犯すので,システムに含めずデザインすべき。
    • 自然は統治可能,仕事は優れた成果物を目指すこと。
  • エグゼクティブの前提認識
    • トップは孤高の英雄,全知全能,不可欠の存在をアピールすべき。
    • 部下から信頼できるデータは得られないので,判断はトップしかできない。
    • マネジメントの本質は階層的,階層がコントロールの主要手段。
  • 専門化,グローバル化,ICTの活用で,マイクロカルチャーが生まれやすくなった。
    • 構造ではなく,次元から文化を見る = 組織生存と成長のための外的環境への対応,組織内部の統合のためのマネジメントの問題の2つ。
    • 多様なステークホールダーの期待を調和的に充足することが組織のミッションとなるという論理は,どの組織にとっても変わりはない。
    • そもそもミッションは誰にでも一応の理解はされるが,明白にわかりやすく表現されていない。ゴールについてのコンセンサスを成立させるためには,関係グループは共通の言語表現と前提認識の共有を必要とする。それは基本的なロジスティカルな作業を意味する。つまり抽象的な何か,あるいはミッションの総括的認識を具体化,現実化することである。
    • 組織文化のなかでもっとも重要で,しかも見えにくい要素としてあるものは,「物事の達成がどのようにしてなされるべきか,ミッションはどのように遂行されるべきか,ゴールはどのようにして達成されるべきか」についての前提認識の共有である
    • 内部統合の問題
      • 共通言語と概念分類の創出,グループの境界規定・参入除外の基準設定,権力・権限・地位の委譲,信頼・親密・仲間意識に関する基準,賞罰規程・適用,説明困難なことの説明。
    • 組織における案件の決定は,他の案件と連結・連動することが多く,経験的に処理するかコンセンサスを前提とするかについて,共有された前提認識がなくてはならない。(それはもっとも経験の深い者に決定を委ねよう・多数決で決めようになる。
      • ただし,ここでコンセンサスとは決定の基準(criteria)についてのコンセンサスと,決定のプロセス(decision process)についてのコンセンサスであり,必ずしも決定そのもの,決定の実体を意味することではない。
    • グループが多文化になるほど,コンセンサスの進捗と成立は社会的現実を共有するプロセスは複雑になる。
    • 文化の分類では,現実,真実,情報がどう定義されるかの前提認識が重要。個人にとっては,時間・空間に方向付けできることが基本。
    • 個々人はグループ内のメンバーシップを確実なものにするために,一定の基本的な前提認識に従う。
      • 外から思考や認識の方法を変えることを求めると抵抗する ← グループからの逸脱になるから。
    • グループの進化の段階:
      • グループの形成:前提認識=依存(リーダーは自分たちがなすべきことを理解している)
      • グループの構築:前提認識=融合(自分たちは優れたグループで,お互いを尊重し合っている)
      • グループが稼働:前提認識=稼働(自分たちはお互いを知り認めているので,効果的に仕事ができる)
      • グループの成熟:前提認識=成熟(自分たちは誰で,何を望み,どう実現するかを理解している)
      • 文化の源泉:
        1. 創設者の信条,価値観,前提認識
        2. 組織の成長に連れてグループメンバーが獲得する学習経験
        3. 新しいメンバーやリーダによって持ち込まれる新しい信条,価値観,前提認識
      • 文化の自然な進化のプロセスが遅すぎたり間違った方向の時に,リーダーが管理された変革を起こす。
      • 組織変革の段階
        1. 解凍(変革への動機づけを生む):不当性の証明(データ,データと重要な目標との結びつきなど),生き残りのための不安感や×意識の創成,学習への不安感を克服するための心理的な安心感の創成
        2. 学習(新しい考え方,新しい基準を学ぶ):ロールモデルの模倣と同一化,ソリューション間の選択と試行錯誤による学習
        3. 内面化(新しい考え方,意識,基準の内面化):自己イメージ・自己同一性への統合,継続する諸関係への統合
      • 不当性への反応:
        • (1)拒否(データは妥当でない,一時的なものだ,意味がない),(2)責任転嫁(そのデータは他部門が原因),(3)操作・交渉(データを受け入れる代わりに見返りを要求する)
        • → 生存への不安感・罪意識 > 学習に伴う不安感
        • → 左辺の増大ではなく,右辺の減少にフォーカス。
        • (1)力強い役割ビジョン,(2)公式のトレーニング,(3)学習者の参画(自分のインフォーマルな学習プロセスを管理できる確信が重要),(4)チームに関する非公式トレーニング(新しい前提認識を得るため),(5)実習,コーチング,フィードバックの提供,(6)効果的なロールモデル,(7)学習に伴う問題のガス抜き,支援グループ,(8)新しい思考と仕事の進め方と一貫したシステムと構造
      • 変革のゴールは,文化の変革という文脈ではなく,自分が解決したい問題という文脈の中で具体的に記述されなければならない。
      • 文化に伴う古い部分は,その部分を「担っている」人たちを除去することを通じて打ち壊すことが可能。しかし,文化に伴う新しい部分は,新しい行動が人材を成功と満足に導いたときにはじめて彼らが学ぶことが可能。
      • 文化の変革は,心理的な苦痛を伴う解凍の期間を要求する,トランスフオーメーショナルな,大規模で根本的な変革だ。
      • 学習する文化の姿
        • (1)先取り的発想,(2)学習すること自体が習得すべきスキルという前提認識の獲得,(3)人間の本性についての前向きの前提認識,(4)環境は管理可能という信念,(5)問題に対する解決策は,探究に含まれる深い信念,真実に対する実用主義から生まれる,(6)将来への前向きの指向性,(7)開かれたコミュニケーションへの理解,(8)文化の多様性の理解,(9)体系的な思考への理解,(10)文化の分析に関する理解
      • 学習と変革を人々に強制することはできない。
        • メンバーの貢献と参画は,何が進行しているのかを診断し,何をすべきかを明確にし,実際に学習と変革を進めるプロセスにおいて不可欠。
        • 学習プロセスは,学習を進める社会的ユニットのすべてのメンバーによって共有されていることが求められる。
      • 多文化ユニットの管理
        • 組織の効果性についての理論では,縦系列と横系列にオープンなコミュニケーションが築かれていることの重要性が強調されている。しかしこれらの理論では,文化の垣根を越えたオープンなコミュニケーションも可能であり,そこでは理解と共感を促す文化の島のセッティングが必要とされるという事実を見逃している。
        • 外科医と看護師にお互いにオープンに接することを促すだけでは十分とは言えない。彼らに共通の場と相互理解を築くための文化の島の共通な経験を持たせることが求められている。
        • → サブカルチャーの存在を認識する文化的な視点こそ,組織のリーダーにとって根本的な条件。

      2016/10/25

      Hatch, M. (2013) "Organizational Culture," Organization Theory, Ch.6


      • 文化:いろいろあるが共通点は,グループで共有されているものであり,意味,信念,仮定,理解,規範,価値観,知識の組み合わせに関するもの。
        • ある集団のメンバーが獲得した知識,信念,技法,倫理,ルール,習慣,能力や傾向の複合体(Tylor 1871)。
        • 人が生きていくために生み出した信念,行動,知識,拘束力,価値観,目標の全体(Herskowitz 1948)。
      • 文化は,ある問題に対する共通性や合意をもたらすものだが,個別の違いに依拠するものでもある。
        • → 多様な個人を共通の枠組みにまとめるものが文化
      • 下位文化:組織内で共通性や親密性(専門性,性別,人種,職務,出身,国籍など)を持つ特定の集団が持っている文化
        • そのため,下位文化はメンバーが頻繁に交流するほど発展する。= 組織内で特定の設備や場所を共有することが促進する。
        • もう1つの下位文化の現れ方:トップの文化に対する態度でわかる:促進的,無差別的,反対的
        • 下位文化はそれ自体が良いとか悪いではない。ただし,サイロになると組織統合を困難にする意味で課題になる。← Strogn Cultureと呼ばれる。
      • 組織文化が注目される背景:構造研究だけでは,メンバーの感情的な要素を考慮できない。
        • 初期の研究は規範の研究 = 文化は管理可能なものという認識 = 組織の競争力や有効性を高めるツール
        • しかし文化は操作的な定義が難しい:エスノグラフィー(参与観察+非構造化面接)が主要な研究方法になる。
      • 実証主義の組織文化理論
        • 国別文化の組織への影響分析
          • 個人の持つ国の文化が組織の持ち込まれる ⇔ 組織がその地域の文化に影響を与える(フランスディズニー:強い反対 → 現地文化採用 → 経営危機 → 地元が支援)
          • IBMの国別分析:権力・富・威信の偏在受容度 × リスク回避志向度,個人主義・集団主義度数 × 性別役割主義・性別平等主義,長期志向 × 短期志向(ハードワークが長期的な見返りがあると信じる度合い)
        • シャイン:組織文化論
          • 人工物,価値観,前提認識
          • 価値観は新人,達人,革新家によって揺さぶられる。
          • 規範は明文化されないが期待される行動
          • 文化的な人工物:対象物(ロゴ,什器,服装,設備,ポスター,標識),言語(専門用語,表現,伝説,噂,ジョーク,比喩,スローガン,スピーチ,言葉遣い),活動(儀式,会議,コミュニケーションのパターン,伝統,習慣,ルーチン,ジェスチャー,褒賞,懲戒)
      • 象徴としての組織文化研究
        • 象徴:多様な意味を持ったり,感情を抱いたり,行動を駆り立てるような,対象物,行為,関係性,言語のこと。
          • Denotation:道具として象徴を使うこと,Connotation:象徴を表現として使うこと。
        • グラウンデッドセオリー,エスノメソドロジー,分厚い記述,ストーリーテリング,ナラティブ,ドラマ化
        • 勤続表彰などは象徴の1つ
      • 組織文化の変革
        • 管理者の関心:文化をどう変えるか。(ただし,トップは文化に大きな影響力がある。)
        • 実証主義者:文化が規範や価値観を通して行動に影響するなら,管理可能なはず。→ 採用方法を変えて組織に望ましい規範や価値観を持った人を採用し,訓練と社会化を行い,トップに合う文化の人を褒賞する。
          • クランコントロール:望ましい文化を身につけるよう新人を社会化する。
          • シャイン:環境適応か内部統合の際に組織文化を変えるメリットがある。
        • 象徴としての文化:組織文化や下位文化は,メンバーと交流しない限り理解できない。
          • 戦略の採用が文化を変える。文化の変化が起こるのは,既存の仮定や価値観と整合的でない戦略がとられる時。
          • → 既存の価値観や仮定が壊されたり覆される = 戦略は実行されない。
          • → 既存の価値観と整合的であれば,戦略は次第に実行される。
        • 組織文化変化のダイナミクス(Hatch)
          • 人工物→(象徴化)→象徴→(解釈)→前提認識→(表明)→価値観→(現実化)→人工物
          • マネジャーがこのプロセスに参加するなら,変革可能。現実化か象徴化から着手が可能。

      2016/10/24

      Tierney, W. (1988) ”Organizational Culture in Higher Education," Journal of Higher Education, 59(1), 2-21.

      • 組織文化が,組織内の問題解決に役立つのではという関心が高まる。
        • そういう問題よりも,議論の枠組みを提供したい。
        • 組織文化が高等教育機関のマネジメントとパフォーマンスを理解する上で,有用なコンセプトであるため。
      • 管理者のよくある疑問:何が共有されているのか?ミッション?価値観?
        • 計画通りにならなかったり,思いもよらない抵抗があるとよく出る言葉。
        • ← 行為と結果は1対1対応でないので,そもそも愚問だが。
      • 同じリーダーシップが異なる結果,同じミッションで異なる大学:
        • 源泉は,組織内部の価値観,プロセス,ゴール,文化
      • 組織文化 = 自分で張った蜘蛛の巣。
        • マネジメントの危機の状況で組織文化は表面化する。
      • 組織の複雑化 = コスト増,文脈不明確,資源配分困難
        • → 難しい意思決定 ≠ コンフリクト,→ = 目的やアイデンティティに関する感覚の表面化
      • 文化の理解は問題解決にならないが,組織を正しく理解する上で不可欠。
        • まず文化の構造と要素の理解からはじめる。
      • 西洋=戦略プラン,マーケティング,管理統制,日本=終身雇用,集団意思決定,少ない昇進,非公式・暗黙の評価
      • 組織文化のフレームワーク:環境,ミッション,社会化,情報,戦略,リーダーシップ ← 実際にこれに沿ってケーススタディ。
      • アカデミック文化の密度 ≠ シンボルの多さや適切さ = 社会的なつながり
      • ある州立大学の事例:
        • 衰退産業地域,労働者階級のための教育,家族的な組織,ボトムアップの意思決定プロセス(参加型意思決定),オープンドア・歩き回るトップ,少ない政治的衝突,
        • 学長の決まり文句:2つの意味で重要,(1)組織のミッションがカリキュラムの一貫性を保つ基準となる,(2)構成員が自らのパフォーマンスと自己評価の基準を持つ。
        • 解釈戦略:トップが意味を伝達する
      • 下位文化,反体制文化,専門分野文化の理解も必要。

      2016/10/21

      Schein, E. (1990) "Organizational Culture," American Psychologist, 45(2), 109-119.


      • 文化の理解や定義が難しい背景:社会科学の諸分野の交点にあるテーマだから。
      • 文化を本気で研究するなら,臨床的でエスノグラフィによる研究が必要。
        • 臨床研究:コンサルタントとして現場に入り,自分の関心でデータにアクセスし,観察でデータを補う。
      • 組織文化:組織が,外部環境での生存と内部組織の統合を克服する中で学習したもの。この学習は,態度,認知,感情のプロセスでもある。
      • 文化の定義:(1)前提認識のパターンである,(2)それはグループ内で開発,発展したものである,(3)それは適応と統合に対応するために学習されたものである,(4)それらは有効であると認識されて,実際に効果があったから学習された,(5)よって新人にも教えられる,(6)それは今後の問題を発見・考察して感じるための方法となる。
      • 文化のレベル:人工物,価値観,前提認識
      • 文化を理解するのに必要なプロセス:内部者の知識と観察者の質問を組み合わせるには,前提認識を表面化する必要がある。ただし,質問は双方向的に行われないといけない。そこでは観察者が,前提認識が確かに表面化し,双方がより理解したという感覚が得られるまで継続的に検証する必要がある。
      • 組織文化の中に含まれる要素:
        • 組織の環境における位置づけ(リーダー,フォロワー,ニッチ?)
        • 人間活動(どう振る舞うのがよいか,支配者,先取り,受け身?)
        • 現実と真実(どうやって正しいことを定義するか?実験,合意,規範,先人の知恵?)
        • 時間(過去・現在・将来への志向性,どのような時間単位が最も適切か?)
        • 人そのもの(人はどういう存在か,性善説,性悪説?)
        • 人間関係(適切な関係性はどういうものか,支配と服従,競争と協力,個人と集団,自律と管理,同僚的と参加的?)
        • 同質性・多様性(集団は多様な方がいいか同質な方がいいか?)
      • 文化は学習されるものであるなら,学習モデルを理解することが重要。
        • 集団は,どのように規範,信念,前提認識を学ぶのか?
          • 文化は危機の中で学ばれる。
            • ex. トップを批判→制裁を受ける→甘んじて受ける→トップは批判してはいけないという学習が起こる。
          • 創設者が文化を創る → やがて各部門での学習も進む
        • 主な学習手段:(1)リーダーが何を注視し,評価し,管理するか,(2)リーダーが危機にどう対応するか,(3)ロールモデリングとコーチング,(4)地位や褒賞を与える基準,(5)採用・選抜・昇任基準
        • 副次的な手段:(1)組織デザイン・組織構造,(2)組織内のシステム・手続き,(3)物理的な環境・スペース,(4)逸話,伝説,象徴,(5)組織の哲学,信条,理念
      • 新人を社会化するプロセスに注目するとよい
        • 同じ学習をしても,個人は異なる反応をする。
          • 完全順応:全ての前提認識を学ぶ
          • 個性発揮:中心的な前提認識だけ学ぶ,
          • 反乱分子:全ての前提認識を学ばない
        • 完全順応を引き出す学習の組み合わせ:フォーマル,自己再構築,連続的,可変的,トーナメント型。
        • 個性発揮を引き出す組み合わせ:インフォーマル,自己発展,ランダム,固定的,コンテスト型。
      • 組織文化の発展
        • 自然発展:部署がある限り,下位文化は生まれる。→ 全体の文化はその混合になる。
        • 管理的発展:新しい前提認識を入れる変革をする。(合併統合でよくある)。

      2016/10/20

      Boje, D. (1991) "The Storytelling Organization: A Study of Story Performance in an Office-supply Firm," Administrative Science Quarterly, 36(1), 106-126


      • オフィス用品会社の臨床研究,ストーリー研究。
        • できごと,変化,政治的優位性の獲得などをどう理解しているかについて調査。
      • 物語は理解をつくる上で有用。ただし,不確定で時に政治的。組織内の情報処理ネットワークの一部を担う。組織としての記憶装置にもなる。
        • 法廷で行われるのは主にこれ。
        • 同じできごとに対して,別の人は別の物語を語る。
        • 物語を話す→誰かが自分の解釈を入れて記憶する→断片化。
      • シャドウイング型の参与観察を実施,幹部7人,管理職23人,その他顧客やスタッフ。100時間の録音データを文字化。ストーリーを8パターンでカテゴリー化。11ストーリーを分析。
      • ストーリーの語られ方 ≠ そのまま話されることはない
        • 話者はある一面を取り上げる,ある面を強調する。
        • 話者と聞き手が,お互い納得をするように共同でストーリーをつくる。
        • マネジャーは,抽象的な戦略に合意を取り付けるために,ある一面のストーリーを語る。

      2016/10/19

      Top 20 ways to improve your world university ranking


      • 大学を変えるには,インセンティブを変える
        • これが変わらないと行動が変わらない。
      • 最高の教員を招くには,最高のリーダーが必要
        • 優れた学者をリーダーにする。
      • 採用方法を変えて質を管理
        • TMTが選考プロセスに同席する。教員は同質な人を採用するので。
      • 最高の人を採用する
        • 人事部の力量を上げる。
      • タレントリストをつくって褒賞する
        • 優れた教職員を知るべき。大学がメンバーにロイヤルティを示す。
      • 痛みが必要
        • 組織変革は痛み。
      • ころころ変えない
        • リーダーを選ぶ際は,一貫性を優先する。
      • いい人(リーダー)を採用するには,相応の処遇をする
      • 研究費を取るためのインセンティブを用意する
      • 役所仕事削減,委員会削減
      • リーダーにアクセスしやすくする
        • 学生を含む。
      • 教員と職員の関係をつくる
      • 教員を早い段階からマネジャーのトレーニングをする
        • ただし,若い教員にはインセンティブないので,適切に動機づける。
      • ボードメンバーを教育する
        • 大学をよく知ってもらわないと関わってもらえない。
      • 政府にノーを突きつける
        • TMTは大学の最後の砦。メンバーを必ず守る。
      • 教員が互いに会えるようにする
        • 高質な飲食の場を提供する。
      • リーダーとしての教員を採用する
      • リーダーは少なくとも5年奉職する
      • リーダーに十分な権限を与える
      • リーダー自身がTMTを選ぶ
      まさに,新自由主義マネジリアリズム。

      https://www.timeshighereducation.com/features/top-20-ways-to-improve-your-world-university-ranking/410392.article

      2016/10/13

      日本教育行政学会研究推進委員会(2009)『学校と大学のガバナンス改革』教育開発研究所


      • 一見,大学は市場のもとで自律的に活動しているように見えるが,資源配分と評価のメカニズムを設定することで,政府による遠隔操作が行われている。(政府・大学・市場の三項対立の構図に基づいて権力の移動を論じるべきでない)。
        • → 変化しているのは権力関係そのものではなく,政府と大学の権力関係の様式である。市場・政府・同僚制(大学寡頭制)のトライアングルモデルは,市場・政府関係をゼロサム関係と把握するので,この変化を表示することはできない。
        • 市場メカニズムが人為的に創出されているものと捉え,政治的要因に注目しなければならない。
      • アメリカ・イギリス・オーストラリアの大学:法人格をもつ=遠隔操作による新たな政府統制を導入しやすい。
      • 日本・中国・台湾。韓国:威信が高くそれぞれの国で規範的役割を果たす=政府立期間,政府の庇護と統制下。
        • 中国:98年法人化,台湾:2003年閣議決定,否決されて未成立,韓国:導入計画中。
      • 国立大学法人制度は,マネジメントにおける自律性を拡大するものではない。
        • 年度計画は前年度3月に認可,前年度の評価結果は機関レベルで次年度6月末に確定後,国立大学法人評価委員会によって9月に確定,=PDCAサイクルに成り得ない。
        • 年度計画・中期計画は文部科学大臣の認可を受けた計画を許可なく変更できない。
      • 国立大学法人の業務はあくまでも運営(教育研究ではない)。
        • 「団体,機関その他の組織又は機構がその機能を発揮するようにそれを活動させて働かさせていくこと」(国立大学法第22条第1項第1号)。
        • ⇔ 「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の中期目標期間の業務実績評価に係る実施要領」は教育研究に対する業績評価そのものを行う(法人と大学の区分があいまい)。
      • 不効率な大学運営は転換する必要があるが,学長のもとに権限を集中してリーダーシップを強化すれば成功すると考えるのは,企業モデルの思いこみで大学の重層性を理解していないといわざるをえない。


      • アメリカのアクレディテーション:最低基準を保証する評価で,大学がその目的や目標をどの程度まで達成しているかを評価するものではない。
      • 州交付金の一般的な算定方法は,Formula Budgeting(設定された算定式から交付金を算出)。= 教育や学生サービスの質を加味できない。

      • 日本でガバナンスという言葉が頻繁に使われ出したのは90年代の後半から。サッチャー政権が用いた民営化政策による統制手法をニューガバナンスと呼んだのがきっかけといわれる。
      • 独立行政法人の枠を残しつつ国立大学としての独自性を発揮できるような検討が加えられた成果が,(1)学長を自らの組織で選考できること,(2)中期目標・中期計画を自ら決定することができるとした点。
        • 大学にとっての不幸は,この程度の修正で国立大学法人化という大事業を鵜呑みにしてしまったこと。
        • 基本設計にみる国立大学法人化の要点は,(1)トップダウン型の大学運営,(2)学外者の大学経営への参加,(3)評価の重視による競争原理の導入。= 独立行政法人と何ら変わらない。これで大学を含めて大かたの公的サービスに対応できると考えたとしたら,その発想はずいぶんと浅く貧しい。
      • トップの仕事:長年にわたって努力されてきた教育・研究の成果をじっくりと見定め,それらを支援すること=トップができるのは環境条件を整えることのみ。
      • 国立大学法人の運営は,教授会中心のボトムアップ型から大学執行部が自らの提案を評議会に降ろすトップダウン型に変わった。= 評議会も教授会も合議制の審議機関から連絡調整会議と化した
      • 法人化後の体制で注意が必要なのは大学執行部の実態:本当の執行部の範囲がどのように設定されるかは学長・学長側近の判断による。
        • 通常は学長・理事・監事・副学長(執行責任者)の範囲で非公式の会議を設置して大学執行部を構成。= 人数が少ない分だけより集権的な意味合いの濃い会議。
      • トップダウンといっても,本来はそれが正常に作動するためには要所要所で適切なチェックが効かなければならない。
        • それをすべて外すと,学内は無秩序になり,学長執行部以外はすべてフラットな組織になる。
      • 法人化3つの誤謬:
        • 国立大学法人の設計に独立行政法人を下敷きにしたこと。
        • NPM自体の評価:行政改革の手段として卓越した手法であったか疑問。
        • エラーマネジメント:独善的トップダウン,意欲ある教員の離職。

      2016/10/12

      佐古秀一・曽余田浩史・武井敦史(2011)『学校づくりの組織論』学文社


      • 組織の有効性研究は消えない:(1)あらゆる組織モデルの中心に位置する,(2)究極の従属変数である,(3)有効性判断の必要性に常に直面している。
      • 効果のある学校の5つの特徴(Edmonds):(1)校長の教授・学習上のリーダーシップ,(2)教員集団の意思一致,(3)安全で清潔で静かな学習環境,(4)公平で積極的な教員の姿勢,(5)学力測定とその活用。
      • 学校の有効性のモデル
        • 目標モデル(学力,ドロップアウト率,進学率)
        • 内部プロセスモデル(リーダーシップ,コミュニケーション,参加,協働,組織風土,文化)
        • 非有効性モデル(葛藤,逆機能,困難,欠陥)
        • 資源-インプットモデル(入学者の質,施設設備,財政支援)
        • 関係者満足度モデル(政府,理事会,管理者,保護者,生徒の満足度)
        • 正当性モデル(一般の人との良好な関係,公的イメージ,アカウンタビリティ)
        • 組織学習モデル(内部プロセスのモニタリング,プログラム評価,人材開発)
      • 組織論と有効性
        • 構造アプローチ:学校を工場ととらえ,学校組織は,測定可能な目標を効率的に達成するために固有の役割と機能を持つ諸要素を組み立てた機械と見る。
          • 合理的な構造化と計画化をすれば(=教職員の活動を統制すれば)学校はうまく機能して効率的に目標を達成できる
        • 人的資源アプローチ:個人が職場の中で仕事にやり甲斐や意義を見出し,組織目標達成に必要な資源(=エネルギー・アイデア・才能)を獲得すれば組織はうまく機能する。
        • オープンシステム論:組織の外部に目を向ける。(⇔上の2つは内部に注目)
          • 組織は相互作用・相互依存する複数の下位システム(構造・人間,・文化・政治・技術等)から成り立つ有機体であるため,組織の全体性や他の部分との相互調和が重要。(⇔ 組織=機械=部品の交換で前回が改善できる)
          • 組織は複数の目的を持ったシステム(研究,教育,社会貢献。学力保障,人格完成,進路保障)。
          • 組織は外に開かれていて絶えず相互作用するので,問題解決プロセスとしてオープンなコミュニケーションが重要。
          • オープンシステムにとっての有効性は,長期にわたって環境に適切に対処していく能力を持つこと
          • ベニスの組織の有効性基準:(1)環境を積極的に支配する(適応性),(2)まとまりのあるパーソナリティを示す(アイデンティティ),(3)周りの世界と事故を正しく認識する能力がある(現実のみきわめ)
      • 組織学習と有効性
        • オープンシステム論や学習する組織論が重視するのは,経験からの学習や日々の実践を通しての学習。
        • シングルループとダブルループの違い:今日の学校が置かれている状況に対して,閉じた防衛的なスタンスで向き合うのか,開かれた探究的なスタンスで向き合うかの違い。
        • アージリスとショーンにとって有効な組織は,ダブル・ループ学習を促進することのできるスタンスと力をもった組織
        • 有能なチェンジリーダーはメンバーを参加させる手腕に長け,深い共通理解と変革の目的に対する純粋なコミットメントを育てる。
      • 場と力
        • ○○力の問題:もともと力とは関係づけられていなかった概念に「力」がプラスされることで,自己啓発や能力開発,教育の対象として措定されるようになった。
        • 場:人々が参加し,意識・無意識のうちに相互に観察し,コミュニケーションを行い,相互に理解し,相互に働きかけ合い,共通の体験をする,その状況の枠組みのこと(伊丹)
        • 場の論理と力の論理:互いに二律背反ではないが,双方の論理を共存させて物事を判断することは難しい。(起こってしまった事故は力の論理で解決,事故を未然に防ぐには場の論理が有効に働く)。
        • 目標構造図:いくつもの異なる目的性を有した活動が学校には多い。→ 目的の多様性が失われたかたちで位置づけられると,単一目的の尺度から評価されるため,活動の意味は過小評価される。
        • アカウンタビリテイの発想からするならば,学校組織経営の論理として正当性をもちやすいのは力の論理。
      • いかに組織を動かすか → どのように動いているか(ルースカップリング,ゴミ箱モデル)
        • 合理的な組織運営を主張する組織論=リーダーにどう行動すべきかを示唆する ⇔ どのように動くかの組織論=組織の動きを観察,その特徴を記述するで成立した後付け」の理論。
      • 「これをしなさい」という強制はしていないが,「何かを考えろ」「自由にしてみろ」ということは強制している。
        • 改革の初発の段階におけるリーダーシップは場の設定に向けて発揮されている。
        • ゴールが固定されていない,暖昧さを残した課題設定のもとで多様な参画者が時間と空間とを共有する機会が存在する。これが意思形成において重要な位置づけを担っている。
        • コミュニケーションの中から派生してくるこぼれ球を拾い上げ,育てていくプロセスが存在している。
      • 学校の意思決定を校長に集権化する動向は,2000年の学校教育法施行規則の改正で,職員会議が校長の円滑な執行を補助する機関として明示された。新しい教職員人事評価でも,校長・教頭の評価者としての役割が明確化され,人事管理における校長の実質的な権限が増大した。
      • 学校組織の特徴(ワイク)
        1. 教育における目標が不明確
        2. 教師が用いるべき技術が明らかでない
        3. 管理者が多数の教師を相手にしなければならない(管理者の統制範囲が大きい)
        4. 監督と評価(組織的統制)がほとんど機能しない
      • ルースカップリング論によって提示された学校組織は,教員の裁量性に依拠した組織。
      • 学校組織の独自性
        1. 学校における教育の目的は多義的で包括的(拡散的)な傾向がある。このことは組織・組織行動を統御する基準軸としての目標が暖昧にならざるを得ない。
        2. 職務遂行の標準化(標準的な技術)が成立しがたい。
        3. 教育活動の対象となる児童生徒の不確実性と多様性がある。
        • → 課業の標準化に準拠した一元的な管理統制システムは機能的ではなく,教員の裁量性に依拠した組織が機能的。
      • 学校組織の問題
        1. 教員の個人的な力量を越えた問題に対して,学校の問題解決能力が脆弱。
        2. 児童生徒に対する学校教育の連続的で蓄積的な教育成果を保証することが困難。
      • 結局,学校の教育活動の質や水準は,相当な程度,個々の教員の意識と行動に依存せざるをえないという特徴がある。
        • すでに個々の教員の自己完結的な教職の遂行に依存するシステムとしての学校では乗り切れなくなっている。
        • 教員の自律性を喚起することを助長しながら,一定の組織的統合性を可能にする装置としての組織(教職の独自性に適合した組織化)のあり方と可能性を探究することが必要。
      • → 統制化と協働化は相反するプロセスではなく,むしろ相補的な関係で進展できる。
      • 協働性を構築することによって教員の自律性と学校の組織化を促進しかつ教育活動の具体的改善に資する方途を見出したい。

      2016/10/11

      Blond, H. (1995) "Postmodernism and Higher Education," Journal of Higher Education, 66(5), 521-559


      • 4つのPM議論を扱う:デリダ,フーコー,リオタール,ボードリヤール
        • 前二者はポスト構造主義,後二者は歴史的視点。
      • デリダ:言語が現実の描写と考えの伝達を行う。→ 二項対立をつくる → 脱構築
        • 高等教育:教員と学生,教育より研究,修士より博士,文系より理系
        • → 周辺者を際立たせる → 既存の報酬体系,組織目的,権威や責任に疑問を投げる。
        • 大学業界の業績主義:それ自体は否定しないが,何が業績かを注意深く見ることは必要。
      • フーコー:ディスコース理論
        • 支配力 ≠ 力,= システム,ネットワーク。状態ではなく,支配力の帰結が重要。(Modernistは階層・葛藤・政治活動に注目する。)
        • 大学は分野ごとに異なる方法・指向・言語を持つ ⇔ 共通価値も持つ(学問の自由,ピアレビュー) → 内部コミュニケーション活性化すればよい(Moderninst)→ 失敗する。
        • なぜなら,覇権的な価値があるから。周辺集団は共通土台でコミュニケーションできない。
      • リオタール:メタナラティブ(絶対的な存在)(の可能性はない)
        • 高等教育の存在意義は経済的発展への貢献のみにある,という高等教育像に将来なる。
          • 知識の伝達は,経済成長に役立つものだけが残る。教員も今は必要だが,将来は不要。
        • 人文学は科学的方法をとるべきという議論 ← 大学を支配している見方
        • 大学にあるメタナラティブ:(1)科学のみが絶対的存在,(2)効率性・効果性と技術転移性のみで判断
        • 価値の中心はパフォーマビリティになる。
      • ボードリヤール:内部崩壊
        • メタナラティブの進展で,組織の境界は曖昧になる。→ 1校独占支配へ。キャンパスが必要なくなる。
      • ポストモダンの資源調達
        • より競争的で多様な資源に移る = 政府の権威が落ちる。(ポストモダンや矛盾を含んでいる)。
      • では,どう対応するか?
        • 社会的保守(昔の体制に戻る?),ハードコア,未達成ポストモダン,フェミニスト,マルクス派的対応,文化論,ポストコロニアリズム,カオス理論,越境,自由・実用主義

      2016/10/10

      John, K. (1995) 'A Multimethod Examination of the Benefits and Detriments of Intragroup Conflict," Administrative Science Quarterly, 40(2), 256-282

      • グループ内コンフリクトが生産的になるかは,コンフリクトのタイプ,タスクのタイプに応じたグループ構造,タスクの相互性,グループの規範に依存する。
        • 関係コンフリクト,タスクコンフリクトは共に,個人のパフォーマンスにマイナス。
        • グループのパフォーマンスに対しては,タスクコンフリクトのみマイナス効果あり。
        • 非ルーチン仕事では,タスクコンフリクトがプラスになる時がある。
        • オープンディスカッションは常にプラスとは限らない。→ コンフリクトとの関係の数や密度を高めることはあっても,個人のコンフリクト対応能力を高めることにつながらない。

      • Hackman (1987) のグループパフォーマンス基準:(1)成果が標準以上,(2)個人の仕事能力を高める社会的プロセス,(3)個人の満足度を高める。
      • ここで扱うグループ内コンフリクト:(1)関係コンフリクト(個人間の感情に関するもの),(2)タスクコンフリクト(仕事の見方・考え・意見の相違によるもの)。
      • 先行研究から仮説を生成。
      • 仮説1:関係コンフリクトが高まると,満足,メンバー間のつながり,グループへの残留意思が低くなる。
      • 仮説2a:関係コンフリクトは,個人のパフォーマンスを下げる。
      • 仮説2b:関係コンフリクトは,グループのパフォーマンスを下げる。
        • 他のメンバーからの情報を評価する能力が下がる。
        • 他のメンバーのアイディアを取り入れようとしなくなる。
        • 貴重な仕事時間がコンフリクトの議論・解決・無視に使われる。
      • 仮説3:タスクコンフリクトは,個人の満足,メンバー間のつながり,グループへの残留意思を低くする。
      • 仮説4a:タスクが非定常の場合,タスクコンフリクトと個人のパフォーマンスは,Low-Low,High-High,Very High-Moderateの関係がある。
      • 仮説4b:同上,グループのパフォーマンス。
      • 仮説5a:タスクがルーチンの場合,タスクコンフリクトと個人のパフォーマンスは,Low-Moderate,Moderate-High,High-Lowの関係がある
      • 仮説5b:同上,グループのパフォーマンス。
      • タスクとコンフリクトの関係は,タスクの相互性とグループの規範の2つに影響される。
      • 仮説6a:タスクの相互性が高まると,仮説1の効果が大きくなる。
      • 仮説6b:タスクの相互性が高まると,仮説2aの効果が大きくなる。
      • 仮説6c:タスクの相互性が高まると,仮説2bの効果が大きくなる。
      • 仮説7a:コンフリクトに寛容なグループは,仮説1のコンフリクトのマイナス面を小さくする。
      • 仮説7b:コンフリクトに寛容なグループは,仮説2aのコンフリクトのマイナス面を小さくする。
      • 仮説7c:コンフリクトに寛容なグループは,仮説2bのコンフリクトのマイナス面を小さくする。

      • 運送業633人調査(93%,589人カバー),26部署,79グループ。68管理職にはパフォーマンス調査。リッカートスケール調査票6ページ配付。
      • 冒頭の結果を確認。

      2016/10/07

      鈴木宏昌(2004)「人的投資理論と労働経済学」『早稲田商学』401,29−44


      • 人的資本:シュルツ会長講演(1960):経済発展の要因は教育と技能の向上,賃金格差は教育投資の違いで説明できる。
        • この背景は,旧植民地の経済発展の模索。
        • 資本蓄積を柱とした経済政策・工業投資 → 結果は惨憺 → 物的資本の量的拡大と別の戦略を模索。
        • 60年代の主流研究:個人の教育収益率測定。
      • ベッカーの人的資本(1964):教育・訓練の「年数」に応じて個人の職業能力が高まると仮定。
        • さらに,一般訓練と企業特殊訓練を想定。費用負担の合理的行動を示した。
      • 人的資本論の貢献
        • 賃金格差の説明:以前は,労働市場の不完全性と制度的要因による。人的資本論以降は,労働者の質の諭して説明される。
        • 貧困の説明:発展途上国の貧困問題は人的投資が不足しているか高技能雇用機会が不足している。
        • 差別行動の説明:コントロールの残差が差別を説明する。
      • 人的資本論の批判
        • 統計的差別・スクリーニング:教育が生産性を高めるのではない。
        • 制度要因:人事評価と賃金・勤続に相関がない。
        • 内部労働市場:大企業の中核人材は,外部から独立で内部で人的資源配分をし,OJTで特殊技能を形成し,それに応じて賃金が上がる。
      • 60-70年の日本の研究:年功制・年功賃金(労務政策,生活非保証,日本的経営で説明),春闘賃金決定(労働需給,物価上昇,交渉力で説明),労働市場の二重構造(規模間格差を労働者の質で説明)が代表研究。
      • 人的資本論の課題:
        • 人的投資と生産性:賃金≠生産性が実証される,賃金上昇と人事評価に相関なし=制度的要因で賃金決定。これに反論すること。
        • 一般技能と特殊技能:実証の対象にならない,実際は一般的知識と個別の適用。特殊熟練は10-20%(小池)。→ 一般教育と職業教育という区分なら実証可能?
        • 企業の役割の不明確さ:企業組織を人的資本に取り入れる,関連がブラックボックス化されている(ベッカーは一般教育以外に生産性を高める要素があることを示すことを目的にした)。

      2016/10/06

      Salancik, G. and Pfeffer, J. (1974) "The Bases and Use of Power in Organizational Decision Making: The Case of a University," Administrative Science Quarterly, 19(4), 453-473


      • 合理的・官僚的な意思決定は,目的および,行為と行為の結果の因果関係の両方についての合意がない限り採用されない。
      • どのような行動がどのような結果になるかについての選好や信念に違いがある時には,官僚的でない方法がとられる。
      • 下位部署の支配力の源泉:不確実性への対応能力,不確実性に対応する能力の代替不可能性,仕事フローにおける中心性の3つ(Hickson et al 1971)。
      • 大規模研究大学で実証研究。
      • データ
        • 下位部署の支配力:(1)各デパートメント長が,7段階で各デパートメントの支配力を評価,(2)全学委員会における各デパートメントの代表数
        • (これらは単に部局の大きさと比例していると思うかもしれないが,実際は相関が少ないことを確認。学生時間数,フルタイム換算教員数の2つで確認。)
        • 資源の重要性:7つの変数のうち,どれが部局に予算を持ってくる上で重要かを評価してもらう → 重要なのは,大学院生数,ACEによる威信ランキング,学部生数,外部資金量,社会での認知度,学内行政・サービス貢献度,ビジネス・専門的契約数の順。
        • 部局の貢献度:(1)過去13年で,全体の学部資金獲得における部局の割合,(2)各デパートメント長が,上の7つの資源についてどの程度部局が全学に貢献しているかを5段階で評価。
      • 結果
        • 学内の影響力に重要なのは,外部資金の獲得貢献,大学院生数も影響あり(相関&回帰分析)。
      • 資源が希少になると配分問題が生じる。
        • 仮説1:資源が希少になると,配分において客観的な基準が用いられなくなり,支配力で決まるようになる。
        • 仮説2:部局にとって重要な資源不足が生じると,よりその獲得を画策するようになる。
        • 仮説3:多くの部局にとって資源不足の状況では,組織内の配分が支配力によって決まるようになる。
        • 仮説4:部局にとって重要でない資源については,配分において支配力は用いられない。
      • データ
        • 過去13年の,大学院一般研究費(原資は外部資金),夏期教員研究費(外部資金がなく夏期講座を教えない若手向け),学内教員研究費,高等研究院採用数(トップ教員向け)(金額はインフレを考慮して全体の割合で表示)。
        • 資源の不足度:上の7つの資源についての不足度を評価してもらう。
        • 資源の重要度:上の7つの資源について,それぞれの重要度を7段階評価してもらう。
        • 不足度,重要度とも上位なのは大学院一般研究費。
      • 結果
        • 支配力と資源配分には強い相関(仮説を支持)。
      • この分析で考慮されないのは,学外者・卒業生などの要素。

      2016/10/05

      「大学グローバル化の現段階」『IDE現代の高等教育』No.581,2016.6

      大崎仁「国と大学」
      • 強い中央集権国家の日本が,分権国家であるアメリカで自発的に形成された多様で流動的なシステムを,十分咀嚼することなしに一律に制度化した点が,大学政策の最大の問題点。
      • 法律を実施するための政令・省令(法律を補完する規則)を定められる。
        • 執行命令:法律を執行するための手続きなどの細則を定めるもの。
        • 委任命令:法律と同等の制約や義務を課す規則を定めるもの(強力な政策手段)。
      • 学校教育法(法律):学校教育法施行令(政令),学校教育法施行規則(文部科学省令)
      • 大学設置基準は,大学の教育課程を規制している(104条)。= 設置基準改正が有力な政策手段になる。
      • 民間情報教育局(CIE):大学基準(協会)によりアメリカモデルの導入を義務づけ。
        • 大学基準=CIEの政策手段 → 大学設置基準=大学改革の政策手段
        • 新制大学以降の一貫課題:(CIEの押しつけた)一般教育と課程制大学院をどう根付かせるか。
        • → 大学紛争で硬直した人文・社会・自然の履修緩和
        • → 89,大綱化で一般教育・専門教育の区分と区分ごとの単位数義務づけ撤廃。
        • → 大学運営の枠組みは大学設置基準で決められるという印象を関係者に植え付ける。
        • → 委任事項である卒業要件を超えて,設置基準で大学運営のあり方を義務づけようとする傾向を生む。
        • 自己点検,情報公開は望ましいことだが,設置基準で義務化するのは学校教育法の委任の範囲を超えている。(学校教育法が委任したのは,学長・教員の資格と卒業要件の定めだけ。)
        • → その後自己点検,情報公開義務づけは,認証評価の法制化の際に学校教育法で法制化されて問題解消。

      2016/10/04

      Hatch, M. (2013) "Organizational power, control, and conflict," Organization Theory, Ch.8


      • 政治活動:合理的な組織では,権威の力を損ない管理統治を脅かすものとして位置づけられる。
      • 意思決定における限定合理性:政治活動によって意思決定が支配される余地をつくる。→  水面下の連携を通じて次善最適の意思決定になる。
        • これは組織全体にとって得策になることはあまりないが,デッドロックを壊したり行動に移す上では有効なこともある。
      • 支配力:別の者・集団にせざるを得ないことをさせる力。
      • 支配力の種類:権威,個人の性格,専門性,威圧,希少・重要な資源のコントロール,規範的な制裁,機会(支配力の強い人とのコネ)。
        • このうち,権威だけはコストが小さい。他はコストが高い。
      • 支配力をつくる方法:
        • 他者に対して
          • 依存関係をつくる(不確実性の高い領域で仕事をする,重要な領域の仕事の中心をとる,代替不可能なスキルを身につける)
          • 組織を代表して不確実性に対応する(回避・予想・吸収)
          • 個人的なネットワークをつくる
          • 専門性を伸ばし続ける
        • 組織内で
          • 情報の流れを操作する
          • 問題を操作する(問題の定義,議論の優先順位づけ,問題の除外で行う)
          • 意思決定の水準を操作する(長期と短期,リターンとリスク,自分の能力や関心にあった基準設定)
          • 協力・連携関係をつくる(組織外,組織内(忠実な下位部署,任命委員会,重要な会議に参画する)
          • 自分の意見を支持する組織外の有力者を連れてくる
      • 組織内政治:不確実性や意見の相違がある状況で,望ましい成果を得るために支配力や資源を獲得・発展・行使する組織内の活動。
      • アイデンティティ政治:支配力の関係には一定の属性傾向がある(自学出身,医学部出身)
      • 3つの統制(支配力も統制の1つとして使われる):圧力・支配力による統制,報酬による統制,規範による統制
      • 戦略的状況理論:
        • 学内で学生募集力がある,外部資金を多数取れる部署 = 支配力を使うことができる(上層に人を送るなど)
        • これは,支配力の分布が不確実性と関連しているという意味。→ 組織のニーズに対応できる部署が支配力を得る。
        • 不確実性を支配力に変換する3つのルート:単位の実質化不適格の場合
          • 回避:シラバスに時間外学習を記述するシラバス作成方針を立案する
          • 予測:他大学の対応状況を調査・分析して情報提供する
          • 吸収:不適格の指摘を受けて改善に対応する
      • 資源依存理論:
        • 環境の不確実性は組織内の個人や集団に支配力を集める機会を与える。
          • ある主体が代表して不確実性に対応しても,より重要な資源を押さえて別の主体が対応することがある。
      • 言語と象徴の支配力:文科省が言っている,学長が言っている
      • 組織統制の理論:成果による統制
        • サイバネティック理論
          • 統制の目的:望ましい成果と実際の成果の差異を調整すること
          • 統制の対象:成果と行動
          • プロセス:組織の目標を設定→各部署の目標水準を設定→目標と成果の差を測定→差異を評価して修正する
          • 資源の配分を使って統制する。目標設定,成果水準の設定,成果や行動の測定手法を開発することからはじまる。(成果よりも行動指標の方が測定が容易)。
          • 成果に見たな場合の対応:(1)組織が目標か成果水準を見直す,(2)主体が目標か行動を変えることで,パフォーマンスを上げる,(3)主体を変える・やめさせる。
        • エージェンシー理論
          • 統制の目的:管理者が望む行動を対象が最大限行うことの保障
          • 統制の対象:成果と行動
          • プロセス:管理者と対象とで契約をする→契約した義務に合致しているかをモニタリングする→契約に合致した場合に報償する。
          • プリンシパル側のモニター能力が得られる情報の質と量に依存するため,モニター結果を操作するホールドアップ問題がある。
          • アウトプット測定が容易であればこの方法は強力。
        • 市場・官僚・集団
          • 統制の目的:協働のための取引コストを最小化すること
          • 統制の対象:成果と行動と象徴
          • プロセス:市場=他組織の成果と比較する(成果統制),官僚統制=注意深い観察でルールに合致しているかを比較する(行動統制),集団=組織のメンバーを文化,価値観,期待で統合する(象徴統制)
          • 競争が少ない環境(または市場の失敗)では,組織は官僚的,分業的,権威階層の側面を強化する。(大規模組織が官僚化しやすい理由)。非営利組織は常にこの状況とは言えない(教育バウチャー制など)。
          • さらに,市場も官僚制も失敗すると(環境が複雑で急速に変化する時など),集団統制が好まれる。その時は,組織の目的に構成員が向かえるように,適切な行動を定義する価値観や規範で統制する。
          • 大規模専門職組織はこの統制が多い(専門職集団の規範・期待があるので)。ただし,この統制力が組織の目的と一致するとは限らない。
        • 実際はこの3つを組み合わせて統制する。
          • 社会的システムが最も発達⇔最も未開発:集団⇔官僚⇔市場
          • (環境モニタ)情報システムが最も発達⇔最も未開発:市場⇔官僚⇔集団
      • 別の支配力:イデオロギー,管理主義,ヘゲモニー(=学外の専門家を連れてくる)
        • TQM,PDCAは典型的なヘゲモニー。こうした測定やラベリングは,組織メンバーを小さい抵抗で強くコントロールすることを強いる方法。



      • コンフリクト理論
        • コンフリクト=相互作用の一種,ある努力に対して妨害・強制・攻撃・抵抗・復讐すること。
      • コンフリクトはその便益を最大化するよう,適切にマネジメントすべき。
        • 適度なコンフリクトは,部署内に適度な一体感・協力関係・生産性をもたらすため。
      • コンフリクトを減らす方法:
        • 回避戦略:物理的な隔離,資源の増配分,感情や意見を抑える
        • 協力戦略:より上位の目標を設定する(創発する)
        • スムージング:類似点・共通点に目を向けて強調する
        • 妥協戦略:交渉してもらう
        • 階層委任:より上位の権威に問題を理解してもらい裁定してもらう
        • 構造変化戦略:人事異動
        • 対面戦略:物理的に近づける
      • コンフリクトを増やす方法:
        • 抑制されたコンフリクトを表面化させる
        • コンフリクトのロールモデルを示す(不同意のうまい表明の仕方を見せる)
        • 既にあるコミュニケーションのルートを変える
        • 情報を隠す
        • コミュニケーションの量を必要以上に増やす
        • 意図的に曖昧なメッセージを流す
        • 下位部署の活動や成果に差別を行う
        • 既存の支配構造を否定する

      2016/10/03

      「アクティブラーニング」『IDE現代の高等教育』No.582,2016.7

      小笠原正明「アクティブラーニングの陥穽と構造的問題」
      • エリート的な学習の仕掛けを増す段階の大学でも機能できるようにしているのがアクティブラーニング。
      • アメリカのAL:形式ではない(講義が乗っ取られる),国民性,大量のリーディング,成績評価。
      • 構造的問題に手をつけない限り,ALの実質化問題がやってくる。
        • 構造的問題:学部学科縦割→開講科目数多い→教員授業数多い,就活問題で2・3年次が過密,授業の組織ががない(全て教員の仕事)
      • ALは大学が戦略的に組織化する課題。
      松下佳代「何のためのアクティブラーニング?」
      • ALの政策的推進:資質・能力育成の方法である。
      • コンピテンス VS 教養:生涯学習として重要 VS 知の空洞化
      • 事実的知識と概念・原理・一般化の間を行き来して,知識を広げ原理を深める,それを実際にやってみるのが(ディープ)AL。
      大崎仁「大学運営資金の確保」
      • アメリカ私立大学を国立大学経営のモデルと考えることは幻想。
      • (1)研究受託収入が民間からというのは事実誤認。連邦政府10%,民間2%。連符政府は憲法上,大学に直接関与する権限がないので,補助金・受託量のほとんどは研究助成。
      • (2)資産運用収入が大きいのは,巨額な原資があるから。
      • (3)学生納付金収入は国立でも既に高騰。→ 別定員の学生増か,社会人・留学生の別枠化。
      • イギリスの授業料徴収(デアリングレポート,1998)は日本からヒントを得た。教育費=交付金+授業料。授業料の支払いは政府資金のローン会社が行い,学生は326万円以上の収入を得たら所得から返済。返済しきれなかったら免除。
      • HEFCEは大学の研究基盤整備に資金を出す(特定の活動のためでない)。リサーチカウンシルは特定のプログラム・プロジェクトに必要な資金を供給する。=デュアルサポート → HEFCE:運営費交付金,RC:科研費。