2014/09/04

山本眞一(2012)『大学事務職員のための高等教育システム論』東信堂


  • 事務とは不快語の1つである。相手を名前で呼ぶ,自分で名前を名乗る。
  • 大学の教育研究機能を,既知・未知,基礎・応用という軸で分類する。
  • 教員は専門分野から離れることを嫌う。その教員が経営を担うには,訓練して適任者を育てる,外から適任者を持ってくる,職員を経営者として訓練するの3つの解決策しかない。
  • 旧制高等学校=高等教育機関。今の高等学校=後期中等教育機関。高等教育という言葉は誤解されやすい。
  • 設置者管理・負担の原則:設置者は国・国立大学法人,地方公共団体,学校法人に限る。大学は設置者によって設置される。設置者は大臣の認可を受ける必要があり,認可を受けた大学について管理の責任と経費負担の義務を負う。
  • 教授会万能の幻想は,教育公務員特例法による教員人事における教授会の力の保障による。(自由な学問の発展のために,教員人事については教授会,学長については評議会の議を経た後でないと人事を進めることができないなどの身分の保障に配慮されていた。)
  • クラークの三角モデル(政府・大学・市場)は大学を動かす原理と関連している(=官僚・同僚・企業)。現実の大学経営はこれらの要素の組み合わせ。
  • ウニベルシタスはユニオンに近い意味。同業者の利益保護のための同業組合。もともと大学は閉鎖的。ユニバーサルとは異なる。
  • ヨーロッパではギリシャ・ローマ時代の経緯があり,科学と技術を厳密に区別する習慣がある(日本はない)。なので,工学や農学はポリテクニクなど別体系の学校にする。この分野を大学に入れたのはアメリカ。
  • 戦後,教育システムは単線化される。これは,高校から大学への道を広げ,急激な進学率上昇を後押しする。
  • 独立行政法人:政府内にあった業務を委ね,業務実施の目標を与えて運営費交付金を支出する仕組み。イギリスにならった。法人は,与えられた目標に沿って中期計画という業務計画を立て,監督庁の認可をもらって実行に移す。実行後は適切に実行されたかを評価され,法人の存続を含めて次の業務に反映させる。少ない予算で効率的に行う仕組み(プリンシパル・エージェントモデル)。
  • 専門性の強化を狭く解釈することは危険。財務や労務などの専門もあるが,問題が起きた時に解決できる能力も専門性。(本当?)
面白い指摘をしているが,言葉や概念の定義を曖昧にしているので,丁寧に読むのには向かない。初学者が軽く一通りの知識を得るにはよくまとめられている。