- 大学組織は制度と不可分な自明のものとして研究対象とならなかったが,社会における大学の役割に再検討を加える必要性から,組織研究の必要性が生じた。
- 教育のあり方を変えなければならない → それが進まないのは教授会に原因あり = ガバナンス研究のニーズ発生。⇒ 結局,組織研究は教育改革の視点で検討しなければならない。
- 現在の大学教育の問題点
- 入学時点の将来展望が明確でないために,教育と将来の関連の確信が低く,自律的な学習時間低下となっている
- 教員は少人数教育に重点を置き,授業の改善に積極的でない
- 企業は専門的知識よりもその獲得過程で獲得される一般的汎用技能と人格的成熟度を求める
- 一般的な組織研究の分析対象
- ガバナンスのあり方=組織内での意思決定と執行,権力と責任の分布
- 組織構成・組織形態のあり方=組織内での分業と意思決定の枠組み
- ミクロの側面=組織内での構成員の役割と行動,それを支える動機づけ
- 一般的な組織論は,大学組織について限られた含意しかもたらさない = 大学組織は一般組織と比べて活動の性質が異なり,それが組織のあり方にどのような関係を持っているかをあらかじめ整理する必要がある。
- その基本的な視点は,知識の生産(≠ モノ・サービスの生産)。知識は本質的に多様,その現実的な効用を持つ経路も多様,知識の習得は教育を受ける側の参加によって効果を上げられる。
- これに伴う組織が持つ特質
- 組織内活動の多様性と情報の分散性 = 起業は合理的に分業,大学は分業は不能で並立。その多様な活動を1つの枠組みに収める点が大学。情報偏在なので権限や資源配分は下位組織に委譲される。
- 一元的指標で活動成果が把握できない = 特に教育の成果。
- 組織の二重性 = 企業≠顧客,市場的交換で媒介。大学は学生を大学に組み込むことでサービスを有効に用いられる。
- 大学組織の分析枠組み
- ガバナンス:大学全体としてどのように意思決定され,資源が配分されるか。意思決定のアクターは,社会の代理人,管理責任者,教員の3つ。
- 中間組織と基礎単位:教員集団がどのような単位で組織化されるか。学部=中間組織。学科・研究室=基礎単位。これらの間の垂直的権限配分が問題。
- 教育プログラム:学生が帰属する組織と教育がどのような枠で運営されているか。学生の入学・教育プログラム選択・卒業認定がどのようなプログラムにおいて行われるかが問題。
- 学部型:WW2までに形成されたヨーロッパ型大学組織の骨格
- 大学全体の意思決定機能は限られる:大学自治の主体は教授会
- 学生は学部に帰属し,そこで専門的教育を受ける(=進学率が少数)。
- 戦後は大学全体の管理体制が強化される。
- 中間組織が改組される(学部を廃止して細分化した教育研究単位が基礎単位になったフランス。ドイツも学部に対応する学会を置く)。
- 学生の学習枠組みが変化:大衆化すると目標管理型の教育体制は不能,試験を中心とする学習課程と単位制=学生の学習過程管理志向強化。
- カレッジ型:イギリス
- 各専門分野の教育機能が各カレッジに分散=カレッジは小大学。
- 90年末から大学の管理運営を単一経営主体として行うカウンシル設置(学外者を含まなければならない)。大学評価や補助金配分がデパートメント単位 → デパートメント型へ。
- デパートメント型:アメリカ
- ハーバード・カレッジ=ケンブリッジの1つ。
- 学外者から成る理事会が任命する学長によって大学全体の管理を行う。教員の専門分化が進まず,もともと内部の中間組織も明確でなかった。
- 1920までの近代化過程で,イギリスから受け継いだリベラルアーツによる人格形成を,経済発展・近代科学技術,国際的学術発展とどう統合するかが問題になる。
- その結果,学長はDeanを指名し内閣を構成する,事務局を拡大するなど,アドミニストレーションの機能が学長・幹部教員・事務機構からなる明確な組織の一部として認識されるようになる。
- また,一定の専門分野ごとにデパートメントを組織化することで高度の専門教育を行う機能を持たせた(大学院)。
- 選択科目と学士課程のプログラム化
- 日本では専門別の高等教育機関が大学に統合された歴史から,学部が基礎単位となった。設置基準も学部を単位として教員・設備・定員などを規定した。
- 73年学校教育法改正:大学には学部を置くことを常例とする。ただし,当該大学の教育研究上の目的を達成するため有益かつ適切である場合においては,学部以外の教育研究上の基本となる組織を置くことができる。
- これは筑波大学設置を意図したもの:(1)管理組織における学長・執行部権限強化,(2)大学院の5年一貫性,(3)研究組織=学系,教育組織=学群・学類。
- 大学院重点化:91年東大法学部,教員の帰属を大学院にする=大学院を部局化する=一人あたり積算校費単価の増額が認められる → 国立大で重点化競争 → 2000年積算校費基準統一で経済的メリット消滅
- 教員側の利害で内部組織変化が起こり,教育組織としての学部に基本的変化が生じなかった。
- 2007年設置基準改正で,講座制・学科目制に関わる詳細規定廃止。これも学部そのものの議論なし。
- 現代の大学組織は,学部型とデパートメント型に大別できる。日本は学部型=全体の統治機能は弱く,学部に広範な意思決定権があり,学生は入学時から学部に分かれる。
- 学部型は学術の内部の論理によって意思決定を行うが,デパートメント型は社会の要求に対応しやすい可能性がある。
- デパートメント型が望ましいとして,その移行にはどのような形態が可能かを問う必要がある。
2014/09/18
金子元久(2014)「大学の組織とガバナンス」『大学研究』筑波大学大学研究センター,第40号,1-18
2014/09/17
Fekadu Mulugeta (2014) "Institutional culture and sub cultures and Vision, mission and objectives alignment the case of Addis Ababa University, Ethiopia," manuscript
- According to Schein (1992) organizational culture is the pattern of basic assumptions that a given group has invented, discovered, or developed in learning to cope with its problems of external adaptations and internal integration, and that have worked well enough to be considered valid and, therefore, to be taught to new members as the correct way to perceive, think, and feel in relation to those problems.
- Collegial culture, managerial culture, developmental culture, and negotiating culture are identified as academic culture that reflects higher education (Bergquist, 1992).
2014/09/16
ケン・ベイン(2014)『世界を変えるエリートは何をどう学んできたのか?』日本実業出版社
- 最も成功する人,最も面白い人,人生を心ゆくまで味わえる人というのは,総合的なバランスがとれた人だ。学校で習う1つひとつの科目を互いに関連づけ,重なり合う部分を見つけることだ。
- 真のエリートたちの主な目標となったのは,「思考の力を高め,伸ばすこと」であり,勉強で褒められることでも落第を免れることでもない。
- 1700年代後期のオックスブリッジで,最優秀者にA,その次にBという方式を思いついた。1800年代のイギリス・アメリカの学校には,Pass/Failの2種類の評価しかなかった。1800年代末期にはA〜F,1〜10ができ,20世紀に入るとこれに+や−がつくようになる。
- 創造性を発揮するには,強さも弱さも含めて自分自身をよく知らねばならない。自分のそれぞれの能力を統合することを学び,それぞれの能力が互いを支えられるようにトレーニングしなくてはならない。そのためには自己の内面と対話する必要がある。
- 成長するにはたゆまぬ努力が必要。人は習慣的な考え方や行動から抜け出せない。学びとは,思考にこびりついたそうした習慣をはぎ取ることだ。そのためには,自分を駆り立て,何度も考えを組み立て,疑問を投げかけ,奮闘し,探究し続けなければならない。
- 批判的思考は,困難な問題に取り組み,それを意味あるものと捉え,臨機応変に処理できるようになる。
- 深く学ぶ者は,成績にある程度興味はあるかもしれないが,それは自分の学習や能力が実用的に評価され,今後の改善に活かせる場合に限り,そもそもの学ぶ目的を見失うことはない。
- そういう人はどのように外的報酬をかわしたのか。1つは,子ども時代の好奇心を取り戻した。第2に,思考力を高める方法を実践し,楽しみながら創造力を手にする方法を学んだ。第3に,成長して創造力を活かし,何らかの問題に取り組んだり,自分にとって大切な目標を達成したりした。
- 内発的動機づけ後からに気づくには,自分の過去を持ち上げたり拒絶したりすることなく,適切に活かす。自省の重要な点は,外部の力が自分の人生に及ぶことを意識し,それらを建設的なものに変えることにある。自分には成長が必要だと認め,同時に他者の働きに感謝する。それによって自信はあるが謙虚という姿勢が育まれ,それが創造力豊かな人間としての成功を決める。
- 何かを考えている時,その自分の思考を把握するにはどうするか。自分がどう考え動くかをつかめば,自分の思考の働きを知り,能力が上がる。自分との率直な会話を交わすことで,自分の思考と行動をマネジメントし,向上させられる。
- ろうそく問題を解ける人は国外に順応した経験がある=大学入学前に国外に行けか,違う。何を知るより先に,多くの予期せぬ失敗と考える機会を経験することが必要。
- マインドフルな姿勢を取る人は,新しいカテゴリーを常に作り出し,新しい情報に対して開かれた心を持ち,ものの見方は1つとは限らないことを意識している。
- 課題をやるとゲームをやるでは,後者の方が活動を楽しめる。マインドフルになれると,喜びと学びを結びつけている。
- 知能は不変ではなく,努力と共に知能は伸びると信じている方が,失敗しても楽しんで続けられる。努力こそが最も大事。
- 努力をたたえる言葉よりも,人を褒める言葉(すごく賢いね)を掛けられる子どもは,知能に対して固まった見方をするようになる。
- 誰でも伸びるし,努力なしでは能力を失うと信じると,成長型マインドセットを持てる。
- 自信と能力の有力な組み合わせを自己効力感と呼ぶ。失敗を克服する人には強い自己効力感がある。
- 真のエリートたちは比較という考えを捨てて花開いた。自分を見つめ,自分に訴えるものを知り,どの位置にいてどう見られたいかではなく,何をしたいかに注目した。負けず嫌いなのは人に対してではなく自分に対して。他者との競争に勝つことではなく,自分のベストを尽くすことが人生の全て。深く学ぶ姿勢は,内発的興味から生まれると同時に,内発的動機づけをしながら学びの本質を明確にし,成長型マインドセットをもたらす。失敗は,自分を判定するもんではなく,何かを学ぶすばらしい機会と受け止めた。
- 頭の良さは努力の度合いで決まる。
- 人は経験から学ぶのではなく,経験について考えることで学ぶ(デューイ)。
- 構造化されていない問題に対しては,適切な問いというプロセスが必要。今ある証拠から最も適切で確からしい結論を出し,新たな証拠やより優れたデータの見方,斬新な観点や今までにない問いの手段が得られれば評価をし直す。
- 人生の難しい判断を下すのは,深い理解である。どう決断するかでどんな人間になるかが決まる。
- 大事なのは何を知っているかではなく,新たな問題をどう提起し,その領域理解を深めるデータをどう集めるかということ。
- 関心や思考を制御するポイントが意思の力にあると気づけば,その力は伸ばせる。
- 真のエリートは,仕事に打ち込むために,誘惑に乗らないよう気をつけている。楽しみを先延ばしできる子どもと似ている。目標を持ち,その達成は自分の責任によると知っており,手を出しかねないもの(ネットサーフィンなど)から目をそらした。この決意は,高い道徳観,共感,思いやり,このがんばりがより高い目標につながるかもしれないという気持ちから生まれる。よって,目標全体の重要性を見出し,やるべき目の前の課題に注目できる。
- どういう教師を選べばよいか
- 授業が追求すべき明確な問題,習得すべき能力を中心に据えている。その問題や能力の重要性,魅力,奥深さを学生に理解させている。
- そうした問題や能力獲得のために,高度で多様な活動の機会を学生に与えている。全てを1,2回のテストやレポートで決めず,成績評価の前に再挑戦ができる。
- 学生が協力して同じ問題や能力獲得に取り組める。
- 思索することを奨励し,その分野を熟知しないうちから新たな能力を磨く機会がある。
- 真のエリートは,誰かに教えるようなつもりで読む。
2014/09/15
ピーター・センゲ ほか(2014)『学習する学校』13-16章,英治出版
- 子どもは大人に成長するためにコミュニティを必要とする。学習する学校も,どこにあってもどんな形でも,その周りで学習を培うコミュニティを必要とする。
- 「子どもの学習能力は子どもの家族の学習能力と家族が利用できる資源による」→校内に家族資源センター設置。
- 持続可能性=今日の行動が長期的にどういう意味合いを持つかに気づくこと≒システム思考
- 問題を突きつけられた親は,専門家になれる。(エンパワーメント)
- 学校を,社会を大きく変えるための機動力のある媒体,リーダーシップ育成のための実験室ととらえてみよう。
- 子どもは世界の状態に気づいている:気候変化,資源枯渇,貧富格差,テロ,信頼できない制度など。
- 子どもは今すぐ変化を生み出す必要があると思っている ⇔ 大人は,子どもはメールとゲームくらいしか気にしていないと思っている → 大人が機会を与えないと子どもは動けない。大人のメンタルモデルが変わらないといけない。
- 産業のグローバル化(=相互依存)が高まっているのに,その相互依存の姿を理解する能力が育っていない。→ このギャップが増大すると,生活様式の持続可能性は低下する。
- 伝統的な学校教育が子どもの未来を規定している不均衡について何も触れようとしない時に,子どもはやる気を失う。
- そのためには明確な目標が必要=イノベーションのための真のエネルギー ⇔ これがないと,過去にあった目標に戻ってしまう(数学の得点など)。
- これを学校が持つ地域性を尊重しつつ,学校とそこからサービスを受けるコミュニティの人を結ぶつける方法でなされないといけない。
- グローバスなシステム市民を生み出すための教育は,誰にとってもなじみのあるものでなく,どうすればよいか誰も知らず,カリキュラムもない。→ 教育改革ではなく,教育というプロセスが置かれた文脈を構成し直すことが,共通の目的。
- システム市民の教育は全ての人に学ぶことを求める。教員もマスターしていないテーマで探究することを誘いかける。
- 学校は全ての子どもが自分の声を見いだす場所である。
- 学校を高次のスキルの培養器と考える。システム思考と複雑性についての理解,振り返り,協働と学習パートナーシップの構築,コミュニケーションと聞く力,デザイン思考,自分自身についての感覚や動機づけとセルフコントロール,有効性についての感覚(=システム市民が持つべき思考と相互作用のスキル)→ 大学でなくとも初等教育で育成できる。
- 振り返りは研修でなく頻繁に行われるべき。
2014/09/12
水田健輔(2010)「国立大学法人化の評価と環境変化に対する対応」『国立大学法人化後の経営・財務の実態に関する研究』国立大学財務・経営センター研究報告第12号,第2部第5章,43-55
- 環境が組織に影響を及ぼす一般普遍の原理の1つ:実証主義
- 個体群生態学理論:適者生存の自然界の仕組みを当てはめる
- コンティンジェンシー理論:環境変化の度合いに応じて組織は最適な特徴を持つ
- 資源依存理論:組織は特定の外部主体への資源依存を避けて,自己決定能力を守る
- 不規則変換モデル:合理的な説明ができない組織の変化が起きる
- 新制度理論:制度理論における制度的環境を組織から独立した所与と受け止めず,組織と組織の構成員自体が逆に制度の源泉になっている
- 制度理論:競争的環境下で経済合理性を追うだけでなく,人間が作り出した社会的・文化的枠組みに順応して自身の正当性を組織の構成員や外部に主張する考え方
- 要するに組織と環境の相互作用
- 新制度理論の例:地方政府の改革導入状況と他の変数の関係
- 1914前=移民の割合と共変関係=自分たちの問題を解決するために改革の導入を合理的と判断
- 1915以降=有意な共変なし=改革が普及して制度化した→先行導入例と同調することが正当性を示す道と判断して改革を導入
- 制度は(先行)組織によって作られる
- 横軸に環境の決定力,縦軸に組織の決定力を取ると,1=新制度理論(相互作用モデル)・コンティンジェンシー理論(受動的反応モデル),2=資源依存理論(能動的対応モデル),3=不規則変換モデル,4=個体群生態学理論(環境受容モデル)。
- 法人化前の国立大学は4であったが,法人化後に1の必要性が生じ,最終的に2へ向かう。
- 2008年学長調査の所感「法人化による最良の拡大」「大学運営を取り巻く義務や制約の強さ」をマップすると,1から4象限についてそれぞれ,69,7,1,8大学という数。→ 多くの国立大学は外部環境依存から抜け出した。
- 2005年から2008年までに自校有利度が全体的にプラスへ変化したことは,国立大学が自己決定能力に自信をつけたから。(特に,組織・管理・財政面で伸びた=技術的・制度的環境への適応が内部体制の整備を通して進んだ。)
- 外部資源に過度に頼らず,資源依存理論の論理にそって積極的な行動をした大学が新たな制度を作っている。(総合大学がリーダー,単科大学がフォロワー。)
http://www.zam.go.jp/n00/pdf/ni006100.pdf
2014/09/11
向後千春(2014)『教師のための「教える技術」』明治図書出版
- 教えるトレーニングをせずに教えられるのは,(1)教える内容が決まっている,(2)相手が先生と見なしていることで,何とか教えられる。しかし,うまくいかない時には,教える技術を持たなければ教えられない。
- 教師のための教える技術は,(1)一定の水準が求められる=プロ,(2)大人数を扱うという点が特徴。
- 教える手順に沿えば誰でも教えられる(=ガニエの9事象)。
- うまくいかない原因を相手にしてはいけない。教師は自分が一生懸命になるのではなく,相手が知らないうちに一生懸命になってしまうことに力を注ぐ。
- 学習者検証の原則=教え方の成果は相手ができるようになったかだけで測る。できない原因がやる気がない → 動機づけるのが仕事,努力が足りない → 努力する方法を教えるのが仕事,勉強の仕方がわからない → 勉強の仕方を教えるのが仕事。
- 教師力=教える技術(心理学),授業デザイン力(ID),クラス運営力(アドラー心理学)。
- 子どもが身に付ける技能=教師が教える内容は5つ
- 運動技能:書き順を手に覚えさせる
- 知識獲得技能:反対の意味を知っている(=宣言的知識)
- 問題解決技能:へんとつくりで意味を推測する(=手続き的知識)
- 学習方略技能:効率のいい覚え方を見つける
- 態度技能:漢字を覚えることを面倒ではなく便利だととらえる
- 運動技能は(1)スモールステップで教える,(2)即時(1分以内)フィードバックが原則
- 褒め言葉は過剰ではいけない(褒められないときの我慢,相手の評価を気にするようになる)
- てきないときに罰をつかわない
- 宣言的知識(言葉やイメージに関する知識)は事実,概念(同じ特徴を持つ対象をまとまりにする),原理(因果関係)の3つに分けられる。
- 新しい知識は,自分に関係があることを示して注意を引く。これを必ず最初に行う。
- その後で,既有の知識とリンクさせる。その際に,誤概念も出す(間違いは学びのチャンス)。
- その後で,情報を整理して提示する(体制化,図式化)。
- その後で,新しい知識を定着させる。それは,関連するさまざまな情報と結びつけて長期記憶に定着させる(=精緻化リハーサル)。
- これらのプロセスを通じて,メンタルモデル(=事実・概念・原理が形成された状態)が形成される。このメンタルモデルを作り出していくことが,「知識の獲得」である。
- 問題解決技能は,既にある知識を活用すること。
- 問題には明確なもの(良構造問題:算数の文章題)と曖昧(不良構造問題:武家社会の成立について800字で書け)なものがある。
- 良構造問題は,状況性や文脈性をあえて無視し,注目すべき変数を見つける抽象化に焦点をあてる。
- それができたら,別の例で数多く行う(=転移)。
- 聞く・読むの場合:教師は「わかりましたか?」と聞いてはいけない。ノートを取れば理解したかがわかる(=理解したことを表現する)。その場合,図を書かせるとうまくいく。
- 書く・話すの場合:型があることを教える(例:読書感想文の段落構成)。
- 学習方略技能:(1)目標を設定し,計画を立てる技能,(2)計画を実行し,それをコントロールする技能,(3)フィードバックを次に活かす技能,(4)取り組んだことを振り返る技能
- 2は自分との約束をする。「計画以外のことをしない」=机に座っているだけでいい。
- 3は,テストの後に同じ問題で満点をとってもらう。
- 態度技能は,指示命令で教えられない(自発性のパラドックス)。目的や意義を丁寧に説明することに重点を置く。
- やる気がない理由は,(1)やることの意味がわからない → どんないいことがあるかを説明,(2)やる意味はわかるがうまくできない(ので恐れている)→ スモールステップの原則,の2つ。
- なかなか変われない相手:共感を示す,どんな自分になりたいかを聞く,抵抗につきあって「がんばってみたら?」,自己効力感へ。
- 授業デザインの基本はガニエの9事象で授業を設計すること。
- 授業を魅力的にするためのARCSモデル
- クラス運営の方法は3つに集約される。
- 自分自身がどのようなタイプの教師であるかを知ること。
- クラスの崩壊は一人の子どもの荒れから進展するので,そのプロセスを知ること。
- クラス会議をして相互尊敬と相互信頼の雰囲気をクラスに作り出すこと。
- 教師のタイプは3つに分かれる。
- 放任=ルールはないので自由にして下さい。← 自主性を大事にしたい ⇔ まとまりがない
- 独裁=私が決めたルールに従って下さい。← 使命感強い ⇔ 重い雰囲気
- 民主=みなさんが自分たちでルールを決めて下さい。← まとまりを重視
- クラスが悪くなるプロセス:注目をひく→権力争い→復習→無気力
- クラス会議で雰囲気をよくできる。
- 子どもがちょっと困っていることを議題提案要旨に書いて議題箱に入れておく。
- 週1回授業時間外に,10〜30分のクラス会議の時間をつくる。
- 議題箱の議題を読み上げ,話し合うかどうかを決める。
- 議題について,解決策を提案し,検討して,決める。
- 解決策の実行期限は,次回のクラス会議までとして,そこで再検討する。
- この経験は,子どもの見方を変える。=自己表現の練習
- 解決策を考えたり実行できることで,自分には勉強以外にそういう能力があるという認識をもつようになる。
- クラス内の人間関係において,自分が必要とされている認識と,自分の能力を使ってクラスに貢献することができる認識を持てる。
- 自分の態度や行動は自分で決めることができるという認識を持ち,自分の人生に影響を与えるだけの力が自分にはあるという認識につながる。
- 子どもの行動はシンプル。自分の居場所を作ることを目的に行動している。
2014/09/10
カレン・フェラン(2014)『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。』大和書房
- ややこしいシステム問題を解いたように見えても,他人の気持ちになれる,他の人の立場に立って考えるだけで解決できることがある。
- 競合分析をするといっても,外から集める情報は中途半端にしかならない。中で働く以外にまともな情報はない。
- 戦略の策定において重要なのは知力を磨くこと。考えるのをやめる=コンサルタントを使うでは,結論は出せない。
- 統計データに基づく分析よりも,単純な話し合いが効果を発揮する。本格的な問題に取りかかる前にガス抜きが必要で,別の部署で働く人に付箋でコメントを書いてもらう。付箋を使うと,厳しい意見も感情的にならずに伝えられる。問題があるのは人ではなく,業務プロセスであるから。
- ツールが機能しないのは,コンサルトブレーンストーミングでアイディアを出すことをせずに,テンプレートに記入したり進捗をモニタリングしているから。
- 業務プロセス改善が難しい理由は,(1)部門同士の不信・腹の探り合い,(2)部門間での目標の対立,(3)拙速=問題の根本原因を特定する前に対策をしてしまう,(4)バカだと思われたくない=他部門にアイディアを話そうとしない。
- 多くの問題は,原因を分かっている人が一人はいるはずなので,普段接点のない人を集めて問題点を洗い出せばよい。
- 成果指標を入れると,部門ごとに相反する基準を設けてしまう。しかし全体の目標に対する指標だけでは,他の指標が管理できなくなる。また,自分の力の及ばない指標で評価されるのもフェアでない。
- 半年で10キロやせる目標と,体力をつけ心身の健康状態を改善する目標では,後者の方が多様な目標を用いられる(服のサイズ,走った距離など)。
- 考課をすれば,人はがっかりする。自分は平均以上と思うものであり,平均といわれて喜ぶ人はいない。
- グーグルの優れたマネジャーの8つの習慣:(1)優れたコーチであること,(2)ある程度はメンバーに任せ細かく管理しない,(3)部下の成功と幸せを気にかけていることを態度で示す,(4)生産的で成果志向である,(5)コミュニケーションをよく取り,チームの意見に耳を傾ける,(6)部下のキャリア開発を支援する,(7)チームのための明確なビジョンと戦略を持っている,(8)チームにアドバイスできる重要な技術的スキルを持っている
- マネジメントに効果的なテクニックはない。
- 物事の受け止め方は人によってさまざまで,ある人に興味あることも,ある人にはどうでもよいことである。
- マネジメントの4つの原理:(1)気にかけていることを態度で示す=その人のことを知りたい,(2)伝わるように伝える=指示をする→何からやろうと思ってる?,(3)うまくいかない時は臨機応変・柔軟・素早く対応する,(4)先手を打つ=全員を把握して何をやっているか分かるようにする
- マネジメントスキルとは,結局,よい関係を築くためのスキルであり,どうすればよい人間関係を気づけるかを理解すればよい。
- 人はラベリング効果で,優秀にもなるし,お荷物にもなる。
- 職務適性は,会社のカルチャー,スキルや強み,本人の希望や興味,人間関係の好転に能力を最大に発揮できる職務がある。
- コンピテンシー開発は,全員に行えばメンバーの標準化にしかならない。全員同じ方法で考えて同じ行動をすることは,組織全体を凡庸にする。
- 社員には,自分で自由に見つけてくる研修がよい。それを社内で共有すればよい。
- 組織は,個人,サブグループとその交流,全体グループ,全体と外部との交流の4つの要素でできている。
- イノベーションのエクササイズでは,解決したい問題を全く別の場面に置き換えるとよい。
- ターゲット目標:子どもサッカーチームで適性によるポジション,目標設定,アイスクリームでの褒賞
- 業績考課:子どもの成績について話し合い,評価によって小遣いの増減
- ビジネスは人であることを見失い,問題と解決策に間違った思い込みを持つのは,言葉の使い方が悪いから。まやかしの専門用語を使わないようにする。
- メソッドやプラクティスを実行する前に,それを実行したらどのような影響が出るかについてあらかじめよく考えること。
- 科学的方法を活かす:調査・分析・精査し問題を定義する,調査結果に基づいて仮説を立てる,実験を行い仮説を検証する,実験結果を見定めて結論を出し仮設検証を繰り返す。
2014/09/09
藤屋伸二(2014)『まんがでわかる ドラッカーのリーダーシップ論』宝島社
- メンバーのことを知らない,指示をすれば動くものではない,目標を一緒に作り上げることが必要。
- 同じ仕事仲間でも見えている景色は違う。相手の仕事への考えを理解しないと,やりがいは感じてもらえない。
- 専門職に注文をしてはいけない。専門職は同業者に評価されることや,自分が熱中できるかどうかを重視する存在。
- 結局リーダーに求められるものは人を知ろうとする態度だ。
- 専門職としての相手を理解する。支配しようとすると離れていく。
- 一般社員は,目標を共有し,強みを活かせる仕事を与える。専門職は,目標への理解を得られたら,高い成果を彼らに要求する。無理に支配しようとすると離れていく。
- 相手と一緒に仕事をする。
- リーダーとして自分自身の強みを知る。
- 強い倫理観があって公平でぶれない。重要な局面で仕事がこの程度のものとしないために,成果に対して真摯である。
- 指示を与えて人を動かすことはリーダーの本質じゃない。
- コミュニケーションの成立には経験の共有が不可欠だ。組織においてコミュニケーションは手段ではなく組織のあり方である。
- 実は我々の事業は何かとの問いは,異論を表に出すことに価値がある。それによって互いの考えの違いを知ることが可能となる。互いの動機と構想を理解した上で,共に働くことが可能になる。
- リーダーが始めに行うべきは,自らの組織のミッションを考え抜き,定義することである。
- 考えるべきは,いかなるミッションが有効であって,いかなるミッションが無効であるかである。ミッションの価値は文章の美しさではなく,正しい行動をもたらすことである。
- 専門職たるものは,自らの仕事が何であるべきか,優れた仕事とは何であるべきかを自ら決める。何を行うべきか,いかなる基準を適用すべきかについて,誰も彼に変わって決めることはできない。
- 専門職は一人で働こうとチームで働こうと,自らの貢献について責任を持つ。専門職は自らの目標を専門的な目標それ自体から引き出す。すなわち,彼らの仕事そのもの,仕事の基準・目標・視点が,専門家としての基準・目標・視点によって規定されるということであり,事業の外の世界で決められると言うことである。
2014/09/08
木原俊行(2005)「カリキュラム・コーディネーターの方策と力量形成過程についての考察」『大阪市立大学大学院文学研究科紀要』55,45-64
- 総合的な学習の時間=学校を基盤とするカリキュラム開発の拡充 → 教育課程経営の専門家が必要。
- カリキュラムコーディネータ=学習コーディネータの一種。
- カリキュラム開発=教員による共同的意思決定が必要=問題共有,葛藤,妥協,問題解決という複雑な過程を経る → カリキュラムコーディネータは共同的意思決定の調整者の役割が重要=従来の学校組織で分断されていた仕事を連結する境界人。→ 大らかなバランス感覚,機動的な校内体制の組織,視覚的なカリキュラムマネジメント,自己満足に終わらない自己評価が必要なリーダーシップ(小林 2004)。
- カリキュラムコーディネータの力量形成:マイノリティに即した痛み・苦しみ → 限定主義の徹底(具体的成果の重視とその公開・アピール)→ それでも多様な人材と関わる
- カリキュラムコーディネータの育成においては,自己の振り返りを重視するものとなるべき。
- この事例では個人的な事情(=コンピュータが得意)も力量形成に関わっている。→ 個人的な事情・社会的な状況を考慮した研修プログラム設計。
政府が大学に入れようとしているカリキュラムコーディネータが,職員の専門職として記述している点が気になる。カリキュラムコーディネータを務めるには教育経験は必要なのか・不要なのかが分からない。外国の事例でもカリキュラムコーディネータは中堅教員が努めている。
2014/09/05
磯部裕子(2003)『教育課程の理論』萌文書林
- カリキュラム:学生が進んでいかなければならない複数年の全課程(16c,グラスゴー大学,ライデン大学)→ 現在:教育目標に基づいて教育内容を選択・編成・評価する(=教育計画全体)または学習者に提供される学習の機会の総体
- 単純化すれば,何を,いつ,どのように学ぶかという問題。18世紀までは,何をが追加されてきた歴史。19世紀に教授法の問題と共に論じられるようになる。
- ヘルバルトの教授過程の段階:1890以降小学校の教授法として日本でも取り入れ
- 明瞭:新しい対象を明確に把握するために熟考すること
- 連合:自由に会話することで,その対象を既得知識と結びつけて多面的にする
- 系統:これまでの知識を系統的に秩序づける
- 方法:秩序づけられた知識を他に応用する
- その後何を教えるかは教科ではなく,社会生活に必要な活動によって規定されるべき → 経験主義カリキュラム(なすことで学ぶ,デューイ)。
- コアカリキュラム:特定の問題をコアとして教科の統合を目指したカリキュラム。教科に区分されない子どもの生活上の問題解決のための単元学習を中心におく。
- 経験主義カリキュラムは「何を学んでいるのか」への確固たる答えが用意されていないことから批判されて衰退した。
- フレーベルは,多様な教育実践と構築した教育理論の帰結として幼稚園を生んだ。≠幼稚園創設者,=学校教育における教育課程の可能性を開いた人
- 教科カリキュラム VS 経験カリキュラム → 総合的学習はこれを接合しようとした。(=知っているとやってみるを問題解決を通じて分かったという実感を得る。)
- 教育基本法第1条,教育は人格の完成を目指し,平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
- 教科書をどう使うかは教師に委ねられている。教科書を教える→教科書で教える。
- 教材と教具の区別は便宜的。教具の扱い方を学ぶ時は教材になる。
- 教材研究のプロセス
- 個人として,独自な個人的把握によって教材を理解する。
- 教科の専門家として研究する。
- 子どもの立場から,どこを理解し,どこにつまずくかを理解する。
- 教師の立場から,教えるためにどこをどのように問題とするかを見定める。
- クロスカリキュラム=コアカリキュラム?(ゴミ問題)。
- 計画的な教育は本質的に同じ(カリキュラム=学びの履歴の総体)なのに,小学校以上でイメージしやすく,幼稚園でイメージしにくいのは,計画=教師主導型の実践をイメージするから。計画に基づいた保育 ≠ 保育者が作成した計画通りに活動を展開すること。
- 指導計画の作成は本来クリエイティブで楽しいはずが,なぜ苦しくなるのか。
- 計画は一般にそれが実現されて意味を持つ。計画者は,子どもの理解が十分になされていないと,その計画が子どもの実態と離れたものとなる。計画が,教員を優先したり押しつけたりすると感じるのは,十分な子どもの理解ができていないため。
- 計画は仮設であり,その通りに進めることを選択せずに,現在の活動の発展を見守ることで目的を達成する方法もある。
- 実践の具体はカリキュラムに映し出される。どんなに壮大な構想も実践という具体の中で実現されなければ意味がない。
- そのためには仮設を1つしか持たないことは問題。複数の仮設を持つと,それ以上の仮設を受け入れることが容易になる。
- カリキュラムは子どもによって創出され,教師によって枠付けされているものである。教員が時系列に計画を記述するのではなく,子供らの相互の交渉を援助しながらあらゆる仮設をもとにカリキュラムを創出する。これが,カリキュラムをデザインするということ。
- 教育目標があり,それを達成する教育内容と方法を検討して計画を作る「上から下に下ろす」方式ではカリキュラムはデザインできない。始めに大まかなデザインを描き,商品イメージをつくりながら,子どもとスタッフがそれぞれの立場や知識を活かしてデザインを洗練していく。
- そのためには,スタッフ間で議論が十分にされることが大前提。さまざまな媒体を使って子どもを記録して(ドキュメンテーション),それを評価だけでなく活動の構想を立てる資料とする。
- もともと成長のプロセスは直線的ではない。柔軟な学びのプロセスの中であらゆる仮設を立てて援助する方策を検討する。このプロセスこそ,子どもと教師が共にデザインするカリキュラム。
- 状況に埋め込まれた学習
- 学習とは,教師によって方向づけられるものではなく,学習者自身の営みである。
- 学習とは人々と共同で何かを作り出すという社会実践の一部である。
- 学習とは,教師が一方的にやらせるものではなく,学習者が実践の場とのつながりを実感しながら参加していくことである。
- 学習とは,知識を獲得していくことではなく,何者かになるというアイデンティティを形成する過程である。
- 学習とは,共同体の変容・再生産のサイクルの中にある。
2014/09/04
山本眞一(2012)『大学事務職員のための高等教育システム論』東信堂
- 事務とは不快語の1つである。相手を名前で呼ぶ,自分で名前を名乗る。
- 大学の教育研究機能を,既知・未知,基礎・応用という軸で分類する。
- 教員は専門分野から離れることを嫌う。その教員が経営を担うには,訓練して適任者を育てる,外から適任者を持ってくる,職員を経営者として訓練するの3つの解決策しかない。
- 旧制高等学校=高等教育機関。今の高等学校=後期中等教育機関。高等教育という言葉は誤解されやすい。
- 設置者管理・負担の原則:設置者は国・国立大学法人,地方公共団体,学校法人に限る。大学は設置者によって設置される。設置者は大臣の認可を受ける必要があり,認可を受けた大学について管理の責任と経費負担の義務を負う。
- 教授会万能の幻想は,教育公務員特例法による教員人事における教授会の力の保障による。(自由な学問の発展のために,教員人事については教授会,学長については評議会の議を経た後でないと人事を進めることができないなどの身分の保障に配慮されていた。)
- クラークの三角モデル(政府・大学・市場)は大学を動かす原理と関連している(=官僚・同僚・企業)。現実の大学経営はこれらの要素の組み合わせ。
- ウニベルシタスはユニオンに近い意味。同業者の利益保護のための同業組合。もともと大学は閉鎖的。ユニバーサルとは異なる。
- ヨーロッパではギリシャ・ローマ時代の経緯があり,科学と技術を厳密に区別する習慣がある(日本はない)。なので,工学や農学はポリテクニクなど別体系の学校にする。この分野を大学に入れたのはアメリカ。
- 戦後,教育システムは単線化される。これは,高校から大学への道を広げ,急激な進学率上昇を後押しする。
- 独立行政法人:政府内にあった業務を委ね,業務実施の目標を与えて運営費交付金を支出する仕組み。イギリスにならった。法人は,与えられた目標に沿って中期計画という業務計画を立て,監督庁の認可をもらって実行に移す。実行後は適切に実行されたかを評価され,法人の存続を含めて次の業務に反映させる。少ない予算で効率的に行う仕組み(プリンシパル・エージェントモデル)。
- 専門性の強化を狭く解釈することは危険。財務や労務などの専門もあるが,問題が起きた時に解決できる能力も専門性。(本当?)
面白い指摘をしているが,言葉や概念の定義を曖昧にしているので,丁寧に読むのには向かない。初学者が軽く一通りの知識を得るにはよくまとめられている。
2014/09/03
大森不二雄(2010)「学習成果に基づく学位課程のシステム的統合モデル -学士課程教育の構築と大学院教育の実質化の本質-」『国立教育政策研究所紀要』第139集,101-110
- Constructive Alignment(構成主義的統合):構成主義と統合の2つの側面からなる概念
- 構成主義:教師→学生の伝達でなく,学習者が自ら構築する学習
- 統合:教師が行うこと。学習成果の達成において適切な学習活動を支援する学習環境の設定。
- 教授法や成績評価のための課題が,意図する成果のために想定された学習活動に統合されること。
- イギリスQAAのプログラム・スペシフィケーションの基になった概念(Jackson 2002)。
- 学習成果に基づく教育敬啓のシステム的統合モデル(戦略統合モデル)
- 質の高い学習のためには、教育プログラムの入口(対象となる学生層),過程(知識技能,教授・学習法),出口(労働市場等)が,プログラムの人材養成目的に適合し,首尾一貫したロジックで「統合」されることが必要。
- 教育プログラムの質保証を限りある資源の中で実現するには,教育,技術,組織及び資源配分は,目的に向けて戦略的に焦点化されなければならない。
- 教育プログラムの目的は,機関の使命や内的・外的コンテクストに適合していなければならず,アクセス・質・効率が組織戦略の追求すべき普遍的価値である。
- このモデルは,eラーニングのみならずいかなる教育提供方法にも適用可能である。
- そのためのベンチマーク指標
- 教育プログラムの目的の明示性・首尾一貫性
- ターゲットとなる学習者,労働市場等,知識技能セット
- 教育プログラムの目的の適合性
- 機関のミッションやビジョン,内的コンテクスト(資源,組織等),外的コンテクスト(市場,政府の政策等)
- アクセス,質,効率に対するインパクト
- 教育プログラムの目的達成に向けた手段の統合
- 教育の提供方法:同期,非同期,対面,ブレンディッド(組合せ)
- 教育的側面:カリキュラム,教材コンテンツ,課題,評価
- 技術的側面:ハードウェア,ソフトウェア,支援システム
- 組織的側面:財政,人事
- 教育プログラムの目的達成度
- ターゲットとなる学習者,知識技能,労働市場等
- 教育経営の「システム的統合」モデルは、ルースな編成原理をもう少しタイトにしようとするもの。
2014/09/02
石山恒貴(2013)『組織内専門人材のキャリアと学習: 組織を越境する新しい人材像』日本生産性本部生産性労働情報センター
- 組織内専門人材は,企業などの組織に属し,帰属意識を有しながら専門性を持ち業務を行う存在。マーケティング,営業企画,人事労務,経理財務などの業務の高度化による。
- ナレッジ・ブローカー:企業を超えた場での学びを円滑に進めることができる存在。(異質で多様な実践共同体で学ぶためには特有なスキルが必要なため。)
- 組織内専門人材は,(1)組織内で専門性を得た人,(2)組織にコミットしながら自分の専門性発達を志向する,(3)組織内・組織外双方で形成される専門性を有する,(4)コスモポリタンでありローカルである人材。
- 組織内専門人材の特徴
- 人的ネットワークの構築に喜びを感じる動機づけを持つ
- 仕事関連の能力開発機会は満足度を高めるものの,特定企業での処遇向上に興味がない
- 越境的能力開発という行動をとる
- 実践共同体への越境で学ぶこと:専門性,ノットワーキングスキル(多様な人と即興的に結びつくなかで仕事をする),共同体スキル,環流スキル
- キャリアの初期では専門性を探しており人事権の影響が大きいが,中盤で専門性を重視するようになり,越境をするようになるとキャリア権の影響が高まり,企業の枠を超えた専門性を重視するようになり最終的に人事権の影響が小さくなる。(=組織内専門職の学習プロセス)
興味深いテーマを扱っているものの,組織の外部環境や目的との関連が考慮されておらず,人材のミクロの点にとらわれすぎたために,最後の組織への提言が実践的知見となっていない点が残念。
2014/09/01
伊藤元重(2014)『東大名物教授がゼミで教えている人生で大切なこと』東洋経済新報社
- 戦略の基本は,目標を明確にしておくこと,不確実性の下で基本姿勢を守りながら柔軟に対応することの2つ。
- 速読とゆっくり読むを行うこと。
- 一日一冊本を読む。自分の型を持つ。
- 書くことは最高のインプットである。
- 講演こそが頭を整理する最大のインプット機会。
- 知的活動とは,外から吸収,自分で考えて発信,人とのインタラクションを活用の3つで構成される。
- 立って仕事をする時の集中力は高い。
- 毎日30分何もせずひたすら自分の仕事について考える時間を持つことを決める。
- リスクは分散が原則。研究テーマも常に3股かける。仕事も1つに集中せず,常に同時に進める。
- 来た球は打つ。小さなチャレンジを積み重ねることが差別化につながるかもしれない。
- クラスサイズは小さすぎると競争が起こらなくなる。
- 常に周りの人を参考にして刺激を得る。
全体を読んで分かることは,特別なことは何もなく,基本的なことばかり。しかし,それを確実に行えるかどうかに差が出る。結局大きな目標を見ながらも目の前の仕事を真剣にやる姿で,こなすのではなく徹底的に目の前の仕事をすることで点が線になる生き方。
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