平塚力(2023)「大学経営研究の分析枠組みに関する一考察」『総合社会学部研究紀要』24, 63-85
- なぜ大学は他律的な自律化現象が起きるのか?:2要素がある
- 自らの経営改革において大学は主体か客体か?
- 経営改革の目標設定から目標達成のプロセスのどこの担うのか?
- →大学は改革の客体(政府が目標設定をする)・行為の主体(所与の目標へ自己同一化に自発的に励む)
- ここでの自律は自動的・自発的
- 基盤経費削減→競争資金申請せざるを得ない状況を作る
- 資金援助プログラム立案→政府側の期待する大学像を条件とする助成
- 自律的大学という目標への自己同一化に自発的に励む
- 他律的な自律化は規範的で認知的な組織現象=分析モデルを社会学的新制度論に求める
- マイヤー社会学:組織構造の形成にあたり、制 度的環境が重要な役割を演じていること を体系的に論じた研究
- →(現象学的社会学の視座に準拠することで、生身の人間によって構成される社会を、外的刺激に対する機械的反応によって構成された無機質な物理システムとみなすのではなく、社会の文化的な価値規範に対する意味解釈から構成された有機的な認知システムとみなす)
- 大学経営の分析に有効なのか?
- なぜ高等教育分野で制度論研究は不活発なのか?
- マイヤー社会学の大学経営分析に用いる4つ
- マクロ的な管理制度が出現する背景と社会構造
- 命題1:所定の活動領域において合理化された制度的ルールが生じるにつれ、これらのルールを構造要素として組み込むことによって正式な組織は形成され、拡大する
- 命題2:社会が近代化されるほど、所与の領域における合理化された制度構造が拡張され、合理化された制度を含む領域の数が増える
- 教育組織に対する制度的管理の前提
- 命題6:制度化された組織は、内部管理者と外部の構成員の両方が、検査と評価を最小限に抑えようとする(性善説的に見えるが、専門組織は評価が難しく曖昧な技術を用いるため)
- →専門職としての教育組織の評価には、制度的ルールの順守度という間接指標(形式合理性)を代用せざるを得ない
- →「信頼と誠実の論理」(専門職ならば誰もが誠意をもって行動することを信頼する原理)→制度化された組織については、評価が最小限にとどめられ、かつ儀式化する
- 制度的管理に対する教育組織側の適応戦略
- 命題3:自らの公式構造のなかに社会的に正当化(合法化)された合理的要素を組み込んだ組織は、正当性(合法性)を最大限にし、資源と生存能力を向上させる
- 儀礼:制度化されたルールが機能的に合理的で あるというのは神話、教育組織がルールに従う場合、それが機能的に有効か否かは重要ではない
- 制度的言説の物象化:儀礼性の真骨頂は、言語化された制度的ルールを、あたかも実在するかのごとく物象化してとらえ、組織内に機能や部門を形成する点(=パッケージ化・ラベルづけ)
- 制度的管理に適応するための組織内戦略
- 命題4:制度化された組織において活動を制御し協調させようとする試みは、紛争と正当性の喪失につながるため、構造の要素 は活動から、そして互いから分離される
- 教育組織は資源を外部との交換に依存するオープン・システム
- →技術的な交換(サービス提供による顧客満足の確保)と政治的な交換(制度的ルールの順守による制度管理者からの正当性の確保)の二つの交換システム
- →教育組織はそれぞれの交換に適した組織構造を必要とする
- →ただし、両者はジレンマの関係
- →対応する課題に応じて組織構造を使い分ける(=脱連結戦略)
- 80年以降の新制度論
- 制度的同型化論の精密化
- 組織フィールドとは、主要な供給者、資源や製品の消費者、規制機関、およ び同様のサービスや製品を生産する他の組織など、全体として組織生活の認 識された領域を構成する組織群を意味する(学校における構造の同質化は、複数の学校が同一の文化的影響を受ける社会空間(組織フィールド)のなかに存在したことで生じた)
- 強制的・模倣的・規範的の3つの同型化パターン
- 制度の持つ3機能=規制的機能(各行為者がルールから逸脱しないための規制(制裁・報酬)の機能、規範的機能、認知的機能(規範だけでなく模範解答になる)
- 制度化のプロセス
- 合法化→権力化→神話化(約束事化)→正当化(社会道徳化)→シンボル化(物象化)→儀礼化→秩序化
- 国家と教育組織の関係:規範的交換→報酬的交換→強制的交換の順に重層的に併存する→教育組織の評価は機能的合理性の評価から文化的正当性への評価に変質する

- 90年代以降の制度改革は、専門職業的組織構造にあった大学を機械的組織構造に転換さ せるほどの政治的影響力を持った。
- 大学の質的な改善にむけて様々なルールを制度化→ルー ル順守を財政的援助の条件とする→大学は制度化されたルールを模範解答として参照する→指定された条件に自己の組織を同型化させる→大学組織に関する基礎的な知識を受容する必要性低下