今福輪太郎(2021)「質的研究を実施するうえで知っておきたい基本理念」『薬学教育』5
- 質的研究の目的:現場や当事者の中で実際に「何が」「どのように」「なぜ」起こっているのかを探索すること。
- 質的研究におけるリサーチ・クエスチョン設定:「どうなっているか」という事象理解や問題探索に向けた問いを意識する(⇔「どうすればいいか」という問題解決に向けた問いはダメ)、「どのようにものごとが生じたのか」を問う(⇔「何が起こったか」に留まらない)
- 臨床研究のリサーチ・クエスチョン規準:FINER
- Feasible=実施可能性がある
- Interesting=興味深い
- Novel=新規性がある
- Ethical=倫理的である
- Relevant=必要性がある
- GTA:(a)データに根ざして,(b)概念をつくり,(c)概念同士の関係性をみつけて,(d)理論を生成する分析手法
- 手順
- データ収集
- テキスト化
- 切片化=言語データを文脈から切り離すことで,分析者が言語データから距離をとる
- オープンコーディング:(1)プロパティ(切り口・視点)・ディメンション(中身・内容)の書き込み、(2)ラベルづけ(データの簡潔な名前)、(3)複数のラベルを束ねたカテゴリーの生成
- 軸足コーディング:カテゴリー同士を関連付ける作業.パラダイム(状況・行為/相互作用・帰結)を用いて各カテゴリーを再統合する
- 選択的コーディング::コア・カテゴリーに向けて各カテゴリーを関連付ける(コア・カテゴリー=カテゴリーを統制して理論を生成する際の中心になるもの)
- ストリートラインの作成:カテゴリー関連図を作成→理論的サンプリングを新たに行う→全体像を把握するために,ストーリー・ラインを記述(ストー リー・ライン=現象をカテゴリ―,ラベル,プロパティ,ディメンションを使って記述したもの)
- M-GTA:データの切片化をせず,オープンコーディングと選択的コーディ ングのみを行う
- 手順
- 切片化の代わりに,「分析ワークシート」を作成
- 1概念につき 1 ワークシート(言語資料中に数ページにわたって述 べられている事柄を一つの意味として解釈することもある)
- 分析ワーククシート:概念名(ヴァリエーションの記述を束ねる上位の概念)、定義(どのようにデータを解釈したか)、ヴァリエーション(記述の抜出)、理論的メモ(プロセスで気づいたこと、考えたこと、採用しなかった解釈などを記入)
- 各概念を関連づけカテゴリーと結果図を生成
- コア・カテゴリーがみつからなくても,カテゴリー間の関係性を把握し,全体を説明する
- 無理に概念同士を結び付けないことが重要、結び付けに不足するデータは理論的サンプリングにより追加し,結果図にまとめる
- ストーリーラインの作成:分析結果を生成した概念とカテゴリーだけで簡潔に文章化
- Steps for Coding and Theorization
- 手順:分析フォームの中にセグメント化したデータを記述し,そのそれぞれにコーディングを行う
- テクストの中の着目すべき語句
- テクスト中の語句の言い換え
- それを説明するようなテクスト外の概念
- 前後や文脈を考慮してテーマ・構成概念,及び 疑問・課題の順にコードを考えて付す
- テーマ・構成概念を紡いでストーリー・ラインを記述し,そこから理論を記述
- 主題分析:「こうしなくてはならない」という絶対的な枠組みはなく,自由度が高い手続き
- 演繹的に既存の理論やコードを当てはめる方法,帰納的にデータからコード・カテゴリーを生成する方法,その両方を取り入 れたハイブリッドアプローチがある
- テキストデータに内容を代表する短い言葉をつけ(ラベル),具体から抽象へとコードを階層的にまとめていき,生データの分量を縮小していく作業を行う
- コーディングユニットに関しても規定はなく,インタビューガイドの各質問、 1段落、1文など自由に研究者が設定できる
- 生データからリサーチ・クエスチョンに関連があると思われる語やコンセプトを探していく方法とリサーチ・クエスチョンにかかわらず,重要と思われる語やコンセプトを探していく方法がある
- 手順
- インタビューデータ(逐語録)をコーディングする=逐語録を何度も繰り返して読んでからコーディングを開始、極力短い単語や語句を用いてラベルを付す(初学者は生データの言葉をそのまま使ってコーディングの第一段階を進めるとよい)
- 複数の逐語録から類似したコードでまとめるコードブックを作成する=ラベル,明確な定義(ラベルの説明),取り入れ条件,除外条件,肯定的・否定的な具体例を記述する
- コードやカテゴリーの関連性を眺めて,その事象のパターンを説明するテーマを生成