2011/08/25

中村高康(2011)『大衆化とメリトクラシー』東京大学出版会


  • 今日の教育問題(管理教育,受験競争,学力低下,不登校,モンスターペアレント等)の多くは,ほぼ全員が参加するという大衆教育システムを前提として問題化している。
  • メリトクラシーの大衆化とは,エリートのみに限定されない幅広い層でのメリトクラシー精神の定着をいい,学校推薦による就職・進学システムが,必ずしも進学校でない生徒にも成績重視の姿勢を持たせる契機となっている。
  • メリトクラシーの基準は多様であるため,定義次第で進展もし,幻想にもなる。誰が本当に能力があるかは実際厳密にはわからず,本来的にメリトクラシーは再帰性を持つ。
  • 現代は,試験から推薦へ(一元的能力選抜から多様な選抜へ)と理解されがちだが,歴史的には推薦から試験へが正しい。情実的な推薦制から,客観的で公平な試験へ舵をきってきた。
  • 文部省は,厳しい批判をされていた能研テスト普及のために,試験地獄の解消とあえて推薦入学制度普及を進めた。推薦入学制度の公認は,教育拡大という社会背景において,エリート選抜の論理(公平性)が,大衆を受け入れなければならないマス選抜の論理(試験地獄緩和)に,大きく妥協した減少。
  • 過酷な競争の中で何年も浪人させるよりは,柄相応に進学させるためにも,コンピュター合否判定は重要な役割を担う。
  • 一般入学者において,受験勉強が重圧だったのは,難易度の高くない学生が72.6%,高い学生は53.1%。推薦入学では,難易度中の学生より難易度低の学生の方が重圧を感じていない。
  • それまで志望していなかった四大シフトは,推薦やAOによって誘発されている。商業高校の成績優秀者への進学誘導的な進路指導が行われている。(工業は就職に高い価値があるので逆。)