松尾睦(2009)『学習する病院組織』同文舘出版
- 顧客第一主義の理念に実態が伴わないのは,顧客志向を実現するための公式・非公式の仕組みが組織内に整備されていないことによる。
- 本書の問いは,患者志向の理念がいかにルーチン(組織運用に必要な規則的で予測可能な安定した傾向性)として構造化されたか,その際,どのようなリーダーシップ形態が見られたか。
- 構造,制度,システムを公式ルーチン,行動規範,行動パターンを非公式ルーチンとする。非公式ルーチンは,公式ルーチンと価値観を接合する接着剤の役割を果たす。
- 医療の質は,結果(治癒・回復・生存),プロセス(情報収集の適切さ,診断の正当性,医療技術,ケア満足),構造(設備,スタッフの質,管理構造,会計)の3つから構成される。
- 組織学習とは,(1)新しい知識が獲得・導入され,(2)集団で共有され,(3)ルーチンとして制度化されることで,(4)メンバーの知識・信念・行動が変化するプロセスのこと。
- 職員の意識を改革する上で大切なことは,自分の位置づけや義務を理解すること。主任以上に業務マニュアルを作らせた,厚さ1センチ。もう1つは,管理職になるための試験導入。方針を示せばできる,全部言わないとできない,注意しないといけないの3タイプに分けて指導。
- 締め付けだけでは行けないので,全人医療を強調。
- チームの成長発達の第1段階は様子見,第2段階は軋轢と不平不満。自分たちの意見を出さなければ第3段階へは行けない。
- 病院は,集約型技術を持ち(異なる分野の専門家が共同することでサービスを提供する),多元的な組織である(多様なプレイヤーと多様な目的が存在する)ため,連携型リーダーシップが必要になる。
- この連携は,患者志向,すなわちトップレベルのリーダーが共有できる価値観を有することで,異なる価値観を持つメンバー間で生じるコンフリクトを解消して成立する。
- 非公式ルーチンは,創始・定着・効率化によって構造化される。その際に,新しい技術や制度を取り入れて粘り強くカスタマイズすることが鍵となる