奈須正裕(2022)『個別最適な学びの足場を組む』教育開発研究所
- 個別最適な学びの2つの構成要素:指導の個別化、学習の個性化
- 指導の個別化:個人の特性、学習進度、学習到達度に応じて、指導方法、教材、学習時間の柔軟な提供・せっていを行う
- 学習の個性化:基礎的な資質・能力を土台として、興味・関心・キャリアの方向に応じて課題の設定、情報の収集・整理・分析、まとめ・表現を行う機会を提供することで、子ども自身が学習が最適となるよう調整すること
- 日本の歴史では個別指導が中心、一斉指導は近代革命後の短い期間しかない
- コンピテンシー:対象や場面と適切に関われる有能さ(competencyを訳出した行政用語)
- これまでの学校は自立した学習者を育ててこなかった:臨時休業で指示がないと何をしていいか分からない子どもがいた
- 一斉指導は発明されたもの、1対1指導がもとも生産的(一斉指導の4倍の速さで同じ水準に達成する)。個別指導は大学生でもできるが、一斉指導はうまくできない。
- ドリル学習の問題は、なぜそれが正解かを理解せずに、単なる手続きや行動として学んでしまうこと。スモールステップのプログラム学習は、外化と即時フィードバックで状況の確認が行われるため、意味理解が促進されることも多い。
- 繰り下がりの引き算をいつも間違える子:借りるものは返さないとと考えていた→プレゼントにしたら間違えなくなった。こういう指導はAIにできない。
- マスタリーラーニングの手順=一斉指導+習熟度別指導
- 指導単元の教育目標の分析と授業内容の具体化をする=学習内容を縦、行動目標を横に配列したマトリクスで目標の細分化表を作る
- 一斉指導で教える
- 形成的テストを実施する:15~20分で自己採点できるもの
- 学習が成立しなかった子=個別指導、子ども同士の教えあい、視聴覚教材などによる補充学習、学習が成立した子=定着を促す課題、発展的課題を与える
- 総括的評価のテストを実施
- 能力別学級編成が効果を上げない理由:指導法や教材の最適化が行われていない。能力別学級編成自体は、個別最適な学びではない。子どもを小集団に分けただけで、同じ指導、同じ教材では学力は上がらない。
- 言語性知能の高いこと低い子には別の語学指導を行う:高い=文法中心、低い=会話中心 ← 教材は柔軟に提供されるべき
- 子どもが主体的になれないと言うが、単元の構成も、何時間で学ぶかも伝えず、シナリオである指導案を受け取らないのに主体的に考えられるわけない。まず、基本的な情報の共有から始めるべき。
- 個別学習の実学習時間は、総学習時間の91%。学習効率は高い。時間が足りなくて教科書が終わらないというのは、一斉指導における学習効率が低いから。
- 個別最適な学びは、顧客満足的なサービス提供に陥ったり、分断を作らないか心配になるが、理念やカリキュラムのレベルで検討されればできる。
- 国語の物語学習を、生物学的に検討した例:異端の迫り方をしたことで、かえって文学的なアプローチをとることの意味の自覚かを促した。
- 一斉指導はテレビ、個別指導は読書、自分が開いて読まないといつまでたっても始まらない。
- 個別最適な学びの2つの意味:(1)個に応じた多様な教材・学習時間・方法の柔軟な提供、(2)自分に最適な学びを自力で計画・実行できるこどもの育成
- 自由進度学習には早修(Acceleration)と拡充(enrichment)がある。日本は拡充を基本とし、外国は早修を認めている。