2022/08/22

白水始(2012)「認知科学と学習科学における知識の転移」『人工知能学会誌』27(4), 347-358

  • 転移と教育は密接に関係する:転移は本来認知現場→転移させると言いがち。
  • 2つの転移の混在
    • ソーンダイク:transfer outとしての転移=すでに起きてしまった現象を指す
    • フロイト:transfer inとしての転移=将来起きる現象を指す
  • 転移と似た概念:陶冶
    • 形式陶冶:あることを学んだ記憶力や抽象化などのスキルが他の分野にも使える(ラテン語を学ぶのはラテン語を使うためではない)
    • 実質陶冶:学んだことの内容そのものが役立つ(←領域知識の転移に相当)
  • ソーンダイクの形式陶冶批判:転移は、転移課題Bの内容が学習課題Aに含まれている場合に起きる(人の転移能力を矮小化したとも言える)
  • 状況論者のレイブ:転移という考え方自体を捨てるべき(実験者の想定した範囲だけで転移を評価している、知識は文脈から切り離せないなずなのに、転移には経験から知識の抽象化が必要と考えている)
  • 認知心理学の転移:知っていれば使える(個人の頭の中に十分な知識が蓄積されれば起きると考える)→状況論の転移:知識を使うには、知識を行使する行為が含まれる、それには知識の持ち主として振る舞うことが許される状況にいるかが転移の成否に影響する。→
  • 認知心理学の転移:実験者が転移のゴールを決め、その期待する範囲解に参加者がいたったかで転移を評価→学習者中心論:実験者側の意図しない解法でも参加者視点から学んだことを一般化しようとしたものがあれば転移にならないか。(教師が高次の解法を教えても学習者は自分なりに了解した低次な解法を使い続けることはよくある。)