宮脇陽三(1999)「現代の生涯教育政策理念についての一考察」『教育学部論』10,79-96
- 「成人教育」 (adult education) と「成人の教育」 (education of adults) は同じ意味ではない。
- 成人教育=自由教養教育 (liberal education) ,中産階級の人びとの余暇活用教育(英国)→ 完結教育であり,成人の余暇時間における知識や趣味を促進し拡充していく教育を指す
- 成人期に行われて完結。教育の周辺部に位置づく。
- 英国の地方教育当局が提供している大学開放(university extension)は余暇時間に行われ,創造的芸術や体育活動や家事技能習得活動と同じものとして取り扱われる。
- 放送大学での学位取得は,自由教養教育とは区別すべき。
- 成人に適した自己決定的学習方式で行なわれる(青少年でも行えるので,心身の成熟と豊かな生活経験と年令が20歳以上という条件を加える)。
- 成人の教育=自由教養教育,一般教育,職業教育を問わず,継続教育・高等教育を除くあらゆる成人の教育。
- フランスの成人教育=民衆教育(education populaire)
- ユネスコの生涯教育=lifelong learning(フランスでは恒久教育 education permanente と呼ぶこともある)。
- 明治~大正:通俗教育(青少年対象の青年団等の思想善導的な杜会教化を目的)→ 大正10年(1921年)社会教育という語が登場(学校教育を除く青少年・成人対象教育)。
- 生涯教育:人生初期完結型教育では現実の杜会の教育要求に対応できなくなったために,新しい教育政策理念として登場。
- 生涯教育=児童期から全生涯を通じて継続して行われる。
- 継続教育(continuing education):生涯教育と同等に使われることが多い。
- 全日制義務教育の卒業後に履修可能なすべての学習機会と定義(ベナブル 1976)。
- → 定時制,全日・定時制,断続制に分けられる。
- 厳密には,義務教育後教育・専門教育。成人の教育より専門化している点が特徴。職業再訓練教育が含まれる。
- リカレント教育:OECDが採択した用語。
- 学校と社会の聞を交互に循環するやり方での個人の生涯を通じての教育の普及と定義。
- さまざまな理由によって,人生初期に妨げられた教育を再開したいと望む成人を対象とした定型的・制度的な全日制の教育。
- 全日制教育を人生後期の時代に受ける=有給教育休暇制度を伴う。← ILOが各国に要請。
- 地域社会教育(community education)
- 地域:(1)個人間の人間関係が親密,(2)特定の場所で共同生活を行う集団,(3)特定地域の人 → 地域社会教育は複雑な意味を内包 → 地域社会活動・地域開発教育,地域社会の教育,壁の外での教育の3つに分ける
- 地域社会活動・地域開発教育:地域生活上の問題解決な行動と維持向上的な活動(フレイレ)。=中立でない教育(ex. 貧困者の識字教育など)。
- 地域社会の教育(コミュニティカレッジ)
- 壁の外での成人教育(大学開放教育 university adult extension classes):大学所属教員が地域社会の中で講師として講座を担当する。
- 学習社会:地域社会よりも地理的空間の範囲を広く取りあげたものであり,時間的には未来志向の理想的社会の理念。