藤田英樹(2009)『ミクロ組織論』新世社
- 内発的動機づけ:欲求論(自己決定)+過程論(認知的枠組みで説明)と言える。
- 動機づけの認知論的アプローチ
- 環境・記憶・情緒から受け取った情報は、エネルギー源への刺激入力になる。
- エネルギー→目標:欲求論の範囲
- 目標→行動:過程論の範囲
- 組織行動は、人間をどのような存在とするかの仮定で異なる。
- 機械的側面(人間は受動的な機械である:命令に従う)
- 態度・動機的側面(個人的な態度・価値・目標に従って行動する)
- 合理的側面(意思決定者・問題解決者として行動する)
- これらは相互に矛盾するものではない。
- 意思決定には、5つの意思決定前提が必要
- 目標、代替選択肢集合、各選択肢の期待結果集合、各結果の効用集合、意思決定ルール
- 意思決定は、意思決定前提という環境からの刺激への反応でもある。
- 状況定義を単純にする方法
- 他のメンバーからの意思決定前提を受け入れる=権威
- 限定合理性・専門性不足のために権威として受容する(ほうが楽)。
- メンバーが組織の観点から意思決定する=一体化
- 組織にとって:メンバーの目的を組織に望ましいものに変える→採用手続き、組織内実践で変える
- 個人にとって:身内意識を持つ
- ゴミ箱モデル
- 組織の上層ほど多くの選択機会に参加できるために、エネルギーは分散し問題解決がされにくい
- 組織の下層ほど選択機会が限られるために、問題解決が行われる可能性が高くなる
- 組織の上層で意思決定することは、見過ごしややり過ごしばかりになってしまう
- 科学的管理法と自発性
- テイラーも現場に関する知識を最も持つのは現場の人間と考えていたが、自発性の発揮は例外と断じたために、管理者が標準を設定して現場の人間を教育することにしてしまった ⇔ カイゼン
- マズローの欲求段階説には実証的根拠がない(欲求説と呼ばれ、欲求理論と呼ばれない)。
- 近代企業の特徴は、経営側が従業員への依存度を高めていること(大量の知識や技術を使うようになったため)。
- 期待理論の基本的な考え方:行為→(期待)→成果(1次結果)→(手段性)→報酬(2次結果)→報酬期待値が大きいほど行為の動機づけが大きくなる
- どんな仕事をしたらどのような結果が得られるかがわかっている必要がある。
- ローラーの給与モデルも、基本的に同じ期待モデル。
- 期待理論は、参加の意思決定は外発的、生産の意思決定(生産性向上)は内発的動機づけが必要と考える。
- マズロー欲求説の修正
- アルダファーのERG理論:因子分析では5つではなく、3つに分かれる
- 生存欲求(Existence)、関係欲求(Relatedness)、成長欲求(Growth)
- ハーズバーグの三角関係:人事管理哲学の3類型
- 組織論(業務フローに注目):人間の欲求に合わせて仕事を適切な方法で組織化することが重要→仕事の構造を効率化でき、職務態度も良好になる
- インダストリアル・エンジニアリング(仕事に注目):仕事の作業条件とインセンティブシステムの設計が重要→仕事がうまく構造化されれば、仕事は適切に組織化される
- 行動科学(職務態度に注目):人事管理は人間関係トレーニングを中心にすべき→懸念な職務態度が形成され、仕事の構造も組織構造も効率化される
- 二要因論:衛生要因が積極的満足に寄与しないのは、個人に成長の感覚を与えるのに必要な特徴を有していないため
- 衛生要因で仕事を選ぶと、離転職を繰り返す可能性がある
- 内的報酬の源泉は、有能さと自己決定の感覚。
- コンピテンスの動機づけ目的:刺激に対する飢えを満たす、活動することへの要求を満たす、知識を獲得する、環境を統制する
- コンピテンスへの欲求から生じる動機づけ=Effectance Motivation:コンピテンスを発揮することができると人は環境に対して有効性を持っていると感じられる→この感情を効力感(feeling of efficacy)と呼ぶ。
- 有能さと自己決定の基盤となるのが自律性←環境を処理する能力を習得することで、人は自律性を増す。
- 有能さと自己決定の感覚を経験したいという欲求は2つの行動を起こす
- 自分が有能で自己決定的と感じさせてくれる機会(適度なチャレンジ)を提供してくれる状況を求める。
- 自分が直面したり作り出しているチャレンジを征服することを求める。
- 期待理論=人は楽な方へ流れる⇔内発的動機づけは逆の立場。
- 外的報酬はインパクトが大きく、注意して使わないと人の行動を統制する。
- 欲求・動機・動機づけの関係
- 動機:欲望、衝動、願望などの行動を引き起こし、方向付け、持続させるもの、欲求は動機の一例
- 動機は具体的で、動機づけは抽象的で動機一般をあらわすもの
- 動機理論志向:ある動機の存在の有無とその水準で行動が決定される
- 期待・価値理論志向:環境からの刺激に対する認知的反応によって形成される、期待と価値の水準によって行動が決定される
- マクレランドの動機論は前者、アトキンソンの達成動機づけは後者に位置づく
- マクレランドの動機:1つの感情状態における合図の変化による再構築(動機の生成=あるきっかけによる感情変化)
- 合図:学習された刺激
- 再構築:合図前の感情と新たな感情が統合されること
- マクレランド:動機づけを、喚起された動機のみを指すとした(行動選択に利用される、期待や価値などの認知変数と切り離した)。
- アトキンソン:動機づけを、期待や価値に影響された後の最終的な行動への衝動を表すものとした。
- アトキンソンモデル:最も有力・正統的で説明力の高いモデルとされている(明快で精密な定式化がされているため)。
- 基本的な考え方:達成動機が強ければ達成行動が現れやすいが、認知変数である期待や価値によってその頻度や強度は変化する。達成行動の強度・頻度・持続性は、成功近接傾向と失敗回避傾向の合成傾向で決まる。両者はそれぞれ、動機・期待・誘因価の積で決まる。