苅谷剛彦(2017)『オックスフォードからの警鐘』中公新書ラクレ587
- 日本は講義、オックスブリッジがチュートリアルであるのも、大学が国家をつくったか国家が大学を作ったかに反映されている。
- 非英語圏では、リアルな競争では圧倒的に不利。
- 英語で発信しなければリアルな競争とは無縁。
- 実際にリアルな競争に巻き込まれていないのに、リアルな国際競争力をつけようとしているから効果がない。
- (冠名に対する欧米人・欧米社会と日本人・日本社会の見方に違いはあるか?)
- 文系不要通知:国家と大学のパワーバランス、大学の弱体化、社会からの信頼の薄さを露呈した。
- オックスフォードの入試は主観的な評価中心でも社会が受け入れている(大学の権威を受容している)。
- チュートリアル:イギリス社会の個人主義(自立した個人=市民の相互承認によって社会が成り立っている)の思想と結びついている。
- 共通知識基盤を作った上で、個人が知識を用いてどう考えるかを重視。
- 入試で主観が尊重されるのも、相互に個人を尊重しているため。
- 日本では公平性・客観性が重要(講義でも。→ 個別学生が見えにくい学習中心になる。)
- チュートリアルシステム:
- 週1回約1時間、学生2~3人に教員1人、全8週間
- 毎回エッセイ論文の課題
- 課題に答えるための課題文献が指定される
- 課題文献を読んで毎回A4で10頁程度のエッセイを提出
- 試験問題も課題文献をもとにエッセイ課題ににた問題が出る
- パブリックスクール・グラマースクール・セカンダリーモダンの3階層
- 階層移動の手段と思われたグラマースクールは、階級再生産とわかり、グラマー+セカンダリーのコンプリヘンシブスクールに統合された(70~80年代)。
- 学校選択制により自由に中東学校を選ぶ時代へ(80年代)。
- アカデミースクール(地方教育当局の運営から離れた公立学校)設置(90年代)。
- エビデンスの時代:グラマースクール復活論(ESB低の生徒がいくと高い成績など)。
- サービス業の生産性が低いのは、価格に転嫁できない過剰なサービスとそれを支えるパート人材のため?
- グローバル化という概念は、実態としての社会変動を指す面と、それらに関するイデオロギーを意味する2つの面がある(広田)。
- ネオリベラル改革(規制緩和・市場化・民営化)が国外で進み、日本が遅れているから対応せよというイデオロギー。
- グローバル化が曖昧な概念であるがゆえに、イデオロギーの影響力が大きくなる。
- 需要側から見た高等教育のグローバル化は、英語圏主導の動きではなく、中国化。
- 流出する中国留学生をどの国が獲得するかという競争。
- 中国は買える学歴ではなく、厳しい教育を提供する質の高い教育を求めるようになった。
- イギリスから見たライバルは、オーストラリア、ニュージーランド。
- 欠如理論:日本にないものを過度に普遍的と思い込むこと(日本にしかないものも逆に欠陥の原因とされる)。
- 過去の教育(詰め込み)にネガティブな印象を与え(実体験があるので具体性がある)、主体的な学び(抽象的で理想的なイメージ)を語って改革を求める(脱連結した理想化)。
- この基盤は、外部の礼賛。
- 外部の現実ではなく理念を参照点にするので、実体験よりも理想が勝ってしまう。
- 理想と現実を埋める役割を果たすのが、外来のランキング。
- グローバル化の正体:英語(言語資本)を利用できる国が、大学という機関(=制度)を使って、資金や人材を集める競争をしかけ、市場での優位を確保し、知的生産・伝達のヘゲモニーを握ろうとしたこと。