2018/02/19

松嶋登(2016)「制度ロジックスの組織化と制度としての組織」『経営学論集』87,60-69


  • 制度:多様な物質的実践を産出する超越的な言語(=理念型)
    • 矛盾を含んだ多元的な社会的価値(制度ロジックス)として存在している
    • その中でも有機体として存続を求める価値を有する組織は、矛盾する価値を混合することで二律背反する多様な実践を産出してきた。
  • 伝統的な企業家概念:制度化されて硬直した組織に外部から変化を持ち込む主体
    • 西欧エリート概念がルーツ。
    • 重要な研究1:企業家=新たな共通の意味やアイデンティティを形成していく社会的スキルを有する者。(ただし、企業家も制度から生まれるという循環論法)。
    • 重要な研究2:企業家には、社会的スキルを文化に埋め込むために制度的ポジションが必要。
    • 重要な研究3:制度的ポジションでは見過ごされたさまざまな価値(制度ロジックス)の矛盾を契機とした制度変化に注目。
      • 制度ロジックス間の矛盾が顕在化したコンフリクトを経験した企業家は、制度変革へ動機づけられる(内生的な制度変化)(Friedland and Alford 1991)。(企業家は,制度ロジックスの最適均衡に至る予定調和に従うだけの存在になってしまう?)
  • 共通の問い:制度化された主体による制度変化はいかに可能なのか?
    • 研究の主流:制度外部のエリートを置いて制度変化を求める → 内生的な制度変化の探求へ。
  • DiMaggioの制度化:人々は制度化されるほど、戦略的なエージェンシーを獲得し、同じように制度化に反応して多様な利害を持つ人々(補助的制度)の組織化を行うことで、新たな制度を生み出す。← これが制度的企業家。
  • Friedland and Alford(1991)の制度ロジックス:
    • 個人と組織が、物質的実存を再生産および時空間を組織化する基礎となる超組織的な活動のパターンであり、同時に、その活動のカテゴリ化および意味付与の基礎となる象徴システム。
    • 西欧=資本主義市場、官僚制国家、民主主義、 核家族、キリスト教を主要な制度ロジックとする社会。
  • 手続き合理性が貫徹する近代では、貫徹するほどに矛盾する価値領域が混合された実践が作られ、それまで潜在してきたコンフリクトが生じ、そのコンフリクトが新たな価値領域の参照を生み、新たな実践を作り出していく。
    • 制度ロジックス:排他的に置き換えられるようなものではなく、二律背反的な 実践を産出し続ける。
  • 2つの制度論
    • 悲観的立場:社会レベルの制度ロジックスは外部環境としてとらえ、環境適応の不能は制度化されて機能不全になった組織が原因。
    • 積極的立場:制度が生み出す主体の戦略的エージェンシーのもと、政治的なアリーナと化す組織フィールをを論じる。
      • ← 制度ロジック概念もこちら:社会的価値の矛盾と混合を繰り返しなが ら、新たな実践が生み出されていくプロセスに注目。
  • 矛盾を含んだ組織ロジックスを混合し続ける実践の力はどこから来るのか?
    • 機能主義パラダイムにある
      • 進化の妨げになる硬直性が克服すべき課題となり、組織変化を論じること が研究者の美徳と化した(eg. 官僚制批判 → フラット化・ネットワーク化・ポストモダン)。