2017/01/06

木戸裕(2016)「ドイツの大学入学制度改革」『比較教育学研究』53,14-27


  • 教育改革の背景:ボローニャプロセス(高等教育改革)とコペンハーゲンプロセス(職業教育改革)
  • 大学入試制度の5論点
    • ギムナジウムは8年制か9年制か
    • 連邦共通の統一アビトゥーア試験は可能か
    • 第二・第三の教育の道を経て大学入学資格を取得するものをどう増加させるか
    • ドイツ資格枠組みの中でアビトゥーアはどのレベルに位置づけられるか
    • 大学入学資格のための教育スタンダードの導入とコンピテンス志向の学力観への移行
  • 大学入学制度の特色
    • 大学入学資格試験(アビトゥーア試験)に合格すれば,どの大学・学部にも登録することで入学できる。
    • アビトゥーアは900点満点,300点以上合格,600点分は在学時の成績,300点分は卒業時に5教科で試験。
    • 5時間で論述など,論文式試験。
    • 16州ごとの統一試験。
    • 卒業時5教科試験は,4教科が筆記,1教科は口述(自分の意見を説得力をもって発表する)。
    • 試験問題の出題者は州文部省・ギムナジウム教員,大学教員は関与しない。
    • 試験は州ごとだが,資格はドイツ共通。
    • アビトゥーア試験は絶対評価。
    • 医学部など一部分野は入学制限が導入され入学者選抜がある。
    • 大学入学資格は終身有効。
  • ギムナジウム年限問題
    • 西ドイツは基礎学校4年・ギムナジウム9年で13年,東ドイツは普通教育総合技術上級学校10年・拡大上級学校2年で12年。統一後は,西ドイツに合わせた。しかし,多くの国は12年制で,多くの州が移行したが,9年制ギムナジウムの州もある。9年の内容を8年にすると,過密な時間割になり,授業テーマが十分扱えない,成績プレッシャー,ストレス増加,課外活動時間減など,生徒・親から評判よくない。
  • 統一アビトゥーア
    • 試験作成・実施=各ギムナジウム → 2001PISAショック → 15州で州で統一する中央アビトゥーア,2017年から全16州で共通問題プールによる試験実施。
    • 州間の比較可能性を高める ⇔ 教育に関する州の権限を奪う,質の低下を招く(レベルの低い州に合わせる)反対論あり。
  • フレキシブルなラーニングパス
    • ギムナジウム以外からの大学入学資格(第二の教育の道)2.1%,学校を経ず職業訓練から大学入学(第三の道)0.9% → 個別ケースごとに入学試験実施,仮入学後に成績コントロール,マイスター試験合格者の面談などで適性判断,才能試験の実施
  • 大学入学資格のための教育スタンダード策定
    • 一般大学入学資格の取得に至る全ての教育課程でこのスタンダードが適用される。
    • コンピテンス型ラーニングアウトカム設定。
    • 教育の最終段階で生徒の学習成果をアセスメントするアウトプットコントロールを重視する学習観が定着してきている。