山村滋(2016)「イギリスにおける大学入学者選抜制度改革」『比較教育学研究』53,3-13
- 統一的な大学入学資格要件なし,選抜は基本的に個々の大学のコース単位
- 選抜に利用される試験
- General Certificate of Education Advanced Level:中等教育証書上級,主としてl8歳を対象(Aレベル)。
- General Certificate of Education Advanced Subsidiary Level:中等教育証書準上級,主として l7歳を対象(ASレベル)。
- General Certificate of Secondary Education:前期中等教育証書,主として16歳を対象。
- Aレベルが合格に大きな影響を及ぼす:l6歳以降一般的にはまず4~5科目程度のASレベル,7歳以降は3科目程度のAレベル取得を目指す。
- 大学への出願は各大学へではなく,UCAS(Universities and Colleges Admissions Service=入学仲介機関)を通して行う。志願できるコース数は通常5つまで。
- 入学者選抜:志願者情報(志望理由,将来の希望進路,興味関,校長・教員コメント,GCE・GCSEなどの成績,今後の受験予定科目),面接などを総合的に判断。
- 試験は政府から財政的に独立した資格授与団体が実施。伝統的科目+会計,演劇など。
- ペーパーテストは記述式。Aレベル数学は2年間で90分の試験が4回,化学などでは実験,歴史学では課題研究あり。
- 成績はグレード評価:A*,A,B,C,D,E,不合格。
- 17歳ASと18歳Aレベルの関係:
- 4モジュール構成,前半2モジュールがASレベル(Aレベルの前半),後半2モジュールがA2 → 2年間のAレベルの前半1年がASレベル。
- 各モジュール25%の評価ウェイト,モジュール単位で再受験可能。
- Aレベルの改革
- もともと大学入学者選抜→被雇用者選考など目的多様化。
- トップ大学に十分な学力獲得になっていない。(→大学が設計・開発に関与することを期待)。
- モジュールシステムでは科目全体の総合的な学力がつかない。(モジュール内容を再度学ぶ機会がない構造。評価の機会が過剰で,教員が生徒にあわせず試験に合わせる。1月試験を優先して6月試験科目を軽視。)
- → モジュールシステム廃止:各科目の学習の最後に試験を実施。試験は原則ペーパーテスト。
- → ASレベルの価値は1/2から4割へ。
- → 1月試験廃止。
- 改革でAレベルは大学入学者選抜,教育は大学教育準備のためを再定位。
- 後期中等教育は,アカデミック教育と職業教育の分離を明確にする。
- 英国の教育政策の根幹の1つは教育水準の向上だが,この改革がそれに貢献するか?