荒井克弘(2016)「高大接続の日本問題」『比較教育学研究』53,55-67
- 欧州は進学型の中等教育に大学教育への接続課程を予め埋め込んでいる。(イギリスの シックスフオーム,ドイツのギムナジウム,フランスのリセなどの後期課程。)
- 日本は敗戦を契機に,旧制の複線型中等教育が廃止され,単線型(新制高等学校) が導入されたが,新制大学には旧制への羨望と劣等感が残った。学士課程の四年間には,前期に一般教育が,後期には専門教育が詰め込まれたものの,アメ リカのように学士課程が高大接続の緩衝装置として機能できるというほどの余裕はなかった。
- 高校を卒業すれば,誰もが大学へ進学できるという制度はバラ色だったが, 高校と大学を隔てる壁は高く,通り一遍の高校教育を終えても大学合格の壁は手の届くレベルではなかった。それを象徴していたのが大学入試であり, それゆえに格別の大学入試風土が戦後日本にかたちづくられた。
- 入試の規制緩和は経営と学力のトレー ド・オフのなかで進行した。
- 2つの問い。底上げの教育テストとセンター試験は両立しないのではないか。CBTの導入は非公開が原則だが,透明性を原則にしてきた日本がブラックボックス化した入試を受け入れるだろうか。
- 「学習意欲」を学力に含め,それを主体性,協働性,多様性というところまで広げて“学力の三要素”と呼ぶのは如何なものか。(学力の三要素と言っても,もとより学術的な背景をもつわけではない。)