2017/01/31

大場淳(2004)「フランスの大学における組織改革と連携の推進」広島大学高等教育研究開発センター編『高等教育システムにおけるガバナンスと組織の変容』COE 研究シリーズ8,165-193

  • 契約政策の第一の目的は増大し多様化する学生の受入れへの対応であったが、結果として大学が一つの組織として実体的に機能することを可能とした。すなわち、各大学が計画を策定するに当たって、大学の政策や将来の発展方向にかかる優先事項を含む必要があり、そこには全学に関わる内容(学生の受入れ体制の改善、落第率の減少など)が含まれ、全学的な立場での検討を必要としたためである。そして、計画を決定するに際しては、学内において交渉を重ねつつ、妥協を図りながら最終的な合意形成を必要とした。
  • こうした合意形成は、学問領域別に組織が構成される大学においては、従来は非常に困難であった。1983年に導入された研究に関する4年契約は、制度的には1989年以降のそれに類似するものではあったが、実際の運用において、大学ではなく各研究グループへの予算配分になったため、従来の構造へ変革をもたらすことはなかった(Musselin 2001, 140 頁)。しかし、1989年の契約政策は、大学が前面に出てきて国と契約を行うこととされたことから、大学としての意思決定を行うための組織作りが不可欠となったのである。
  • 半面、学長を中心とする大学執行部に権力が集中するようになり、少なからぬ大学にお いて、契約政策導入以前以上に UFR (教育研究単位=学部)等との軋轢が生じるようになったことも否めない