2008/11/12

Iacovou, M. (2002) "Class Size in the Early Years: Is Smaller Really Better?," Education Economics, vol.10, no.3, pp.261-290.

 本稿は初等教育の少人数クラスが、学習成果を高めるのか否かを検証する実証研究である。少人数クラスの場合、そもそも他の教育環境も変わっているので、少人数であることが学習成果向上の原因になるとは直接言えない。少人数クラスでは教授法が異なる、少人数クラスへ入れる学生は家庭の階層が異なるなどの内生的・外生的要因が関与するからである。そこで、操作変数法で純粋な少人数クラスの効果を計ろうという趣旨の分析である。

 具体的には、学校規模と学校タイプの交差項を操作変数に使う。生産関数は次式の通り。

 Ti = αXi + γSi + ui

ここで、Tはテストスコア、Xは学生の属性、家庭環境を含む説明変数ベクトル、Sが学生のクラスサイズを表す。E(Xi, ui) = 0であるが、E(Si, ui) ≠ 0の可能性がある。そこで2つの変数の操作変数ベクトルZを作る。しかし、このZの定義が何度読んでもわからない。学生数とInfant schoolダミーの交差項なのだが、ダミーとの積を取るとゼロになるのでは?という点がわからない。

 それはともかく、むしろ少人数によって可能になる教育方法の方が実践上重要ではないかと思う。仮に少人数にしさえすれば学習成果は上がるという結果が出て、それを採用するという政策に至るだろうか。少人数化は教授法の選択肢を広げる環境の一つで、効果の検証は教授法を対象にすべきかと思う。