本書は、著者がこれまでに各誌で大学職員論について書いてきた文章をまとめた作品集という性格の本である。
意欲的な題目であるが、基本的には著者の職員としての経験を紹介しながら、職員論について論じるものである。そうした点で、一般的な知見をまとめたものとは言い難い。
本書では、経営の根幹は、(1)達成目標の設定、(2)戦略立案、(3)実践のための意志決定であると言う。そして、職員にはポジションが必要であり、職務概要、職務権限、職務資格要件をポジションに明示して、各職員を配置すべきという。
一貫して述べられているのはこの点であり、それ以上のことは語っていないが、興味深い指摘である。
しかし、このポジションという考え方は、概念として理解できるものの、運用上機能するかがわからない。豊富な事例を出しているのだから、この点を述べるべきだろう。
大学では、ポジションを明記した専門職が必要である一方で、事務職も必要である。それらにも全てポジションの明記が必要なのだろうか。あるいは、そうした業務は人員整理が容易な非正規労働へ回すのか。そうした分断された職場では、雰囲気が悪くなるのではないか。
ポジションも大事だが、職員の職能開発全体を描くキャリアマップのようなものを用意し、その中で、どのようなトラックを選択するのか、現在のポジションはどの位置にいるのか、という取り組みに発展してはどうだろうか。