2008/07/19

Colliver, J. (2000) "Effectiveness of Problem-based Learning Curricula: Research and Theory," Academic Medicine, vol.75, no.3, pp.259-266.

本稿は、PBL教育の効果を批判的に検討したサーベイ論文である。具体的には、PBL教育と従来の教育を受けた学生を比較した研究のサーベイを行う。先行研究で報告された結果をもとに、両者の平均差を全体の標準偏差で割って求めた標準化平均差を、Effect size d値として抽出し、教育効果の検証を行う。個別指導を最も効果的な教育と仮定して基準化すると、個別指導と従来型大学教育ではd=2、PBLとはd=1の差がある。

先行研究では学生の無作為抽出が問題となっている。つまりPBLカリキュラムに自発的に参加したか否かによって、先行研究が2タイプに分かれる。通常、自発的に参加する学生は学習意欲が高く成績も良い傾向があるので、本来は無作為抽出が望ましい。無作為抽出の研究では、PBLに教育効果はなし、負の効果さえあることが示されている。ただし、医師国家試験等の選択式テストの結果でPBLの効果を測る点に注意すべき。自発参加の研究でも、それほど大きなPBL教育効果は認められない。

結論としては、PBLの教育効果は全くないとは言えないが、負になる場合もあり、概して高いとは言えない。この結論は、大変重要な点であろう。理論的には絶賛されるPBLであるが、実践上の疑問が示されているということになる。もちろん、実証分析上の問題はあるだろうが、PBLに過度な期待をしないというメッセージは注目すべきだろう。