古澤和行(2016)「組織学習とアンラーニングに関する一考察 ―アンラーニングにおけるアーティファクトの役割を中心に―」『経営管理研究所紀要(愛知学院大学)』23,15-27
- アーティファクト=人工物:自然と人間の間にあるもの
- 組織研究では組織文化論として登場した
- Schein(1985):アーティファクト、価値、基本的仮定
- Hatch(1993):アーティファクト→価値→基本的仮定→シンボル→アーティファクトの循環モデル
- Cook & Yanow(1993):組織学習研究に援用、文化の獲得・維持・発展プロセスを組織学習と捉える
- 本稿:アーティファクトと組織学習を発展させて、アーティファクトとアンラーニングを議論
- Hedberg(1981)の組織学習
- 環境との相互作用を通じて学習する(組織の行為の結果を考察することで現実の理解を深める)
- 組織の学習可能性:(1)組織自体に学習能力がある(Cyert & March 1963)、(2)メンバーを通して学ぶ(March & Olsen 1976)
- 環境は一定でないため、学習しても陳腐化する。その場合は早く捨てる方が、新し環境に適応できる。
- Hedberg(1981)の学習
- ポジティブフィードバック=学習
- 単に刺激に反応するのではなく、刺激の背後にある現実について試行や実験による探索的学習を行い,学習者と環境の間にある因果関係を発見し、出来事の背後にある前提の理解や、関連する環境の諸側面の因果マップを導くこと。
- 学習者が環境を創造するプロセスが含まれる。
- 学習は、学習者が環境を地図化し、 その地図を使って環境を変えるプロセスを繰り返すこと。
- この前提では、環境変化が激しくても、過剰に安定でも学習不全になる。
- SRモデル
- 学習はマルチレベル:低次=シングルループ、メタ=ダブルループ、デューテロラーニング
- 組織は反応する刺激を選択する:限定合理性のため→
- 探索機械を抑制、明確な問題に集中
- 多様な人が多様な現実を解釈=組織は多様な現実に直面
- 組織が環境をイナクトするのと同じ(意味ある環境は近くフィルターを通して刺激が処理された時に生まれる=環境は組織の内部にある)
- Simon(1982)の人工物
- (1)人間によって合成される、(2)外見上自然物を模倣しても、自然物の実質を欠いている、(3)機能、目標、適応によって特徴づけられる、(4)設計されている時は記述方のみならず命令法によっても議論される。
- 組織メンバー以外の外部者にとっては、そのアーティファクトが本当に意味するところについて外側から理解することは容易ではない。
- Cook & Yanow(1993)以降、組織学習を文化的パースペクティブから分析するために、アーティファクトを取り上げる研究が増えた。
- オフィスの配置は文化を反映する(Yanow 2006)
- メンバーはアーティファクトを介してコミュニケーションを行う(Gagliardi 1990)
- →同じ組織文化を背景とするメンバーが、アーティファクトを介する実践を繰り返すうちに、アーティファクトや阻止の価値について疑いを持たなくなる=アーティファクトが持つ他の意味や価値を覆い隠す。
- →新しい意味や価値に目を向けるには、既存のアーティファクトを変化させたり置き換えることが重要。
- 環境を知らないと反応・実験ができない⇔情報量が多く情報処理能力は容易に使い果たされるため、組織は実験的でない → 問題は山積した後にしか知覚できない。→ 実験を奨励する組織デザインが重要。
- Hedberg(1981)組織を実験的にする4つの方法
- メンバーの態度:最適なSRは長く続かないという意識を高める(=学習・棄却を継続的に行う)
- 曖昧性への耐性があり実験への好奇心が強い人材をトップに置く
- 挑戦やリスクに寛容な報酬体系をとる(失敗に代償を求めない)
- 訓練技法をつかう(ブレーンストーミング、ロールプレイング、シミュレーション)