2022/01/02

小沢和彦(2014)「組織変革における組織文化の強さの組織慣性への影響」『日本経営学会誌』34, 63-74

  •  組織変革を必ず成功に導くモデルは発見されていない→なぜ容易に発見できないかを探究する。
  • その理由の1つは、組織慣性(=組織の現状を維持する性質)があるから。
    • 組織全体で広く共有されている文化が組織全体の文化の慣性をもたらす。(文化が共有されていない組織の慣性は必ずしも十分に検討されていない。)
    • 文化が共有されていない組織の2パターン:
      • 分化した組織:組織全体で共有された文化は強調されないが、各部門内の文化が明確に見られる組織
      • 分裂した組織:さらに各部門内でも明確な文化が見られない組織
    • 本稿は分化した組織に注目
  • 組織変革=組織の主体者が環境の変化がもたらす複雑性の中で行う組織の存続を確保する活動
  • 組織文化研究の共通の特徴:観察可能な行動の背後にあるものに注目する。
  • 組織慣性のタイプ:組織全体の慣性、組織文化の慣性、経営資源の慣性。
  • 従来研究の特徴:組織全体の文化の慣性の原因は、組織全体の強い文化にある。
    • しかし、強い文化の明確な定義が見られない。
    • たとえば「所与の組織のなかで人々によっ て広範囲に共有された組織文化」
  • 日産自動車は、組織変革をする必要性を感じながらも実行できない強い組織慣性を経験→どのように組織慣性がもたらされるかを知るケーススタディとして適切。
    • データソース:6回インタビュー(V-up推進チームの3人)、書籍、社内資料、ウェブ上の資料、雑誌記事、新聞記事、アニュアルレポート、有価証券報告書
    • レトロスペクティブなバイアスを防ぐために2時資料を使って事実確認
  • 改革以前=機能別組織=各部門で異なる価値観
    • 生産部門は技術志向の価値観、世界一の工場を作ろう→部門内の一貫性・部門間の対立
    • 副社長は取締役会で担当部門を中心に考える
    • 業績悪化→部門間で原因を押しつけ合う⇔部門内では自部門の責務は果たしていると思っていた(=危機感の欠如の原因)←危機感は認識であり、業績が悪化しても危機感が欠ける場合はありえる。
  • なぜ危機感があっても変われないのか:顧客志向は口に出されていた←技術志向の中で顧客満足を考えている=自文化・慣性の中でスローガンを知覚している
  • 総括:全体共有文化弱い+部門文化強い→業績悪化で責任の押し付け合い→部門目標の達成知覚→危機感欠如→既存文化優先→変革困難