小沢和彦(2014)「組織変革論における4つのアプローチ」『経営学論集』85
- 組織慣性への対処:環境変化に対応する組織変革を困難にする要因
- 組織慣性:組織が既存の状態を維持しようとする性質
- にもかかわらず、組織慣性はその概念を十分に検討されていない
- 組織慣性を論じる主要なアプローチ:(1)組織開発アプローチ、(2)意志決定・ルーチンアプローチ、(3)組織文化アプローチ、(4)進化論アプローチ
- 組織開発アプローチ
- 行動科学をベースにする、組織のミクロレベルに注目する特徴
- 組織慣性よりも変革への抵抗という概念を多く使う
- 組織開発アプローチは3段階モデル(解凍・変革・再凍結)をよく使う
- このモデルでは変革より解凍・再凍結段階が重視される
- 意志決定・ルーチンアプローチ
- 組織ルーチンの変革には多くのコストが結びついている(=コストはルーチンの継続性を促進する)←ここでのルーチンは「高度に複雑で体系化された反応の集合」
- このコストは正確に評価することが困難
- ルーチンに不満足がないと、代替のルーチン探索は行われず、組織変革は行われない(ルーチン化されたタスクとされていないタスクに直面する個人は、ルーチン化されたタスクを選択する傾向がある)
- March and Simon(1958)では、パフォーマンスのフィードバックが不満足をもたらす場合のみ個人が組織ルーティンを変革させると考えられていた→Feldman and Pentland(2003)は、それ以外においても個人が組織ルーティンを変革させる
- 組織文化アプローチ
- 共有された:従来は組織全体で共有されたという意味(強い文化)→その後下位部門で共有される文化にも注目
- 組織のミクロレベルとマクロレベルの双方に注目する特徴
- 文化は意識しにくいために変革しにくい
- 組織慣性をもたらす文化は強い文化(業績が低下してもその認識が困難になる)←組織文化の逆機能
- 組織文化は、環境からの情報フィルター:情報過多を避ける長所と、自文化に合う情報だけを取り入れる短所がある
- →逐次的な組織変革はできても外部者の介入なしにはラディカルな組織変革は行えない
- 進化論アプローチ(断続的均衡モデル)
- 2つの系統:個別組織を対象とするか(断続的均衡モデル)、ポピュレーションを対象とするか(ポピュレーション・エコロジー研究)
- マクロレベルに注目する特徴
- 組織は長期の均衡期間におけるインクリメンタルな変革と短期間のラディカルな変革を繰り返すと想定
- そこでのトップの役割に注目(個人についてあまり論じない)
- ただし、議論がラフで、規模、年齢、成功期間がなぜ組織慣性と関連するかを理論的に説明できていない。
- ミクロに注目する、組織開発、意志決定・ルーチンが想定する個人観は素朴すぎる。
- マクロに注目する、意志決定・ルーチン、組織文化、進化論は、各部門の多様性を考慮せず、一枚岩の素朴な組織観を想定する。
- 今後の研究課題
- 多元的な個人の想定、分化した組織観を想定、ミクロマクロリンクが今後の課題