- 教育のイノベーションに組織文化が大きな影響を与える
- イノベーションは、統合的な構造、多様性の強調、協働の重要性のある組織で生まれやすいから
- ある特定の組織文化が、教育改革を受け入れやすくするかどうかは未知
- 組織文化:shared philosophies, ideologies, values, assumptions, beliefs, expectations, attitudes and norms in organizations
- 組織文化の動態を理解する上で、メンバー間の人的関係性の理解が重要
- イノベーション文化は、組織のパフォーマンスを高める。新しいアイディアを受容しやすい価値観があるため。
- ただし、文化は多層的・対面的なもの→多様な要素がイノベーションを支持・促進する(リーダーシップ、コミットメント、戦略、構造、支援制度、補償政策、信頼、コミュニケーション、研修、評価、時間、態度等)
- 中国の大学改革政策=構造変更(統合・規模拡大)、表面的変更(インフラ整備やカリキュラム改革)に注目
- 官僚的な構造、メンバー間の関心の対立、複雑な人間関係、自律性の欠如等→教育改革努力を困難にする→組織文化に及ぼす影響を懸念(Wu 2009)
- 1級の大学はよりイノベーティブな文化を持っており、参加的な意志決定や共有ビジョンを持っているが、支持的なリーダーシップが低い
2022/01/31
Chang Zhu (2014) "Organizational culture and instructional innovations in higher education: Perceptions and reactions of teachers and students", Educational Management Administration & Leadership, 42(1), 136-158
2022/01/29
宮尾万理(2021)「高等教育で求められるクリティカルシンキングスキルの国際水準とは」『日本教育工学会研究報告集』4,140-143
- 「高等教育開始までに身につける思考力とは、(1)論証に含まれる証拠を評価・使用する力、(2)推論を分析・評価・構築する力である。」とても明解でわかりやすい。
- クリティカルシンキング≠批判的思考:意義を唱える思考と誤解される。
- CTは3つの要素を含む:(1)内省的思考(前提となる概念を疑い、より深く問いただす習慣)、(2)合理的思考(論理的・規律的に論証を分析する能力)、(3)Reasonable approach(客観的な立場から公平で偏りのない見方をすること)
- 大学入学までに身につけるべきCT:注意深いリフレクティブな推論に基づく議論を行う能力を育成し,公平な考え方,独立心,健全な懐疑心,持続力,論証に対する自信,知的勇気などを涵養すること。
2022/01/28
Jeong-Kyu Lee (2001) Confucian Thought Affecting Leadership and Organizational Culture of Korean Higher Education, Radical Pedagogy, 3 (3), 1-11
- 西欧の4大リーダーシップ論:影響力、特性論、行動論、コンティンジェンシー理論
- いずれも儒教と合致しないが、あえて言えば特性論
- 論語に見るリーダーシップは2タイプに要約できる:階層権威的リーダーシップと相互人道的リーダーシップ
- 論語に描かれるリーダー:gentleman, benevolence, wisdom, courageな統治者
- 論語に見る倫理観:階層的な統治の上に互恵的な関係があること
- 韓国は戦後、教育省が強力なコントロールを敷き、自律性が縮小した。大学も自ら権威的なリーダーシップを志向した。
- 年長者への敬語、年齢順の職位、職位順の座席配置
- 大学組織の3つの特徴
- 階層的な閉鎖システムが公式管理構造に残っている(教授会でさえ年長者順の座席順がある、特に年齢が社会的・組織管理的地位を決める際に重要)
- 学生は教員に従順だが、教員は学生を寛容に扱う。教員が学生を扱う際には、儒教的な価値行動を期待する(要するに親子関係的行動の期待)。
- 儒教的価値観が組織構造に反映される調書と短所:
- 長所は上司部下間に互恵的な関係があること、強い倫理観を求めること
- 短所は男性支配中心の文化であること
2022/01/13
MacLeod, W. Bentley, and Miguel Urquiola. 2021. "Why Does the United States Have the Best Research Universities? Incentives, Resources, and Virtuous Circles." Journal of Economic Perspectives, 35 (1): 185-206.
- なぜアメリカの大学は研究力を大きく向上させたのか?単にデザインによるのではなく、さまざまなインセンティブメカニズムを構築してきたことによる。
- 1800年以降の産業化→専門分化を促進→研究が容易に(研究成果が見えやすくなる)
- 優れた研究者を優遇する→少数の大学に優れた研究者が集まる
- トップ100大学にアメリカの大学は40入るが、スペインはゼロ
- 83%のスペインの大学は何らかのランキングに登場するが、アメリカは23%
- 研究力を高める仕組みがテニュア制度
- 高等教育への自由市場アプローチを採用した→各大学は消費者のニーズを満たす行動が取れるようになった。
2022/01/12
Tafere Gedifew, M. and Shimelis Muluneh, G. (2020) "Bulding a change adaptive university: A system of composite indicators to measure and facilitate pervasive changes" Higher Education Quarterly, 1-20
- Adaptive Capacity: 観察、評価、反応、内外を変革する能力
- 不確実な環境で必要な能力
- 環境が変わってもなぜ組織が変われないか:能力が足りないから(マネジメントスキル、教職員の支援など)
- 文脈依存モデルによる大学のACを示すことを目指す
- 変革に取り組む大学のACはどれくらい強いのか
- 組織変革力を図るためのACモデルはどの程度妥当か
- ACを作るための主要な方法には何があるのか
- 複雑な組織は複雑な適応システムとして考察すべき→複雑理論(世界を理解する方法)と実用主義(我々は何をすべきか)が相互補完的
- ACは多様な要因で決まるもの→単一指標で捉えるべきでない
- Adaptive Leardership:コミットメント、ビジョナリティ、信頼性、エンパワーメント、ケイパビリティが重要な要素
- Adaptive culture:現在の組織にはAdaptive employeeesが必要
- 混合研究法を採用:量的データを収集→詳細を質的に研究
- 古い大学と新しい大学の3大学を使用、22学科10事務室、957名から594サンプル、93質問を5段階評価
- 37の半構造化面接(30~60分)を実施
- 質問紙構成
- AC→5つの潜在変数→19観測変数
- Adaptive leardership = commitment, visionariness, trustworthiness, empowerment, capability
- Adaptive culture = innovation & creativity, shared responsibility & accountability, shared decision-making, staff adaptability
- Resource availability = financial resources, human rescources, technology
- Effective communication system = information quality & clarity, communication strategy, information accessibility
- System thinking = seeing wholes, understanding interconnections, dveloping mulitidimensional view, identifying adaptive challenges
- 質的面接も、この5つのカテゴリーに沿ってオープンエンドクエスチョンを行う
2022/01/08
de Groot, B., Leendertse, W. and Arts, J. (2022), "Learning across teams in project-oriented organisations: the role of programme management", The Learning Organization, Vol. 29 No. 1, pp. 6-20.
- グループレベルが組織学習の重要な要素
- チーム学習はプロジェクトの成果に左右される→プログラムマネジメントの導入で改善できるのではないか
- プログラム:プロジェクトを束ねる枠組み(独立では実現されない利益をもたらす枠組み)
- プロジェクト型組織:プロジェクトチームレベルでは強い関係性があり、チーム間や組織全体では関係性が弱いシステム(=ルースカップルシステム)
- 集団学習:業務の中でメンバー主導で経験から学ぶことを集団で行う能力
- プログラムが学習に与える影響には4つの観点がある
- プログラムの特徴と学習へのインパクト
- heartbeat:既存の機能やサービスを高める(実験的・段階的な変化を実行するための学習)
- portfolio:共通資源を異なるプロジェクト間で調整する(資源使用の調整のための学習)
- goal-oriented:新しいシステムや基盤をつくるための調整(不確実性への対処のための学習)
- 学習のレベルと相互作用のレベル
- 4iフレームワーク
- プログラムマネジメントオフィスの役割
- 学習のオープンさの影響
- オープンさは、情報の解釈、知識の適応に影響し、ひいては学習能力を左右する
2022/01/06
Rose, A., Dee, J. and Leisyte, L. (2020) "Organizational learning through projects: a case of a German university" Learning Organization, 27(2), 85-99
- Project-based organizing:プロジェクトを通じた組織学習
- 長所:メンバーが校時の学習にコミットする
- 短所:知識の活用がプロジェクト内にとどまる
- →PBO研究は知識の転移メカニズムに注目してきた
- ←知識が形式化されている前提
- →暗黙知や意味の多様性のある知識では困難
- Social learning practices:知識は実践を通して作られる社会的活動であり、それが組織学習である
- 研究目的:知識転移とSLPがPBOをいかに方向付けるかを検討する
- 事例:全学から教職員が集まる短期プロジェクト
- RQ:プロジェクト内でどのように学習が生じたか、プロジェクト学習はどの程度知識転移を促進したのか阻害したのか、プロジェクト学習はどの程度社会学習実践を促進したのか阻害したのか
- 理論貢献:(1)社会学習実践を通して、暗黙知が組織全体に共有されることを示した、(2)知識転移と社会学習実践は補完的だったり敵対的だったりすることを示した、(3)伝統的な機能別組織の片手間で行われるプロジェクトを考察する点(既存研究はあらゆる仕事がプロジェクトを想定、そのためプロジェクト後のレビューなど公式機能に注目、本稿は非公式・アドホックな転移に注目)
- 4iフレームワークで参与観察事例を分析
- 学習の社会心理学的プロセスを説明するモデル
- Intuition
- 学習は基本的に暗黙的で、プロジェクトミーティング中の、新しい教育に関する議論の中で生じる
- 参加者はプロジェクトに参加していなかったら得られなかった見方を得られたと言っている。
- 参加者は専門分野ごとの文化や見方も学んだと言う。
- Iterpretation
- 主に若手中堅教員のグループで生じる
- 多様な方法で議論することで考えが共有された
- なぜ集団学習が強いのか;若手はプロジェクト雇用の教員だから
- Integration
- 専門の異なるメンバー間の共同作業が増えることで、統合が進む
- ナラティブがプロジェクト内で生かされるかは参加者による。
- Institutionalization
- プロジェクトの成果を踏まえて、大学が研究領域にInclusionを入れた。
- Incusion志向の教育を表彰に加えた
- 課題は教師教育が専門分野間で未だ分断されていること。
2022/01/05
西村拓生・藤本夕衣・松浦良充 (2014)「「高等」教育とはなにか」『近代教育フォーラム』23,259-267
- 機能主義:大学の知的活動、特にその教育・学習について、「社会」からの「ニーズ」に効率的に応答してはたらくという「機能」性を第一義的に重視する傾向、あるいはその捉え方を「機能」に還元して論ずる姿勢
- 20世紀アメリカ高等教育に見られるもの→日本はアメリカの高等教育から強い影響を受けた
- ニーズに対応することが問題ではなく、無批判に応じて翻弄されることが問題。
- 大学が社会との関係をつなぎなおすには、大学が大切にする価値とそれを実現する組織・知的活動を自ら再生産する仕組みを作る必要がある。→さまざまな教育段階の教師を算出すること。
- 高等教育の多義性:
- 段階:初等・中等→高等
- 価値:よりすぐれた・より高度な教育
- 範囲:成人教育を含む多様で広い教育
- 高等教育という概念はアメリカ独自の用語で1860年代後半から使われるようになった(天野 2013)。
- ハッチンズ:教育を軸に大学の統合を図ろうと試みた
- 大学の知的再生産を重視しながら、研究に教育を関連付けた
- ⇔現在のFDは機能主義の授業観に基づき、知的再生産機能の失望である。
2022/01/04
小沢和彦(2014)「組織変革論における4つのアプローチ」『経営学論集』85
- 組織慣性への対処:環境変化に対応する組織変革を困難にする要因
- 組織慣性:組織が既存の状態を維持しようとする性質
- にもかかわらず、組織慣性はその概念を十分に検討されていない
- 組織慣性を論じる主要なアプローチ:(1)組織開発アプローチ、(2)意志決定・ルーチンアプローチ、(3)組織文化アプローチ、(4)進化論アプローチ
- 組織開発アプローチ
- 行動科学をベースにする、組織のミクロレベルに注目する特徴
- 組織慣性よりも変革への抵抗という概念を多く使う
- 組織開発アプローチは3段階モデル(解凍・変革・再凍結)をよく使う
- このモデルでは変革より解凍・再凍結段階が重視される
- 意志決定・ルーチンアプローチ
- 組織ルーチンの変革には多くのコストが結びついている(=コストはルーチンの継続性を促進する)←ここでのルーチンは「高度に複雑で体系化された反応の集合」
- このコストは正確に評価することが困難
- ルーチンに不満足がないと、代替のルーチン探索は行われず、組織変革は行われない(ルーチン化されたタスクとされていないタスクに直面する個人は、ルーチン化されたタスクを選択する傾向がある)
- March and Simon(1958)では、パフォーマンスのフィードバックが不満足をもたらす場合のみ個人が組織ルーティンを変革させると考えられていた→Feldman and Pentland(2003)は、それ以外においても個人が組織ルーティンを変革させる
- 組織文化アプローチ
- 共有された:従来は組織全体で共有されたという意味(強い文化)→その後下位部門で共有される文化にも注目
- 組織のミクロレベルとマクロレベルの双方に注目する特徴
- 文化は意識しにくいために変革しにくい
- 組織慣性をもたらす文化は強い文化(業績が低下してもその認識が困難になる)←組織文化の逆機能
- 組織文化は、環境からの情報フィルター:情報過多を避ける長所と、自文化に合う情報だけを取り入れる短所がある
- →逐次的な組織変革はできても外部者の介入なしにはラディカルな組織変革は行えない
- 進化論アプローチ(断続的均衡モデル)
- 2つの系統:個別組織を対象とするか(断続的均衡モデル)、ポピュレーションを対象とするか(ポピュレーション・エコロジー研究)
- マクロレベルに注目する特徴
- 組織は長期の均衡期間におけるインクリメンタルな変革と短期間のラディカルな変革を繰り返すと想定
- そこでのトップの役割に注目(個人についてあまり論じない)
- ただし、議論がラフで、規模、年齢、成功期間がなぜ組織慣性と関連するかを理論的に説明できていない。
- ミクロに注目する、組織開発、意志決定・ルーチンが想定する個人観は素朴すぎる。
- マクロに注目する、意志決定・ルーチン、組織文化、進化論は、各部門の多様性を考慮せず、一枚岩の素朴な組織観を想定する。
- 今後の研究課題
- 多元的な個人の想定、分化した組織観を想定、ミクロマクロリンクが今後の課題
2022/01/03
古澤和行(2016)「組織学習とアンラーニングに関する一考察 ―アンラーニングにおけるアーティファクトの役割を中心に―」『経営管理研究所紀要(愛知学院大学)』23,15-27
- アーティファクト=人工物:自然と人間の間にあるもの
- 組織研究では組織文化論として登場した
- Schein(1985):アーティファクト、価値、基本的仮定
- Hatch(1993):アーティファクト→価値→基本的仮定→シンボル→アーティファクトの循環モデル
- Cook & Yanow(1993):組織学習研究に援用、文化の獲得・維持・発展プロセスを組織学習と捉える
- 本稿:アーティファクトと組織学習を発展させて、アーティファクトとアンラーニングを議論
- Hedberg(1981)の組織学習
- 環境との相互作用を通じて学習する(組織の行為の結果を考察することで現実の理解を深める)
- 組織の学習可能性:(1)組織自体に学習能力がある(Cyert & March 1963)、(2)メンバーを通して学ぶ(March & Olsen 1976)
- 環境は一定でないため、学習しても陳腐化する。その場合は早く捨てる方が、新し環境に適応できる。
- Hedberg(1981)の学習
- ポジティブフィードバック=学習
- 単に刺激に反応するのではなく、刺激の背後にある現実について試行や実験による探索的学習を行い,学習者と環境の間にある因果関係を発見し、出来事の背後にある前提の理解や、関連する環境の諸側面の因果マップを導くこと。
- 学習者が環境を創造するプロセスが含まれる。
- 学習は、学習者が環境を地図化し、 その地図を使って環境を変えるプロセスを繰り返すこと。
- この前提では、環境変化が激しくても、過剰に安定でも学習不全になる。
- SRモデル
- 学習はマルチレベル:低次=シングルループ、メタ=ダブルループ、デューテロラーニング
- 組織は反応する刺激を選択する:限定合理性のため→
- 探索機械を抑制、明確な問題に集中
- 多様な人が多様な現実を解釈=組織は多様な現実に直面
- 組織が環境をイナクトするのと同じ(意味ある環境は近くフィルターを通して刺激が処理された時に生まれる=環境は組織の内部にある)
- Simon(1982)の人工物
- (1)人間によって合成される、(2)外見上自然物を模倣しても、自然物の実質を欠いている、(3)機能、目標、適応によって特徴づけられる、(4)設計されている時は記述方のみならず命令法によっても議論される。
- 組織メンバー以外の外部者にとっては、そのアーティファクトが本当に意味するところについて外側から理解することは容易ではない。
- Cook & Yanow(1993)以降、組織学習を文化的パースペクティブから分析するために、アーティファクトを取り上げる研究が増えた。
- オフィスの配置は文化を反映する(Yanow 2006)
- メンバーはアーティファクトを介してコミュニケーションを行う(Gagliardi 1990)
- →同じ組織文化を背景とするメンバーが、アーティファクトを介する実践を繰り返すうちに、アーティファクトや阻止の価値について疑いを持たなくなる=アーティファクトが持つ他の意味や価値を覆い隠す。
- →新しい意味や価値に目を向けるには、既存のアーティファクトを変化させたり置き換えることが重要。
- 環境を知らないと反応・実験ができない⇔情報量が多く情報処理能力は容易に使い果たされるため、組織は実験的でない → 問題は山積した後にしか知覚できない。→ 実験を奨励する組織デザインが重要。
- Hedberg(1981)組織を実験的にする4つの方法
- メンバーの態度:最適なSRは長く続かないという意識を高める(=学習・棄却を継続的に行う)
- 曖昧性への耐性があり実験への好奇心が強い人材をトップに置く
- 挑戦やリスクに寛容な報酬体系をとる(失敗に代償を求めない)
- 訓練技法をつかう(ブレーンストーミング、ロールプレイング、シミュレーション)
2022/01/02
小沢和彦(2014)「組織変革における組織文化の強さの組織慣性への影響」『日本経営学会誌』34, 63-74
- 組織変革を必ず成功に導くモデルは発見されていない→なぜ容易に発見できないかを探究する。
- その理由の1つは、組織慣性(=組織の現状を維持する性質)があるから。
- 組織全体で広く共有されている文化が組織全体の文化の慣性をもたらす。(文化が共有されていない組織の慣性は必ずしも十分に検討されていない。)
- 文化が共有されていない組織の2パターン:
- 分化した組織:組織全体で共有された文化は強調されないが、各部門内の文化が明確に見られる組織
- 分裂した組織:さらに各部門内でも明確な文化が見られない組織
- 本稿は分化した組織に注目
- 組織変革=組織の主体者が環境の変化がもたらす複雑性の中で行う組織の存続を確保する活動
- 組織文化研究の共通の特徴:観察可能な行動の背後にあるものに注目する。
- 組織慣性のタイプ:組織全体の慣性、組織文化の慣性、経営資源の慣性。
- 従来研究の特徴:組織全体の文化の慣性の原因は、組織全体の強い文化にある。
- しかし、強い文化の明確な定義が見られない。
- たとえば「所与の組織のなかで人々によっ て広範囲に共有された組織文化」
- 日産自動車は、組織変革をする必要性を感じながらも実行できない強い組織慣性を経験→どのように組織慣性がもたらされるかを知るケーススタディとして適切。
- データソース:6回インタビュー(V-up推進チームの3人)、書籍、社内資料、ウェブ上の資料、雑誌記事、新聞記事、アニュアルレポート、有価証券報告書
- レトロスペクティブなバイアスを防ぐために2時資料を使って事実確認
- 改革以前=機能別組織=各部門で異なる価値観
- 生産部門は技術志向の価値観、世界一の工場を作ろう→部門内の一貫性・部門間の対立
- 副社長は取締役会で担当部門を中心に考える
- 業績悪化→部門間で原因を押しつけ合う⇔部門内では自部門の責務は果たしていると思っていた(=危機感の欠如の原因)←危機感は認識であり、業績が悪化しても危機感が欠ける場合はありえる。
- なぜ危機感があっても変われないのか:顧客志向は口に出されていた←技術志向の中で顧客満足を考えている=自文化・慣性の中でスローガンを知覚している
- 総括:全体共有文化弱い+部門文化強い→業績悪化で責任の押し付け合い→部門目標の達成知覚→危機感欠如→既存文化優先→変革困難
2022/01/01
北居明(2011)「組織文化の測定と効果 : 代表的測定尺度の検討」『大阪府立大学經濟研究』57(1), 41-66, (2), 49-67
- 5つの組織文化測定尺度の特徴を検討する
- Organizational Culture Survey(OCS)
- 4次元尺度
- 関心:組織文化と成果の関係の分析
- ケーススタディから得られたGTAで尺度作成
- 高い成果につながる文化:(1)従業員の参加・高いコミットメント、(2)(1)が当てはまらない場合→規範的統合・強い文化
- 組織文化のタイプ:(1)参加=有効な組織は人々をエンパワーメントする、(2)統合=一貫性が高く、よく調整され、高度に統合された強い文化を持つ組織が有効、(3)適応=顧客志向、リスクを負う、失敗から学ぶ、変化を作り出す(よく統合された組織は変化に適応が難しい)、(4)使命=組織の目標や戦略的目的を定義し、将来ビジョンを表明する組織が成功する
- つまり、4文化特性は両立しにくい
- 文化と主観的成果の関係:売上成長率に効くのは適応、ミッション、利益に効くのは一貫性、ミッション、品質、従業員満足度、全体的成果には全て効く
- ただし、この結果は国によってかなり違う
- Competing Values Framework(CVF)
- OCSは帰納的モデル、CVFは演繹的に導出されたモデル
- 最もよく使われる:文化と従属変数、媒介変数との関係の分析に関心がある
- 組織有効性研究から演繹的に尺度を作成→2次元4クラスター=柔軟性・自由裁量 VS 安定性・コントロール、内部重視・統合 VS 外部重視・差別化
- これらを組み合わせて4タイプを導出
- 大学・病院ではクランタイプが相対的に有効
- Cameron and Feeman (1991):アメリカ334大学のデータから成果と関係があるのは、クランやアドホクラシーである。
- Organizational Culture Inventory(OCIy)
- CVFと双璧
- 成果に影響する12の思考スタイルを測定するもの
- 人間的・援助的、関係的、承認的、保守的、依存的、回避的、反抗的、強制的、競争的、能力・完全主義、達成、自己実現の12。
- Organizational Culture Index(OCIx)
- 個人のキャリア上の成功は、知識・スキルの向上だけでなく、本人のパーソナリティやモチベーションと所属する組織の文化との適合に左右される
- 官僚的文化、革新的文化、支持的文化の3タイプで文化を捉える
- 個人レベルの組織文化知覚と個人のコミットメントの関係を見ているに過ぎず、集団レベルを捉えていないという批判
- 市場志向
- 市場志向を文化として捉える研究:具体的には、顧客志向、競争志向、部門間調整の3つで捉える
- 非営利組織では市場志向行動が文化形成につながる:市場志向の行動が市場志向の文化を創り、それが顧客満足の成長につながり、経営資源の成長につながる。
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