2018/10/18

Nusche, D. (深堀聰子訳)(2008)『高等教育における学習成果アセスメント』OECD 教育関連ワーキングペーパーNo.15


  • 1つのアセスメントツールで教育の重要な成果をすべて包括的に測定することは不可能。→ 目的に対して最もレリバンスが高く、組織のミッション・目標に対応する成果を選択してアセスメントする。
  • 学習成果
    • 認知的な学習成果:専門分野別の知識から、極めて一般的な論理づけ能力や問題解決能力を含む幅広いもの(Shavelson and Huang 2003)。
    • 知識の習得:概念、事物、事象について、認知または回想によって記憶すること(Bloom 1956)。
    • 一般的知識:必須の学習内容とみなされているコア・カリキ ュラムを構成する知識。
    • 認知的な技能:言語的・数量的論理づけ、情報処理、理解、分析、批判的思考、問題解決、新しい考え方への評価(=複雑な思考プロセスから成り立っている)。
      • ただし、これが一般的か(一般化されたパターンに従うか)、専門分野別に固有のものかの見解は一致していない。
    • 一般的技能:どのような科目や状況においても援用することができ、新しい状況下でも学生が活用できるもの。学生の知的問題を解決する能力に着目するテストを用いて測 定することができる。
      • ただし、これは年齢との相関が高く、単に学生の知能や過去の学校教育の結果を測定する危険性がある。
    • 非認知的な学習成果:信念の変化や、特定の価値観の形成をさす(Ewell 2005)。主に正課外活動で形成される。
      • これが含まれる=高等教育機関のミッションが、知識と技能の習得にとどまらないことを示す。
    • 心理社会的な発達:アイデンティティ形成・自尊心などの自己形成+他者・組織・環境などとの関係性の形成(自律性や成熟を含む)。
    • 学習成果は、教育の質の産物よりも、機関が提供する学習機会に学生がいかに積極的に参加したかに規定される。→ NSSEは組織が、学生の積極的な取り組みをいかに活発に促しているのかを測定する。
      • 非認知的成果は間接的に測定される。そもそも、価値観や信念と、観察可能な活動や行動との関連は未だ明らかにされていない。
  • コンピテンス:要求に応え、課題を的確に遂行する能力であり、認知的・非認知的側面の両方を含む(Rycher 2004)。=成果の認知的・非認知的分類を越えたモデル。
    • コンピテンスは、不断に変化する状況のなかで、行動、知識、価値観、目標を組み合わせることから生まれる。
    • コンピテンスのアセスメントツール:認知的、情緒的、行動的特性が複雑に組み合わさった状態を捉える(ポートフォリオに筆記課題、実習、インタビュー、実験やインターンシップの報告書と、自己の成長を評価させる質問紙など、成果の間接的な証拠を含める)。
    • コンピテンスには一般的と職業的(=employability)の違いがある(Otter 1992)。
      • ただし、職業的コンピテンスを重視すると、深く探求するなど高等教育の重要な側面が軽視されやすくなる。
  • アセスメントツール:基本的に認知的成果、しかも一般的な成果を重視。
    • ツール提供組織:政府、大学協会、民間テスト業者、非営利団体。
    • 頻度:一時点テスト(学期末)、クロスセクション(新入生と卒業生)、長期的アセスメント(2時点以上)。
    • ツールの種類:標準化直接評価(カリキュラムに埋め込むもの、埋め込まないものがある)。
    • 形式:選択式、記述式。
    • 質の基準:目標準拠、集団準拠。
    • 対象者:学習期間の終わりに測定。特に直接評価では卒業時生。義務化されていない限りはサンプリング調査。
    • 動機づけ:少額の謝礼金・贈り物あり。参加者数に応じた寄付金もあり。
    • 焦点:個人レベル(個別支援提供に使う場合あり)、集団レベル(課程や機関の評価)
    • 結果の使途:形成的評価(学生・教員へのフィードバック)、総括的評価(アカウンタビリティ要請)。
http://www.oecd.org/education/skills-beyond-school/41771582.pdf