2018/10/05

シャイン,E. (2016)『企業文化 改訂版: ダイバーシティと文化の仕組み』白桃書房


  • リーダーシップと文化は表裏一体
    • あるリーダーシップスタイルが正しい方法と解釈されるのは、それぞれの文化が存在するため。
    • リーダーが外から来る場合は、4つの選択を迫られる。
      • 既存の文化を破壊:新しいリーダーの価値観を反映できるが、必要な知識やスキルが失われるリスクも伴う。
      • 既存の文化と戦う:新しいリーダーの価値観を押し付けるが、リーダーの排除を待たれるリスクがある。
      • 既存の文化に従う:新しいリーダーの信条や価値観をあきらめるが、変化が必要な時代遅れの文化が存続されるリスクがある。
      • 文化を進化させる:仕事のやり方を理解するまでは既存の文化を踏襲するが、頃合いを見て新しいルールや行動を実行する(政府機関などではこれが有効)。
    • サブカルチャーのダイナミクスが重要になるほど、リーダーの役割(うまく連携させること)が大きくなる。
    • つまり、文化的な起源、進化、変化を考えずにリーダーシップは理解できない。
  • 2つ以上の文化が統合される場合の4変化
    • 分離:文化が分離したまま。各文化が連携しないなら有効な選択肢。
    • 支配:1つの文化がもう1つを支配。
    • 融合:望ましいと考えられているが、複雑で疑問の余地がある。特定条件下でしか生じない。異なるサブカルチャーが共同して取り組む共通課題があるときに、融合は達成されることが多い。
    • 衝突・抵抗:サブカルチャーが内部で抵抗する。対立するのはマネジャー同士ではなく、サブカルチャー同士。マネジャー間で同意しても、メンバー間は同意するとは限らない。
  • 組織文化の問題
    • 成功に関連する(環境適応)文化をいかに維持するか。
    • 多様なサブカルチャーをいかに統合・融合・連携させるか。
    • 環境変化で機能しなくなった文化をいかに見つけて変化させるか。

  • 3つの文化レベル:共有された暗黙の前提は、集団で学習した価値観や信念、成功のために認められて譲れないものになったもの。
  • 文化は共有された暗黙の仮定のパターン。暗黙の仮定は、外部に適応したり内部を調整するといった問題解決の際に、組織が学習した方法。
  • 文化はメンバーに聞いてもわからない。良い文化も悪い文化も存在しない。
  • DECの事例:組織内で文化がぶつかったために大きなエンパワメントが生まれた。
  • 文化は深い(操作したり変革できると思うと失敗する)、広い(日常生活をつくるものであるため、終わりのない作業)、安定的(変化に対して強い不安と抵抗を生じさせる)。

  • 文化=は風土(組織がどう感じているか、メンバーのモラル、人間関係)ではない。文化は、外部における生き残りの問題、内部統合の問題、より深いレベルに潜む仮定と関わるものである。
  • 文化の内容
    • 外部環境での生き残り(戦略・目標):「カーペット洗剤はうちの製品ではない。」どの組織も、歴史を通してどのような戦略がうまくいくか・いかないかを学ぶ。年月をかけて組織の中核・戦略に関連して文化は発展する。
      • 組織構造:急勾配の組織構造で成功して入れば、正しいやり方だとメンバーは信じる。
      • 測定:どのような情報を集め、どう判断するかは文化面の仮定が大きな影響を持っている。
    • 人間組織の統合:共通の言語と概念を持ち、グループの境界を認識し、地位や権限の決まり方を学ぶことで作られる。

  • 暗黙の仮定を確認する:人工物と価値観が噛み合っていない箇所を見つけて質問する。
  • 組織の文化は、より上位の文化に影響される。
  • どれだけチームワークが推奨されても、責任がチーム全体に課せられ、チームごとの報酬が導入されない限りチームワークなど存在しない。

  • 組織が文化を評価しなければならないとき:経営上の問題に直面した、合併などがあった、共同事業やプロジェクトを実施するなど。
  • 文化は調査でわからない:より深いレベルにある現実的な仮定に根ざしているため。
  • 文化が強固なのは、グループ内で共有されているからであり、メンバーがグループに残りたいと思うことで文化的仮定が強化されているため。
  • 文化を解読する演習
    • 自分たちのビジネスの問題点を確認する(改善の余地、必要に迫られた戦略など、将来像など)。
    • 文化の3つのレベルを知り、暗黙の仮定を明らかにすることを確認する。
    • 人工物を特定してリストアップする(服装、上下関係、勤務時間、ミーティングの進め方やタイミング、意思決定方法、コミュニケーション、懇親行事、制服や社員証、言葉遣い、儀礼や慣習、意見の相違の対処の仕方など)。
    • 組織の標榜された価値観を特定する。
    • 価値観と人工物を比較する(矛盾を探る)。顧客第一と標榜されながら、それに合わない人工物がないか。その中から、実際にシステムを動かし、多くの人工物の原動力になっている暗黙の仮定を浮かび上がらせる。
    • 共有されている仮定を評価する。目標を達成する際、共有基本仮定がどのように目標達成に資するのか・阻害するかを評価する。
    • 次のステップを決める。問題解決の助けになる文化を活用する組織変革プログラムを検討する、今回は十分分析できなかったことを確認する、など。
  • 大人の学習は学習棄却。特に文化に関しては、価値観や仮定を捨てなければならず、不快感や不安感でいっぱいになる。そこでの学習モデルは、解凍・受容・再凍結。
    • 否定的確認:信念や仮定を揺るがすことに気づいたり感じること。大人の学習の基本的な刺激。
    • 否定低確認は、内から出ることもマネジャーから迫られることもある。経済的、政治的、技術的、法的、倫理的、内面的な脅威がある。
    • 否定的確認の源泉には、大損害とスキャンダル、新技術の導入、合併・買収、カリスマリーダーシップ、教育と訓練の5つがある。このうち、教育と訓練だけが異なるやり方を知る唯一の方法。
  • 生き残りの不安と学習する不安の均衡で、学習棄却は進む。
    • 学習への不安には、権威や地位を失う、一時的にできなくなる、できないために制裁を受ける、アイデンティティを失う、グループの一員でなくなるという5つの恐れがある。
    • 学習と変化には、2つの原則がある。生き残り不安>学習不安と、学習不安を減らすことにフォーカスすること(=心理的安全を生み出す)。
  • 臨死的安全を作り出す方法:この8条件がなければならない。
    • 説得力のある積極的ビジョン:新しい考えや仕事のやり方は、自分も組織もよくなると信じないといけない、必要なものだと明確にしないといけない。
    • 公式なトレーニング
    • 学習者の参加:公式なトレーニングの横で、非公式な学習法が容認されないといけない。学習目標は交渉の余地はないが、学習方法には独自性を認める。
    • チームの非公式訓練:変化への抵抗はグループの規範に埋め込まれていることが多い。非公式の訓練は、グループ全体で行う必要がある。
    • 練習・コーチング・フィードバック
    • 明確な役割モデル:新しい考えややり方を取り入れる前に、実際にそれを見て自分が取り入れた時を想像できるようにする。他者から学ぶ機会を作る。
    • 支援グループ:学習に関する問題を話し合うグループを作る。
    • 望ましい変化に一致したシステムと組織構造:新しい働き方に合わせた、構造、報酬、管理システムでサポートされなければ学習は進まない。
  • 学習のプロセス=認知的再定義
    • 新しい行動が学習者の自己イメージとして内面化されるまでは、新しい学習は実現しない。
    • それには、十分な心理的安全を組織が生み出す必要がある。
  • 模倣・同一化と探索・試行錯誤:新しい概念や評価基準を学ぶ2通りの方法。
    • 前者を勧めるなら訓練の中で役割モデルを提供する。新しいやり方の帰結が明確ならこちらがよい。
    • 後者を勧めるなら自分たちで学習できる開発を奨励する。
  • あるものが文化の一部となるのは、それがうまく機能している場合(成功し、不安を提言させる)だけである。
    • トップダウンや強権もうまく機能していれば支持される。
    • 文化の定着において、リーダー自らの行動(言行一致)は最も重要なメカニズム。
    • 文化が変わるのは、存続の危機の時だけ。
  • 自然な進化:創業期の文化は、多様化・複雑化、より高い次元に統合されるとともに、特定部分が環境に適応してサブカルチャーを形成する。
  • 環境変化の不均衡は、組織的に無視される。変化の必要性を認識するには、混合種(新しい信念や仮定を手に入れた人)のメンバーを計画的に育成する。リーダーは、否定的確認のサインに注目し、何が見逃されているかを洞察しないといけない。
  • 一般にサブカルチャーには、営業、エンジニア、経営の3つがある。

    • 文化的課題は成熟期に起こる。それは学習棄却が必要になるため。
      • 初期段階はリーダーシップで文化がつくられる。成熟期は文化がリーダーを作り出す=文化の鋳型に合う管理職しかトップに上れないため。
      • 成熟期は、組織で行われていることの大半(使命や戦略さえ)は無意識に決められてしまう。
      • 成熟期はサブカルチャーが強力に育っている=統合した文化を維持するのは困難。
      • この段階のリーダーの仕事は、どう文化をつくるかではなく、今あるサブカルチャーをどう管理するか。
      • 成熟期の変革には、並行学習システムをつくる。
        • リーダーが十分な否定的確認を経験することから始める。
        • 組織のある部分を境界に位置づけ、新しい考え方に触れさせる。(部外者による評価は生産的にならない)。変革には文化を解読した内部のキーパーソンが必要。
    • 変革管理プロセス
      • なぜ変革するのか?:否定的確認で生存不安や罪悪感を生む。
      • 理想的な将来像とは?:新しいコンセプトを、具体的な行動につながるものとして保証する。
      • 現状の評価と計画:理想的状態を理解したら、現状とのギャップを明文化する。その際、客観性を確保するために並行学習システムを構築する。
      • 移行を管理する:抵抗力や学習不安を取り除く。トレーニング、ロールモデル、資源、サポート、インセンティブを用意する。
    • 強い文化を持つことは有利か不利か?→ 組織の発展段階という視点で見直す。
      • 成長期は、強い文化が組織アイデンティティの源泉となり、管理手続きを制度化する必要が少なくなる。
      • 成熟期は、公式手続き制度が必要になる。文化の核となる仮定がなければ、強い文化を持つ意味が失われる。
      • → では核となる文化が機能しなくなるとどういう問題が起こるのか?
    • 通常の進化も管理された進化も役に立たなくなる。
    • 核に対して否定的確認がなされると、新しい仕事が想像できないが、実現不可能として否定するかのいずれかしか起きない。
    • 衰退期の文化的変革の選択は2つしかない:倒産・再生か、買収・合併。
    • チェンジリーダー:否定的確認を十分に生み、変革プロセスを組み立てられる人である必要がある。
      • リーダーが備える特徴:信頼性、明確なビジョン、ビジョンを明確に示す能力(口頭・書面)、組織の発展段階ごとに文化のダイナミクスが異なることを理解していること、組織の規模・歴史・技術を考慮した変革プログラムを構築する能力