2020/10/19

北居明(2016)「組織文化の構造と変革プロセスに対する批判的考察 : 社会構築主義的観点から」『甲南経営研究』57(1),199-225

  •  組織文化変革の多くは失敗、困難で時間のかかる試みであるので、研究蓄積も進まない。
    • →既存研究の組織文化のモデルと変革プロセスが組織文化の変革を困難にしているのでは?
    • 既存研究=組織文化の多層モデル提示→深層の変革の必要性を主張
    • ←むしろ表層で発生する相互作用に着目すべきでは?
  • シャインの3レベルモデルの含意
    • 文化が頑丈で変革が困難であることが理解できる
    • 変化の重要な部分は本来目に見えないものであることに気づける(メンバーは自分たちの文化を説明できない)
  • Kotter & Heskett(1992)の2レベルモデル
    • 価値観を変えるのは困難、行動は変えやすい
  • その多層構造モデルも、本質的部分の変革が困難であり、それを明らかにすることが変革には重要という主張
  • 文化変革プロセスモデルの研究:基本の解凍・変化・再凍結モデル
    • 学習棄却→役割モデル提供→内面化+新しい行動の導出のプロセス
    • 変革には、経営理念、市場戦略、組織構造・人事制度の変革が効果的
    • 成熟期の組織文化の変革には, 客観性と文化に対する洞察を兼ね備えたリーダーが必要(Schein 1985)
    • 変革のためには、まず既存の文化の変革の必要性を認識し、文化のどの部分を変革するのかを明らかにするために、文化の深層に対する洞察が求められる
  • 多層モデルの文化のまとめ
    1. 組織文化の変わりにくさの源泉は、文化の意識されにくく可視化されにくい部分にある
    2. 変革は既存の組織文化に染まり切っておらず、客観的な洞察力を持つ人々が主導することが望ましい
    3. 組織文化の変革プロセスには、変革を主導する人々(=イノベーター)と変革を受け入れる人々(=感受性の低い人)の少なくとも 2 種類のグループが存在する(=前者は後者に安心感を与える必要がある)
  • 構造機能主義:過度に社会化され、統制された人間観に基づく
  • 社会構築主義:会話を通じてリアリティが構築される
    • 1次リアリティ:解釈の余地のない事実やデータで構成される(≠客観的現実)
    • 2次リアリティ:1次リアリティに対する価値づけ・意味づけ
    • 通常これらは混在し、1つのリアリティとなっている(Watzlawick 1990)
  • 変化の概念
    • 構造機能主義=会話と独立した物質的特性のある内容の変化(Scheinの場合、人間や環境に関する仮定のリストの変化)
    • 社会構築主義=会話の中に新たな会話を展開すること
      • 変化が起こった証拠は1次リアリティでわかる
      • どのようは変化が起こるかは2次的リアリティに依存
  • 文化を維持しているのは言語、慣習的な会話に新たな会話を導入することで文化の変化が起こる。ただし、その変化の方向性は新たな会話が、どのような2次リアリティを形成するかに依存する。
  • 構造機能主義の文化変革=教育モデル=メンバーの反感・抵抗を生む→介入者は洞察の正当性や客観性を担保するために権威づけを行う必要がある→メンバーがますます反感を持つ
    • 変化の起こりにくさの原因=メンバーの学習への不安、既存文化への愛着←それもあるが、介入者の病理的問題発見と切除アプローチが意欲を下げる
  • 変革者に文化が正しく解釈される必要がある ⇔ それよりも、推進者とメンバーの協働を促進し、問題解決に向けた積極的な行動を引き出せる方が重要
  • 組織文化の解明には、人工物の用いられ方に注目することが重要
    • 全ての行動はコミュニケーション、その相互作用パターンの背後にあるルール
  • 介入方法として有力:例外、最高、偶然、奇跡に関する会話の促進
  • Appreciative Inquiry(対話型組織開発)の4プロセス
    • 発見:過去に焦点を当ててこれまでの最高体験に関する物語を語り、最高体験をもたらす共通要素を取り出す
    • 夢:理想の未来像を共有する
    • デザイン:理想の未来像を実現する理想の組織像を探る
    • 運命:理想に近づくアクションを提案して実行の準備をする

2020/10/18

数家鉄治(2015)「行政改革と組織改革 -地方自治体の行政経営的組織改革-」『大阪商業大学論集』11(2),31-46

  • 行政組織の持続性は保障されていない:制度的環境が変化⇔行政職員の主観的認識とズレ
  • 税<地方交付税 → 職員が住民要求よりも交付税確保に知恵を絞る方に向かわせる
    • → 住民の期待しない事業に予算がつく、期待する事業が後回しにされた気持ちになる
  • 行政組織は法改正に敏感でなければならない(病院など多様な事業をするために多数の法律が関与している)
  • 結局、行政組織は組織と制度が密接に関係している=精度が組織に与える影響が大きい。
  • 減点主義的な人事評価→自己の守備範囲を狭くして、その領域での穴をなくすことに注力→全体的整合性との関係性を軽く考えて、意図せざる穴を増やす→他の人の守備範囲との間に隙間をもたらして、それらの間の調整を難しくする→組織にムダ・ムラをもたらすっ→市場競争を欠くので、競争で是正できない。値打ちのある仕事とムダな仕事の区別をあいまいにし、 選択と集中をしにくくし、力の配分を間違いやすい。
  • 市町村合併→職員数増・削減目標設定→職員がルーチンに追われて人材育成やルーチン外の仕事をする余裕がない→ICT化=非正規対応可能→人材育成よりも目の前の問題を非正規で対応するので人的資源が劣化しやすい→ルーチンをこなす即戦力の非正規が増える→組織能力を劣化させる。
  • 行政改革は改革というより改善。
  • 行政組織は利害関係が多様=機が熟さないのに改革すると失敗しやすい。
  • 組織文化と組織の罠は違う(アージリス)
    • 罠:防衛的な思考枠組み。組織文化に主因があるとはかぎらない。

2020/10/17

前田一之(2017)「組織文化と学長リーダーシップに関する実証的研究」『大学論集』49,85-100

  • 組織文化とリーダーシップ研究
    • Schein(2004):組織の変革期に組織特性によって強い展望(Strong Vision_を持ったリーダーか、構成員の意見を重視する提言重視型(Fuzzy Vision)のリーダーのいずれかが必要になる。変革期は長期にわたり新たな前提認識が組織に組み込まれなければならない。
    • Taylor(1986):大学の主たる目標に組織文化は影響を受ける→伝統定期大学=学長は文化の体現者=自大学出身者
    • Kezar(2004):学内の意思決定過程は効果的に機能していないというメンバーの認識→組織構造等の形式的手続きの改変より、リーダーシップ、関係性、信頼という非公式側面を重視する必要がある
  • 学長リーダーシップと組織文化の概念の具体化を図る
    • アンケートで因子分析、構造的特性を検証し、企業リーダーシップと比較
    • ←中央集権的な制度整備は大学組織で有効かを検証するために有益
    • 副学長が上司の学長のリーダーシップを評価する部下評定方式(三隅 1988)
    • 国公私329校
  • 結果
    • 学長リーダーシップ7因子:信頼関係構築、大学差別化、大学理念・目標達成、分権化、提言活用、経営強化、凝集性
    • AGIL枠組みで解釈:企業トップはGとIの比重が高いがLは逆
  • 組織文化測定尺度:競合価値フレームワークがよく使われる(北居 2014)
    • 縦=柔軟性・適応生⇔安定性・コントロール、横=内部重視と統合⇔外部重視と差別化:クラン、アドホクラシー、ヒエラルキー、マーケット
  • 結果(国公私間比較)
    • ヒエラルキー、マーケットで差異なし
    • アドホクラシー:国立+、公立±、私立−、クラン:国立−、公立±、私立+
    • 国立と公私の文化的差異を決めるのはアドホクラシー、公立と私立の文化的差異を決めるのはクラン

2020/10/16

新江孝・伊藤克容(2014)「組織変化におけるマネジメント・コントロールの役割 : 新たな視点の提案」『原価計算研究』38(2), 15-26

  • Learning Visioning Planningモデル
    • 組織変化を3つのサブプロセスからなる連続したプロセスとして捉える
    • Learning:経験の蓄積
    • Visioning:認知的枠組みの更新
    • Planning:最適資源配分
  • LVPモデルでケース記述をすることができる
  • 組織変化のコンテンツ:組織が変化するとは、何が変わるのか?
    • Mintzberg and Westley:有形は容易に変化する、無形は変化しづらい→4段階(2系統)
      • 人員配置・業務内容、機械・設備
      • システム・手続き、プログラム
      • 組織構造、戦略ポジション
      • 組織文化、戦略ビジョン

2020/10/15

市田明子・高野研一(2020)「国家公務員の活性化に向けた組織の文化とリーダーシップの影響」『国際P2M学会誌』14(2), 249-266

  • プロジェクト・プログラムマネジメント(P2M)
    • Ver.1:一つの戦略のもとで総合的な視点から複数のプロジェクトの最終着地点を見出す、システム構築後の運営段階で評価を行うことに重点を置く。
    • Ver.2:プログラムのゴール設定や価値獲得の方法を経営戦略にフィードバックさせる。
    • 3Sモデル:スキームモデル(事業の構想)、システムモデル(システムの構築)、サービスモデル(事業の運営)。
  • 公務員:本来持っている公共のために役に立ちたいという動機の最大化を目指す必要がある。
  • 仮説:国家公務員の職務満足は組織の文化や管理職のリーダーシップの影響を受ける。
    • 因果関係を定量的に分析。
  • 組織文化→職務満足
    • 前向きなコミュニケーション:両公務員+
    • 内向き志向:国家公務員–、市町村職員NS
  • リーダーシップ→職務満足
    • 国家公務員+、市町村職員NS

2020/10/14

濱中淳子(2020)「入試改革の迷走」『教育学研究』87(2),14--26

  •  今回の改革の特徴:逆流効果とい 名の教育的配慮と未来志向
  • 理解が深い専門家ほど逆流効果の問題点がわかり、改革に尻込みする ⇔ 素人は未来を根拠に改革案を出すため批判されにくい → 素人に優しい改革論議
  • 研究者側の問題
    • 反論の余地を残す主張:
      • センター試験は良問 ⇔ 設問文だけで答えが導き出せる『基礎的な知識及び技能』に偏った出題がいまだに改善されていない ← センター試験批判の決定打を出せていない
      • 格差問題:民間試験受験料はバイトで工面可能、格差を問題にするなら進学後の学費の方がはるかに深刻な問題
    • 不十分な実態把握:エビデンスが偏っている、改革にマジョリティが何を指示しているかのデータがない、改革推進派を思いとどまらせるデータを示していない
    • 未来を描かない論法:研究者はエビデンス(過去のデータ)志向、未来志向は危ういが、十分に答えていない(未来派も、未来の教室、APU、N高に注目、探究学習に関心)

2020/10/13

吉田文(2020)「大学「教育」は改善したのか」『教育学研究』87(2),2-13

  •  教育方法の改革推進
    • 改革の始まりは教育方法:1991年答申でFD、シラバス、TA、自己点検が登場→キャップ制、SD、セメスター、GPA(←小道具)
    • 2004年に方向転換=教員の改革から学生の変化へ→2008年教学マネジメント(個別の教育方法をトータルに機能させるために持ち出された)
  • 教育内容の改革
    • 1998年21世紀答申:学士力に触れた程度で言及少ない(学問の自由への配慮)
    • →初年次教育とキャリア教育で改革=入口と出口の接続問題
    • キャリアガイダンスだけは設置基準で義務化
    • 90年代後半からの就職問題社会化→就職対策としてのキャリア教育→教育の問題化=労働市場問題・経済問題と切り離し、個人の努力の問題にすり替えた
  • 競争的資金による改革
    • 教育を大学の組織的取組とし、他機関との競争と、その結果としての評価の俎上に載せたという点で画期的
    • 5つの特色:学生支援に特化した事業、事業期間の短期化、申請しないことのレッテル化、審議会提言との密接化、定量評価項目の細分化
  • 面従腹背
    • FDは義務化して実施率は上がったが、関与する教員は二極化or限定
    • 初年次教育とキャリア教育は、ディシプリンフリーで拒否反応が少なく、瞬く間に定着
    • 学会が政策を批判せず有効な実践方法の情報交換をレゾンデートルとした
  • MEXT改革の意図:大学教員の眼を教育に向けさせ、教育を組織化すること
  • 大学トップ、中間団体とも改革に反対すれば経常費や競争的資金などの縮減につながり、大学財政に支障をきたす
  • 大学の自主性を働かせる余地のない改革の中で、大学が学生の主体性を育成することは望めない

2020/10/07

宇多川元一(2019)『他者と働く』NewsPicksパブリッシング

  • 技術的問題:既存の方法で解決できる問題。
  • 適応課題:既存の方法で一方的に解決できな複雑で困難な問題。
  • 対話=新しい関係性を構築すること:適応課題を解く方法。
    • 組織とはそもそも関係性。
    • お互いに分かり合えていないことを認めることが対話に不可欠。
    • 権限や立場に関係なく、自分の中に相手を見出し、相手の中に自分を見出し、双方向にお高いを受け入れあっていくこと。
  • 対話を技術的問題として、マネジメント論を駆使しても解決しない。その前提に、自分が良いと考える基準があり、相手を一方的に評価する関係性があるから。
  • 適応課題の4タイプ
    • ギャップ型:価値観と実際の行動のギャップ。ある意味合理的に発生する(ex.男女対等の社会参画、背後に男性中心のナラティブあり)。
    • 対立型:お互いのコミットメントが対立する。営業VS開発など。
    • 抑圧型:言いにくいことを言わない。先行き悪くても撤退できない時など。
    • 回避型:本質的な問題を回避するために逃げたり別の行動にすり替える。対策を打っているという言い訳が典型的。
  • ナラティブ:語り(物語)を生み出す解釈の枠組み。
    • それぞれの立場にナラティブがあり、どれが正しいではない。各自の置かれた環境における一般常識のようなもの。
    • ナラティブアプローチ:どう相手をとらえる私の物語を対話に向けていくかを主軸にしたもの(どう相手に話をするかではない)。
  • 溝に橋をかける4プロセス
    • 準備:相手と自分のナラティブに溝(=適応課題)があることに気づく。自分のナラティブを脇に置く。
    • 観察:相手のナラティブを探る=背後にある課題をよく知る。協力者がいないと観察はうまくできない。
    • 解釈:溝を超えて橋がかけられそうな場所やかけ方を探る=相手にとって意味ある取り組みは何かを考える。相手のナラティブにおいても意味があるようにするにはどうすれば良いかを考えることが解釈。
    • 介入:実際に行動して橋をかける=相手の見えていない問題に取り組み、かゆいところに手が届く存在になる。ナラティブが見えると、介入のリソースは組織内にたくさんある。
  • 批判研究:戦略論とは、戦略を考える人と実行する人という支配関係を気づかないうちに組織内に作り出すための言語的な権力の発生装置だ。←批判だけで現実を変えていない。批判は問題をより良いものに変えるためのもの。それには現実の社会的構成に注目し、現実を作り出す日常の会話に注目し、言葉を変えることで現実を変える。
  • 反対のナラティブに来て、そこから自分のナラティブを見てもらう(営業から法務に来てもらい、チェックの作業をみてもらう)。
  • 中立な人間は存在しない。誰もがそれぞれのナラティブを生きている。自分の偏りを認めないと、相手の偏りを受け入れるのは難しい。
  • 組織の上層ほど、不満や困りごとを分かってもらえる相手がいない。それが外部コンサルタントを利用する要因にもなる。孤立状態を解消するには、上の立場の仕事を共有する。
  • 人が育つとは、その人が関わる仕事において主人公になること。その人のナラティブの中に学んだことが意味あるものとして位置付けられないと、学んだことを使わない。
  • 部下は弱い立場ゆえの正義のナラティブに陥りやすい。上司は道具としてのメンバーの関係性に陥りやすい(実行が重要なフェーズではその関係も重要)。
    • 権力は、関係性を変えるので、対話を妨げる。常にこの問題があることを知り、メンバーと新しい関係性を更新し続けることが必要。
  • 正しい説明という暴力:エビデンスに基づく癌治療。医師と患者のナラティブは異なる。
  • メタファー:理解を作り出す言葉の結びつき。機械、有機体=メンバーは組織を構成する部分であって中心ではないというメタファー。

2020/10/04

鳥飼玖美子(2018)『英語教育の危機』ちくま新書


  • 平泉・渡部論争:実用英語を話せる英語と競技に解釈したことが誤解の源。
    • 平泉は英語教育の効果が上がらないのを、学習意欲の欠如と生活で不便がないことを理由に指摘していた。
  • コミュニケーションを道具と割り切り、数値で測定できると考えている限り、言語力もコミュニケーション能力も伸びない。
  • グローバル人材育成戦略=英語を駆使してグローバルに戦う企業戦士の育成
  • 資質は生まれつきの性質や才能を指すが、文科省は教育基本法に依拠して育成可能と解釈している。
  • CEFRのCan-Doは、評価の尺度として開発された能力記述文だが、日本は到達目標として解釈した。
  • コミュニケーション能力には、言語知識、一貫性を持って話したり書いたりする能力、言語を状況に応じて適切に使える能力、相手の真意を汲み取れる能力が含まれる。
  • 文化(文明)とは、知識、信仰、芸術、道徳、法律、慣習、その他、社会の構成員としての人間によって習得された全ての能力や習慣の複合総体である(エドワード・タイラー)。
  • コンテクストを共有する度合いが高い=ハイコンテクスト=長い歴史文化を共有する国=忖度文化。
  • 多様な人種や民族の国家=ローコンテクスト=言葉を駆使して説明する。
  • コミュニケーション能力の4要素
    • 文法的能力:音声、語彙、構文、文法。
    • 方略的能力:聞き取れなかった際にどう対応するか、言いたいことが言えない時、単語を思いつかない時にどうするか。
    • 談話能力:ひとまとまりのメッセージをどう一貫性と結束性を保って書いたり話したりするか。
    • 社会言語的能力:文化的規範によってどの表現を使うか、目的・場面・状況に応じて規範を知って使う。
  • ベネットの異文化感受性発達モデルの6段階
    • 自文化中心段階
      • 否定:文化に違いがあることに気づかないか無視する。
      • 防御:自文化が優れていると考え、他文化を否定的なスレテオタイプで見る。
      • 最小化:人間は基本的に同じだと考える。
    • 文化相対化段階
      • 容認:価値観の違いを理解し、文化的差異の現実を受け入れる。
      • 適応:意識的に他文化の視点に立ち、自分の行動を変える。
      • 統合:1つではなく複数の文化に属し、多様な文化的視点を持つ。

2020/10/01

加藤洋平(2013)「自治体組織におけるフラット化の課題」『自治体学』27(1),53-58

  • 官僚制=中央から組織全体を自由にコントロールできる ⇔ フラット化=個人に自律を求める=行政責任が変わる(公共性が個人に委ねられる)。
    • フラット化は階層を低くする=昇進を狭める。
  • 日本の行政組織は縦の系列の分業関係が不明確な組織構造=意思決定方式として稟議制が発達。
    • 大部屋主義:曖昧な職務遂行体制のこと。全員が適宜仕事を分担しつつも、お互いが協力し合うことが可能であり、曖昧な職務分担のもとで集団に属して職務を行える。
  • フラット化の検討の視点:意思決定が迅速になったか、個人の自律性が担保されてるかの2点。
  • 佐賀県の事例:意思決定が迅速化したのは定型的業務。非定型業務では遅くなるケースもあり。意思決定過程、職員の職務、決定責任が不明確なままなため、自律性も担保されない。
  • なぜ集団職務体制なのか:戦後改革の際、行政組織に個人の自律性を重んじる職階制が実施されなかったため。職場の風土に適していない制度(職務記述書(Job description)に基づく職務分類(Position classification)によって職務を行うことは我が国の職場の実態 には一般的に妥当しない)。
  • 日本の行政組織は、個々の職員の専門的な能力に依存するよりも、組織全体としての能力を重視しており、曖昧な職務分担のもとで幅広い知識を持った職員が集団的に職務を遂行する体制。
    • 単にフラット化してもうまくいかない。