2018/07/04

原義彦(2015)「大学の社会貢献機能の位置づけ把握の試み」『日本生涯教育学会年報』36,57-73


  • 目的:現在までの約20年間に大学の社会貢献機能がどのように捉えられてきたか。大学の機能における社会貢献機能の位置づけの把握を試みる。
    • 社会貢献機能は、教育・研究と同列か定まっていない → 2005年答申(我が国の高等教育の将来像):社会貢献を明示 → 国際協力,公開講座,産学官連携などより直接的に。
    • なのに未だ,大学の社会貢献機能と教育・研究の関係は不明確。
    • → 3つの課題を設定
      • 大学の社会貢献機能がどのような内容として,また,それがどのような背景の中で示されてきたか
      • 大学の機能の中で社会貢献機能がどのように位置づけられてきたか
      • 現在,大学に求められている社会貢献とは何か
      • → 国の審議会会議等の答申,報告提言,文部科学省から出されている行政資料事業に関わる資料,パンフレットの各種資料で分析
  • 答申の動向
    • 1999「21世紀の大学像と今後の改革方策について競争的環境の中で個性が輝く大学(中間まとめ)」:地域社会への生涯学習支援機能を重視する大学という在り方が新たに示された。
    • 2005「我が国の高等教育の将来像」:大学の機能別分化で,従来の「地域の生涯学習機会の拠点」に加え,「社会貢献機能」が新たに示された。
    • 2008「中長期的な大学教育の在り方について」:機能分化に加えて,グローバル,ナショナル,ローカルという機能が及ぼす範囲・空間の違いによる分化の考え方が加わった。
    • 2014「イノベーションの観点からの大学改革の基本的な考え方」:国立大学に,3つの類型選択を求める。
  • COC事業(地域再生の核となる大学づくり構想)
    • 背景にある批判:大学の教育研究が社会の課題解決に十分応えていない,学生が大学で学んだことが社会に出てから役立っていない,地域と教員個々の人のつながりはあっても大学が組織として地域との連携に臨んでいない
    • 事業で期待する大学像:(1)自治体等と連携し,全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進める大学,(2)全学的に地域再生・活性化に取り組み大学の改革につなげる,(3)地域の課題(ニーズ)と大学の資源(シーズ)のマッチングにより地域の課題解決,(4)自治体と大学が協働して地域振興策の立案実施を視野に入れて取り組む。
  • COC+へ
    • 自治体や企業等と連携して学生にとって魅力ある就職先を創出・開拓し,地域が求める人材を養成する大学の支援を通じて,地方への人の集積を図るということが主眼に。
    • COC=地域課題解決・再生・活性化の拠点となる大学づくり→COC+=人口減少課題に焦点化し,地域における雇用の創出学生の地元定着を促進
  • これらからわかる社会貢献機能
    • (1)記述内容について
      • 地域社会への生涯学習機会の提供に力を注ぐ大学=大学公開講座(大学開放事業)
      • 大学の社会貢献は,時代によって強調される内容が変容する ← ある意味当然:変化しにくい教育内容に対して,社会の変化に敏感に反応することが求められる。 → 大学の社会貢献の内容は幅が広く,明確な範囲を規定しえない。
      • 社会貢献は,大学改革の議論の中で生じた。
    • (2)大学機能における位置づけ
      • 2005年以降は第3の使命=教育・研究とは異なるもの定義。← 地域貢献や生涯学習支援の活動が広がる中で,別機能として捉える必要性があった。
      • 一方で,機能間の序列化を進めた=社会貢献は「第3」の使命。⇔ 社会貢献は教育・研究に含まれる機能という考え方(COCでは「全学的に地域を志向した教育・研究・社会貢献を進める大学を支援」とある)。
    • (3)現在求められる社会貢献
      • 自治体等と連携しながら地域活性化や地域の課題解決を支援していくこと。
      • → 教育や研究そのものに社会貢献を志向する視点を取り入れる必要がある。(もし教育・研究に社会貢献が含まれるなら。)→ カリキュラム自体を地域志向にする必要あり。