松田稔樹・星野敦子・波多野和彦(2013『学習者とともに取り組む授業改善』学文社
- Science=神が創った世界を探求する,Art=人が生み出す人工的世界を探求する,Scienceの中には自然科学と社会科学がある(人で構成される社会を含めた自然界の法則や特性を解明する学問)
- 工学はつまるところ,設計の学問である。Scienceは因果関係という特定の正解を持つ問題を解明することを目的とするが,工学は正解のない問題解決を扱うための方法論を確立することを目的とする。
- 疑問を感じるのは,自分の考えと違う,というズレであり,ズレているのが自分なのか相手なのかを決めつけずに考えようとすることが探求である。
- Knowledge Result:自分の反応の正誤を知らされたり,励ましや注意を与えられて,自分の学習活動を柔軟に改善するための教師の働きかけのこと。
- 教示主義VS構成主義:前者は,生徒が理解できるかどうかは,教え方がわかりやすいかどうかにかかっていると考える。後者は,教師の役割は,生徒がわかることを助けることであり,そのためにはどこまでわかっていてなぜわからないかを探り,適切なKnowledge Resultsを返してその状態を改善することが重要だと考える。前者は教師の役割としてコミュニケーション機能を重視し,後者は計測・制御機能を重視する。また,前者は疑問を感じさせないことを重視し,後者は疑問を持ち解決することを重視する。
- 教師の意志決定モデル(吉崎 1998):生徒・教材・教授方法・教授ルーチンの知識→授業計画→モニタリングスキーマ(生徒の状況・時間→授業計画と実態のズレ→ズレとその原因の認知→計画通り・方法変更・内容変更)→対応行動(説明・板書・発問・指示・Knowledge Result)
- 臨機応変な対応とは,当初予定と全く異なる授業を行うことではなく,基本的には元の計画にどう戻るかであり,大きく分けると後戻りするか,迂回して前に進めるかの2通り。
- 教科書に書かれているからその課題を扱うのではなく,学習への動機づけを高めるために,生活・仕事との関連性を考慮することや,解決したり考えたりする意義のあるものを選択する必要がある。
- システムズアプローチが重視するのは,作業の効率化のために後戻りを最小限にすること。非効率の代名詞が後戻り,行き着くゴールを明確にすれば,その評価を高め,誤りやつまずきを取り除くための発想に集中できる。
- 教材研究は教材に関する知識を,学習者特性分析は生徒に関する理解を豊かにすること。これらの知識はよりより授業計画を考える前提になる。
- ガニエの教育目標分類:言語情報(=意味記憶),知的技能(弁別→概念→ルールと手続き→問題解決,難易度分類),認知方略,運動技能,態度の5種類。
- ブルームの認知領域6段階はわかりにくい。目標を明確にするには役立つが,目標を記述するには何かが足りない。
- 次元分け(坂元 1988):つまずき=一部の問題に正解でき,一部の問題に正解できない。誤り=どんな問題を与えても正解できない。
- 導入・展開・まとめの書き方こそ,知識注入主義を表している。ARCSや9事象は心理学的な理論との関連づけを重視しているのと対照的。
- 授業は生徒が考える場であり,発問が主であって説明はそれを補う従たる位置づけであるべき。
- 工学的アプローチ:行動目標→目標に準拠した評価
- 羅生門アプローチ:一般的目標→創造的学習活動→目標にとらわれない評価(評価は記述で実施し,さまざまな立場や視点から解釈を行う)
- 羅生門アプローチでは,形成的評価が重要:ポートフォリオ活用,概念地図作成,KJ法。
- 教師による主観的な評価を行っていた戦前の通知表を改善し,評価の客観性を高めるために戦後は正規分布に基づいた相対評価を行った。
- 海外の数学教育ではローンを組むテーマをよく扱う。