2014/04/03

岩田雅明(2013)『生き残りをかけた大学経営戦略』ぎょうせい



  • 募集戦略では,イメージが重要。そのためには,合格基準を下げない,不合格者を出すことも重要。
  • 奨学生になれるかどうかが入学前にわからないことは,受験側にとって問題。よって,特定資格があれば授業料を免除する制度は,効果的。
  • キャッチコピーによって,教職員の教育や学生支援に統一した方向を向く効果が出る場合もある。
  • 入り口と出口,つまり募集と就職支援を1つの部署で行うことは,人的資源の効率的活用,責任転嫁の回避など,効果が高い。
  • 組織風土づくりでは,問いを共有することが大事。週1ミーティングでの問いなど。問いは,あるべき大学像に向かうために必要なものは何か,に対する問いであり,それについて考え続けること。
  • 有用なビジョンを描くには,顧客ニーズの把握が不可欠で,入学者,取り逃がした者(合格したが入学しない,オープンキャンパスに参加したが受験しないなど),潜在的ニーズの3つを見る。
  • 大学では,現状分析からビジョンを作るよりも,自由に描くビジョン先行型の方がなじむ。大学像は固定的なため,現状分析から新しい魅力は盛り込みにくいため。
  • 定期的にビジョンについて話していないと,実現することができない。意見を自由に交換し合える場の設定が不可欠。
  • いい戦略でも他人から与えられたものは自分のものとしにくいため,企画部門を設けるよりも,戦略を実行する部門が企画も担当する方が,有用な戦略が作られる。
  • 自ら考えることを促進するシステムとして,1週間1件などの提案制度がよい。
  • 業績と関連のある12のエンゲージメント:(1)私は仕事の上で,自分が何を期待されているかが分かっている,(2)私は自分の仕事を正確に遂行するために必要な設備や資源を持っている,(3)私は仕事をする上で,自分の最も得意とすることを行う機会を毎日持っている,(4)最近1週間で,よい仕事をしていることを褒められたり認められたりした,(5)上司または職場の誰かは,自分を一人の人間として気遣ってくれている,(6)仕事上で,自分の成長を励ましてくれる人がいる,(7)仕事上で,自分の意見が考慮されているように思われる,(8)自分の会社の使命や目標は,自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる,(9)自分の同僚は,質の高い仕事をすることに専念している,(10)仕事上で,誰か最高の友人と呼べる人がいる,(11)この半年の間に,職場の誰かが自分の進歩について,自分に話してくれた,(12)私はこの1年の間に,仕事上で学び,成長する機会を持った
  • リーダーは行き先を決めること,マネジャーはそこまでの生き方を考えること。大学では,あらゆる機会を利用して大学の将来ビジョンについて意見交換をするという,対話で作り上げるしかない。
 個人の経験を紹介したと言う意味では,おもしろい部分もあるものの,全体的に内容の抽象度が高く,データや参考文献もない論述で,本書を読んで活用できる人はほとんどいないと思われる。