- 大学教員の管理運営能力は,管理運営職を1つ経験しただけでは参加経験を肯定的に振り返れないが,3つ以上経験すると6割以上が参加経験を有効と見なす(管理運営職が何かが定義されていないという大問題あり)
- 一般労働者の平均労働時間が年間2009時間,文系教員は2600時間,理系教員は3000時間という隔たり。週あたり平均労働時間は,男性61時間,女性56時間,過労死ラインは60時間。
- Zaman(2004),藤村(2006)は,教育と研究はネガティブな関係にあることを示している(研究志向と教育志向の役割葛藤モデル)。
- 社会化は,組織への新参者が,その組織において成功するための基準を内在化し,行動することであり,組織への同化プロセスである。
- 調査では,FD活動は,能力形成の方策として決して有効性が高くなかった。大学教員の職能形成が,多様な個人の文脈に即して経験を通じて行われるなら,専門性開発を担う側はどのように対応すべきかが問われている。統合的・継続的な学習プロセスを提供し,継続的な能力開発の機会を提供し,教員の日常にはめ込まれた活動を重視すべきである。
- 能力獲得の要因はFDではなく,日常的な教育研究活動であり,経験を通じて形成されることを各大学の取り組みの基盤に据えなければならない。
冒頭の問題提起のすばらしさと比較すると,各章で示されるエビデンスのスケールの小ささが残念な内容。