2014/02/05

本田由紀(2011)『軋む社会 教育・仕事・若者の現在』河出文庫


  • 人間力(コミュニケーション力,創造性,問題解決力)という概念そのものが怪しく,相対的に有利な社会集団がゲームのルールを自らにとって都合のよいものにするために打ち出した恣意的な選抜基準を,そう名付けているに過ぎない。
  • 教育機会の罠:学歴取得は望ましい仕事に就く可能性を保証しないが,取得しない不利さは大きくなること。労働需給の不一致と同じ。期待した仕事に就けない大卒者が増え,学歴内部の序列化が広がり,社会内の不満が増大する。
  • ハイバー・メリトクラシーは,否認知的で非標準的な,感情操作能力(人間力)が個人の評価や地位配分の基準として重要化した社会状態を意味する。
  • ハイパー・メリトクラシーは,手続き的公正さよりもその場でのアドリブを重視する。
  • ハイパー・メリトクラシーは,要求水準の高度化,属性的格差の顕在化,評価の恣意性,自己責任化,限度のない没入を求める弊害がある。
  • これを克服するには,柔軟な専門性(職業の入り口としての専門知識・スキルとその発揮場所)を獲得・用意することで対応できそう。
  • 就職の際に言われる意欲やコミュニケーション能力は,企業が望むような考え方や意識を自発的に読み取り,先回りして行動するような資質に他ならず,多くの日本企業は,あまりに高い意欲や自己主張をする本当に個性的な人間を求めていない。


 本田先生は堅い研究をすると思っていたのに,ずいぶん曖昧な概念を主張しているところが意外で新鮮。