児美川孝一郎(2011)『若者はなぜ「就職」できなくなったのか?―生き抜くために知っておくべきこと』日本図書センター
- 高卒の内定率は,90年頃の7割から,2010年頃の3割まで大きく減った。家計が許せば,進学へ進路を切り替えられる。この進学が,日本の高卒無業の放出を防いできた。
- 教育は,経済,雇用,社会保障などと同じ,社会のサブシステム。どこかのサブシステムが機能不全であったり,大きく変容すれば,教育もその影響を受ける。
- 高校の就職推薦を,学業成績と生活態度に基づく校内選抜で行うことで,就職希望者が多い高校における学習モチベーションを維持する機能として作用した。
- 終身雇用,年功賃金,企業別組合というメリットの背後には,中小企業の大卒者確保困難,女性の排除,調整が不能,新卒就職以外の疎外,家族型企業・過度の忠誠心というデメリットがあった。つまり,保護や育成と引き替えに,支配に服従があった。
- もう一つ,企業が,トレーナビリティを重視するために学校歴に注目した結果,学校は職業的レリバンスを失い,ランク上昇のみを目指すようになった。
- 今のキャリア教育は,学校から職業への移行を構造的にとらえておらず,意図的に付け焼き刃の教育になっている。
- それは,相変わらずの正社員モデルであり,エンプロイアビリティで着飾って,勝ち組コースへ進めというキャリア教育である。
- 正社員の絶対数が決まっているのであれば,正社員を外れたときにいかに準備するかという教育こそが重要。正社員になれなかったことを自己責任にしてはあまりに酷。
- 若者がフリーターが容認するのは,自分がフリーターになる現実を認識しているから。自分を納得させて自分の尊厳を守っているだけ。
- キャリア教育は,社会理解,職業理解,労働理解こそが出発点。日本の労働をリアルに学ぶこと。
- 仕事をしないうちから,職業と自分のマッチングをはかることは,発想が逆転している。やりたいこと探しは危険。
- オーストラリアのように,中等教育の職業教育は,普通高校と職業高校,専修学校,職業訓練機関の連携で充実させる。全て1校で行うことは,資源の観点からも無理で無駄。
- 自立とは,一人で何でもすることではなく,他人に上手に迷惑をかけること。