2012/12/05

松田久一(2012)『成功と失敗の事例に学ぶ 戦略ケースの教科書』かんき出版


  • ビジネスの成否は,環境の差,戦略・ビジネスモデルの差,運・偶然性の3つで決まる。従って,市場や環境を知り尽くし,優れた戦略アイディアを構想すべき。
  • 戦略パラダイムの基本の型は,経験曲線とBPM,SWOT分析TOWS発想,競争優位,RBVコアコンピタンス,機動戦略の5つ。
  • SWOTでは,何を基準に機会と脅威,強みと弱みを分けるかは,分析者の判断にゆだねられる点が難しい。
  • 戦略の発想は,帰納でも演繹でもなく,類推法からしか生まれない。自分の体験や知っている事例に依存するため,個々人のものとなり,これが独創的な戦略に結びつく。
  • SWOTの際は,どのフレームで分析するか(3CかPEST),SO・ST・WO・WTのどのオプションを取るか,どうマーケティング戦略を組み立てるか(4P=製品ブランド,価格,プロモーション,流通・営業)。
  • 競争戦略の際は,中途半端が厳禁。コストも差別も両方は不可能であることが実証されている。
  • RBVでは,経営資源をリストアップして,VRIO(価値・希少性・模倣可能性・組織)の観点で評価した後,横軸に強みの経営資源・縦軸に市場を置く資源ポートフォリオを描く。
  • 機動戦略は,新規市場創出,フリーミアム,ロングテール,破壊的イノベーション,多次産業化という裏をとる。(対応するライバルはそれぞれ,既存市場深掘,コスト優位,上位集中,持続的イノベーション,産業内競争)。
  • 機動を成功させるには,まず機動ありき,起動した先で布石を打つ,ライバルが対応できない攻め方で市場を主導する。
  • 戦略は実行されて目的を達成できる。実効性を高める鍵は,戦略と組織文化の適合性。トップダウン,現場主導,ミドル主導に合わせる。特に日本はミドル主導が多い。つまりミドルがボトムを育てる。やってみせ,言って聞かせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。

 ここで登場する事例は,スケールメリットの働く製造業・小売業ばかり。スケールメリットが働かない業種や,非製造業では戦略論は適応できないなのか,という疑念を残す説明となっている。