2012/12/02

柴田義松(2006)『批判的思考力を育てる―授業と学習集団の実践』日本標準


  • 9歳の壁:抽象概念を表す漢字が増える,2つの数・量の関係を表す分数が出る。
  • 日本の学校は,知識を教えるが,知識の獲得の仕方はあまり教えてくれない。詰め込み教育の問題点は,詰め込めないことにあり,詰め込めない詰め込み教育が,子供に非人間的な過剰な努力を強いている。
  • 学問とは,問うことを学ぶこと。教師が問い,子供が答える授業を,教師が見直す必要がある。何を問うか,価値ある問いは何かを教えることが,教師の必要性。
  • 問い心を育てるには,師問児答から児問児答へ,学習題材を現実性のあるものに,対立意見をたたかわせる討論学習が必要。
  • なぜ集団で学ぶのか。労働と学習はもともと一体で,集団的なものであった。教育の基本的目的は,人間を労働のために準備することである。
  • 国語の時間数は多いのに関わらず,読み方の力がついたという実感がわかない授業が繰り返されている。読み方には,文章の構造をとらえる,表現性をとらえる,視点(語り手の区別)をとらえる,人物をとらえる,文体をとらえるを教えなければならない。

     これを見ると,学習集団を作る上で,大学の週1回授業は制約が大きい。これでは同様の学習集団づくりは困難だろう。
     また,いろいろ批判してるものの,著者が指摘していない問題として,教員養成の問題が大きいと思われる。本書で指摘されるような批判的思考力を持たないまま教員になるのであれば,どれだけ本書のような知見があっても追いつかない。