- 教えることを知らずして優れた教師になることはあり得ない。例外なく,優れた教師は担当する教科について,学者として,研究者としてよく知っている。
- 優れた学習成果を上げるには,(1)学習者はメンタルモデルが機能しないような状況に直面しなければならず,(2)直面している課題を中止したり取り組むためには十分に機能しないことを気にかけ,(3)長い間信じていたことに挑戦することで生まれる感情的苦痛に対処しなければならない。
- 通常,学生が学問分野の基礎知識を「知る」ことなしに,思考,分析,統合,判断は学べないと考える。そのため,情報の伝達を重視する。しかし,ベストプロフェッサーは,学ばなければならないとは考えるが,理解すること,理解すべきことについて学生の意思決定を重視している。学習は,学生の実際の思考,行動,感覚に何らかの影響を及ぼさなければ意味がないと考える。
- 達成目標(Performance Goal)を持つ子供は,完全を期す,あるいは頭の良い子と思われるために,正しい答えを得たく,失敗を恐れる。
- 熟達達成思考(学習によってより知的になると信じる)は,報酬ではなく,自分の力量を付けるために学ぶことが多い。学習の過程で冒険し,より困難な課題に挑戦し,その結果としてより多くを学ぶ。
- スカラーシップは,4つの基本的質問を中核に展開する。(1)指導する学生たちは学習の結果として知的,身体的,情意的にどのようなことができるようになるか,(2)そのような能力とそれを活用するための心と頭の習慣を発展させるために何ができるか,(3)学生たちと私は学習の本質,性格,進展をどのようにしたら最もよく理解できるか,(4)そのような学習を促すための自らの努力をどのように評価することができるか。
- 優れた教師は,学生たちが学ぶべきことよりも,知的に何をするべきかに注目する。
- ティーチングという真剣な知的作業のための13の質問
- この科目は学生のどのような課題,技能,能力,資質に役に立つか。私はどのようにそうした課題や能力に対する学生の関心を高められるか
- 科目が提起する質問に答えるために,学生たちはどのような論理的能力を身につけ,開発しなければならないか
- 教師として学生に挑戦してほしいようなメンタルモデルを学生が持っているか。そうした知的挑戦を行う学生にどのような援助ができるか
- 科目の重要な質問に答えるために,また,自ら設定する仮説に挑戦するために,学生たちはどのような情報を必要とするか,得ることができるか
- 課題を理解し,課題に答えるための証拠を活用し,論理的に考えることが苦手な学生をどのように援助するか
- 心に軋轢や真実についての葛藤を持つ学生とどのように向き合い,問題に取り組むよう援助するか
- 学生が既に知っていることや授業に何を期待しているかをどのようにして知るか。教師の期待と学生の期待の違いをどう調整するか
- 学生たちが学び方を学び,自らの学習と思考を検討,評価し,より効果的,分析的,積極的に文献を読めるようにどのように援助するか
- 学生を評価する前に,彼らが学んでいることをどのように見出せるか,評価とは別にどのようにフィードバックを提供するか
- 学生が思考し続けるような方法で,どのようにして学生と意思疎通を図るか
- 学生の学習成果を評価する際の知的・専門的基準をどう明示するか。なぜ,その基準を用いるか。この基準を使って学生が自らの学習を評価することを学ぶようにするには,どのように支援したらよいか。
- 学生たちの学習の性格,進展,質をどのようにしたら理解できるか
- 学生の好奇心を喚起し,自らの考えを再検討し,リアリティのメンタルモデルを再考するような魅力的で本物の課題を通して,教えたいと望む技能や情報を組み込んだ形で自然で効果的な学習環境をどのように創造できるか。学生が試行,失敗,フィードバックを得て再トライできる安心した環境をどのように形成できるか
- あまり上手くいっていない教師は,学生に山ほど課題を出す。多くを期待しすぎることは,課題に疲れて疎外感を持つようになり,学習の低下をもたらすことが多い。
- 約束のシラバスの3要素:(1)その授業が学生に提供する約束,学習機会を明確に述べる,どのような種類の質問に学生が答えてほしいか,どのような知的,身体的,感情的,社会的能力を発展させるのに授業が役立つかを示す,(2)教師は学生がその約束を実便するために何をするかを示す,(3)教師と学生が学習の性格をどのように理解し,その前進をどのように考えるかを要約する。
- 優れたティーチングは,方法やルールではなく,教師の態度,学生の達成力への確信であり,学生に真剣に向きあい,彼らに自分の教育をコントロールさせる意思であり,学習目標と学生と教師の間にある相互の尊敬と合意によって行おうとする決意である。
- 上手くいかない教師は,人間の記憶を貯蔵措置とみなし,その装置に蓄えた情報を利用する能力を知性と考える。
- 優秀教師は,自然で批判的な学習環境を創りだす。自然とは,学生が学ぼうとする技能,習慣,態度,情報が含まれ,本質的に好奇心がかき立てられる本物の課題に出会うこと,批判的とは,学生が批判的に考え,証拠を持って論理的に考え,様々な知的基準を活用して自らの論理的思考の質を検討し,自らの思考を改善し,他人の思考について厳密で鋭い質問を提起することである。
- 教師の最も重要な技能は,思考を刺激するような形でのコミュニケーション能力である。そして,温かい言葉を使い,物語を語ることで説明する。
- (1)興味ある質問や問題,(2)学生が問題の重要性を理解する援助をする指導,(3)比較,応用,評価,分析,統合する活動を行う,(4)自分で問題を解くことを助ける指導,(5)質問に質問で答えるという要素がなければ,講義もディスカッションも同じ。ディスカッションをする授業が自動的によい授業ではない。
- ルールは重要だが,それは知的基準を構成しない。学習到達基準は変更できないが,むしろルールをここの学生の必要に適合するように変更すればよい。重要になるのは,学生への信頼であり,学生との信頼関係である。
- 単に難しいだけの試験は,Deep ThinkingではなくStrategic Learningを奨励してしまう。評価で重要なことは,成績よりも学習を強調することである。優秀教師は学生の動機付けに成績評価を利用しない。かわりに,学生が参加し注意を払うような魅力的な授業を作り出す。
- ティーチングの評価では,教科内容は学ぶに値するものか,学生はこの科目で教えようとしていることを学ぼうとしているか,教員は学生の学習を助け励まそうとしたか,教員が学生を傷つけたりしなかったかを見ればよい。
- ティーチングは,学習が生起したときにのみ存在する。つまり,学生が自らの学習能力に気づくような状況を創造することである。
- 優れたティーチングはテクニックの問題だという誤解がある。教えることに唯一の最良の方法はない。我々自身が受け身で正解を期待する段階を超えなければならない。
- 調査の方法は,人間的成長を与えた教師についての学生インタビュー数百名,教師の評判,ティーチング賞の受賞者からデータを得て,リストサーブで推薦を求める。その後候補者のシラバス,試験問題,成績評価方法,授業観察,学生の成果,学科が行う試験,学生インタビューから証拠を得る。学習を促進している証拠が得られるまでは仮候補のまま。結果として63人を調査対象とした。これらについて,統計を用いず,ナラティブな調査を行う。調査項目は,公式,非公式インタビュー,ティーチングについての考えが示された記録,特定科目のシラバス,課題シート,成績評価方針,講義録,授業観察,学生の作品・態度,学習目標に対する同僚教員のコメントなどである。
ところどころに明らかな誤訳があるが,今のところ授業研究については必読書。原著は2004年出版。