竹内伸一(2010)『ケースメソッド教授法入門』慶應義塾大学出版会
- 学びの共同体は教師が作るもの。授業の基本構造は,はじめに示す。授業で約束事を明確にする。初期設定で基本的な徳を確認する。
- 非指示的に教えるとは,自己のモデルを視野に入れ,外の新たなモデルを作るために,自己モデルも操作せずにいられなくなるようにすること。非指示的な教育とは,自分から考えて何らかの気づきや学びを得ること。
- 人は自己モデルを前提にしないと発言できない。自分にとって何か新しい事を話すには,自己モデルを更新しないといけない。討論には自己モデルの更新を促す作用がある。
- これが分かると,講義でも非指示的に教えることはできる。討論しても自己モデルを頑なに守る人もいる。自分なりのものの見方を更新できる機会を提供することが教師の役割。
- 自己モデルの更新は,解答,移動,再凍結。これを90分で行うのが授業。議論の授業がうまくいかないのは,このどれかがうまくいっていないため。ただし,再凍結まで回をまたぐ方法もある。
- 日本のケースは,トップダウン組織のリーダー育成ではなく,ミドルアップダウンのリーダーが,組織を丁寧に動かすための訓練の場であるべき。また,終身雇用,年功序列,企業内組合を前提に議論できるべき。
- ケースメソッドでは,ケースに対する教師の洞察水準が,教育目標にも,設問にも,討議中の発問にも影響する。
- ケース教材には分析ケースと意思決定ケースがあり,それに応じて,分析・考察・検討・吟味・判断・選択のウェイトが違う。
- 教育目的は(1)ケースが持つ論点と参加者の興味関心を十分に加味して設定されているか,(2)ケースを議論しないと得られないものか,(3)参加者が真に欲しているものか,(4)討議によって達成される見通しがあるか,で確認する。
- 90分授業では設問は3つ。ケース配布時に示す。1つの設問に30分使える計算。30分に収容可能な発言は20程度。
- とがった発言をする人には,と言い切るくらいそういう思いが強いらしいですよ,と沿えるだけで柔らかくなる。
- 発言が長い場合は,一度止めましょうと,明確に介入する。
- 討議では10分先の討議をイメージし,発言が止まったら次に何を言うかを用意しておく。創発的な沈黙なら,一度3分時間を取りましょうと,明確に指示する。
- 議論の主導権を奪われた時は,ある程度見た後に,今の点とは別に議論してほしいことがある,と介入する。(目標を明確に維持している必要があるが。)
- アドミニストレータとは,必要な配慮を行き届かせ,艱難辛苦を伴って,何とかやり遂げるというもの。マネジメントより高度,エクスキュートより実行が難しいもの。
- ケースメソッドは,コクピットの計器類の充実を図るもの。
- 討論ログである具体物を抽象化して教育目邸が達成される以上,板書は極めて重要。
- 大人の学びは,本人のステージ次第。
- ケースで議論を引き出すには,はじめにたくさんしゃべらせる。教員のはじめは1分半で既に長い。結果,授業時間はある程度必要。導入は1分で行う。
- 個人への配慮が必要になるのは,ケースの中で個人の問題を扱わなければならないため。
- ワンサイドにならない対立構造をつくる。