2008/10/06

Duch, B., Groh, S. and D. Allen (2001) "Why Problem-based Learning?," in Duch, B., Groh, S. and D. Allen (eds) The Power of Problem-Based Learning, Ch.1, pp.3-11.

本稿は、なぜPBLが必要とされるようになってきたのか、その背景を概説するものである。この問題を考えるために、まずなぜそもそも教え方を変えなければならないのか、この点を考える必要がある。そもそも大学卒業者が身につけているべき資質を考えると、(1)コミュニケーション力・数的処理力・計算機リテラシーと必要に応じて新しい知識を獲得し、応用する力、(2)問題を設定し、解決に必要な情報を収集して判断する力、などがあげられる。こうした大学で身につけるべき資質の伝授に、講義という方法は現在でも一定程度有効だが、学習者中心で、研究的指導を行い、問題解決型の学習がその理念に忠実なものと言える。PBLのような学習に注目する背景には、こうした考え方がある。
では、PBLとはどのようなものか。基本的には次のような能力の獲得を目指す授業である。
  1. 内省的な思考により、現実社会で直面する複雑な問題を分析し、解決する力
  2. 適切な学習資源を見つけ出し、活用する力
  3. グループで協力して学ぶ力
  4. 口頭・文書で効果的なコミュニケーションを行う力
  5. 授業で身についた知識や勉強方法を継続する力。
PBLを実際に行う際は、次のようなサイクルで進めていく。
  1. 学習者は事例、研究論文、ビデオ等を通じて問題を提示され、グループ内で問題に関する知識や意見を交換する
  2. 議論を通じて問題の理解できない点を学習課題として(複数)設定する
  3. 重要度に応じて学習課題に優先順位をつけ、学習を進めた結果をクラスへ報告し、教員とさらに学習すべき課題について議論する
  4. それまでに学んだ知識や問題に関する理解を活かして、さらに学習すべき課題に取り組む。
PBLは医学教育の領域で始まった取り組みであるが、ここまでの議論はまだ大枠で、さらに詳細な方法論を検討する必要があるだろう。