2008/10/21

高橋正視(2002)『項目反応理論入門』イデア出版局

 項目反応理論では、能力θ∈(-∞, +∞)が平均ゼロの正規分布をするという事前予想のもとで、θを測定する。正規分布の下では、-1<θ<1が68%になり、θ=1が偏差値60、θ=-1が偏差値40にあたる。そして、問題ごとにθ=xの人が正解する確率pを表す項目特性曲線を考える。この項目特性曲線にどのような曲線を当てはめるかは経験的に決まるようであるが、通常はロジスティック曲線を当てはめる。

 1パラメータロジスティックモデルでは、項目難易度bを考え、曲線の変曲点(θ=0, p=0.5)の横軸の値(すなわちθの値)になり、b=0となる。項目難易度のプラスシフトは、その問題の難易度を上げ、グラフを右シフトさせる。2パラメータロジスティックモデルでは、さらに項目識別力aを考え、変曲点の微分係数になる。aの値がゼロに近づくと直線に近づき、その問題の正解・不正解情報が全体に与える影響が小さくなる。よって、0.3<aが望ましい。2パラメータモデルでは、曲線の曲がり具合も考慮したモデルとなる。3パラメータモデルは、能力の低い人のまぐれ当たりを考慮したモデル、4パラメータモデルは能力の高い人のうっかりミスを考慮したモデルとなる。

 さて、ここからがミソなのだが、能力の推定方法である。全3問(s, t, u)のテストがあり、受験者が3人(k, l, m)いる。各問題の正誤ベクトルがそれぞれ、s=(1, 1, 0)、t=(1, 0, 1)、u=(0, 1, 0)とする。2パラメータモデルにおける各問題のパラメータ(a, b)がそれぞれ、s=(0.5, -1)、t=(0.6, 0)、u=(0.7, 1)であるとする。各問題に正解する確率は独立とする。項目特性曲線から各問題の正解率を出し、受験者の回答パターンを当てはめると、(k, l, m)の能力はそれぞれθ=(1, 1, -1)となる。より詳しい能力を知りたい場合は、θを0.1刻みなど細かくしていく。

 これをみてわかるように、この計算では事前に各問題の項目難易度と項目識別力がわかっている必要がある。では、これをどのように求めるかというと、θがわかっている受験者の解答の正誤の結果を用いて対数尤度関数を作り、最尤法で推定する。しかしこれでは、いったいどっちが先に決まるのかわからない。aとbの決め方に関しては、他の方法もあるようなので、他の文献をあたる必要がありそうだ。

 いくつかの基礎知識。
  • 標準偏差が大きいほどできる人とできない人の差がついたテスト。
  • 正解率=その問題の正解者の人数÷受験者の総数、この二項分布は平均値が0.5のときに最大になり、有効な問題。
  • 弁別指数=上位グループの正解率ー下位グループの正解率、グループは上下27%で作り、よい問題は通常0.4以上の値になる。
  • 点双列相関係数=(その問題の正解者のテスト総得点の平均値ーその問題の不正解者のテスト総得点の平均値)÷テスト総得点の標準偏差×その問題の標準偏差、弁別指数が中位グループのデータを使わないことへの改善策、0.3以上が望ましい。