- 高等教育に経営的発想の要請→内部で新しい仕事の必要性→教員と職員が一緒に働く機会の増加→職員によるプロフェッショナルの定義の揺らぎ(教員万能論の崩壊)→職員の新しいキャリア志向の獲得
- 特に研究費獲得、学習支援、留学生獲得、海外協定、民間連携交渉、広報、eラーニング、初年次教育の分野で準アカデミック領域が生成
- アイデンティティには意味が含まれ、そのため形成にはインタラクションが必要となる(Jenkins 2008)
- アイデンティティは社会的に構築される
- アイデンティティはプロセスとして理解される(あるいはプロジェクトとして理解される)(Giddens 1991)
2020/01/31
Lewis, K. (2012) Constructions of professional identity within UK higher education administration and management
2020/01/30
「結節点としての2020年」『IDE現代の高等教育』No.617,2020年1月
合田隆史「2020年結節点としての可能性」
- 1968:『断絶の時代』(ドラッカー):知識経済への移行と教育革命
- 1969:『大学の効用』(カー)
- 1971:「46答申」(中教審):学校教育の総合的な拡充整備のための基本的施策
- 1972:『成長の限界』(ローマクラブ)
- 1972:『未来の学習(フォールレポート)』(ユネスコ教育開発国際委員会)
- 1973:『脱工業社会の到来』(ベル)
- 1973:『リカレント教育(生涯学習のための戦略)』(OECD)
- 1973:『エリートからマスへ』(トロウ)
- 1987:「生涯学習体系への移行」答申:不断の大学改革元年
- 1989:「新しい学力観」学習指導要領改訂
- 1992:英国高等教育システム一元化
- 1994:『現代社会と知の構造』(ギボンズ):知のモード論
- 1996:『知識基盤経済』(OECD)
- 1996:「生きる力」提唱答申
- 1997:『学習社会における高等教育(デアリングレポート)』
- 1999:ボローニャ宣言
- 2002:職業教育分野におけるコペンハーゲン・プロセス決議
- 2003:「キーコンピテンシー(DeCeCo)」(OECD)
- 2005:『知識社会に向けて』(ユネスコ)
- 2005:「21世紀型市民育成」答申
- 2006:『スペリングス報告(連邦教育長官諮問委員会報告書)』
- 2006:「社会人基礎録」(経産省)
- 2007:「学力の3要素」学校教育法改正
- 2008:「学士力」(文科省)
- Society 5.0:第5期科学技術基本計画(2016-20)で超スマート社会を実現する政策パッケージのこと。
2020/01/29
「教育と研究の間」『IDE現代の大学教育』No.615,2019年11月
阿曽沼明裕「大学の組織と教育・研究機能」
- 教育と研究の組織的機能分化
- セクター間分化:大学セクター外に研究機関(マックス・プランク等)
- 大学間分化:研究大学群と教育大学群
- 大学内組織分化:学部以外に研究所等
- 人の分化:教育専任と研究専任の教員
- もともとカレッジ(学寮)は教育組織=教員組織
- → 近代的ディシプリンが追加:講座(正教授と支配下の研究所)
- → 日本は複数教員(教授1・助教授1・助手2)の講座=教育機能・研究機能・教員帰属機能を一体化させた組織
- アメリカは18世紀の学生数増加でカレッジが拡大し、デパートメントを置く(複数の教授をまとめたもの)→ デパートメントの存在が大学院プログラム運営を可能にした
- デパートメントは教員組織、研究と大学院教育の場、これを軸に、学位プログラム・研究プロジェクトの間にマトリクスが形成されている。
- 教員組織を教育組織・研究組織から独立させる利点:
- 教員組織=ディシプリンベース=硬い組織
- 教育プログラム・研究プロジェクト=柔軟な組織
- 教員に安心・安定性を与えながら、変化する教育研究ニーズに対応できる
- 教育と研究の組織的な機能分化を進めながら、教員レベルで教育と研究を両立させられる
- マトリクスは有効だが、マネジメントが必要、資源が豊富でないと維持できない、教員はマルチタスクで教育負担を減らす工夫がないと非効率になる
2020/01/19
田中正弘(2005)「教育借用の理論」『人間研究』41,29-39
- 教育借用は、(1)ある国の教育状況の徹底した科学的・学 術的調査、(2)ある国の教育問題の解決方法が最良であるという考えの浸透、(3)ある国との明確な差異を措定することを通して改革の必要性を探求する政治的な試み、(4)自国の認知された欠陥を際立たせる目的で外国の教育例を、意図的であるかないかを問わず、歪曲(誇張)する行為に起因する。
- 外在化が「適切な改革政策を決定するための『枠組み』として」利用されるなら、その行為の真の目的は、外国の教育制度を自国に正確に再現することではない。
- 『借用』に関心がなく、方向性を示唆することを目指す。
2020/01/06
Braun, V. and Clarke, V. (2006) Using thematic analysis in psychology. Qualitative Research in Psychology, 3(2), 77-101
- 主題分析の強みは柔軟性
- 一般に質的分析は2つの流派に分けられる
- 特定の理論的・認識論的立場に立つもの:(1)限られた枠組みに適応可能なもの(会話分析,解釈的現象学分析),(2)理論的枠組みは広いが分析方法が厳密なもの(グランデッドセオリー,ディスコースアナリシス,ナラティブアナリシス)
- 理論的・認識論的立場を越えて適用可能なもの:主題分析
- ただし,その柔軟性が「なんでもあり」と批判の対象にもなる
- 本稿の目的の1つは,適切な方法論と柔軟性の境界を明示すること
- 分析者が明確な仮説を持つことがポイント
- データコーパス:調査で得た全データ → データセット:コーパスから取り出した分析に使うデータ
- データセットの作り方:(1)データコーパスに含まれる個人から構成,(2)データコーパスに含まれる特定のテーマに関する発話から構成(両者を組み合わせることは可能)
- データアイテム:個人の発話
- データ抽出:データのコードの束(データアイテムから抽出されたもの)
- 主題分析:データ内のパターン(テーマ)をレポートする技法
- 追試可能性の担保には,プロセスと実践手法が極めて重要
- 主題:リサーチクエスチョンに関連する重要な,データ内にあるパターンまたはテーマ
- 主題は,帰納的(ボトムアップ)でも演繹的(トップダウン)でも特定できる。
- 分析の6段階
- (1)データに自分自身をなじませる
- データを何度も読む,アクティブリーディングをする(意味・パターンを見つけながら読む),トランスクリプトを自分で作る
- (2)初期コードの生成
- データに何があるか・何が興味深いかの初期リストを作成する

- 全データを均等に読む
- トランスクリプトをハイライトしてコーディングする
- コードはできる限り多くのテーマ・パターンを出す
- 文脈を損なわずにコーディングする(コーディング批判の的)
- (3)テーマを探す
- コードのリストを見て,潜在的なテーマにまとめる
- 複数のコードからテーマを見出す
- この作業に,表,マインドマップ,ポストイットを使うのもよい

- コード間の関係,テーマ間の関係,テーマの階層をまとめる
- テーマ・サブテーマの候補をまとめたらこの段階は終了
- (4)テーマを検証する
- ステップ2:仮テーママップが,全データを反映していることを確認する
- この確認は重要だが,エンドレスの再コーディングに注意
- (5)テーマを定義・命名する
- (6)レポートを書く
- 分析はトランスクリプトの表面ではなく,意味のレベルで行われている必要がある
- よくある5つの失敗
- 分析をしていない:文字を抜き出すことがコーディングではない
- インタビューの質問をテーマにする
- 分析が甘い:テーマに重複がある,内的な一貫性がない
- データと結論が整合しない
- 理論と分析が整合しない
- 優れた分析のためのチェックリスト
2020/01/05
保城広至(2017)「社会科学と歴史学の統合の可能性」『組織科学』51(2),4-13
- 社会科学は過去を扱う学問である:歴史学から学べることは多い。
- 社会科学と歴史学の違い
- 社会科学:社会現象に何らかの類似したパターンを見出す法則定立的学問(nomothetic)。因果関係を解明することが説明。演繹中心。
- 歴史学:特殊かつ1回限りの現象に注目して緻密な分析を行う個性記述的学問(idiographic)。ある現象が何であるか,通説と異なる新事実を明らかにすることも説明。帰納中心。
- 厳密な演繹・帰納は分けられない:データや資料の解釈に主観が避けられないため。
- アブダクション:批判に十分耐えられる説得的で実証的な仮説ができるまで,資料と作業仮説の間を往復すること。
2020/01/04
黄雅雯(2013)「EMS企業における活用と探索の検討 : 鴻海社の事例」『早稲田商学』437,171-208
- Gupta(2006)の拡張
- 探索と活用を実務的にどう定義するか,範囲を限定するか,両概念は対立的か直交的か,組織の環境適応は双面型メカニズムと断続的均衡メカニズムのどちらかによってより促進されるか,組織は継続的な成長を実現するために必ず両者のバランスを取るべきなのか,を整理。
- 分析対象が個人・チーム・組織かによって両概念の意味・範囲が異なる。
- ex:両活動が必要となる資源が不足であればあるほど,両活動のトレードオフ関係が深まる。単一ドメインにおける両活動は対立的関係になりがちだが,複数のドメイン間の両活動は直交的であり,同時に存在することが可能。
- 双面型組織:同じ組織内で漸進的な変化と革新的な変化を同時に使いこなす組織。→ 2つの顔を持つ組織が必要。→ 大きい規模で集権的かつ強い文化と直結するプロセスという部門,革新的変化の活動を担当するための小さい規模で分権的かつ弱い文化と直結する独立した別の部門から構成。
- 断続的均衡メカニズム:双面型メカニズムの代替案=経営者が活用と探索という両者の活動を時間を介して相互に起こすことにより,両者活動間のパラドックスを解消しようとする調整メカニズム。
- Lavie et al(2010)の拡張
- 探索と活用の両立を可能にする組織の特徴
- 組織文脈的双面性,組織構造的分離性,時間的分離性,事業的分離性。
- 共有ビジョン・一体アイデンティティによるストレッチ・支援・規律・信頼→組織文脈的双面性を醸成。
- 活用と探索に関する既存研究=定量分析が大半,両者の活動を両立する実態を解明しようとするプロセス分析がなされていない。
- 単独事例研究
- 研究開発が顕著,特許多数 → 急激な成長(売上増)はそれ以前の研究開発に起因するという仮説。
- アニュアルレポート,書籍・雑誌・新聞,DBで分析。
- ボトルネック(金型技術)に惜しみなく資金を投入。
- 事業展開を探索した際に,分離型の組織構造を採用。
- 事業展開の探索と特許出願を同期化。中央法務部が定型業務+研究開発の方向やM&A先の選定などの経営諸機能も果たした。
- 共通利用可能な未利用資源を絶えず創造し,事業展開の探索を促進。
2020/01/03
高橋真吾(2016)「組織システムのモデル化と組織学習の分析」『計測と制御』55(1),22-28
- 現代の組織論:組織はオープンシステムとして定義される
- (1)社会的な存在,(2)目標によって駆動,(3)意図的に構成され,調整される活動システム,(4)外部の環境と結びついている(Barnard)。
- 組織シミュレーション研究:組織設計と組織学習に焦点化。
- 組織のモデルの解像度の低い順に,Abstract Model, Middle Range Model, Facsimile Model。
- Abstract:複雑な社会現象の原理的な理解を目指し,システムの性質を支配するシステム構造を少数 のパラメータで記述するシンプルなモデル。ただし難しい。→ モデル化したい状況の要因を入れる → Middle Range。
- Middle Range:どこにモデル化の焦点を当てるかや,本質的に着目すべき 要因の影響を調べるのに適する。最もアプローチしやすい。
- Facsimile:特定の現場状況での具体的な特性をモデル化。最も解像度の細かいモデル。
- 組織システムの成長・失敗は意思決定の結果=組織モデルと意思決定モデルは連関している。
- 複雑システムモデル:
- Rational unitary actor model:一人の合理的個人による決定により組織の意思決定が行なわれているとして組織意思決定を扱う。
- Organizational model:サイバネティックなアプローチから組織システムをモデル化するときの基本。複数の意思決定主体の意思決定結果の統合により組織目標を達成することが主題。
- Political model:個人やセクタの目標が組織目標に取っ て代わる状況を扱う。組織メンバー間あるいはセクタ間 のコンフリクトや権力構造の存在を認める。
- Contextual view:ゴミ箱モデル。予測不可能な環境複雑性を前提として,個人の 意思決定が優先した組織行動を扱う。
- Evolutionary model:組織の環境適応や学習に主眼が ある。個々の組織メンバーの自律的意思決定行動と組織 全体の行動との関係を進化的方法によりモデル化する。
- マネジメントサイエンスアプローチ
- 合理的意思決定モデル:意思決定者 に完全な計算・推論・情報収集能力が備わっていることを 仮定。
- カーネギーモデル:必ずしも期待 効用が最大となる最適な選択が行われるのではなく,満 足化による決定が行われることを組織意思決定の基準と して提示。
- ゴミ箱モデル
- サイバネティックモデル:オープンな社会-技術システムであり,階層的な構造をもっ ている.また構造安定性の志向をフィードバック機構に より実現し,環境に対して適応的で成長志向をもってい る。
- 計算組織論:組織を主に,適応(adapt),学習(learn),応答(react, respond),進化(evolve)の特徴でとらえる。
- 組織学習のモデル化:ダブルループのモデル化が困難
2020/01/02
鈴木修(2012)「「探索」と「活用」のバランスの実現に関する考察」『組織科学』45(4),66-81
- 「探索」と「活用」のバランスの維持は組織の長期的な適応に重要な役割を果たす一方,どちらか片方に専心しないと組織学習が進まない(Levinthal and March 1993)。
- March(1991)は,適応過程としての組織学習を「探索」と「活用」との間の資源配分過程と捉えた。
- 先行研究では,組織学習の焦点が新しい知識や技術の追求なのか,既存の知識・技術の再利用なのか,に着目して,「探索」と「活用」の操作化が試みられてきた。
- 組織の長期的な適応には両者の適度なバランスが必要である(March)。
- 組織学習は,環境要因や組織学習活動等の相互作用の克服を目的とした2つの機構によって促進される。
- 分解(decomposition)やイナクトメントから構成される経験の簡素化(simplification)と,適応反応類型の特化(specialization)・代替(substitution)の2つ。
- → これらは,組織学習を容易にすると同時に,3つの視野の狭窄を併発する。
- → 短期集中(overlooking of distant times),第二に全体観の喪失(overlooking of distant places),第三に失敗経験の軽視(overlooking of failures)。
- → この結果,「探索」と「活用」とのバランスが乱れ,組織の学習態様は「探索」,「活用」のどちらか一方に偏る。
- 従来の研究:「探索」に役立つ組織能力をより濃厚に有する組織と,「活用」に役立つ組織能力を濃厚に有する組織とが存在する。→ バランスを維持する組織を考察する必要性あり。
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