2015/01/08

「学長のリーダーシップとは」『IDE現代の高等教育』No.567,2015年1月

(松本)
  • 国立大学は分科大学の統合で形成されたために,学部自治が大学の自治と混同されていったと思われる。総長は象徴的な大学の代表で,部局の自治が総長の権限に優先すると思われていた。
  • 教育研究評議会,経営協議会とも,法人法では審議機関と定義され決定機関ではない。
(広渡)

  • 大学の自治は学問の自由のコロラリー。その最重要の1つは,人事の自治(最高裁判例)。「議に基づく」とは,学長は教授会の議に拘束されることである。教授会法改正は,明らかに大学の内部自治のあり方を変えたもの。
(佐藤)

  • 学長のリーダーシップは,いつの概念で全て議論できるものではない。どのようにあるべきかは,日々の教育の営みの中で判断されるべきこと。
  • 学校法人理事長の英文はChancellor(土橋)。Chairman of the Boardは正しくない。アメリカの大学理事会は,設置形態を問わず全員が学外者で無報酬,学長はCEOとして出席。日本の法人理事は執行業務にあたることを前提としている。 
(渡辺)
  • 企業型リーダーシップ論を大学にそのまま当てはめることは危険。
  • 私学ではガバナンスは二元的。教学経営全てにおいて最高決定機関は理事会で(私学法36条2項),最終責任者は理事長(私学法37条1項)。学長であっても,理事会の判断を仰がねばならない。教員に経営を任せて失敗しないための仕組みといえる。
  • 改革の近道は,理事長・学長が現場教職員と話し合い,理解と協力を得ていくこと。
(里見)
  • 大学教員の専門家としての質が厳しく問われているのが今回の法律改正の本当の問い。
(福田)
  • 神戸大学の若手教員長期海外派遣制度,45歳以下,6ヶ月以上原則,10ヶ月以上推奨,教員のグローバルな体験が大学のグローバル化を支えている。
  • 現場と本部のコミュニケーション障壁を取り除くことが学長のリーダーシップの大切な要素。
(吉岡)
  • 大学におけるリーダーシップの正当性の根拠は,大学の外部(伝達と効率,品質管理,サービスと満足度など)にあり得ない。リーダーシップは,大学の自由と自律を確保するためにこそ行使されるべきもの。
  • そのために学長が行うことは,自大学がどのような大学であるかを明確にし,それを学内外に明示すること。
(梶田)
  • 学長のリーダーシップは,PとMを発揮していくことに尽きる。
(根岸)
  • 学長リーダーシップの制約としての教授会を感じる学長は,国立,入学定員3000人以上で割合が多い。