グラント・ウィギンズ,ジェイ・マクタイ(2012)『理解をもたらすカリキュラム設計―「逆向き設計」の理論と方法』日本標準
- 多くの教師が,学習ではなく指導に焦点を合わせている。教員は,何をどう教えるかについて考えてしまうが,ここでの挑戦は求められている学習に最初から焦点を合わせることで,適切な指導はそこから論理的に導ける。
- 伝統的設計の2つの誤り:(1)心の中の知的なゴールと切り離された活動をする,(2)目的なく網羅する
- 設計の問い:教室を出るときに何を理解しているべきか?その能力を示す証拠は何か?その結果がもたらされる可能性が最大になるのは,どのようなテキスト・活動・方法か?
- 理解とは心的な構成概念であり,多くの個別知識の断片の意味をとらえるために人の知性が行う抽象化である。
- 知識=諸事実,一貫性のある事実のかたまり,実証的できる主張,正しいor誤り,自分が知っていることを手がかりに応答する。
- 理解=諸事実の意味,事実に一貫性と意味を与える理論,誤りに陥りがちな進行中の理論,程度や洗練さにかかわること,それがなぜか・それが何によって知識になるかを理解している,自分が知っていることを活用すべき時と活用してはいけない時を判断する。
- 理解とは転移に関すること。新しい設定,困惑させられる設定に転移させる能力が必要。
- 理解は即席ではなく,大変な努力をしてやっと得られるもの。
- 理解についての証拠を得るには,転移可能性を喚起する評価を作らねばならない。
- 重大な観念は本来的に転移可能である。「効果的に書く人は,どのように読者をひきつけ興味を持続させるのか」
- 理解の6つの側面
- 説明できる:現象・事実・データについて,一般化や原理を媒介して正当化された体系的な説明を提供する。
- 解釈できる:意味のある物語を語る,適切な言い換えをする,イメージ・アナロジー・モデルを使って理解の対象を身近なものにする。
- 応用できる:多様でリアルな文脈で知っていることを効果的に活用して適応させる。
- パースペクティブを持つ:批判的・複数の視点から見たり聞いて,全体像を見る。
- 共感できる:先行する直接経験に基づいて敏感に知覚する。他の人があり得ない・おかしいと思うことに価値を見出す。
- 自己認識を持つ:自分の理解を形作る・妨げる個人的なスタイル・偏見・知性の習慣を知覚する。何を理解していないかに気づく。
- 端的な一文で答えられない問いは,思考を刺激して探求を引き起こし,より多くの問いを呼び起こす。
- 最良の問いは,重大な観念を指し示して強調するものである。
- よい問いとは,ジレンマを引き起こし,自明の真実や正当と認められた真実を覆し,私たちの注意に不調和をきたさせるものである(ブルーナー)。
- 本質的な問いの本質的とは,(1)人生を通して何度も起こる重要な問いである(科学と宗教は両立するか,芸術は好みか原理か),(2)学問における核となる観念と探求を指す(健康的な食事とは何か),(3)核となる内容を学習するのに何が必要かに言及する(光はどのように波と似た振る舞いをするのか),(4)特定の・多様な学習者を最もよく参加させる。
- スキル領域でも,本質的な問いは,(1)鍵となる概念,(2)目的と価値,(3)方略と方策,(4)活用の文脈を中心に考えれば組み立てられる。
- 本質的な問いは,特定のトピックやスキルを乗り越えさせ,より一般的な転移可能な理解を示す。
- 本質的な問いは,相互に関連する問いの組み合わせ(=多様性とバランス)で考える。
- 理解の6側面に基づく問いを引き出す言葉
- 説明:5W1H,〜において鍵となる概念は何か,〜の例は何か,〜の特徴はどのようなものか,これはなぜそうか,どのように私たちは〜を証明・確認・正当化するか,もし〜だとすれば何が起こるか,〜についてよくある誤概念は何か
- 解釈:〜の意味は何か,どのように〜は〜に結びついているか,どのように〜は〜に似ているか,だから何なのか,なぜそれが重要なのか
- 応用:いつ・どのようにこれを活用できるのか,どのように〜はより広い世界で応用されているか,〜を克服するために〜をどのように活用できるか
- パースペクティブ:〜についての異なる視点はどのようなものか,このことは〜の視点から見るとどのように見えるのか,〜に対するあり得る反応は他に何があるか,〜はどのように〜と似ている・異なっているか,〜の長所と短所は何か,〜の限界は何か,〜の証拠は何か・十分か
- 共感:〜の立場に立つとどのようだろうか,〜について〜はどのように感じるか,どのように私たちは〜についての理解に達するか,〜は何を私たちにかんじさせようとしているか
- 自己認識:は和紙はどのように〜をしっているのか,〜についての私の知識の限界は何か,〜についての私の盲点は何か,私はどのように〜を最もうまく見せることができるか
- 理解の定義:(1)理解は熟達者の経験から導かれた重要な推論であり,明確かつ有益な一般化として述べられる,(2)理解は特定のトピックを超えて永続的な価値を持つ,転移可能な重大な観念に言及する。
- 評価者として考えることは,3つの問い:(1)どのような種類の証拠が必要か,(2)パフォーマンスにどのような特定の特徴があることを検討すべきか,(3)提案されている証拠によって,知識・スキル・理解を推論することが可能か。
- 真正な課題=(1)現実的な文脈化がなされている,(2)判断と革新が求められる,(3)することを求める
- 証拠の種類:パフォーマンス課題,アカデミックプロンプト,小テスト,インフォーマル点検
- 6側面に関わる規準
- 説明:正確な,一貫した,正当化された,体系的な,予言的な
- 解釈:有意義な,洞察に満ちた,重要な,例証となる,啓蒙的な
- 応用:効果的な,効率的な,流暢な,順応性のある,優美な
- パースペクティブ:信用できる,啓発的な,洞察に満ちた,もっともな,並外れた
- 共感:敏感な,偏見のない,受容力のある,知覚の鋭い,機転の利く
- 自己認識:自覚的な,メタ認知的な,自己調整する,内省的な,賢明な
- 指導計画におけるWHERETO
- どこへ向かい,なぜなのかを理解する
- 最初に引きつけ,終始注意を引きつける
- パフォーマンスゴール達成に必要な経験・ツール・知識・ノウハウを身につけさせる
- 重大な観念を再考し,進歩を振り返り,作品を修正する機会を多く提供する
- 進歩を評価し,自己評価する機会を組み込む
- 各自の才能・興味・スタイル・ニーズを反映するよう調整されている
- 表面的な網羅でなく,深い理解を最大化するよう組織されている
- スコープは社会生活の主な機能,シーケンスは特定の時点における生徒たちの生活の関心の中心を指す(キャズウェル)。