2014/11/07

水越敏行・木原俊行・田口真奈・吉崎静夫(2012)『授業研究と教育工学』ミネルヴァ書房


  • 授業研究の目的
    • 授業改善=授業デザインを基盤とする授業改善モデル:授業デザイン・授業実践・授業評価・授業改善創造の4フェーズからなるサイクル。
    • カリキュラム開発
    • 教師の授業力量形成:自分の実践から学ぶ(直接学習)・他の人の実践から学ぶ(観察学習)×指導者のアドバイス・同僚と(協働学習)・一人で(個別学習)
    • 授業についての学問的研究の進展のため
  • 授業研究の方法
    • 行動主義アプローチ:授業での教師・生徒の行動の観察を分析し,行動と授業成果の関係を明らかにする。
    • 認知主義アプローチ:教師と生徒の内面過程(思考・理解・感情)に注目,行動主義アプローチで十分説明できない課題を明らかにする。
    • 社会構成主義アプローチ:グループ学習の分析,知識は学習者間の関係性を通して創出される。
    • 教育工学アプローチ:システムアプローチ・アクションリサーチにより,授業を多様な構成要素からなる一つのシステムとみなして,PDCAサイクルを通した授業改善を行う。
  • 授業研究の領域
    • 授業設計:授業デザイン,コメット法,目標分析,教材分析,学習者分析,子供の思考過程のモデル図,学習指導案,学力
    • 授業実施:教授行動,学習指導法,TT,協調学習,教授スキル,教師の意志決定,教師の認知,学習行動,学習スキル,子供の思考・理解,子供の学習意欲,授業ルーチン
    • 授業分析・評価:授業コミュニケーション分析,カテゴリー分析,自由記述法,カード構造化法,評定尺度法,授業記録,日誌法,座席表,授業の相関分析,線結び式授業の内容分析,再生刺激法,相対評価,到達度評価,ルーブリック,真正な評価,ポートフォリオ,自己評価
    • 授業改善:PDCA,授業改善視点表,ワークショップ,授業検討会,授業カンファレンス,リフレクション
    • 学習環境:ICT,インターネット,電子黒板,テレビ会議,タブレット,ネットワーク,メディアラボ,ラーニングセンター,デジタルコンテンツ,オープンスペース
    • 教師の授業力量形成:教師の成長,校内研修,同僚性,実践知,メンタリング,コーチング,マイクロティーチング,机上授業
    • 授業研究の方法:アクションリサーチ,システムアプローチ,VTR中断法,外言思考法,再生刺激法,シミュレーション法
  • 授業力量の3層モデル:信念・知識・技術。見えない信念と見える技術を知識が仲介する。
  • 信念の具体化には,知識が必要。その領域は,教材内容,教授方法,生徒の3つ。それらは省察を通じて拡充される。
  • 個性を持つ対象の学びを充実させるためには,マニュアルほどの具体性を持たないガイドラインを遵守した上で,裁量権の大きさを活用して個別の授業をつくるのが教師。
  • 教師は孤立しやすい
    • 教室が物理的に閉じられ,同僚と接する時間が少ない。
    • 授業に関する価値観が多様なため,どのような実践もある見地からは何らかの問題を有する。よって,教師は授業を開示することを回避しがち。
  • 大学教育の特色:伝達される知識が生成途上にあること,対象が青年期以上のため教師との関係が相互性に近づく,時間と空間の統制が最小限。
  • ユニバーサル化=学問の倫理から教育の論理への移行が必要。
    • 学問の論理=技術の巧拙など問題でなく,内容の学問的水準のみが善し悪しを決める。
    • 教育の論理=学生が理解できないのは教え方が下手。
    • 前者は既に60年代に崩壊,70年代末に深刻化,90年代の進学率上昇と大綱化(山内 2002)
  • 大学教員の資格要件:大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有する(設置基準14条)。
  • CAP制が機能するためには,学生が自らカリキュラムを組むことができる能力を身につけていることが前提。そのためのキャリア教育・初年次教育も必要。
  • FD活動の中核は,大学教育の目標設定。大学の教育目標自体が曖昧,FDは手段であり何を改善するかという目標がないところで手段の実行を要求しても意味がない。
  • Shulmanのティーチングの3種類の知識;教授法に関する知識,内容に関する知識,内容を効果的に教授するための知識,3つめが大学において重要。
  • 公開授業の類型化:啓発型,モデル伝達型,ファカルティ連携型(他科目の内容を知る),リフレクション型,ネットワーク志向型(共同体づくりを志向)。